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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第三十五節: 通缉令

(わす)れるな、紫幽山(しゆうざん)には紫楓葉(しふうよう)()るほど()えている。()()採取(さいしゅ)手間(てま)(はぶ)ける手軽(てがる)目当(めあ)てだということを。まあ、()っても(うま)(みみ)念仏(ねんぶつ)というやつか。仕方(しかた)あるまい…」


老村長(ろうそんちょう)()(かえ)(くび)()(なげ)いた。


方源(ほうげん)(かみ)をかきながら()った。「おらたち、元手(もとで)(まわ)そうと、ついでにおふくろたちにも孝行(こうこう)したくて、()()っちまった。骨身(ほねみ)()って(はたら)いた()が、一本(いっぽん)()れねえなんて(おも)わなかった」


(こえ)には(あせ)りが(にじ)み、かすかに()まらせた。


その言葉(ことば)老村長(ろうそんちょう)(こころ)(またた)くほど(やわ)らぎ、胸中(きょうちゅう)(うら)みの(きり)跡形(あとかた)もなく()えていった。


村長(そんちょう)どの、(あせ)らねえでくんろ。おらたち、明日(あす)から商隊(しょうたい)()いて()ぐすっと。()()げて、そん(とき)()るっきゃねえべや」と方源(ほうげん)(つづ)けた。


商隊(しょうたい)()いて()ぐだと?(だれ)許可(きょか)しだ!?」老村長(ろうそんちょう)()()いた。


方源(ほうげん)至極当然(しごくとうぜん)()う:「商隊(しょうたい)(なか)(ぼん)人が一杯(いっぱい)おるだがや。(やつ)らが()げるなら、おらたちが()ぐのが(なん)駄目(だめ)なんだ?」


老村長(ろうそんちょう)()(ひたい)()さえた:「連中(れんちゅう)蛊師(こし)(さま)家僕(かぼく)じゃ!商隊(しょうたい)(ねこ)杓子(しゃくし)()けて()ける場所(ばしょ)だと思うのか?(まん)(いつ)悪党(あくとう)()じったら、どげすんだ!」


「ええっ!?」方源(ほうげん)(くち)をぽかんと()け、その()(ぼう)()ちになった。「そ、そんで、商隊(しょうたい)(めい)(ちょう)()るずら…」


「ふぅ…」(ろう)(じん)(ふか)(いき)()()した。「まあいいさ、(なさ)けを()けるなら最後(さいご)までってことじゃ。明日(あす)(あさ)(おれ)(ねが)ってみる。(くわ)われるかは、お(まえ)たちの(えん)次第(しだい)だ」


()()()らぬ(そら)(あわ)(あお)()まり、名残(なご)りの(ほし)数個(すうこ)(きら)めいている。遠望(えんぼう)すれば紫幽山(しゆうざん)暗紫(あんし)のベールを(まと)い、(かそ)けく神秘(しんぴ)()ちていた。


一夜(いちや)休息(きゅうそく)()て、商隊(しょうたい)発進準備(はっしんじゅんび)に取り()かっている。


貨物(かもつ)確認(かくにん)徹底(てってい)せよ!」


(なわ)(たし)かに(しば)ったか?輸送中(ゆそうちゅう)()としたら百叩(ひゃくたた)きだぞ」


(はや)(はや)く!黒甲虫(こっこうちゅう)十分(じゅうぶん)(えさ)をやれ!」


……


蛊師(こし)たちが雷鳴(らいめい)(ごと)命令(めいれい)()ばし、凡人家僕(ぼんじんかぼく)たちは右往左往(うおうさおう)していた。短気(たんき)蛊師(こし)革鞭(かわむち)()に、動作(どうさ)(おそ)(もの)()るや「ビシッ!」と一撃(いちげき)()びせる。蛊虫(こちゅう)寵愛(ちょうあい)する(もの)(みずか)(えさ)(あた)えている。


(ちん)(さま)…」老村長(ろうそんちょう)(こし)(かが)め、商隊(しょうたい)副首領(ふくしゅりょう)一人(ひとり)にご許可(きょか)(たまわ)りたく()(いで)た。


「おい、(ちょう)じいさんか。ちょうど(いそが)しいんだがな、(よう)があるなら(はや)()えよ」陳姓(ちんせい)蛊師(こし)(こた)えた。


(じつ)はあの、二人(ふたり)若者(わかもの)小商(こあきな)いをしておりまして…」老村長(ろうそんちょう)()いかけると、(ちん)蛊師(こし)突如(とつじょ)怒鳴(どな)った。「陳鑫(ちんきん)貴様(きさま)ふらふら(なに)してやがる!(いま)すぐ翼蛇(よくへび)(えさ)をやれ!下僕(げぼく)どもに(まか)せておけるか?この数日(すうじつ)でお(まえ)翼蛇(よくへび)三人家僕(さんにんかぼく)丸呑(まるの)みしたんだぞ!」


「は、はっ!家老(かろう)(さま)!」陳鑫(ちんきん)(つか)まって(くび)()れた。


(ちん)蛊師(こし)(ゆる)さず、(さら)叱責(しっせき)した:「何度言えば分かる!家老家(かろうけ)では家老(かろう)と呼ばせ、商隊(しょうたい)では副首領(ふくしゅりょう)名乗(なの)れと!」


「へへっ…かしこまりました、副首領(ふくしゅりょう)(さま)陳鑫(ちんきん)(こた)え、()るように(はし)()った。



「この小僧(こぞう)め…」陳蛊師(ちんこし)はプイと舌打(したう)ちし、老村長(ろうそんちょう)(かお)()けた。「(いま)(なに)()ってた?ああ!二人(ふたり)若造(わかぞう)商隊(しょうたい)()れるよう保証(ほしょう)しろってか?」


「お見通(みとお)しでございます、その(とお)りで」老村長(ろうそんちょう)(あわ)てて(こた)えた。


「ふうむ…」陳蛊師(ちんこし)はわざとらしく沉吟(ちんぎん)した。


老村長(ろうそんちょう)蛊师(こし)開眼(かいげん)したのは、商隊必経(しょうたいひっけい)()自分(じぶん)子飼(こか)いを()いておくためだ。


商隊行商(しょうたいこうしょう)では山寨(さんさい)貿易(ぼうえき)(かなめ)だが、沿道(えんどう)凡人村(ぼんじんむら)(おろそ)かにできぬ重要な存在(じゅうようなそんざい)である。


商隊(しょうたい)人員(じんいん)錯綜(さくそう)し、生活物資(せいかつぶっし)消耗(しょうもう)すれば補充(ほじゅう)必要(ひつよう)だ。家僕(かぼく)同様(どうよう)で、危難(きなん)()って欠員(けついん)(しょう)じれば、沿道(えんどう)の村々(むらむら)から凡人(ぼんじん)徴募(ちょうぼ)する。


正直(しょうじき)()って陳蛊師(ちんこし)配下(はいか)家僕(かぼく)不足(ふそく)気味(ぎみ)だ。商隊(しょうたい)では凡命(ぼんめい)(かみ)のように(かる)く、(くち)()(うご)消耗品(しょうもうひん)()ぎないのだ。


「今後の行商で紫幽山(しゆうざん)()(さい)には(ちょう)じいが必要(ひつよう)(ことわ)れば(かれ)忠誠心(ちゅうせいしん)()ややかにするのか?丁度(ちょうど)人手不足(ひとでぶそく)でもあるし、ただ即座(そくざ)承諾(しょうだく)するわけにはいかん。値踏(ねぶ)みしてやれば(おん)()れるというもの」


陳蛊師(ちんこし)が考え()んでいるとき、一人(ひとり)伝令(でんれい)蛊師(こし)()()ってきた。


(かれ)(かみ)(たば)をぶるぶる()らしながら、(さけ)びつつ(はし)る:「(みな)注意(ちゅうい)な!(あたら)しい通緝令(ついていれい)だ!新通緝令(しんついていれい)()たぞ!」


(さけ)びながら黒甲虫(こっこうちゅう)甲殻(こうかく)片端(かたはし)から()()けていく。


「新通緝令?どこの氏族(しぞく)の?懸賞金(けんしょうきん)(いく)らだ?()せろ」陳蛊師(ちんこし)()()()せた。


承知(しょうち)副首领(ふくしゅりょう)伝令(でんれい)蛊師(こし)大急(おおいそ)ぎで一通(いっつう)手渡(てわた)した。


陳蛊師(ちんこし)()(とお)す:「ほぉ、(ひゃく)()発布(はっぷ)通緝令(ついていれい)か。情報(じょうほう)確実(かくじつ)なら千枚(せんまい)もの元石(げんせき)とは!随分(ずいぶん)(たか)いな!」


陳蛊師(ちんこし)()(かがや)かせ、すっかり()()いた。


通緝令(ついていれい)には通常(つうじょう)二種類(にしゅるい)報酬(ほうしゅう)(がく)記載(きさい)される。一つは情報提供(じょうほうていきょう)対価(たいか)、もう一つは捕殺(ほさつ)達成(たっせい)対価(たいか)だ。


千枚(せんまい)もの元石(げんせき)という情報(じょうほう)提供(ていきょう)価格(かかく)は、通常名(つうじょうな)()せた魔道(まとう)実力者(じつりょくしゃ)()けられるものだ。だがこの令状(れいじょう)(えが)かれた肖像(しょうぞう)二人(ふたり)若者(わかもの)——(ととの)った(かお)()ちの(おとこ)と、端麗(たんれい)(おんな)である。


(なん)新参者(しんざんもの)ではないか!


一転(いってん)三转(さんてん)蛊师(こし)情報提供価格(じょうほうていきょうかかく)千枚(せんまい)とは。捕殺(ほさつ)達成(たっせい)なら五千八百枚(ごせんはっぴゃくまい)もの懸賞金(けんしょうきん)か。ふむ、(ひゃっ)()がよほどこの()(しょう)小僧共(こぞうども)(うら)んでいるようだな。ふふっ…」(ちん)蛊師(こし)他人事(たにんごと)のように嘲笑(あざわら)った。とにかく陳家(ちんけ)とは無関係(むかんけい)のことゆえ。


(かれ)(まった)()づいていない——この魔人(まじん)たちが(いま)まさに眼前(がんぜん)にいるとは。


老村長(ろうそんちょう)(おも)わず令状(れいじょう)()()とし、背筋(せすじ)(こお)るのを(おぼ)えた。


蛊师(こし)()(じつ)(あや)うい…あんな端麗(たんれい)若造(わかぞう)凶悪犯(きょうあくはん)とは!(かれ)らがわが(むら)()なきゃいいが」


()かった、お(まえ)長年(ながねん)(ろう)(おも)って、今回は(ねが)いを()いてやろう」陳蛊師(ちんこし)()った。


「ああ、ありがとうございます!すぐに二人(ふたり)()んで(まい)らせます!」老村長(ろうそんちょう)有頂天(うちょうてん)になった。


陳蛊師(ちんこし)()()った:「よせ、(いそが)しいんだ。陳鑫(ちんきん)のもとに()くように()うがいい」


二人(ふたり)凡人(ぼんじん)()興味(きょうみ)などなく、ましてや眼前(がんぜん)人物(じんぶつ)通緝令(ついていれい)人物(じんぶつ)(むす)びつくこともなかった。(なん)(ひゃく)()通緝令(ついていれい)数千里(すうせんり)(はな)れた(ひゃく)()(さい)事件(じけん)だ。(ちん)蛊師(こし)本能的(ほんのうてき)に「こちとら安全圏(あんぜんけん)」と(おも)()んでいた──完全(かんぜん)灯台(とうだい)(もと)(くら)しだ。



これは(きわ)めて常識的(じょうしきてき)思考(しこう)パターンだ。


現代(げんだい)地球(ちきゅう)でも、()省都(しょうと)()きた凶悪事件(きょうあくじけん)は、(たと)如何(いか)残忍(ざんにん)でも、他の省民(しょうみん)には深刻(しんこく)危険感(きけんかん)(いだ)かせない。交通機関(こうつうきかん)がこれほど発達(はったつ)した現代(げんだい)にあってさえも。


(さら)(あま)えの心理(しんり)がある。


(ひろ)()(なか)衆生(しゅじょう)(おお)しと()えど、この賊人(ぞくじん)二人(ふたり)がわざわざ()()(ところ)まで()()びるはずがない!そんな不運(ふうん)()()うほど(うん)(わる)いわけがない――そう(しん)じたいのだ。


(ひと)不幸(ふこう)()(ぶん)()()りかかるなどと(かんが)えたがらない。


(なん)より通緝令(ついていれい)(やま)ほどあり、(おお)くは魔道(まとう)巨頭(きょとう)極悪人(ごくあくにん)陰険(いんけん)(きょく)(しゃ)目立(めだ)つ。方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)のような三转(さんてん)一転(いってん)(しん)(ざん)(もの)など、(たい)した脅威(きょうい)にもならないではないか?



陳鑫(ちんきん)方源(ほうげん)たちを()たとき、通緝令(ついていれい)との関連(かんれん)など微塵(みじん)(おも)()かべなかった。


方白(ほうはく)二人(ふたり)姿形(すがたかたち)一変(いっぺん)させており、(かお)(つぶ)した方源(ほうげん)()うまでもなく、白凝冰(はくぎょうひょう)もここ数日(すうじつ)偽装訓練(ぎそうくんれん)(どう)()ったものだった。


陳鑫(ちんきん)一目(ひとめ)興味(きょうみ)(うしない)、特に方源(ほうげん)容貌(ようぼう)には嫌悪感(けんおかん)さえ(いだ)いた。


(かれ)自身(じしん)一転初阶(いってんしょかい)(いき)であり、一方(いっぽう)方源(ほうげん)数日前(すうじつまえ)二転境(にてんきょう)昇格(しょうかく)していた。


陳鑫(ちんきん)素早(すばや)見定(みさだ)め、蛊師(こし)気配(けはい)感知(かんち)できなかったため、老練(ろうれん)使用人(しようにん)()()せ、方白(ほうはく)二人(ふたり)配属先(はいぞくさき)指示(しじ)させた。


二人(ふたり)()(なん)(もう)す?」(ろう)使用人(しようにん)(たず)ねた。


ここに(いた)って(はじ)めて()()(もの)(あらわ)れた。


「おら、黒土(くろつち)だ。家内(かない)白雲(しらくも)って()う」方源(ほうげん)即座(そくざ)(こた)えた。


(おんな)か?」(ろう)使用人(しようにん)()(かえ)り、(まゆ)をひそめた。


白凝冰(はくぎょうひょう)一瞥(いちべつ)する――(すす)けた(はだ)(ぼう)のように(かた)表情(ひょうじょう)(おんな)白雲(しらくも)だ?この黒土(くろつち)十分(じゅうぶん)(みにく)い!


(おんな)厄介(やっかい)じゃ。(きも)(めい)じておけ。(なに)()きても、小老(しょうろう)警告(けいこく)しなかったとは()わせんぞ!」


「おら、()かってる。荷車(にぐるま)紫楓葉(しふうよう)()んであるだど。家内(かない)はそっちで荷物(にもつ)見張(みは)りすべ、おらたちは他人(たにん)(から)みたくねえんだ」


「ふん、()かっておればよい」


(ろう)使用人(しようにん)二人(ふたり)荷降(にお)ろしの肉体作業(にくたいさぎょう)()()てた。しかし方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)にとっては()るに()らぬ仕事(しごと)で、(むし)白凝冰(はくぎょうひょう)(ほう)凡人(ぼんじん)偽装(ぎそう)のため(いき)()らす芝居(しばい)()()んだほどだった。


(ほど)(ちか)くで、(すう)人の家僕(かぼく)(すき)(うかが)(こし)()ろして休憩(きゅうけい)していた。


数人(すうにん)視線(しせん)方白(ほうはく)二人(ふたり)(そそ)がれる。


「强哥、新顔(しんがお)二人(ふたり)だ。()けば私物(しぶつ)荷車(にぐるま)()()みらしいぜ!紫楓葉(しふうよう)(まる)ごと一台(いちだい)だ!」()せた家僕(かぼく)興奮(こうふん)気味(ぎみ)()う。


新入(しんい)りを搾取(さくしゅ)するのは商隊(しょうたい)古参(こさん)たちの慣例(かんれい)だった。


强哥は(うずくま)り、(ほそ)めていた()見開(みひら)いた:「()たぞ、()(ざる)、お(まえ)()って()(ごた)えを(さぐ)れ」


屈強(くっきょう)体躯(たいく)(うし)(ごと)きが、(けっ)して無鉄砲(むてっぽう)ではない。蛊师(こし)(とうと)ばれるこの世界(せかい)で、凡人(ぼんじん)武勇(ぶゆう)など()るに()らない。(かれ)がこの(ちい)さな縄張(なわば)りの中心(ちゅうしん)()てるのは、(すこ)しばかり利口(りこう)だからだ。


()(ざる)は「へい!」と(おう)じ、仲間(なかま)視線(しせん)()方源(ほうげん)(ある)いていった。


旦那(だんな)っ、どちらから?おいらを猿兄貴(さるあにき)って()んでくれ、これから一緒(いっしょ)(はたら)くんすから、よろしくな」()(ざる)(かお)いっぱいに()みを()()けた。


方源(ほうげん)一瞥(いちべつ)し、たった一言(ひとこと)――


「どけ」


()(ざる)(またた)()見開(みひら)き、(いか)りを爆発(ばくはつ)させた。


方源(ほうげん)相手(あいて)無視(むし)し、貨物(かもつ)搬送(はんそう)(つづ)けた。前世(ぜんせ)商隊経験(しょうたいけいけん)で、この(くさ)()った構図(こうず)熟知(ちゃくじ)している。


業界用語(ぎょうかいようご)()えば、()(ざる)は「地盤探(じばんさぐ)り」をしている最中(さなか)だ。まず言葉(ことば)相手(あいて)素性(すじょう)(さぐ)り、弱点(じゃくてん)あらば集団(しゅうだん)(いじ)め、利益(りえき)(しぼ)()る。


実際(じっさい)凡人(ぼんじん)だけに(かぎ)らず、蛊师(こし)(あいだ)でも()たようなものだ。ただ、やり(くち)(すこ)しばかり上品(じょうひん)()えるだけである。


(ひと)りで冒険(ぼうけん)するのは野獣(やじゅう)(たたか)うことだ。集団(しゅうだん)(うご)けば同類(どうるい)(あらそ)わねばならぬ。


()()まれる()には(かなら)(あらそ)いが()きる。世界(せかい)はかくも(せま)く、(だれ)もが(おお)きな縄張(なわば)りで()きてゆきたいと(ねが)えば、どうする?


他者(たしゃ)領域(りょういき)(おか)()るしかないのだ。


()(ざる)方源(ほうげん)がこれほどまで()(くだ)すとは予想(よそう)せず、(ぼう)()ちになって(にら)みつけた。


方源(ほうげん)はこんな小物(こもの)など眼中(がんちゅう)になく、凡人(ぼんじん)(いのち)など塵芥(ちりあくた)(ひと)()ふたり始末(しまつ)したところで、(なん)(とが)もない。


貨物(かもつ)輸送(ゆそう)支障(ししょう)さえ()きなければ、上層部(じょうそうぶ)蛊師(こし)干渉(かんしょう)すまい。


()問題(もんだい)になっても、方源(ほうげん)には収拾(しゅうしゅう)手段(しゅだん)用意(ようい)してある。


一言(ひとこと)()えば――方源(ほうげん)()めたら()(まね)くに(ひと)しい。


(なに)だ、まだどかねえのか?ぶん(なぐ)られてみたいか?」方源(ほうげん)()ややかに()(ざる)(にら)(かえ)した。


()(ざる)は「ちっ」と舌打(したう)ちしたが、手出(てだ)しできず、しっぽを()いて退()いた。


この強硬(きょうこう)態度(たいど)に、强哥は用心深(ようじんぶか)くなった――まさか(かれ)らに(なん)らかのコネがあるのでは?でなければここまで(つよ)()()るはずがない。(ねん)のため、様子(ようす)(さぐ)ってみよう。





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