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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第三十節: 村庄休整

方源(ほうげん)幽豹(ゆうひょう)遺骸(いがい)(ある)()すのを(なが)め、白凝冰(はくぎょうひょう)自然(しぜん)視線(しせん)(そそ)いだ。


前者(ぜんしゃ)(しゃが)()むと、両豹(りょうひょう)(みみ)()()()(はじ)めた。


(ほど)なくして方源(ほうげん)は、雄豹(おすひょう)左耳(ひだりみみ)から一枚(いちまい)雌豹(めすひょう)右耳(みぎみみ)から(さら)一枚(いちまい)の、()(むらさき)(かがや)(ちい)さな()を取り(とりだ)した。


これが斂息蛊(れんそくこ)である。


三転(さんてん)(きゅう)草蛊(そうこ)にして、蛊師(こし)はこれを(もち)いて自身(じしん)気息(きそく)(かく)し、修為(しゅうい)(おお)い、一定(いってい)偽装(ぎそう)効果(こうか)()る。


各頭(かくとう)幽豹(ゆうひょう)(みみ)(なか)には、ほぼ一片(いっぺん)斂息蛊(れんそくこ)(ひそ)んでいる。だが幽豹(ゆうひょう)(つね)につがいで行動(こうどう)し、(すく)なくとも千獣王(せんじゅうおう)(きゅう)実力(じつりょく)(ゆう)し、奇襲(きしゅう)得意(とくい)とし、(きわ)めて高速(こうそく)敏捷(びんしょう)なため、捕獲(ほかく)危険(きけん)かつ困難(こんなん)(きわ)める。


(さら)幽豹(ゆうひょう)紫幽山(しゆうざん)近辺(きんぺん)にのみ生息(せいそく)する固有種(こゆうしゅ)である。(ゆえ)にその(みみ)斂息蛊(れんそくこ)(かく)されている事実(じじつ)は、(いま)(ひろ)()られていない。


方源(ほうげん)前世(ぜんせ)の150(ひゃくごじゅうねん)、『狩王(かりおう)孫干(そんかん)(しょう)される正道(せいどう)人物(じんぶつ)(あら)れた。(かれ)先駆(さきが)けとなり、幽豹(ゆうひょう)乱獲(らんかく)して斂息蛊(れんそくこ)市場(しじょう)流通(りゅうつう)させ、暴利(ぼうり)()(とみ)(きず)いた。


この事件(じけん)契機(けいき)に、無数(むすう)蛊師(こし)紫幽山(しゆうざん)()()せた。(わず)数年(すうねん)(のち)幽豹(ゆうひょう)絶滅(ぜつめつ)している。


しかし現時点(げんじてん)において、紫幽山(しゆうざん)依然(いぜん)として静寂(せいじゃく)()である。


この()では、昼間(ひるま)安全(あんぜん)(たも)てるが、夜間(やかん)(きわ)めて危険(きけん)である。山塞(さんさい)勢力(せいりょく)存在(そんざい)しないが、その原始形態(げんしけいたい)である村々(むらむら)が散在(さんざい)している。


地听肉耳草(ちしょうにくじそう)による偵察(ていさつ)手段(しゅだん)(うしな)われたが、幸運(こううん)にも二匹(にひき)斂息蛊(れんそくこ)獲得(かくとく)した。


方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)はこの()(たの)みに、幾多(いくた)危険(きけん)回避(かいひ)した。


紫幽山(しゆうざん)(のぼ)るつもりはない。二人(ふたり)現在(げんざい)戦力(せんりょく)一般的(いっぱんてき)山林(さんりん)踏破(とうは)するに()るが、()だたる霊山(れいざん)深奥(しんおう)(あし)()()れる(ちから)はない。そのような場所(ばしょ)探索(たんさく)には、百家(ひゃっか)でさえ多大(だたい)代償(だいしょう)(はら)う。ましてや(いま)二人(ふたり)がどうして......


二人(ふたり)紫幽山麓(しゆうざんろく)迂回(うかい)して(すす)み、二日後(ふつかご)山道(やまみち)発見(はっけん)した。


人為的(じんいてき)開削(かいさく)された山道(やまみち)は、普通(ふつう)山林(さんりん)より(はる)かに安全(あんぜん)だった。無論(もちろん)不運(ふうん)であれば危険(きけん)遭遇(そうぐう)することもあった。


山道(やまみち)辿(たど)って(すす)むこと一日(いちにち)夕暮(ゆうぐ)(どき)方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)はゆらゆらと立ち(たちあ)がる炊煙(すいえん)視認(しにん)した。


(かお)見合(みあ)わせた二人(ふたり)(あし)(はや)めた。山間(やまあい)窪地(くぼち)に、(ひと)つの(むら)発見(はっけん)する。


(むら)周囲(しゅうい)には()(ひく)石垣(いしがき)()まれ、日暮(ひぐ)れと(とも)農夫(のうふ)らが三々五々(さんさんごご)、(くわ)などの農具(のうぐ)(かつ)いで帰村(きそん)していた。集落(しゅうらく)要所(ようしょ)には数人(すうにん)見張(みは)りが()っている。


しかしこれらは(みな)()るに()らない凡人(ぼんじん)()ぎなかった。


「行くぞ」方源(ほうげん)先頭(せんとう)()って(むら)(くだ)っていく。


「このまま行くのか?」白凝冰(はくぎょうひょう)(すこ)(おどろ)いた様子(ようす)だ。


二人(ふたり)出現(しゅつげん)早速(さっそく)村人(むらびと)たちの好奇(こうき)猜疑(さいぎ)視線(しせん)(あつ)めた。


この世界(せかい)村落(そんらく)大抵(たいてい)排他的(はいてき)だ。特に家族(かぞく)支配(しはい)する山塞(さんさい)警戒心(けいかいしん)(つよ)く、間者(かんじゃ)盗賊(とうぞく)潜入(せんにゅう)されはしないかと警戒(けいかい)している。「お二人様(ふたりさま)遠路(えんろ)はるばるお()しの客人(きゃくじん)、まさか(とうと)蛊師様(こしさま)では?」村入(むらい)(ぐち)()く前に、似通(にかよ)った面影(おもかげ)二人(ふたり)見張(みは)りが(むか)()てきた。


白凝冰(はくぎょうひょう)沈黙(ちんもく)(まも)った。(さき)約束(やくそく)通り(どおり)、一切(いっさい)方源(ほうげん)対応(たいおう)する。


方源(ほうげん)(くび)()った:「二人(ふたり)(わか)(しゅ)、おらたちはみんな凡人(ぼんじん)だべさ」


この言葉(ことば)()き、守衛(しゅえい)(あき)らかに安堵(あんど)(いき)()き、表情(ひょうじょう)(やわ)らぐ。


(わか)(ほう)少年(しょうねん)方源(ほうげん)全身(ぜんしん)(さげす)むように見回(みまわ)し、嫌悪感(けんおかん)(にじ)ませて()った:「()った通り(どおり)だぜ、こんなブサイクが()きな(おもて)した蛊師様(こしさま)なわけねえだろ?」


方源(ほうげん)全身(ぜんしん)火傷(やけど)だらけで、片耳(かたみみ)()けており、容貌(ようぼう)(ひと)(いや)がらせる(ほど)(みにく)かった。


一方(いっぽう)白凝冰(はくぎょうひょう)質素(しっそ)服装(ふくそう)着替(きが)え、銀髪(ぎんぱつ)(みじか)()(くろ)()めた。氷肌(ひむ)(ごと)(しろ)(はだ)意図(いと)的に(すす)(よご)している。ただ(ひとみ)(いろ)だけは(かく)せないため、(かさ)(かぶ)(かお)上半分(かみはんぶん)(おお)った。


二人並(ふたりなら)姿(すがた)は、まさしくありふれた村民(そんみん)そのものだった。


小僧(こぞう)余計(よけい)(くち)()くな」年長(ねんちょう)守衛(しゅえい)(おとうと)(しか)()け、警戒(けいかい)()方源(ほうげん)らへ()けた。「どちらから()た?(なん)(よう)でここへ?」


「おらたち(やま)()こうの(むら)から()たんだ。薬草(やくそう)塩漬(しおづ)(にく)をリヤカーに()んで()りに()たんだがよ、道中(どうちゅう)(とら)()くわしちまってさ。ひえーっ、(こわ)ッて(こわ)ッて!必死(ひっし)()げて、やっと(たす)かったんだ。…はあ。当分(とうぶん)(かえ)れねえから、おたくの(むら)一晩(ひとばん)()まらせてけろすか?たった一晩(ひとばん)だ、明朝(みょうあさ)には()るからさ」方源(ほうげん)即座(そくざ)(こた)えた。


守衛(しゅえい)警戒(けいかい)()(すこ)(やわ)らぐ。


方源(ほうげん)(つづ)けて()った:「お(にい)さん、弟弟(おとうと)(おこ)るなよ。この(きず)火事(かじ)()けたんだ。あの()(いえ)()えて、(こめ)(かつ)いで()げたときにこうなっちまった」


「はぁ…この()はみんな苦労(くろう)()えねえな」年長(ねんちょう)守衛(しゅえい)(いき)をついた。「(はい)っていいぞ。()まってくれる(いえ)がなけりゃ、(すみ)っこでごまかすんだな」


そう()うと(みち)()けた。


方源(ほうげん)らが(むら)(はい)って()くのを見送(みおく)りながら、守衛(しゅえい)(あに)(おとうと)()()けた:「お(まえ)(いま)すぐ村長(そんちょう)(とど)けに()け。(そと)から二人(ふたり)(もの)()たと(つた)えてくれ。長老(ちょうろう)経験豊富(けいけんほうふ)だ、(あらた)めて()(ひか)らせてもらおう」


兄貴(あにき)心配性(しんぱいしょう)にも(ほど)があるぜ。考え(かんがえ)りゃ()かるだろ、あんな奴等(やつら)蛊師(こし)なわけねえじゃん?それに、俺々(おれおれ)みたいな凡人(ぼんじん)蛊師(こし)(だま)して(なん)(とく)があるんだよ?暇潰(ひまつぶ)しか?」


()けっつってんだろ!」


「また(おれ)(はし)らせるのかよ…」若者(わかもの)文句(もんく)(こぼ)したが、結局(けっきょく)()()していった。


(むら)(なか)一片(いっぺん)平穏(へいおん)(つつ)まれていた。


夕餉(ゆうげ)のかすかな(かお)りが大気(たいき)(ただよ)い、一日(いちにち)労働(ろうどう)()えた家族(かぞく)団欒(だんらん)(わら)(ごえ)が、方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)(みみ)にも(とど)いてくる。


こうした環境(かんきょう)()()くことで、白凝冰(はくぎょうひょう)(おも)わず安堵(あんど)空気(くうき)(かん)じた。


偽装(ぎそう)理由(りゆう)は、第一(だいいち)足跡(あしあと)露呈(ろてい)させたくないからだ。そうすれば百家(ひゃっか)追跡(ついせき)()()びやすくなる。第二(だいに)方源(ほうげん)生来(せいらい)慎重(しんちょう)さ──見知(みし)らぬ環境(かんきょう)では聡明(そうめい)(かく)未熟(みじゅく)(あら)わにし、緊急事態(きんきゅうじたい)異常(いじょう)事態(じたい)対応(たいおう)しやすくするためだ。


一軒(いっけん)(いえ)()まらせてもらうのは(きわ)めて容易(ようい)だった。(くだ)けた元石(げんせき)一粒(ひとつぶ)(わた)せば、(かれ)らは()足立(あしだ)って母屋(おもや)()(わた)すだけだからだ。


しかしそれでは(いま)二人(ふたり)偽装身分(ぎそうみぶん)沿()わない。方源(ほうげん)にはより()方法(ほうほう)があった。


(かれ)(むら)(なか)(すこ)(ある)き、(くず)れかけた民家(みんか)(まえ)に立ち()まった。


この(いえ)には老婆(ろうば)一人(ひとり)きりが()んでいる。(もと)(まご)がいたが、(そと)(あそ)んでいる(さい)(おおかみ)()われてしまったのだ。


(いえ)(まえ)で、老婆(ろうば)井戸(いど)から(みず)()()げようと、苦労(くろう)している様子(ようす)()えた。


(ばあ)さん、おらが手伝(てつだ)うど」方源(ほうげん)はニタニタ(わら)いを(つく)り、せっせと(はし)()った。


老婆(ろうば)方源(ほうげん)容貌(ようぼう)一瞬(いっしゅん)たじろいだが、方源(ほうげん)熱心(ねっしん)()()い、素早(すば)やかに数桶(すうとう)(みず)()()げるうち、老婆(ろうば)警戒心(けいかいしん)()えていった。


(ぼっ)ちゃん、よその(むら)から()たんだね?」老婆(ろうば)(わら)って()()けた(くち)()せた。


「だんべさ、(ばあ)さんのとこに一晩(ひとばん)()まらせてけろすか? その()わりに手伝(てつだ)うでや」方源(ほうげん)愚鈍(ぐどん)口調(くちょう)(こた)えた。


「そりゃええわい」老婆(ろうば)(うれ)しそうに()う。普段(ふだん)村人(むらびと)(たす)けてくれても、やっぱり労力(ろうりょく)必要(ひつよう)だった。


(うし)ろで()ていた白凝冰(はくぎょうひょう)(あき)(かえ)った。


(こいつ…(うそ)つきが尋常(じんじょう)じゃねえ!)


(みず)()んだ(あと)薪割(まきわ)り。方源(ほうげん)(みずか)(すす)んで炊事(すいじ)もこなし、手際(てぎわ)()さに老婆(ろうば)()()なく()(たた)えた。


「ばあさん、もう何桶(なんとう)(みず)()んでくるで。水瓶(みずがめ)いっぱいにするさかい」夕食(ゆうしょく)()ませた方源(ほうげん)は、(すす)んで手桶(ておけ)()って(そと)()た。


老婆(ろうば)は「ええんやで」と(ことわ)ったが、方源(ほうげん)()いてそうしようとした。


水瓶(みずがめ)()ちると、老婆(ろうば)(うる)んだ老眼(ろうがん)()った:「(ぼっ)ちゃん、お(まえ)さんは本物(ほんもの)善人(ぜんにん)やわあ…ああ、この(わし)と同じ苦労性(くろうしょう)やのに」


夕飯時(ゆうはんどき)方源(ほうげん)()んだ(つら)(はなし)が、純朴(じゅんぼく)老婆(ろうば)(こころ)(きざ)まれたようだった。


凡人(ぼんじん)にとって灯油(とうゆ)貴重(きちょう)なため、(よる)(いえ)(うち)漆黒(しっこく)(やみ)(つつ)まれた。


ただ(まど)のところだけが、月明(つきあ)かりに(しず)かに()らされていた。


部屋(へや)には粗末(そまつ)寝台(しんだい)(ふた)つ。白凝冰(はくぎょうひょう)はその(うえ)(よこ)になり、満足(まんぞく)げに(いき)をついた。連日(れんじつ)歩行(ほこう)(つか)れが徐々(じょじょ)に()けていく。


方源(ほうげん)寝台(しんだい)結跏趺座(けっかふざ)し、精神(せいしん)空窍(くうこう)(しず)める。骨肉团圆蛊(こつにくだんえんこ)状態(じょうたい)点検(てんけん)するためだ。


数日間(すうじつかん)(かれ)はこの()使(つか)っていない。


秘伝(ひでん)配合(はいごう)改竄(かいざん)して合炼(ごうれん)したものゆえ、慎重(しんちょう)方源(ほうげん)入念(にゅうねん)検証(けんしょう)必要(ひつよう)だと判断(はんだん)していた。


突如(とつじょ)方源(ほうげん)()見開(みひら)いた。(するど)眼光(がんこう)一瞬(いっしゅん)(ひらめ)いた。


「ほぼ問題(もんだい)なかろう、骨肉团圆蛊(こつにくだんえんこ)使(つか)える」そう()うと(かれ)一対(いっつい)玉鐲(ぎょくしょう)(がた)()召喚(しょうかん)した。


その(ふた)つの玉鐲(ぎょくしょう)は、片方(かたほう)(くさ)(ごと)(あお)片方(かたほう)()(ごと)(あか)()まり、(たが)いに()()って分離(ぶんり)できない。


先立(さきだ)って方源(ほうげん)(すで)にこれを錬化(れんか)[※1]していた。しかしその(たえ)なる作用(さよう)発揮(はっき)させるには、片方(かたほう)白凝冰(はくぎょうひょう)(ゆず)り、彼女(かのじょ)錬化(れんか)させる必要(ひつよう)があった。


白凝冰(はくぎょうひょう)瞑想(めいそう)()(なお)し、()を受け(うけと)りながらも(いそ)いで錬化(れんか)せず、方源(ほうげん)()た:「(つぎ)()はどうする?」


方源(ほうげん)はフンと(わら)った:「()くわけないと(おも)ってた」


暗闇(くらやみ)(なか)でも、白凝冰(はくぎょうひょう)はこの瞬間(しゅんかん)方源(ほうげん)(かお)()かんだ嘲笑(ちょうしょう)(かん)()った。


彼女(かのじょ)(はな)(かる)(すん)いた。


方源(ほうげん)(かく)すつもりはなかった:「(つぎ)目的地(もくてきち)商量山(しょうりょうざん)だ」


商量山(しょうりょうざん)商家(しょうか)か?」白凝冰(はくぎょうひょう)(おも)わず(まゆ)をわずかに()げた。


商家(しょうか)南疆(なんきょう)随一(ずいいち)勢力(せいりょく)で、鉄家(てっか)飛家(ひか)(けっ)して(おと)らず、ただ武家(ぶか)半歩(はんぽ)(おく)れを()程度(ていど)だ。


商家(しょうか)交易(こうえき)によって南疆(なんきょう)威名(いめい)(とどろ)かせ、南疆(なんきょう)()えてもなお、見識(けんしき)ある(もの)なら(だれ)もが南疆(なんきょう)商家(しょうか)交易(こうえき)中心地(ちゅうしんち)だと()り、商家城(しょうかじょう)如何(いか)絢爛豪華(けんらんごうか)元石(げんせき)()()められた()かを理解(りかい)している。


白凝冰(はくぎょうひょう)がまだ北冥冰魄体(ほくめいひょうはくたい)だった(ころ)商家城(しょうかじょう)()ける()(あこが)れていた。しかし(いま)彼女(かのじょ)不安(ふあん)(おぼ)えた:「百家(ひゃっか)で起こ(おこ)した事件(じけん)で、正道(せいどう)から手配書(てはいしょ)(まわ)されるだろう。商家城(しょうかじょう)()くなど(みずか)(あみ)にかかるようなものでは?」


方源(ほうげん)(わら)った:「南疆(なんきょう)に我々(われわれ)を受け()れてくれる場所(ばしょ)(ふた)つだけ(のこ)っているとするなら、商家城(しょうかじょう)(かなら)ずその(ひと)つだ。商家(しょうか)自体(じたい)正道(せいどう)盟主(めいしゅ)だが、商家城(しょうかじょう)(まぎ)れもない自由(じゆう)(みやこ)魔道(まとう)(もの)たち最大(さいだい)臓物(ぞうぶつ)処理場(しょりじょう)だ。そうでなければ、商家(しょうか)がなぜ南疆(なんきょう)(いち)富豪(ふごう)なのか?武家(ぶか)ですら(かれ)らには足元(あしもと)にも(およ)ばないのだ」


白凝冰(はくぎょうひょう)(おも)わず悠然(ゆうぜん)(あこが)れた:「(うわさ)では商家城(しょうかじょう)では(なん)でも()えるというが、本当(ほんとう)なのか?」


方源(ほうげん)(くび)()った:「そんな言葉(ことば)(くち)にする(もの)(みな)(いやく)(ひく)い。この()には()()いても流通(りゅうつう)しないものがあまりにも(おお)い。(たと)えば——ある陽蛊(ようこ)など?ケケケ」



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