表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
223/567

第二十四節:白骨山伝承(中)

ドン!


炸裂音(さくれつおん)(ひび)(わた)り、(けむ)(ほこり)()った(あと)に、(どう)(こう)(あらわ)れた。


「やはり()(ぐち)がある!」


道理(どうり)(やつ)らは()えたわけだ。絶対(ぜったい)にここの(あな)(はい)ったに(ちが)いない!」


(あや)しい…なぜこんなところに仕掛(しか)けが? おっ、族長(ぞくちょう)()たぞ」


百家(ひゃっか)女族長(おんなぞくちょう)現場(げんば)()()けた(とき)


丁度(ちょうど)(かべ)破壊(はかい)して密道(みつどう)(あらわ)になる場面(ばめん)目撃(もくげき)した。


「ここはおそらく伝承(でんしょう)()だろう」


(とも)()ていた鉄刀苦(てっとうく)(ひと)()()ただけで推測(すいそく)した。


「なるほど…どうやら二人(ふたり)(ぞく)(しん)目的(もくてき)はここにあったわけだ!」


百家族長(ひゃっかぞくちょう)()()いしばり、()(つめ)たい(ひかり)宿(やど)していた。


まったく…()(えん)()だったわ。


()(みち)途上(とじょう)で、彼女(かのじょ)はこの数日(すうじつ)(とも)()ごした情景(じょうけい)回想(かいそう)した。


(おも)えば(おも)うほど(いか)りが()き、名門(めいもん)百家(ひゃっか)族長(ぞくちょう)としての(わたし)が、二人(ふたり)少年(しょうねん)(だま)されていたのだ。そして一族(いちぞく)(もの)全員(ぜんいん)が、後輩(こうはい)二人(ふたり)()()かるとは!


もしこれが(そと)()れれば、百家(ひゃっか)威信(いしん)重大(じゅうだい)打撃(だげき)となるだろう。


若輩(じゃくはい)(わたし)どもが役目(やくめ)()たせず、(しょう)(しゅ)二人(ふたり)をお(まも)りできませず、如何(いか)なる(ばつ)をもお()(いた)します」


百蓮(ひゃくれん)百盛景(ひゃくせいけい)らは(おそ)(おのの)きながら()(ひざまず)いて()びを()れた。


(みな)()()がれ。これもお(まえ)たちに(わたし)(めい)じたことだ。()めるならあの薄汚(うすよご)れた小僧(こぞう)二人(ふたり)狡猾(こうかつ)さだけを()めよ!」


百家族長(ひゃっかぞくちょう)のこの一言(ひとこと)で、百蓮(ひゃくれん)らは(おお)きく(いき)をついた。


「ここ数日(すうじつ)、お(まえ)たちはあの(ぞく)どもと日夜(にちや)(とも)にしてきたのだから、本当(ほんとう)にわずかな(うたぐ)いも()てなかったのか?」


鉄刀苦(てっとうく)()(ただ)した。


三人(さんにん)少女(しょうじょ)がガシッと立ち上がった。彼女(かのじょ)らの(かお)には(みな)複雑(ふくざつ)表情(ひょうじょう)()かんでいた。


特に百蓮(ひゃくれん)は、(もと)(ほう)(はく)二人(ふたり)(おのれ)掌中(しょうちゅう)にある玩具(がんぐ)としか(おも)っていなかった。まさか(みずか)らが(やつ)らに(もてあそ)ばれるとは。


不自然(ふしぜん)(てん)など」


「あの二人(ふたり)本当(ほんとう)によくもまあ(えん)()れたものよ!」


(いま)(おも)(かえ)せば、我々(われわれ)百家(ひゃっか)利用(りよう)していたのね。まったく卑劣(ひれつ)陰険(いんけん)**!」


三人(さんにん)少女(しょうじょ)(みな)(くび)(よこ)()った。これで鉄刀苦(てっとうく)(とい)への否定(ひてい)返答(へんとう)となった。


この道中(どうちゅう)鉄刀苦(てっとうく)百家族長(ひゃっかぞくちょう)(くち)から事情(じじょう)大筋(おおすじ)()いていた。もとより百家(ひゃっか)元泉(げんせん)のことなど()らされるはずもない。


「うむ…そういうことなら、二人(ふたり)小僧(こぞう)(しん)(ねら)いはここを()つけることにあったのだな。(かれ)らの実力(じつりょく)白骨山(はっこつざん)放浪(ほうろう)するほどでなく、だからこそ百家(ひゃっか)(ちから)()りたのだろう」


鉄刀苦(てっとうく)傍若無人(ぼうじゃくぶじん)分析(ぶんせき)(はじ)めた。


その(こと)()()き、周囲(しゅうい)百家(ひゃっか)蛊師(こし)たちは(みな)顔色(かおいろ)(くも)らせた。


(たし)かにその(とお)りであった。


ここ数日間(すうじつかん)白骨山(はっこつざん)通路(つうろ)整備(せいび)するために、()(もの)らは多くの犠牲(ぎせい)(はら)い、膨大(ぼうだい)代償(だいしょう)(はら)っていた。しかし(けだ)しを()けてみれば、(ほう)(はく)二人(ふたり)のために(みち)舗装(ほそう)しているに()ぎなかったのだ。


「まったくもって()すべきものよ!」


「あの小僧(こぞう)ども、もし()()()ちれば、(かなら)ずや()()きにしてくれるわ!」


族長(ぞくちょう)()部隊(ぶたい)出撃(しゅつげき)を!この二人(ふたり)極悪人(ごくあくにん)()らえて()り、この屈辱(くつじょく)()らします!」


瞬時(しゅんじ)のうちに、洞窟(どうくつ)(ない)怒号(どごう)()()がる。


百家族長(ひゃっかぞくちょう)洞窟(どうくつ)見回(みまわ)し、(かす)かに(うなず)いた。


彼女(かのじょ)だって(ほう)(はく)二人(ふたり)千切(ちぎ)(きざ)みたい思いでいっぱいだった。


百生(ひゃくせい)百花(ひゃっか)(はは)として、(いま)この瞬間(しゅんかん)にも()()たちの(まえ)()()けたい衝動(しょうどう)()られている。


軍心(ぐんしん)(もち)いるに()り、士気(しき)頂点(ちょうてん)(たっ)している。


百家族長(ひゃっかぞくちょう)最後(さいご)(みずか)志願(しがん)した家老(かろう)()る:


「ならば貴様(きさま)部隊(ぶたい)出動(しゅつどう)(めい)ずる。(かなら)ずや眼前(がんぜん)密道(みつどう)打通(だつう)せよ!」


承知(しょうち)した!」


家老(かろう)(ひく)(かつ)し、命令(めいれい)()()った。


()て。この密道(みつどう)骨刺(こっし)不揃(ふぞろ)いに()()し、完全(かんぜん)封鎖(ふうさ)されている。あの小僧(こぞう)二人(ふたり)はいったいどうやって(はい)った?(かなら)仕掛(しか)けがある。(ため)させてもらおう」


鉄刀苦(てっとうく)(すす)()異議(いぎ)(とな)えた。


命令(めいれい)()けた家老(かろう)がキッと(にら)みつける:


(いま)緊急事態(きんきゅうじたい)だ!二人(ふたり)少主(しょうしゅ)(いのち)風前(ふうぜん)(ともしび)


のろのろと仕掛(しか)けを(さぐ)って、一体(いったい)いつまで()てと?!」


……



骨刺蛊(こっしこ)…」


方源(ほうげん)はその()(てのひら)()せ、(もてあそ)びながら観察(かんさつ)した。


この()仙人掌(さぼてん)のようで、(こぶし)(おお)きさ、表面(ひょうめん)には(はり)のような骨刺(こっし)()えている。()()せると(すこ)(おも)い。


これは三転蛊(さんてんこ)であり、典型的(てんけいてき)な「(てき)(せん)()るも(みずか)らは八百(はっぴゃく)(そん)なう」(るい)()だ。


蛊師(こし)使用(しよう)すると、全身(ぜんしん)骨格(こっかく)変異(へんい)し、(するど)剛硬(ごうこう)骨刺(こっし)()える。


これらの骨刺(こっし)(てき)攻撃(こうげき)するには、まずこれらの骨刺(こっし)蛊師(こし)自身(じしん)皮膚(ひふ)()(やぶ)血肉(ちにく)(つらぬ)かねばならない。(いた)みはさておき、対応(たいおう)する治療蛊(ちりょうこ)併用(へいよう)しなければ、事態(じたい)深刻(しんこく)になる。


下手(へた)をすれば(てき)()なずに、骨刺蛊(こっしこ)使(つか)った蛊師(こし)自身(じしん)(ぎゃく)重傷(じゅうしょう)()羽目(はめ)になるのだ。


「これはどんな()だ?」


白凝冰(はくぎょうひょう)興味(きょうみ)(ぶか)そうに(のぞ)()んだ。


しかし方源(ほうげん)説明(せつめい)()くと、途端(とたん)興味(きょうみ)(うしな)った。


(べつ)(いた)みを(おそ)れているわけではない。


自身(じしん)(すで)氷肌蛊(ひぎこ)使(つか)()しているからだ。


(いま)彼女(かのじょ)全身(ぜんしん)(はだ)は、氷肌蛊(ひぎこ)(ちから)によって永久(えいきゅう)に「氷肌(ひぎ)」へと改造(かいぞう)されている。


防御(ぼうぎょ)機能(きのう)があるばかりか、(あせ)(おさ)止血(しけつ)する効能(こうのう)(そな)えている。


白凝冰(はくぎょうひょう)がこの骨刺蛊(こっしこ)使(つか)うなら、まず骨刺(こっし)氷肌(ひぎ)(やぶ)らねばならない。


彼女(かのじょ)にとっては(まった)(わり)()わないのだ。


方源(ほうげん)もこの骨刺蛊(こっしこ)にさほど興味(きょうみ)はなかった。


だが結局(けっきょく)三転蛊(さんてんこ)であるから、煉化(れんか)した(あと)方源(ほうげん)空窍(くうこう)一時的(いちじてき)(おさ)められた。


()くぞ」


方源(ほうげん)最後(さいご)(あらわ)れた暗門(あんもん)(えら)んだ。


相変(あいか)わらず白凝冰(はくぎょうひょう)先頭(せんとう)道程(どうてい)(さぐ)る。


門内(もんない)(はい)ると、下方(かほう)()びる灰骨(はいこつ)階段(かいだん)があった。この階段(かいだん)長大(ちょうだい)で、(すく)なくとも(せん)メートルはあろう。


後半(こうはん)()しかかると、周囲(しゅうい)(ひかり)次第(しだい)(うす)れ、階段(かいだん)も徐々(じょじょ)に(せま)くなっていった。


(やみ)(なか)(ほう)(はく)二人(ふたり)階段(かいだん)終点(しゅうてん)()()いた。


(ひと)つの()ざされた(もん)()二人(ふたり)眼前(がんぜん)(あらわ)れた。


(もん)には四文字(よんもじ)大書(たいしょ)(きざ)まれていた──


肉囊(にくのう)秘閣(ひかく)


……


「こんちくしょう…(ほね)がちっとも(くだけ)ねえ!」


百家(ひゃっか)家老(かろう)(ひたい)(あせ)をごしごしと(ぬぐ)い、(にく)々(にく)しく(ののし)った。


時間(じかん)はすでに一刻(いっこく)()ぎたが、この秘道(ひどう)半分(はんぶん)しか打通(だつう)できていない。


不揃(ふぞろ)いに密生(みっせい)した骨刺(こっし)は、白骨山(はっこつざん)山石(さんせき)()()けがつかない。しかし実際(じっさい)攻撃(こうげき)してみると、この(ほね)剛硬(ごうこう)さに(おも)わず(いき)()むほどだ。


百家族長(ひゃっかぞくちょう)顔色(かおいろ)(かんば)しくなかった。


時間(じかん)()つほど、(みずか)らの二人(ふたり)()危険(きけん)(さら)されることになる。


()()った一刻(いっこく)(あいだ)、この母親(ははおや)はまるで百年(ひゃくねん)のように(さいな)まれた。しかし族長(ぞくちょう)として、(すこ)なくとも表向(おもてむ)きは泰然自若(たいぜんじじゃく)(よそお)い、(ぞく)(もの)信頼感(しんらいかん)(あた)えねばならなかった。


ガリッ!


突然(とつぜん)(かろ)やかな(おと)(とも)に、仕掛(しか)けが作動(さどう)し、(のこ)りの骨刺(こっし)がするりと洞壁(どうへき)()()まれた。


一同(いちどう)(こお)りついたように一瞬(いっしゅん)硬直(こうちょく)し、(つづ)いて(うご)()した張本人(ちょうほんにん)()()けた。


鉄刀苦(てっとうく)(あご)()(まわ)しながら(ひと)(ごと)のように分析(ぶんせき)した:


「この仕掛(しか)けはなかなか巧妙(こうみょう)だ。最初(さいしょ)(どう)(こう)(ひら)くには螺旋骨刺(らせんこっし)(ひね)必要(ひつよう)があった。これが(ひと)(つよ)印象(いんしょう)(のこ)す。だからこそ、この密道(みつどう)(まえ)()ると、先入観(せんにゅうかん)(もと)づいて(まわ)りの螺旋紋(らせんもん)骨刺(こっし)(ふたた)(ひね)ろうとする。残念(ざんねん)ながら、この仕掛(しか)けを()じるには螺旋骨刺(らせんこっし)()()必要(ひつよう)があったのだ」


瞬時(しゅんじ)に、全員(ぜんいん)沈黙(ちんもく)(つつ)まれた。


(さき)命令(めいれい)()けたあの家老(かろう)は、(かお)(あか)らめ、()まずさと()ずかしさで()たたまれない様子(ようす)だった。


この秘道(ひどう)()けると、百家(ひゃっか)(もの)たちは最初(さいしょ)広間(ひろま)到着(とうちゃく)した。


「こ、これは?!」


(おお)くの(もの)呆然(ぼうぜん)とした。


()らが()たのは床一面(ゆかいちめん)蛊虫(こちゅう)粉砕死体(ふんさいしたい)だった。


白凝冰(はくぎょうひょう)大甕(おおがめ)(なか)蛊虫(こちゅう)を全て(すべて)(にぎ)(つぶ)した結果(けっか)である。


骨槍蛊(こっそうこ)(ちが)いない…さらに、螺旋骨槍蛊(らせんこっそうこ)()じっている」


(ただ)ちに家老(かろう)がこの()見分(みわ)けた。


「ここは(まさ)伝承(でんしょう)()だ!()人生(じんせい)(はじ)めて経験(けいけん)したぞ!」


興奮(こうふん)する(もの)もいる。


()ろよ、中央(ちゅうおう)にまだ大きな(かめ)がある!(なか)には(なに)があるんだ?」


好奇(こうき)()(かがや)かす(もの)もいる。


(かめ)(なか)には、乳泉水(にゅうせんすい)(ほか)(なに)(のこ)されてはいなかった。


百家(ひゃっか)一行(いっこう)失望(しつぼう)(いか)りに()ちていた。


「あの(ぞく)どもはやり()ぎだ!(なに)一つ(のこ)していない!」


畜生(ちくしょう)め!(てん)()()みにじるとは!こんなに(おお)くの()を…みんな(にぎ)(つぶ)しやがって!」


(おお)くの(もの)()(さけ)びながら(のろ)い、(いか)心頭(しんとう)だった。


家老(かろう)たちの()にも()しむ(いろ)()かんでいた。


(いそ)ぐんだ!(はや)(やつ)らを()らえれば、(みな)(そん)(しつ)(すく)なくて()む」


鉄刀苦(てっとうく)のこの一言(ひとこと)で、一同(いちどう)()(かがや)いた。


この言葉(ことば)(はげ)まされ、士気(しき)(さら)(たか)まり、一刻(いっこく)(はや)(ほう)(はく)二人(ふたり)相対(あいたい)したいという気持(きも)ちでいっぱいになった。


一同(いちどう)二番目(にばんめ)広間(ひろま)到着(とうちゃく)し、三本(さんぼん)石柱(せきちゅう)()にした。


()(のこ)されている!」


先頭(せんとう)蛊師(こし)(おも)わず歓声(かんせい)()げた。


族長(ぞくちょう)、ご(らん)ください」


()もなく、腕骨翼蛊(わんこつよくこ)肋骨盾蛊(ろっこつたてこ)百家族長(ひゃっかぞくちょう)眼前(がんぜん)(なら)べられた。


百家族長(ひゃっかぞくちょう)一瞥(いちべつ)しただけで、(ひと)(おさ)めさせ、(こころ)には一片(いっぺん)(よろこ)びもなかった。


蛊虫(こちゅう)より(なに)よりも()()たちの安否(あんぴ)()にかかるのだ。


()たか?(いま)二匹(にひき)、どちらも三転蛊(さんてんこ)だぞ!」


「この伝承(でんしょう)(じつ)期待(きたい)できるな」


禍福(かふく)(あざな)える(なわ)(ごと)し…(ふる)言葉(ことば)(ただ)しかった」


一同(いちどう)感嘆(かんたん)(こえ)()げたり(おどろ)いたりしていた。


「お(まえ)ら、不自然(ふしぜん)(おも)わないか?なぜ(やつ)らはわざわざ()(のこ)したんだ?」


傍観者(ぼうかんしゃ)として冷静(れいせい)鉄刀苦(てっとうく)不審点(ふしんてん)()づいた。


(みっ)つより(ひと)つを(えら)び、満足(まんぞく)せよ。白骨山(はっこつざん)伝承(でんしょう)は、(さら)なる後人(こうじん)に」


()もなく、石柱(せきちゅう)(きざ)まれた文字(もじ)発見(はっけん)された。「どうやらこれは魔道(まとう)伝承(でんしょう)ではなく、正道(せいどう)人物(じんぶつ)(のこ)したものらしい」


「へっ、満足(まんぞく)だと?我々(われわれ)は(まった)満足(まんぞく)などしていないぞ!」


(いそ)げ!まずは二人(ふたり)(しょう)(しゅ)救出(きゅうしゅつ)だ。見物(けんぶつ)はそれからでも(おそ)くはない!」


(たが)いに催促(さいそく)()いながら、一同(いちどう)第三(だいさん)広間(ひろま)到着(とうちゃく)した。


あぐらをかいた骸骨(がいこつ)巨大(きょだい)骨書(こつしょ)が、衆人(しゅうじん)視界(しかい)(うつ)った。


灰骨才子(はいこつさいし)…なんと、この(かた)だったのか!」


骨書(こつしょ)(ひろ)げた家老(かろう)がはっと()づいた──これは(たし)かに正道(せいどう)伝承(でんしょう)であった。


百家族長(ひゃっかぞくちょう)(ふか)(きざ)まれた眉間(みけん)(しわ)(かす)かに(ゆる)んだ。


これが彼女(かのじょ)(いま)までに()いた(なか)唯一(ゆいいつ)()()らせだった。


正道(せいどう)伝承(でんしょう)(おおむ)温和(おんわ)場合(ばあい)が多く、魔道(まとう)伝承(でんしょう)のような険悪(けんあく)さはない。


だが鉄刀苦(てっとうく)次第(しだい)(まゆ)をひそめた。(こころ)(なか)でますます違和感(いわかん)(おぼ)え、先程(さきほど)石柱(せきちゅう)(きざ)文字(もじ)漠然(ぼくぜん)とした不安(ふあん)()かせてくるのだ。


一同(いちどう)骸骨(がいこつ)頭蓋骨(ずがいこつ)()り、(なか)から(ひと)つの骨刺蛊(こっしこ)を取り(とりだ)した。


直後(ちょくご)に、(ひと)つの石壁(せきへき)(すべ)るように(ひら)き、(あら)たな(あん)通路(つうろ)(あらわ)れると、衆人(しゅうじん)(れつ)()して(はい)っていった。


……


肉囊秘閣(にくのうひかく)…」


白凝冰(はくぎょうひょう)(つぶや)きながら、面前(めんぜん)門扉(もんぴ)()(ひら)こうとした。


(かぎ)()かっておらず、(かる)()すだけで(ひら)いた。


(もん)(おく)(ちい)さな密室(みつしつ)だったが、非常に異様(いよう)だった。


密室(みつしつ)上下左右(じょうげさゆう)(かべ)はすべて(にく)出来(でき)ており、(ほう)(はく)二人(ふたり)(なか)(はい)ると、まるで怪獣(かいじゅう)(はら)(なか)(まよ)()んだような感覚(かんかく)だった。


(にく)(かべ)(あたた)かく、規則的(きそくてき)(かす)かに鼓動(こどう)している。(かべ)(おく)心臓(しんぞう)(かく)れているかのようだ。


(ひと)気配(けはい)(かん)()ったのか、肉壁(にくへき)突然(とつぜん)()()(はし)り、無数(むすう)(しろ)()(あらわ)れた!


白凝冰(はくぎょうひょう)(おも)わず(いき)()んだ。




肉壁(にくへき)(なか)には、無数(むすう)巨大(きょだい)(くち)がぎっしりと()()まれているようだった。


(くち)は大きく(ひら)けられ、(ととの)った歯並(はなら)びの()()せつつ、()(あいだ)はぎゅっと()められていた。


()()()して(くち)(ゆが)める」という四字熟語(よじじゅくご)表現(ひょうげん)するのが(もっと)適切(てきせつ)だろう。


くくく…ははは…ふふふ…


これらの(くち)が様々(さまざま)な種類(しゅるい)(わら)(ごえ)(はっ)している。


(わら)(ごえ)()(みだ)れ、(せま)秘閣(ひかく)(かべ)反響(はんきょう)して、()(もの)(おも)わず背筋(せすじ)(こお)るのを(かん)じた!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ