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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第二十二節:白骨山を歓迎す

百家族長(ひゃっかぞくちょう)顔色(かおいろ)業鍋(ごうなべ)のように(くも)った。


全て(すべて)が(あき)らかだ!


さきほどまで(うたが)いと躊躇(ちゅうちょ)胸中(きょうちゅう)にあったが、彩煙(さいえん)(うつ)光景(こうけい)()れば、(おろ)(もの)すら見分(みわ)けられるところだ。


百家族長(ひゃっかぞくちょう)(おろ)(もの)などではなく、(つね)(びと)よりもはるかに英明果断(えいめいかだん)だった。方源(ほうげん)前世(ぜんせ)歴史(れきし)においても、彼女(かのじょ)百家(ひゃっか)(ひき)いて移動(いどう)()()げ、次世代(じせだい)繁栄(はんえい)のために盤石(ばんじゃく)基礎(きそ)(きず)いたのだ。


「くそっ! なんでこうなる!?」


「あの薄汚(うすよご)れた(ぞく)どもがまさか魔道(まとう)蛊師(こし)だとは!()くも(えん)ったな!」


(わか)頭領(とうりょう)(さま)二人(ふたり)とも(やつ)らの()(なか)に…我々(われわれ)はどうすれば!?」


帳中(ちょうちゅう)蛊師(こし)たちはこの光景(こうけい)(あわ)(さわ)ぎ、正常(せいじょう)判断(はんだん)がつかない様子(ようす)だった。


状況(じょうきょう)最悪(さいあく)(きわ)み──


方源(ほうげん)双生児(そうせいじ)人質(ひとじち)()られ、


全員(ぜんいん)手出(てだ)しできずにいた。


百家族長(ひゃっかぞくちょう)必死(ひっし)冷静(れいせい)(よそお)う。


百花(ひゃっか)百生(ひゃくせい)実母(じつぼ)として、その(あせ)りと心配(しんぱい)並大抵(なみたいてい)ではなかった。


だが(じょう)()(もの)は、常人(じょうじん)()えた能力(のうりょく)()つものだ。


母親(ははおや)という立場(たちば)(のぞ)けば、彼女(かのじょ)一族(いちぞく)統率者(とうそつしゃ)であった!


彼女(かのじょ)はまず部下(ぶか)(めい)じて鉄刀苦(てっとうく)拘束(こうそく)()かせた。


鉄家(てっか)好漢(こうかん)誤解(ごかい)し、(れい)()いたことを()びる」


彼女(かのじょ)は立ち上がり、(ふか)(こし)()って誠実(せいじつ)様子(ようす)(れい)()べた。


鉄刀苦(てっとうく)(ひや)やか(はな)()らした。


(こころ)(なか)では(おお)いに不快(ふかい)だが、百家族長(ひゃっかぞくちょう)がかくも(いさぎよ)()(みと)める姿勢(しせい)には、(ひそ)かに関心(かんしん)せざるを()なかった。


(なん)(いま)自分(じぶん)はあくまで囚人(しゅうじん)であり、


生死(せいし)さえも彼女(かのじょ)一声(ひとこえ)にかかっているのだ。


(かれ)()()いしばって(ゆか)からよろめきながら()()がった。


(からだ)極度(きょくど)衰弱(すいじゃく)していたため、この動作(どうさ)すらも困難(こんなん)(きわ)めた。


(もの)ども、鉄家(てっか)賓客(ひんきゃく)上座(かみざ)用意(ようい)せよ」


百家族長(ひゃっかぞくちょう)即座(そくざ)(めい)じる。


鉄刀苦(てっとうく)(こし)()ろすと、両眼(りょうがん)彩煙(さいえん)映像(えいぞう)(くぎ)づけにした。


方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)凝視(ぎょうし)し、その()紅蓮(ぐれん)(ほのお)のように()けつくように(かがや)いて、()(もの)圧倒(あっとう)するほどだった。


青茅山(せいぼうざん)から(のが)れた魔道蛊師(まとうこし)は、まさしくあの二人(ふたり)なのか?


あの爆発(ばくはつ)(まね)いた(わな)は、(やつ)らが仕掛(しか)けたのか?


鉄傲天(てつごうてん)少主(しょうしゅ)()、そして(いま)()窮地(きゅうち)も、二人(ふたり)少年(しょうねん)(まね)いたものなのか?


鉄刀苦(てっとうく)(ほう)(はく)(かお)(からだ)つきを、脳裏(のうり)(ふか)(きざ)()んだ。


「いや…(ちが)可能性(かのうせい)もあるかもしれん」


鉄刀苦(てっとうく)即座(そくざ)(べつ)可能性(かのうせい)(おも)(めぐ)らせる。


(かれ)(ただ)(なお)性根(しょうね)()(ぬし)で、(けっ)して無実(むじつ)()ったりしないのだ。


「しかし如何(いか)であれ、()()(たし)かめる!」


「もし(ちが)わねば、(しん)黒幕(こくまく)追跡(ついせき)するまで!」


「だが(やつ)らならば…この小僧(こぞう)らを空竅(くうこう)(くだ)き、()()きにしてくれるわ!」


その(おも)いを(むね)()め、(かれ)(くち)(ひら)いた:


(ひゃっ)()族長(ぞくちょう)焦眉(しょうび)(きゅう)はこの(ぞく)どもを捕縛(ほばく)しつつ、御家(おんけ)(わか)頭領(とうりょう)をお(すく)()すことでしょう」


(てっ)()好漢(こうかん)よ、(なに)()手段(しゅだん)は?」


百家族長(ひゃっかぞくちょう)鉄刀苦(てっとうく)(くち)から有効(ゆうこう)(じょう)(ほう)()()そうと目論(もくろ)んだ。


だが彼女(かのじょ)期待(きたい)(むな)しく(つい)えることとなった。


鉄刀苦(てっとうく)(くび)()り、(にが)(わら)みを()かべた。


洞窟(どうくつ)(なか)(ゆみ)(つる)()()めたような緊迫(きんぱく)(ただよ)う。


()()んでくれ。何度(なんど)()わせる?」


方源(ほうげん)冷笑(れいしょう)(はら)(おど)した。


方正殿(ほうせいどの)(なん)をなさるのです!?」


「これ(※)は一体(いったい)どういうこと?!なぜ二人(ふたり)(しょう)(しゅ)人質(ひとじち)に!?」


百蓮(ひゃくれん)百盛景(ひゃくせいけい)三人(さんにん)呆然(ぼうぜん)(くち)()けていた。


元泉(げんせん)()つかると期待(きたい)していたのに、すべては電光(でんこう)(ごと)くだった。


まさか方源(ほうげん)突然(とつぜん)(きば)()き、目前(もくぜん)少主(しょうしゅ)二人(ふたり)とも拉致(らち)するなど想像(そうぞう)だにしなかった。


シュッシュッシュッ!


(みっ)つの(かげ)忽然(こつぜん)形現(かたちあらわ)した。


方正(ほうせい)め、よくも()(ぞく)(わか)頭領(とうりょう)人質(ひとじち)()るとはな!(てん)まで(とど)不届(ふとど)き、(けっ)して(ゆる)しはせぬ!」


(ただ)ちに(しょう)(しゅ)(はな)せ!(いのち)だけは(たす)けてやる!」


方正殿(ほうせいどの)(いま)ならばまだ(おそ)くない!我々(われわれ)と(もど)り、礼儀(れいぎ)(ただ)しくお(おく)()ししてあげよう!」


三家老(さんかろう)が各々(おのおの)(ひと)(こと)ずつ(はな)ち、その顔色(かおいろ)はいずれも(つち)(ごと)青白(あおじろ)い。


()(もの)らは強大(きょうだい)(しゅう)()()(ぬし)であり、(もと)より(ひそ)かに隊列(たいれつ)護衛(ごえい)していた。


変事(へんじ)察知(さっち)し、(もっと)(はや)()()けたのだ。


「とうとう(かく)れきれなくなったか。上等(じょうとう)だ…」


方源(ほうげん)嘲笑(あざわら)いをやめず、その()(なか)では百生(ひゃくせい)百花(ひゃっか)双生児(そうせいじ)(くる)ったように(はげ)しくもがいていた。


(あく)(ぞく)め、(はな)せ!」


(おれ)たちを(ころ)せば、貴様(きさま)らも()(のろ)いを()けるぞ!」


二人(ふたり)子供(こども)(かろ)うじて(さけ)び、(かお)(まっ)()()めていた。


方源(ほうげん)首筋(くびすじ)()()とされ、(いき)()まり、(じょ)々(じょ)に窒息(ちっそく)しつつあった。


この二人(ふたり)子供(こども)は、後年(こうねん)には五轉(ごてん)蛊師(こし)となり、百家(ひゃっか)(ぬし)として正道(せいどう)双璧(そうへき)となるはずだった。しかし(いま)()(もの)らは(すずめ)一羽(いちわ)すら(ころ)せぬほど無力(むりょく)で、方源(ほうげん)(かん)(ぺき)(おさ)()まれている。


ほんの一瞬(いっしゅん)のうちに、


()(もの)らの両目(りょうめ)(てん)(あお)くように(しろ)()かれ、


生気(せいき)(かげ)ろうのように(おとろ)(はじ)めた。


方正(ほうせい)!これ以上(いじょう)(あやま)ちを(かさ)ねるな。(ただ)ちに二人(ふたり)(しょう)(しゅ)(はな)せ」


機会(きかい)(あた)えた。少主(しょうしゅ)(はな)せば、百家(ひゃっか)(なに)(とが)めず自由(じゆう)()かせる」


(なに)()しい?元石(げんせき)か?それとも蛊虫(こちゅう)か?」


三家老(さんかろう)焦燥(しょうそう)(いろ)()くし、()凶光(きょうこう)宿(やど)して身構(みがま)(はじ)めた。


「フン…(いま)(おれ)言葉(ことば)()りなかったか?全員(ぜんいん)(しっ)せい!さもなくば──」


方源(ほうげん)不気味(ぶきみ)(わら)い、白凝冰(はくぎょうひょう)目配(めくば)せした。


白凝冰(はくぎょうひょう)(うなず)き、鋸歯金蜈蚣(きょしきんごこう)を取り(とりだ)す。


真元(しんげん)(そそ)ぐと、銀色(ぎんいろ)(ふち)(のこぎり)(くる)ったように回転(かいてん)し、


ブーンブーンという耳障(みみざわ)りな(おと)()てながら、百花(ひゃっか)(やわ)らかい(うで)へゆっくりと(ちか)づけて()った。


(いもうと)(はな)せ…は、(はな)せ…」


百生(ひゃくせい)()()()見開(みひら)き、(こえ)()げて(はげ)しく(あらが)うが、方源(ほうげん)(かる)く力を()めればその言葉(ことば)(のど)()まった。


衝動(しょうどう)するな!」


()()めろ!」


(つづ)けざまに他の蛊師(こし)たちも()()け、この光景(こうけい)()(ひと)(よう)(わめ)(さわ)ぎ、恐慌(きょうこう)状態(じょうたい)(おちい)る。


方源(ほうげん)高笑(たかわら)いしながら宣言(せんげん)する:


(さん)(かぞ)えよう。その(あいだ)にこの洞窟(どうくつ)()ぬなら、(しょう)(しゅ)片腕(かたうで)はもはや()いものと(おも)え!」


(みな)()()いしばり、()(なか)には()()()さんばかりの(いか)りが()え、方源(ほうげん)()()きにしたくて仕方(しかた)ない様子(ようす)だった。


「まだ退(しりぞ)かぬのか?」


方源(ほうげん)(まゆ)(するど)()()げ、(うで)(ひと)()りすると、百花(ひゃっか)鋸歯金蜈蚣(きょしきんごこう)(あいだ)(にわ)かに()まった。


「あっ!」


全員(ぜんいん)(こえ)(そろ)えて驚叫(きょうきょう)した。


幽魂(かみ)(さま)もーッ!」


少女(しょうじょ)蛊師(こし)()(おお)う。


退()け!(ただ)ちに洞窟(どうくつ)退去(たいきょ)しろ!」


家老(かろう)たちが(さけ)び、人質(ひとじち)への気遣(きづか)いから()けに()られない。


人々(ひとびと)は(おもむ)ろに後退(こうたい)し、()(ぎわ)(ほう)(はく)二人(ふたり)(にら)みつけた。


もし()殺意(さつい)(かたち)になれば、方源(ほうげん)(すで)何度(なんど)(ころ)されていたことだろう。


もし(いか)りが(みず)となれば、二人(ふたり)はとっくに大津波(おおつなみ)()()まれているはずだった。


人々(ひとびと)が洞窟(どうくつ)()ると、方源(ほうげん)百花(ひゃっか)百生(ひゃくせい)白凝冰(はくぎょうひょう)(わた)し、(あた)りを見渡(みわた)した。



白骨山(はっこつざん)全山(ぜんざん)に、(つち)(いし)はなく、(すべ)白骨(はっこつ)質地(しつち)だ。


この洞窟(どうくつ)同様(どうよう)(ゆき)のように(しろ)く、周囲(しゅうい)壁面(へきめん)には(するど)骨刺(こっし)()えている。


これらの骨刺(こっし)一見(いっけん)(ほか)洞窟(どうくつ)()わりないようだが、


注意深(ちゅういぶか)観察(かんさつ)すれば、


これらが螺旋(らせん)(じょう)槍先(やりさき)のように特異(とくい)形状(けいじょう)をしていることに()づくだろう。


ここは螺旋骨洞(らせんこつどう)


灰骨才子(はいこつさいし)伝承(でんしょう)()(ぐち)だ。


白骨山(はっこつざん)には洞窟(どうくつ)数多(あまた)あるが、


これほど密集(みっしゅう)した螺旋骨刺(らせんこっし)()えているのは、ここだけである。


この伝承(でんしょう)を、方源(ほうげん)直接(ちょくせつ)(おとず)れたことはない。


しかし前世(ぜんせ)数多(あまた)風聞(ふうぶん)(みみ)にし、


さらに百家(ひゃっか)百生(ひゃくせい)百花(ひゃっか)兄妹(きょうまい)(みずか)らの口述(こうじゅつ)確認(かくにん)()ていたのだ。


「まず螺旋骨洞(らせんこつどう)(はい)り、()(がい)にも(ひと)(ほん)骨刺(こっし)(ひね)れることに()づく。これが()(ぐち)(ひら)仕掛(しか)けなのだ……」


方源(ほうげん)はしばし(かい)(そう)した(あと)、その特異(とくい)骨刺(こっし)(さが)(はじ)めた。


洞窟(どうくつ)(ない)骨刺(こっし)(せん)(まん)存在(そんざい)するが、方源(ほうげん)前世(ぜんせ)で、百花(ひゃっか)酒宴(しゅえん)(せき)()らした詳細(しょうさい)(おぼ)えている。


当時(とうじ)彼女(かのじょ)(あに)(とも)裏山(うらやま)(あそ)んでいた(さい)洞窟(どうくつ)(ない)一本(いっぽん)格段(かくだん)(ふと)く、螺旋(らせん)紋様(もんよう)(とく)(みつ)骨刺(こっし)()つけた。


何気(なにげ)なく()()けて()でていると、(ひね)れるように(うご)き、(どう)(こう)(ひら)いたというのだ。


方正(ほうせい)、お(まえ)らは包囲(ほうい)された。(つばさ)があっても(のが)れられまい。さあ()()い」


良心(りょうしん)()らせば、()百家(ひゃっか)はよそ(もの)(あら)ず。よくも(おん)(あだ)(かえ)すとは!」


方正(ほうせい)(りょう)言葉(ことば)(さず)けよう――(ひと)には(なさ)けを()けよ。(しょう)(しゅ)(まん)()でもあれば、百家(ひゃっか)(すべ)てを()けて復讐(ふくしゅう)するぞ!」


洞窟(どうくつ)(ふか)くないため、(そと)から蛊師(こし)たちの(さけ)(ごえ)(ひび)(わた)る。


百花(ひゃっか)はおずおずと(すす)()(はじ)めた。


百生(ひゃくせい)()った:「方正(ほうせい)さん、お()めなさい。我々(われわれ)を(はな)してくれれば、(わか)頭領(とうりょう)として保証(ほしょう)する──(かなら)安全(あんぜん)()()かせてみせる」


(いと)けない年頃(としごろ)ながら、(あや)うい状況(じょうきょう)()かれても大人(おとな)より冷静(れいせい)だった。


その()からは、未来(みらい)(ほし)としての(かがや)きが(はな)たれていた。



方源(ほうげん)馬耳東風(ばじとうふう)のごとく、突如(とつじょ)()(かがや)かせた。


一歩(いっぽう)(まえ)()()し、()()ばして()()した(ふと)骨刺(こっし)()れる。


そっと(ひね)る。


キイイッ…


(おと)(とも)に、一帯(いったい)骨刺(こっし)()()み、(わき)から密門(みつもん)(ひら)けて真四角(ますかく)(どう)(こう)(あらわ)れた。


白凝冰(はくぎょうひょう)両眼(りょうがん)(するど)(ひか)る。


百花(ひゃっか)()()み、呆然(ぼうぜん)としてこの異変(いへん)見守(みまも)る。


「あっ!ここに(あな)が!?」


百生(ひゃくせい)大声(おおごえ)(さけ)んだ。


「ふん、(だま)れ」


白凝冰(はくぎょうひょう)手刀(てがたな)百生(ひゃくせい)後頭部(こうとうぶ)(たた)き、失神(しっしん)させた。(やつ)洞窟(どうくつ)(そと)(もの)らに()がかりを(のこ)すため、わざと(さけ)んだのだ。


(あん)(じょう)洞窟(どうくつ)(そと)で人々(ひとびと)が騒然(そうぜん)となる。


(はい)(ぐち)だと!?」


(まず)い!(やつ)らは()げるつもりだぞ!」


(いそ)げ!()え!」


方源(ほうげん)(ひく)(うな)るように(めい)じる:


(だれ)(どう)(ない)()()めば、()(さき)百生(ひゃくせい)()る!」


その(こえ)百家(ひゃっか)蛊師(こし)瞬時(しゅんじ)(だま)らせた。


方源(ほうげん)(いそ)いで洞内(どうない)(はい)り、白凝冰(はくぎょうひょう)百花(ひゃっか)昏倒(こんとう)させ、片手(かたて)ずつ二人(ふたり)()げて(ただ)ちに()った。


この秘密通路(ひみつつうろ)(あし)()()れると、(やわ)らかい純白(じゅんぱく)(ひかり)()ちていた。しかしこの洞内(どうない)にも、骨刺(こっし)()えそろっており、それはまるで無数(むすう)(するど)長槍(ちょうそう)洞壁(どうへき)から()()しているようだった。


(ほね)(やり)がびっしりと(つら)なり、通路(つうろ)完全(かんぜん)(ふさ)ぎ、わずかな隙間(すきま)から方源(ほうげん)密道(みつどう)(おく)広間(ひろま)をかすかに()()れるだけだった。


「どうやらこれがお(まえ)白骨山(はっこつざん)()理由(りゆう)だな。俺は(みち)(ひら)く!」


白凝冰(はくぎょうひょう)(まえ)(すす)み、鋸歯金蜈蚣(きょしきんごこう)使(つか)おうとしたが、方源(ほうげん)(さえぎ)られた。


「これらの骨槍(こっそう)(きわ)めて堅硬(けんこう)だ。(あせ)るな」


方源(ほうげん)(あた)りを(さぐ)り、前世(ぜんせ)百花(ひゃっか)()らした情報(じょうほう)(たよ)りに、


身近(みぢか)にある(もっと)(みじか)螺旋骨刺(らせんこっし)()つけ、(ちから)一杯(いっぱい)()()いた。


ガシャン!


機関(からくり)(おと)(ひび)き、二人(ふたり)(うし)ろの(どう)(こう)(ふたた)()じると同時(どうじ)に、


密道(みつどう)(ない)密集(みっしゅう)した骨槍(こっそう)(またた)く間に洞壁(どうへき)()()んだ。


突如(とつじょ)前方(ぜんぽう)(みち)平坦(へいたん)(ひら)けた。



方源(ほうげん)(たか)らかに(わら)い、白凝冰(はくぎょうひょう)()(かえ)らずに()う:


白骨山(はっこつざん)へようこそ」


白凝冰(はくぎょうひょう)()がきらめき、無意識(むいしき)(うし)ろを()(かえ)った。


後方(こうほう)(どう)(こう)は、完全(かんぜん)閉鎖(へいさ)されている。


百家(ひゃっか)蛊師(こし)()(げき)するには、(すく)なくともこの()(ぐち)突破(とっぱ)する必要(ひつよう)があり、


(かなら)ずや相応(そうおう)時間(じかん)(よう)するだろう。


白凝冰(はくぎょうひょう)(おも)わず口元(くちもと)()()げ、(たか)ぶる()みを()かべた。


すべてが素晴らしいになっていく。


かくあるべき人生(じんせい)だと──これこそが(おのれ)(もと)めるものだと……

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