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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第二十節:跋涉白骨山

しばし沈黙ちんもくのち


ひゃくおんな族長ぞくちょう地図ちずからはなし、諦観ていかん吐息といきらした。


白骨山はっこつざんはあまりに広大こうだいだ。裏山うらやま候補地こうほちしぼったものの、正確せいかく位置特定いちとくていには程遠ほどとおしい。


「(古月家こげつけ小僧こぞうは、当族とうぞくへの遠慮えんりょから、直接ちょくせつ場所ばしょたずねるはずがない……元泉げんせん位置いちはかるには、さらに仕掛しかけを仕込しこまねばならんな)」


彼女かのじょいしばりながらあん決意けついする。


元泉げんせん座標ざひょうつかめしとき


百家ひゃっかただちに実地調査じっちちょうさすはずだった。


「もし元泉(げんせん)周辺(しゅうへん)獣群(じゅうぐん)(すく)なければ、(ただ)ちに()(くだ)そう。(さき)んずれば(ひと)(せい)す!だが猛獣(もうじゅう)野蛊(やこ)(おお)犠牲(ぎせい)(おお)きいなら――」


兵糧(ひょうろう)(きょう)(きゅう)古月(こげつ)一族(いちぞく)(えん)()せよ。(やつ)らを先鋒(せんぽう)()て、時機(じき)(じゅく)するや成果(せいか)接収(せっしゅう)するのだ。手管(てくだ)()けておれば、古月(こげつ)残党(ざんとう)併呑(へいどん)できよう」


(おも)わず(くす)(ごえ)()れる。


(ふっふっ…)


彼女(かのじょ)()(よし)もなかった――


古月(こげつ)残党(ざんとう)など虚実無(きょじつな)(まぼろし)だと。


(ぎゃく)方源(ほうげん)こそが百蓮(ひゃくれん)(くち)から、


貴重(きちょう)なる(なま)情報(じょうほう)寸分(すんぶん)(たが)わず(しぼ)()っていたのだ。


正道(せいどう)伝承(でんしょう)白骨山(はっこつざん)裏山(うらやま)()り、この(てん)(かん)して方源(ほうげん)(かく)()てしなかった。


しかし裏山(うらやま)には骨獣(こつじゅう)(おお)く、(さら)数多(あまた)()一方(いっぽう)牛耳(ぎゅうじ)り、困難(こんなん)険阻(けんそ)()ちている。


(かれ)百蓮(ひゃくれん)言葉(ことば)誇張(こちょう)(ふく)まれることを()っていた。前世(ぜんせ)500(ねん)経験(けいけん)(たよ)りに尾鰭(おひれ)(のぞ)き、方源(ほうげん)(ひと)つの事実(じじつ)()た――


白凝冰(はくぎょうひょう)二人(ふたり)だけの(ちから)伝承(でんしょう)()到達(とうたつ)するには、(すく)なくとも半年以上(はんとしいじょう)労力(ろうりょく)(よう)する。


白骨山(はっこつざん)(よう)(そう)山林(さんりん)とは(こと)なり、大規模(だいきぼ)獣群(じゅうぐん)棲息(せいそく)し、猛獣(もうじゅう)危険(きけん)蛊虫(こちゅう)(わだかま)る。


(とお)れない場所(ばしょ)には遠回(とおまわ)りせねばならず、()けるべき場所(ばしょ)では三里(さんり)退(しりぞ)かねばならなかった。


(とりで)(かえ)()くと、()たして百盛景(ひゃくせいけい)()う通り(どおり)、(かれ)らの戦績(せんせき)百戦猟(ひゃくせんりょう)一歩(いっぽ)()きん()ていた。


一日(いちにち)()つうちに、この勝負(しょうぶ)(ひろ)()(わた)った。


()(にん)野営地(やえいち)(ある)くと、(おお)くの視線(しせん)()びた。


百蓮先輩(ひゃくれんせんぱい)勝利(しょうり)おめでとう」


百戦猟様(ひゃくせんりょうさま)(うん)(わる)かっただけさ。珍獣(ちんじゅう)()たらないことには腕前(うでまえ)意味(いみ)がないからな」


「そこの二人(ふたり)古月家(こげつけ)(もの)か?」


「あの女性(じょせい)は?なんて(うつく)しい……百蓮様(ひゃくれんさま)(おと)らぬ容姿(ようし)だ!」


()くところによると、この古月(こげつ)若頭領(わかとうりょう)百蓮様(ひゃくれんさま)()があるらしい。ふん、(ひきがえる)天鹅(はくちょう)(にく)()おうとしているようだ」


「うむ、品性(ひんせい)(わる)い。()()りもなく孤児(みなしご)同然(どうぜん)()でありながら」


百戦猟様(ひゃくせんりょうさま)百蓮様(ひゃくれんさま)への(おも)いは(みな)()っている。幼馴染(おさななじみ)だったとも()うぞ」


「ああ……片想(かたおも)いの(はな)(なが)れる(みず)()るばかりか」



(おお)くの(もの)(しき)りに私語(ささや)()い、(うつむ)加減(かげん)(かた)()った。


方源(ほうげん)()ちながらも(おも)()めた様子(ようす)(こころ)から(よろこ)様子(ようす)()せない。


(よる)になり中央大天幕(ちゅうおうだいてんまく)(ふたた)焚火(たきび)(えん)(ひら)かれた。


百生(ひゃくせい)百花(ひゃっか)双子(ふたご)方源(ほうげん)(さかずき)(ささ)げると、即座(そくざ)退出(たいしゅつ)させられる。天幕(てんまく)には新顔(しんがお)数名(すうめい)(くわ)わっていた。


百蓮(ひゃくれん)百戦猟(ひゃくせんりょう)勝負(しょうぶ)両名(りょうめい)とも通常(つうじょう)狩猟大比(しゅりょうおおひら)(はな)れたため、空席(くうせき)となった上位(じょうい)百家(ひゃっか)若手(わかて)俊英(しゅんえい)二名(にめい)(あらわ)れた。


この両名(りょうめい)(あき)らかに百戦猟(ひゃくせんりょう)()で、宴席(えんせき)一方(いっぽう)方源(ほうげん)(にら)みつけ、他方(たほう)(まった)無視(むし)(とお)した。


賢侄(けんせい)よ、幾日(いくひ)()つというのに、何故(なぜ)(いま)だに貴公(きこう)族人(ぞくじん)姿(すがた)()せぬのか?」酒宴中(しゅえんちゅう)百家族長(ひゃっかぞくちょう)()う。


方源(ほうげん)(かす)かな(うれ)いを()せた:「算段(さんだん)するに、(こん)数日(すうじつ)(うち)であろうと。はあ……もしかすると(なん)らかの変事(へんじ)()ったのかもしれませぬ。だが()(もの)らの実力(じつりょく)をもってすれば、(たい)した問題(もんだい)などないはず」


(ひゃっ)()(おんな)族長(ぞくちょう)(うなず)いた。彼女(かのじょ)(こころ)()いているのは、無論(むろん)方源(ほうげん)自身(じしん)のことだ。


だいぶ(ほね)()って舞台(ぶたい)()()げたというのに。


(いま)()()きは上々(じょうじょう)、成功(せいこう)(まな)(まえ)だ。


古月(こげつ)残党(ざんとう)(あらわ)れて(おお)いなる局面(きょくめん)(みだ)されてはたまらない。


百家族長(ひゃっかぞくちょう)()らなかった——


この(おもんぱか)りは(まった)くの無駄骨(むだぼね) だと。


この()古月一族(こげついちぞく)とやらは、方源(ほうげん)方正(ほうせい)という(じつ)兄弟(きょうだい)ただ二人(ふたり)だけだということを。


「ご心配(しんぱい)なく」と(ぎゃく)百家族長(ひゃっかぞくちょう)(なぐさ)めた。「斥候(せっこう)四方(しほう)(はな)っておる。(とお)からず貴公(きこう)族人(ぞくじん)消息(しょうそく)(つた)わろう」


方源(ほうげん)(いそ)いで(れい)()べ、(かたわ)らに()白凝冰(はくぎょうひょう)(かす)かに(まゆ)をひそめた。


情勢(じょうせい)刻一刻(こくいっこく)切迫(せっぱく)する。


(とき)()つほどに、二人(ふたり)立場(たちば)悪化(あっか)一途(いっと)辿(たど)る。


(いま)のところ(こと)(わけ)誤魔化(ごまか)せる。


──野営(やえい)行軍(こうぐん)では予期(よき)せぬ厄介事(やっかいご)()(もの)だと。


だが(とき)長引(ながび)けば、百家(ひゃっか)疑心(ぎしん)(いだ)くだろう。


いずれ虚実(きょじつ)看破(かんぱ)されるに(きま)っている。


しかし連日(れんじつ)山中(さんちゅう)()(めぐ)(りょう)(なか)


白凝冰(はくぎょうひょう)(けっ)して軽挙(けいきょ)できなかった。


周囲(しゅうい)には監視(かんし)蛊師(こし)(ひそ)んでいるに(ちが)いない。


二人(ふたり)強力(きょうりょく)移動蛊(いどうこ)はなく、


複雑(ふくざつ)山岳地形(さんがくちけい)速度(そくど)(いちじる)しく阻害(そがい)していた。


白凝冰はくぎょうひょううつ局地きょくちは、日増ひましに糜爛びらんしていった。


沼沢しょうたくまりしごとふかしずみ、このまま放擲ほうてきすれば、おそかれはやかれ腐泥ふでい埋没まいぼつしてしまう。


一体いったいきみなにはかっているのだ?」


隣席りんせき方源ほうげん凝視ぎょうししながら、白凝冰はくぎょうひょうこころいかけた。


彼女かのじょ方源ほうげんっている。


してつようなおとこではだんじてない。


だが人生じんせい経験けいけんが、突破口とっぱこういだすことをはばんでいた。


この環境かんきょうでは、直接ちょくせつ相談そうだんかなわぬ。


白凝冰はくぎょうひょう胸中きょうちゅうに、あつかさまっていく。


また一日いちにちぎた。


方源ほうげんたい戦績せんせきかろうじて百戦猟ひゃくせんりょう上回うわまわった。


うたげあと百家族長ひゃっかぞくちょう百陌行ひゃくはくこう召喚しょうかんし、密談みつだんはじめた。


女族長(じょぞくちょう)(ゆび)でデスクトップを(たた)きながら()う:


「このままではいけない。今日(きょう)狩猟(しゅりょう)では百蓮(ひゃくれん)白骨山(はっこつざん)危険(きけん)()(ごと)にし、方正(ほうせい)(うご)(よう)(かん)()れた。だが(とき)()ってくれぬ。古月(こげつ)大部隊(だいたい)(あらわ)れれば、(かれ)精神的支柱(せいしんてきしちゅう)()、我々(われわれ)の努力(どりょく)(みず)(あわ)だ」


時流(じりゅう)()ってくれぬものよ」


(ひゃっ)()族長(ぞくちょう)(ふか)溜息(ためいき)()らし、


(おお)(かく)せない憂慮(ゆうりょ)(かお)(きざ)まれていた。


彼女(かのじょ)()らなかった──


白凝冰(はくぎょうひょう)(おのれ)よりもはるかに焦燥(しょうそう)していることを。


この(とき)というものは、彼女(かのじょ)方源(ほうげん)にとって、


いっそう貴重(きちょう)なるものだと。


百陌行(ひゃくはくこう)はしばし熟慮(じゅくりょ)した:「族長(ぞくちょう)老生(ろうせい)(かんが)えでは、短時日(たんじじつ)方正(ほうせい)信用(しんよう)させ、元泉(げんせん)詳細位置(しょうさいいち)()かせるのは困難(こんなん)でございましょう。ここは一計(いっけい)遠回(とおまわ)しに(さぐ)りつつも、火種(ひだね)()()むのが良策(りょうさく)かと」


「ほう?」


百陌行(ひゃくはくこう)(ひく)(つぶや)いた。


百家族長(ひゃっかぞくちょう)(かす)かに(くび)(たて)()る:「ご名答(めいとう)。あの方正(ほうせい)心労(しんろう)(いろ)()きは、一族(いちぞく)元泉(げんせん)(うば)代償(だいしょう)手痛(ていた)犠牲(ぎせい)(はら)うことを(あん)じておる(ゆえ)であろう。元泉周辺(げんせんしゅうへん)情報(じょうほう)()しがっておらぬはずがない。(こころ)(うち)()れておるが、()()への遠慮(えんりょ)と、(みずか)らの非力(ひりき)ゆえに()()せぬのだ。(きみ)方法(ほうほう)()()こえる……」


(かす)かな()(がか)りを(いだ)きつつも、最早(もはや)()良策(りょうさく)もなく、(ため)すより(みち)はなかった。


かくして対決(たいけつ)三日目(みっかめ)百戦猟(ひゃくせんりょう)()(ちゅう)野生(やせい)遊龍蝶(ゆうりゅうちょう)捕獲(ほかく)するという予想外(よそうがい)出来事(できごと)()こり、野営地(やえいち)全体(ぜんたい)大騒(おおさわ)ぎとなった。



百蓮(ひゃくれん)(かみ)(じょう)(けわ)しく()う:「事態(じたい)最悪(さいあく)だ。遊龍蝶(ゆうりゅうちょう)()三転(さんてん)(とうと)()百戦猟(ひゃくせんりょう)(おお)きな()()けた。我々(われわれ)が()つには奇策(きさく)()るしかない。この(あた)りの山林(さんりん)様子(ようす)(わたし)一番(いちばん)(くわ)しい。白骨山(はっこつざん)(のぼ)り、骨獣(こつじゅう)()るか、野生(やせい)骨蛊(こつこ)回収(かいしゅう)するしか……」


白凝冰(はくぎょうひょう)がそれを()いて、(むね)がドクンと高鳴(たかな)る。


白骨山(はっこつざん)――


まさしく窮地(きゅうち)()(やぶ)絶好(ぜっこう)機会(きかい)ではないか!


はあ、良機(りょうき)(みずか)()()んでくるとは。


白骨山(はっこつざん)(たし)かに危険(きけん)(きわ)まりないが、


百家(ひゃっか)()から(だっ)する最善(さいぜん)方法(ほうほう)だった。


だが方源(ほうげん)(くび)()る:「危険(きけん)すぎる。我々(われわれ)の実力(じつりょく)では無謀(むぼう)だ。やめておきましょう」


白凝冰(はくぎょうひょう)はその言葉(ことば)()()(ひら)いた。


(いま)すぐあいつの(くび)()め上げたい衝動(しょうどう)()られる!)


百蓮(ひゃくれん)(かろ)やかに(わら)った:「お気遣(きづか)いなく。(すで)思案(しあん)はまとまっております」


「私は百生(ひゃくせい)百花(ひゃっか)両少主(りょうしょうしゅ)(した)しくしておりまして、明日(あした)(かり)(さそ)いましょう。お二人(ふたり)はまだ(しゅう)()がなく、(ひそ)かな応援(おうえん)とは()なされません。(ただ)し、(かなら)暗蛊師(あんこし)護衛(ごえい)()いてまいります」


白骨山(はっこつざん)(あや)うくなれば、()(もの)らは()()さずにはいられましょう。(やつ)らの仕留(しと)めた獲物(えもの)には()()さず、われわれはわれわれで()ればよろしい。獣群(じゅうぐん)にも老幼(ろうよう)(じゃく)きはおりますし、白骨山(はっこつざん)(けもの)価値(かち)格段(かくだん)に高いのです」


方源(ほうげん)(おも)わず呆気(あっけ)()られた:「(()疑心(ぎしん)を起こさせぬよう、ここまで周到(しゅうとう)()()つとは)」


しかし口元(くちもと)では称賛(しょうさん)した:「(じつ)見事(みごと)(さく)百蓮(ひゃくれん)殿(どの)蘭心蕙性(らんしんけいせい)刮目(かつもく)して()つべきものありだ」


「とんでもない、過賞(かしょう)ですこと」


百蓮(ひゃくれん)()れくさそうに(わら)い、()(おく)にかすかな得意(とくい)(くも)らせた。


翌日(よくじつ)


薄暗(うすくら)大天幕(だいてんまく)の中で、百家族長(ひゃっかぞくちょう)真剣(しんけん)眼差(まなざ)しで空中(くうちゅう)(ただよ)彩煙(さいえん)凝視(ぎょうし)していた。(けむり)(なか)(うつ)映像(えいぞう)──


画中(がちゅう)(あらわ)れる七人(ななにん)


方源(ほうげん)百蓮(ひゃくれん)たち五人(ごにん)(くわ)え、百生(ひゃくせい)百花(ひゃっか)両少主(りょうしょうしゅ)同行(どうこう)していた。


「どうやら白骨山(はっこつざん)(おだ)やかなようね、こんなに(ある)いても(なん)異変(いへん)()こらないわ」映像(えいぞう)(なか)から百盛景(ひゃくせいけい)(こえ)(ひび)く。


百家族長(ひゃっかぞくちょう)(ただ)ちにフゥンッと癇癪(かんしゃく)(にじ)ませた。


(やつ)らの進路(しんろ)(ひら)くため、


彼女(かのじょ)大勢(おおぜい)蛊師(こし)()()け、


側近(そっきん)家老(かろう)たちを(ひと)()(のこ)らず(ひそ)かに(したが)わせていた。


方源(ほうげん)一行(いっこう)進軍(しんぐん)寸断(すんだん)もなく(つづ)背景(はいけい)には、


百家(ひゃっか)蛊師(こし)()えて零細(れいさい)(けもの)見逃(みのが)すという犠牲(ぎせい)があった。


()(もの)らが(あし)(すす)めた(さん)刻半(ときはん)(あいだ)に、


百家(ひゃっか)(すぐ)れた蛊師(こし)数十人(すうじゅうにん)(うしな)い、


三人(さんにん)家老(かろう)負傷(ふしょう)していた。


うち二人(ふたり)傷重(きずおも)(もの)昏睡(こんすい)のままで、


(えい)帰還(きかん)する途中(とちゅう)だった。


それでもまだ白骨山(はっこつざん)(ふもと)()ぎぬ。


山頂(さんちょう)(ちか)づくほど、危機(きき)幾重(いくえ)にも(から)()く。


…たとえ方源(ほうげん)らが(かろ)やかに(あゆ)んで()えても、その(じつ)先鋒(せんぽう)蛊師(こし)たちが()(いのち)舗装(ほそう)した(みち)だった。


とりわけ白骨山(はっこつざん)人気(にんけ)なく、猛獣(もうじゅう)野生蛊(やせいこ)巣窟(すくつ)


未開(みかい)()(ひら)くには、膨大(ぼうだい)生贄(いけにえ)必要(ひつよう)だったのだ。


一行(いっこう)(のぼ)(つづ)け、百蓮(ひゃくれん)作為(さくい)()ちた誘導(ゆうどう)で、いつの()にか白骨裏山(はっこうつうらやま)()()っていた。


情報(じょうほう)はここまで。この(さき)(みち)案内(あんない)できません。()()れますし、そろそろ(かえ)りましょうか」


百蓮(ひゃくれん)がわざとらしく提案(ていあん)した。


しかし方源(ほうげん)(くび)()る:「せっかくここまで()たのです。もう(すこ)(さぐ)ってみよう」


(かれ)はきょろきょろと(あた)りを見渡(みわた)し、(なに)かを(さが)すように注意深(ちゅういぶか)判別(はんべつ)(はじ)めた。


やがて(みずか)先導(せんどう)()って()る。


その記憶(きおく)()げていた──(しん)伝承地(でんしょうち)は、もはや眼前(がんぜん)だと。


「(おいおい...少しは(えん)じる()はあるのか?)」


(かたわ)らで白凝冰(はくぎょうひょう)(きも)()やしていた。方源(ほうげん)()()いが露骨(ろこつ)すぎる。


彼女(かのじょ)不安(ふあん)そうに周囲(しゅうい)見渡(みわた)したが──奇妙(きみょう)なことに、百蓮(ひゃくれん)百盛景(ひゃくせいけい)気付(きづ)かぬふりで、沈黙(ちんもく)()方源(ほうげん)行動(こうどう)放任(ほうにん)していた。


「よし、その調子(ちょうし)だ!どうやら元泉(げんせん)目前(もくぜん)らしい!」


帳中(ちょうちゅう)族長(ぞくちょう)激動(げきどう)(あら)わにした。


「ふっふっふ…方正(ほうせい)(あお)二才(にさい)めが…おや?洞窟(どうくつ)(はい)っただと?まさか元泉(げんせん)洞内(どうない)とは?」


彩煙(さいえん)(ひらめ)き、洞窟(どうくつ)内部(ないぶ)光景(こうけい)(うつ)()す。


疑念(ぎねん)脳裏(のうり)(かす)めた刹那(せつな)


帳外(ちょうがい)から(こえ)(とど)いた:


族長(ぞくちょう)閣下(かっか)偵察(ていさつ)蛊師(こし)帰還(きかん)鉄家(てっか)蛊師(こし)一名(いちめい)捕虜(ほりょ)にし、(じゅう)(だい)(ほう)(こく)御座(ござ)ります!」





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