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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第十七節:青铜舍利蛊

かつて生気(せいき)(みなぎ)った青茅山(せいぼうざん)(いま)氷雪(ひょうせつ)天地(てんち)。この驚異(きょうい)変貌(へんぼう)(はや)くから近隣(きんりん)勢力(せいりょく)関心(かんしん)調査(ちょうさ)()んでおり、月日(つきひ)()つにつれ青茅山(せいぼうざん)崩壊(ほうかい)情報(じょうほう)遠方(えんぽう)へも拡散(かくさん)していた。


「思い(かえ)すに()えぬ。 (おも)()こせば(いた)みが(はし)る」方源(ほうげん)(すわ)()み、悲嘆(ひたん)(まみ)れた表情(ひょうじょう)だ。


()みやれ」百家族長(ひゃっかぞくちょう)(かた)りたがらぬ方源(ほうげん)()()めず、家僕(けぼく)酒壜(さかだる)(ふた)つを(はこ)ばせた。


白凝冰(はくぎょうひょう)無関心(むかんしん)様子(ようす)元来(がんらい)(さけ)()まず(みず)のみだ。


方源(ほうげん)(ただ)ちに封泥(ふうでい)掌打(しょうだ)(はら)い、ゴクッと一口(ひとくち)()()むと、またも(なみだ)をこぼした。


百家族長(ひゃっかぞくちょう)(おどろ)く:「賢兄(けんけい)(さら)何故(なぜ)(なみだ)??」


貴家(きか)(さけ)芳醇(ほうじゅん)たる(かお)りに()い、(おも)わず()一族(いちぞく)青竹酒(せいちくしゅ)青茅山(せいぼうざん)()ごしし日々(ひび)を(しの)びての」方源(ほうげん)(なみだ)(ぬぐ)いながら()べる。


家老衆(かろうしゅう)溜息(ためいき)(いっ)そう(ふか)くなり、(おお)くが方源(ほうげん)(なぐさ)める。


方源(ほうげん)境遇(きょうぐう)彼等(かれら)にも共振(きょうしん)()こさせた。(なん)百家(ひゃっか)元泉(げんせん)にも()れる(きざ)しがあり、もし(あたら)しい元泉(げんせん)()()だせなければ、古月家(こげつけ)惨状(さんじょう)がそのまま百家(ひゃっか)未来(みらい)となるのだから。


百家族長(ひゃっかぞくちょう)(さら)(ねぎら)いの言葉(ことば)()くし、ようやく方源(ほうげん)(なみだ)()めた。


故郷(ふるさと)(こわ)されれば、(だれ)(いた)まぬものか?賢兄(けんけい)胸中(きょうちゅう)理解(りかい)しておる。ただ人があれば希望(きぼう)あり。(ゆえ)賢兄(けんけい)(かな)しまず、数日(すうじつ)()たず同胞(どうほう)再会(さいかい)できると()じておくれ」百陌行(ひゃくはくこう)(さぐ)るように()う。


方源(ほうげん)無知(むち)(よそお)い、(なみだ)(ぬぐ)いながら(こた)えた:「()れ、(おそ)くとも数日(すうじつ)ならあるまい」


この(こた)えに百陌行(ひゃくはくこう)百家族長(ひゃっかぞくちょう)素早(すばや)視線(しせん)()わした。


(うたげ)(のち)百家族長(ひゃっかぞくちょう)百陌行(ひゃくはくこう)()()せて密談(みつだん)(はじ)めた。


族長(ぞくちょう)情況(じょうきょう)(かんば)しくない。古月(こげつ)山寨(さんさい)破壊(はかい)されたのに、残党(ざんとう)白骨山(はっこつさん)目指(めざ)すとは?(おそ)らく此処(ここ)(うば)うためでしょう。我々(われわれ)こそ先手(せんて)()つべきでは?」百陌行(ひゃくはくこう)(かお)憂色(ゆうしょく)()かぶ。


「ふふふ」百家族長(ひゃっかぞくちょう)たる女傑(じょけつ)(かる)(わら)う。


百陌行(ひゃくはくこう)(かす)かに呆気(あっけ)()られる:「族長(ぞくちょう)何故(なぜ)(わら)われる?」


女族長(おんなぞくちょう)()(ほそ)めて(なだ)める:「陌行家老(はくこうかろう)、まずは()()きたまえ。利害(りがい)相伴(あいともな)うことよ。采配(さいはい)次第(しだい)(かえ)って多大(ただい)手間(てま)(はぶ)けるというもの」


この一言(ひとこと)百陌行(ひゃくはくこう)(とみ)思案(しあん)させられた。



その(とお)りであった!


百家(ひゃっか)元泉(げんせん)は、永年(ながねん)使用(しよう)枯渇寸前(こかつすんぜん)(あたら)しい元泉(げんせん)早急(そうきゅう)(さが)必要(ひつよう)があり、今回(こんかい)行動(こうどう)狩猟(しゅりょう)名目(めいもく)としつつ、白骨山(はっこつさん)における適切(てきせつ)泉眼(せんがん)探索(たんさく)(しん)目的(もくてき)であった。


百家隊(ひゃっかたい)到着(とうちゃく)(いま)(あさ)く、手掛(てが)かりらしいものは()ていない。しかし古月(こげつ)残党(ざんとう)長旅(ながたび)()白骨山(はっこつさん)目指(めざ)すのは、(かなら)ずや(なに)有益(ゆうえき)情報(じょうほう)(にぎ)っている証左(しょうさ)(ほか)ならぬ。


推測(すいそく)するに、古月一族(こげついちぞく)元泉(げんせん)位置(いち)についての情報(じょうほう)入手(にゅうしゅ)しているに(ちが)いない。


百家族長(ひゃっかぞくちょう)百陌行(ひゃくはくこう)表情変化(ひょうじょうへんか)(みと)め、(つづ)けて(かた)る:「(さっ)したようだな。そもそも名山(めいざん)大川(たいせん)には(つね)精気(せいき)凝集(ぎょうしゅう)し、(かなら)元泉(げんせん)存在(そんざい)する。されど位置(いち)精確(せいかく)なる探査(たんさ)(けっ)して(やす)しからず、(おお)きなる人手(じんしゅ)物資(ぶっし)(よう)する」


()百家(ひゃっか)(まわ)りには方家(ほうけ)廖家(りょうけ)范家(はんけ)ら、(けん)(なら)べる強族(きょうぞく)がひしめく。これまで(たが)いに牽制(けんせい)()ってきた。もし()元泉(げんせん)枯渇(こかつ)事態(じたい)露見(ろけん)すれば、(よわ)()(たた)()とばかりに付け()まれん。(ゆえ)に前々(ぜんぜん)より(ひそ)かに元泉(げんせん)位置(いち)(さぐ)らんと()し、今次(こんじ)も『狩猟(しゅりょう)』の仮面(かめん)(かぶ)ったのだ。しかしこの方法(ほうほう)では、元泉(げんせん)調査(ちょうさ)はかえって人手(じんしゅ)物資(ぶっし)浪費(ろうひ)(はげ)しくなるほかない」


百家族長(ひゃっかぞくちょう)はここまで()べて言葉(ことば)(にご)し、不安(ふあん)を引きずる(よう)だった。


百陌行(ひゃくはくこう)(つづ)ける:「つまり族長(ぞくちょう)古月家(こげつけ)から直接(ちょくせつ)元泉(げんせん)情報(じょうほう)()()そうとなさるのか?」


()り」百家族長(ひゃっかぞくちょう)(うなず)き、眼光(がんこう)(するど)(きらめ)いた。「古月(こげつ)族長(ぞくちょう)家老衆(かろうしゅう)(ほね)()れる相手(あいて)だが、あの二人(ふたり)若者(わかもの)()(うち)にある。これは天与(てんよ)好機(こうき)だ!」


百陌行(ひゃくはくこう)眉根(まゆね)()せて()った:「されど、二人(ふたり)愚鈍(ぐどん)ではない。(むすめ)一目(いちもく)強硬(きょうこう)心堅(こころがた)さの持主(もちぬし)()かる。若造(わかぞう)修爲(しゅうい)(とぼ)しいものの、変事(へんじ)(おどろ)かず沈着(ちんちゃく)している。初対面(しょたいめん)包囲(ほうい)された(とき)寸分(すんぶん)(あわ)(よう)もなかった。彼等(かれら)(くち)()るのは容易(ようい)ではあるまい」


「そこまで器量(きりょう)(そな)わぬ(やから)が、よくも一門(いちもん)後継(こうけい)など(つと)まろうか?」百家族長(ひゃっかぞくちょう)(ひや)やかに(はな)(なら)した。「両者(りょうしゃ)とも()きん()ておる。もし彼等(かれら)凡庸(ぼんよう)ならば、偽身分(にせみぶん)嫌疑(けんぎ)(いだ)いたであろう」


百陌行(ひゃくはくこう)重畳(じゅうじょう)して()う:「(ゆえ)族長(ぞくちょう)には熟考(じゅっこう)を。拷問(ごうもん)屈服(くっぷく)させ()まい。道中(どうちゅう)痕跡(こんせき)(のこ)しており、古月残党(こげつざんとう)(おそ)くとも近日中(きんじつじゅう)到達(とうたつ)せん。奴等(やつら)最早(もはや)正真正銘(しょうしんしょうめい)袋小路(ふくろこうじ)逃亡者(とうぼうしゃ)だ」


百家族長(ひゃっかぞくちょう)(ちい)さく()()る:「その(てん)家老殿(かろうどの)はご心配無用(しんぱいむよう)よ。一計(いっけい)(さず)かりおる」


「おお?仔細(しさい)拝聴(はいちょう)


女族長(おんなぞくちょう)(こま)やかに(かた)るほどに、百陌行(ひゃくはくこう)(にご)った老眼(ろうがん)(かがや)きを()した。


(かた)()えると、百陌行(ひゃくはくこう)は口々(くちぐち)に称賛(しょうさん)した:「これぞ妙策(みょうさく)古月方正(こげつほうせい)家族愛(かぞくあい)(つよ)く、(じょう)(もろ)性格(せいかく)()()けた。宴席(えんせき)二度(にど)(なみだ)したが(ゆえ)だ。畢竟(ひっきょう)若者(わかもの)本質(ほんしつ)族長(ぞくちょう)仕掛(しか)けたこの陥穽(かんせい)は、蜂蜜(はちみつ)子熊(こぐま)眼前(がんぜん)()き、人参(にんじん)仔兎(こうさぎ)鼻先(はなさき)()()すが(ごと)し。(やつ)()()()いつかぬ(はず)がなかろう」


……


方源(ほうげん)天幕(てんまく)入口(いりぐち)()(ぬの)(かた)()(かか)げた。


()(すで)(ふか)い。だが百家(ひゃっか)仮設陣営(かせつじんえい)篝火(かがりび)(あか)るく(とも)り、帳幕(ちょうまく)整然(せいぜん)配置(はいち)され、(へだ)てられた間隔(かんかく)ごとに鉄製(てつせい)松明(たいまつ)(だい)があった。不時(とき)ならず巡察(じゅんさつ)蛊师(こし)隊列(たいれつ)()()う。


方正公子(ほうせいこうし)(なに)御用(ごよう)で?」()(ぬの)()げるや(いな)や、入り(いりぐち)二人(ふたり)護衛(ごえい)即座(そくざ)近寄(ちかよ)った。


方源(ほうげん)作為(さくい)酒嗝(しゅっく)()らす:「席上(せきじょう)(さけ)を多く(おおく)(いただ)いた。便所(べんじょ)何処(いずこ)か?」


公子(こうし)、こちらへ。貴客様(ききゃくさま)として、族長(ぞくちょう)特設便所(とくせつべんじょ)(もう)けておられる。三十歩(さんじゅっぽ)ともあるまい」一人(ひとり)護衛(ごえい)即答(そくとう)する。


方角(ほうがく)だけ(しめ)せ。用便中(ようべんちゅう)人気(にんき)御免(ごめん)だ」方源(ほうげん)()()る。


(かしこ)まりました。木造仮小屋(きづくりかりごや)彼方(かなた)に」護衛(ごえい)指差(ゆびさ)すと(あたま)()げて退(しりぞ)いた。


方源(ほうげん)木小屋(きごや)小解(しょうかい)()ますと、酩酊(めいてい)(てい)故意(こい)方角(ほうがく)(あやま)る。(ある)くこと二十歩(にじっぽ)()たず、(すで)数人(すうにん)巡察(じゅんさつ)蛊师(こし)近付(ちかづ)いた:「貴客(ききゃく)(さま)方向(ほうこう)(あやま)られて。御天幕(ごてんまく)彼方(あちら)御座(ござ)います」


「そうだったか?何故(なぜ)かこちらと記憶(きおく)して」方源(ほうげん)酒嗝(しゅっく)()す。


「どうぞこちらへ」百家蛊师(ひゃっかこし)(かお)虚偽(きょぎ)()みが()かび、(ふく)みのある強硬(きょうこう)さを()びている。


方源(ほうげん)彼等(かれら)()()われ天幕(てんまく)(もど)された。


天幕(てんまく)(なか)灯火(ともしび)(とも)されている。


東西(とうざい)両壁(りょうへき)に各々(おのおの)寝台(しんだい)二基(にき)()かれ、白凝冰(はくぎょうひょう)結跏趺坐(けっかふざ)して修行(しゅぎょう)(ちゅう)真元(しんげん)消費(しょうひ)して空竅(くうきょう)洗練(せんれん)していた。


方源(ほうげん)(はい)って()(おと)()きつけると、彼女(かのじょ)(まぶた)(ひら)いて()()いを()げかけた。


方源(ほうげん)一瞥(いちべつ)寝台(しんだい)(たお)()む:「凝冰(ぎょうひょう)(はや)()ろ。随分(ずいぶん)(つか)れさせたな。もうすぐ同胞(どうほう)合流(ごうりゅう)できるぞ」


(こえ)(じょ)曖昧(あいまい)になり、最後(さいご)言葉(ことば)()()じ、寝息(ねいき)だけが(のこ)った。あたかも(すい)()ちたかのようだ。


白凝冰(はくぎょうひょう)(ひとみ)(かす)かに収縮(しゅうしゅく)した。


彼女(かのじょ)理解(りかい)した――方源(ほうげん)演技(えんぎ)だと。この不自然(ふしぜん)発言(はつげん)盗聴(とうちょう)監視(かんし)用蛊虫(ようこちゅう)への警戒(けいかい)(ただ)(まえ)短時間外出(たんじかんがいしゅう)からも、夜間脱走(やかんだっそう)絶望的(ぜつぼうてき)なほどの厳重警備(げんじゅうけいび)判明(はんめい)した。


この思考(しこう)(いた)り、胸中(きょうちゅう)危惧(きぐ)()()がる。


自身(じしん)三転頂峰(さんてんちょうほう)ながら、蛊虫(こちゅう)(しつ)(とも)わず戦闘力(せんとうりょく)不足(ふそく)


この陣営(じんえい)には――百家族長(ひゃっかぞくちょう)四转蛊师(してんこし)頂点(ちょうてん)に、三转家老(さんてんかろう)()六名(ろくめい)、そして数多(あまた)二转蛊师(にてんこし)存在(そんざい)するのだ。


(ひと)俎板(まないた)となり(われ)魚肉(ぎょにく)」――(いま)状況(じょうきょう)(まさ)にその(ごと)し。百家寨(ひゃっかさい)正派(せいは)とはいえ、(たから)あれば(いのち)()とし、()わねば(とり)()ぬ。いったん膨大(ぼうだい)利益(りえき)(から)めば、口封(くちふう)じの殺人(さつじん)(まぬが)れまい。


白凝冰(はくぎょうひょう)()っている。方源(ほうげん)()蛊虫(こちゅう)軒並(のきな)逸品(いっぴん)ぞろいだと。(こと)天元宝蓮座(てんげんほうれんざ)血頭盖蛊(けっとうがいこ)露見(ろけん)すれば、百家(ひゃっか)貪欲(どんよく)(かなら)(まね)く。


(いま)()()さないのは、方源(ほうげん)存在(そんざい)せぬ古月(こげつ)同族(どうぞく)(たて)虚勢(きょせい)()り、当座(とうざ)瞞着(まんちゃく)成功(せいこう)したためだ。


数日後(すうじつご)古月勢(こげつぜい)到着(とうちゃく)()ければ嫌疑(けんぎ)(まぬが)れず。その(とき)(ほう)(はく)両人(りょうにん)袋小路(ふくろこうじ)()()められれば、事態(じたい)致命的(ちめいてき)(あや)うい。


「どう打開(だかい)するか…?」白凝冰(はくぎょうひょう)(かす)かに(まゆ)(ひそ)め、()かいの方源(ほうげん)()る。


方源(ほうげん)横向(よこむ)けに寝転(ねころ)がり、背中(せなか)()けている。息遣(いきづか)いは平穏(へいおん)かつ均等(きんとう)で、本物(ほんもの)睡眠(すいみん)そのものだ。


「よくもまあ平然(へいぜん)と!」白凝冰(はくぎょうひょう)は[フン]と(ひや)やかに吐息(といき)し、内心(ないしん)苛立(いらだ)ちつつも無力感(むりょくかん)(おぼ)える。


翌日(よくじつ)


(かぜ)(やわ)らぎ()(うら)らかに、陽光(ようこう)(さん)たりと(かがや)く。


三度(さんど)太鼓(たいこ)()(ひび)き、百家族長(ひゃっかぞくちょう)族人(ぞくじん)召集(しょうしゅう)した。


本日(ほんじつ)より七曜(しちよう)連日(れんじつ)(わた)年例(ねんれい)狩猟大比(しゅりょうおおいあ)わいが(はじ)まる!各々(おのおの)の実力(じつりょく)(しめ)(とき)だ。定例(ていれい)により、上位入賞者(じょういに入賞者)には厚賞(こうしょう)(あた)えん!(しか)(のち)(おも)存分(ぞんぶん)勇武(ゆうぶ)(あら)わせ!」


百家族長(ひゃっかぞくちょう)采配(さいはい)一振(ひとふ)りすると、砦門(とじょうもん)(ひら)かれた。(むし)(いき)ほど()()びた蛊师(こし)たちは、(あふ)れんばかりの(いきお)いで殺到(さっとう)した。


(またた)く間に各所(かくしょ)山林(さんりん)()()まれ、蹤影(しょうえい)()()()った。


先刻(せんこく)喧噪(けんそう)(うそ)のように陣営(じんえい)全体(ぜんたい)(ひら)け、(うつ)ろな静寂(せいじゃく)()()いた。


方正(ほうせい)賢姪(けいてい)(よる)安眠(あんみん)されたかな?」百家族長(ひゃっかぞくちょう)()り返り、笑顔(えがお)(くず)さず方源(ほうげん)(はな)しかける。


方源(ほうげん)拱手(きょうしゅ)して(れい)す:「族長(ぞくちょう)厚情(こうじょう)深謝(しんしゃ)臥所(ふしど)()けば(ただ)ちに(すい)()ち、覚醒(かくせい)せし(とき)(すで)天明(てんめい)でござった」


「はっはっは」女族長(おんなぞくちょう)(かた)をポンと(たた)き、慈愛(じあい)()ちた仕草(しぐさ)()う:「狩猟大比(しゅりょうおおきそい)(くわ)わってみよか?古月(こげつ)男児(だんじ)勇姿(ゆうし)拝見(はいけん)したいわい」


方源(ほうげん)(かお)困惑(こんわく)(いろ)()かぶ:「慙愧(ざんき)(いま)重傷(じゅうしょう)後遺(こういき)修爲(しゅうい)三転(さんてん)より()ち、(さいわ)一族(いちぞく)手当(てあて)一命(いちめい)(ひろ)いしも、(いま)一転中階(いってんちゅうかい)でして」


()われる(まえ)より、(かれ)一転(いってん)気配(けはい)一目瞭然(いちもくりょうぜん)であった。


「その(てん)賢姪(けいてつ)よ、ご心配(しんぱい)なく」百家族長(ひゃっかぞくちょう)(かる)()()つと、(そば)蛊师(こし)献上品(けんじょうひん)のように(てのひら)(ころ)がした――指先(ゆびさき)ほどの大き(おおき)さの球状(きゅうじょう)()を。


方源(ほうげん)はその()()心中(しんちゅう)冷笑(れいしょう)(はし)るが、眼差(まなざ)しには熱意(ねつい)(みなぎ)った:「ではお言葉(ことば)(あま)えます」






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