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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第十六節:方源泣かず

百陌行ひゃくはくこう今年ことしすでに六十八歳ろくじゅうはっさいである。


この年齢ねんれいであれば、とっくに引退いんたいしているべきだ。しかし百家寨ひゃっかさい近年きんねん状況じょうきょうかんばしくなく、かれ族長ぞくちょう叔父おじとして、家老かろう重臣じゅうしんたる立場たちばで、骨身ほねみしまずはたらき、職務しょくむまっとうしつづけてきたため、せなかった。まさに一族いちぞく存亡そんぼうかる重要じゅうよう局面きょくめんにおいて、かれ使命しめいけて隠居いんきょから復帰ふっきし、行軍中こうぐんちゅう不意ふい二人ふたり蛊師こし気配けはい察知さっちした。


「まさか魔道まとう蛊師こしではあるまいな…?」


今次こんじ作戦さくせん百家ひゃっかにとって重大じゅうだい意味いみち、失敗しっぱいゆるされない。かれ即座そくざたいひきいて急行きゅうこうした。


「まさか二人(ふたり)少年(しょうねん)か?」方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)()にした百陌行(ひゃくはくこう)(こころ)(おどろ)きが(はし)る。


視界(しかい)(はら)い、最初(さいしょ)白凝冰(はくぎょうひょう)存在(そんざい)視点(してん)固定(こてい)される。


(つめ)たい(しも)をまとったような顔付(かおつ)きで、(あお)双瞳(そうどう)百陌行(ひゃくはくこう)(かす)とも躊躇(ちゅうちょ)せず直視(ちょくし)——三転(さんてん)気配(けはい)(あき)らかに流露(りゅうろ)していた。


()くも若年(じゃくねん)(すで)三転(さんてん)修爲(しゅうい)とは——天才(てんさい)か!」百陌行(ひゃくはくこう)ばかりか、同行(どうこう)三人(さんにん)白凝冰(はくぎょうひょう)凝視(ぎょうし)し、(おな)思考(しこう)脳裏(のうり)(かす)めた。


瞬時(またたき)(うち)四対(よつたい)視線(しせん)一点(いってん)集中(しゅうちゅう)する。


白凝冰はくぎょうひょう女体にょたい転化てんかした容姿ようし清麗せいれいで、冷徹れいてつ気配けはいまとい、氷雪ひょうせつ仙子せんしごと風貌ふうぼうだった。多少たしょう狼狽ろうばいしていようとも、真珠しんじゅごとかがやきはかすみもせず、むし不屈ふくつ気性きしょうたせて、ひとをして嘆賞たんしょうせしめた。


それにくらべ、彼女かのじょ背後はいご方源ほうげんまった見劣みおとりする。


方源ほうげん容貌ようぼう平凡へいぼんで、修爲しゅうい一転いってんぎない。多く(おおく)の視線しせんかれかすめて、ふたた白凝冰はくぎょうひょうへともどっていく。


方源ほうげんむしろこの状況じょうきょう歓迎かんげいしていた――むしろ注目ちゅうもくされないことをねがってやまないのだ。


だが百陌行ひゃくはくこうだけはちがった。


またたもなく、かれ視線しせん方源ほうげんへとうつる。


白凝冰はくぎょうひょう方源ほうげんかばうようにていし、決死けっしかまえだ。一方いっぽう方源ほうげんは、彼女かのじょ背後はいごりながらも、眼差まなざしは静謐せいひつたもっていた。


「あの天才少女てんさいしょうじょ必死ひっしまもろうとする若者わかもの、この二人組ふたりぐみ首領しゅりょうたるかれ如何様いかさまなる人物じんぶつだ?」百陌行ひゃくはくこう流石さすがとしいてあやし、眼光がんこう苛烈かれつきわまっていた。


当初とうしょかれ二人ふたり魔道蛊师まとうこし断定だんていしていたが、いま内心ないしん躊躇ためらいがしょうじる。


白凝冰はくぎょうひょう方源ほうげんかまえ、そして正道様式せいどうようしき厳守げんしゅした蛊师服こしふくるに、むし落難らくなん名家御曹司めいけおんぞうし という印象いんしょういだかせたのだ。


魔道蛊师まとうこしならころせばむ。だが名家めいか後継者こうけいしゃならべつだ。背後はいご勢力せいりょくから報復ほうふくまねいて百家寨ひゃっかさいわざわいをおよぼせば、百陌行ひゃくはくこうこの一族いちぞくに対する罪人つみびととなる!さいわちからかたにあり、局面きょくめん手中しゅちゅうおさめている」


百陌行(ひゃくはくこう)思量(しりょう)(めぐ)らせる(なか)方源(ほうげん)一歩(いっぽ)()()した。


拱手(きょうしゅ)(れい)()りながら()べる。「若輩(じゃくはい)古月方正(こげつほうせい)青茅山(せいぼうざん)古月族(こげつぞく)若様(わかさま)にござる。先達(せんだつ)御目(おめ)にかかる」


青茅山(せいぼうざん)だと?」


古月(こげつ)御曹司(おんぞうし)?」一同(いちどう)(くち)(そろ)えたように(おどろ)きを(かく)せない。


白凝冰(はくぎょうひょう)意外(いがい)そうだったが、()()がちにし、目付(めつ)きの(ほころ)びを(かく)した。


(さっ)した」彼女(かのじょ)方源(ほうげん)詐術(さじゅつ)(はじ)めたと理解(りかい)した。敵強(てききょう)我弱(がじゃく)(いま)智謀(ちぼう)のみが活路(かつろ)だ。


情勢(じょうせい)見透(みす)かす彼女(かのじょ)は、連日(れんじつ)(つちか)われた(かす)かな連携(れんけい)(したが)い、一歩(いっぽ)後退(こうたい)して方源(ほうげん)(かたわ)らに()つ。依然(いぜん)として(にら)()けながらも、()覚悟(かくご)した側衛姿勢(そくえいしせい)(たも)つのだった。


若造(わかぞう)(うそ)をつけ!」百陌行(ひゃくはくこう)(ひや)やかな(こえ)(とどろ)く。「青茅山(せいぼうざん)(すで)(ほろ)んだ!この()いぼれが()らぬとでも?」


方源(ほうげん)(にが)(わら)いを()かべ、両手(りょうて)(ひろ)げて(こた)えた。「(まさ)にその(ゆえ)に、此処(ここ)におるのですよ。(おそ)れながら、先達(せんだつ)御名(みな)(うけたまわ)りたく」


百陌行(ひゃくはくこう)名乗(なの)るか(いな)(まよ)っていたが、(かたわ)らの若者(わかもの)(すで)(くち)(すべ)らせていた:「()け、我等(われら)百家寨(ひゃっかさい)精鋭(せいえい)だ!此方(こなた)こそ本家(ほんけ)筆頭家老(ひっとうかろう)にして、わが叔父(おじ)――百陌行閣下(ひゃくはくこうかっか)!」


その瞬間(しゅんかん)百陌行(ひゃくはくこう)(おい)蹴殺(けっとう)したい衝動(しょうどう)()られた。


今回(こんかい)百家(ひゃっか)行動(こうどう)は大々(だいだいてき)だが、(まこと)目的(もくてき)一族上層部(いちぞくじょうそうぶ)以外(いがい)()(もの)はない。従者(じゅうしゃ)ですら(だま)されているのだ。


表向(おもてむ)きは狩猟修行(しゅりょうしゅうぎょう)による若様(わかさま)胆力鍛錬(たんりょくたんれん)だが、(しん)目的(もくてき)白骨山(はっこつさん)元泉(げんせん)位置(いち)調査(ちょうさ)初期駆除(しょきくじょ)であった。


「されど、奴等やつら推測すいそくできまい」と百陌行ひゃくはくこう方源ほうげんらを一瞥いちべつし、即座そくざ平静へいせいもどした。


たして百家ひゃっかか」方源ほうげん心中しんちゅう冷笑れいしょうする。


人の蛊师こしあらわれたときから、大凡おおよそ推測すいそくいていた。


百家ひゃっか元泉げんせん枯渇こかつ寸前すんぜんであり、あたらしい元泉げんせんさがして遷徙せんしせねばならないのだ。


家族迁徙かぞくせんし重大事じゅうだいごとで、準備作業じゅんびさぎょう多岐たきわたる。同時どうじ機密保持きみつほじ必須ひっすだ。


敵対勢力てきたいせいりょくられれば破壊工作はかいこうさくまととなり、百家ひゃっか族滅ぞくめつ危険きけんさらされる。


ただ方源ほうげん予想よそうえたのは、百家族長ひゃっかぞくちょうくも遠謀深慮えんぼうしんりょであったてんだ。十年前じゅうねんまえよりすで準備じゅんび開始かいし族員ぞくいん白骨山はっこつさん頻繁ひんぱん派遣はけんし、調査ちょうさかさねさせていたのだ。


百家(ひゃっか)将来(しょうらい)興盛(こうせい)は、(じつ)()(かな)っている。


百家蛊师(ひゃっかこし)出現(しゅつげん)方源(ほうげん)(すこ)(おどろ)かせた。これは間違(まちが)いなく(かれ)()後の行動(こうどう)甚大(じんだい)影響(えいきょう)(およ)ぼすだろう。


だが顔面(がんめん)には適切(てきせつ)微笑(ほほえ)みを()かべ、拱手(きょうしゅ)して「お()それいたしました。百家寨(ひゃっかさい)御同門(ごどうもん)とは!」と()う。


()り返り白凝冰(はくぎょうひょう)()げた:「凝冰(ぎょうひょう)()け。百家寨(ひゃっかさい)魔道(まとう)では()い」


その(やさ)しく(やわ)らかい口調(くちょう)()き、白凝冰(はくぎょうひょう)全身(ぜんしん)鳥肌(とりはだ)()つほどだった。


内心(ないしん)不快感(ふかいかん)(おさ)戦意(せんい)(おさ)め、(さら)一歩(いっぽう)退(しりぞ)き、沈黙(ちんもく)(たも)った。この行動(こうどう)(たい)する()人の蛊师(こし)(おも)わず安堵(あんど)(いき)()いた。


無論(むろん)――白凝冰(はくぎょうひょう)三转蛊师(さんてんこし)だ。それも頂点(てんてん)の。


「その(むすめ)()凝冰(ぎょうひょう)か……」百陌行(ひゃくはくこう)(おい)(こころ)()(かえ)し、眼差(まなざ)しが(すこ)()けた。


百陌行(ひゃくはくこう)()(ほそ)めて(さぐ)るように()った:「どうやら古月賢兄(こげつけんけい)道中(どうちゅう)魔道中人(まとうちゅうじん)()われたと?」


()れ。(いま)思い(かえ)しても(かす)かに胸騒(むなさわ)ぎがする」方源(ほうげん)(むね)(かる)(たた)き、()(なか)畏怖(いふ)(いろ)(にじ)んだ。「だが(さいわ)族長殿(ぞくちょうどの)家老衆(かろうしゅう)()()け、かの三转蛊师(さんてんこし)(ちゅう)して(くだ)さった」



族長(ぞくちょう)と、家老(かろう)たちが……」百陌行(ひゃくはくこう)(むね)が「ガクッ」と()れ、(あわ)てて()う。「まさか古月一族(こげついちぞく)族長(ぞくちょう)家老衆(かろうしゅう)(ちか)くに?」


方源(ほうげん)(くび)()り、(なげ)いた:「本隊(ほんたい)とはぐれてしまいましてな」


百陌行(ひゃくはくこう)胸中(きょうちゅう)重荷(おもに)()ろした。


すると方源(ほうげん)(つぎ)一言(ひとこと)(かれ)心臓(しんぞう)(ふたた)宙吊(ちゅうづ)りにした。「しかし(おそ)くとも(ちか)いうちに再会(さいかい)できるでしょう。(なん)せ我々(われわれ)の目的地(もくてきち)は——白骨山(はっこつさん)ですから」


白骨山(はっこつさん)だと!?」百陌行(ひゃくはくこう)(のど)()がる。「(なん)(よう)で?」


「それは…」方源(ほうげん)意図的(いとてき)(くち)ごもり、明言(めいげん)()けた。


百陌行(ひゃくはくこう)(ひえ)たい(ふん)(ごえ)(とも)に、不吉(ふきつ)な答え(こたえ)が脳裏(のうり)()かび()がった。


青茅山せいぼうざんほろんだ以上いじょう古月族こげつぞく残党ざんとうさきおこなうべきはなんか?うまでもなくじん再建さいけんすること!


「まさか奴等やつら白骨山はっこつさんえらんだのか?のろわしい!」一瞬いっしゅんにして百陌行ひゃくはくこうこころはげしい殺意さついがる。


もしかれ推測すいそくただしければ、青茅山軍せいぼうざんぐん百家ひゃっかてきでしかない。


しかしもなく殺意さついころした。


かれすでいて、若者わかものごと衝動的しょうどうてきではない。


老獪ろうかい処理しょりつね堅実けんじつむねとする。


気持きもちをけてかんがなおせば、即座そくざ二人ふたり殺害さつがいしてもおそらく無駄むだだとさとった!


彼等(かれら)殺害(さつがい)しても、青茅山(せいぼうざん)残党(ざんとう)白骨山(はっこつさん)来襲(らいしゅう)するのを(はば)めない。それどころか事態(じたい)悪化(あっか)させ、()(さき)強敵(きょうてき)創出(そうしゅつ)する結果(けっか)となる。


そしてその(てき)は――根城(ねじろ)()いものの強力(きょうりょく)だ。古月家(こげつけ)若様(わかさま)()ったでは()いか?「本隊(ほんたい)族長(ぞくちょう)家老衆(かろうしゅう)がいる」と。(さら)警戒(けいかい)すべきは、これらの(もの)死地(しち)(おちい)れば死兵(しへい)()して(たたか)うことだ。


(つぎ)に、(いま)(ただ)ちに()(くだ)したとしても、凝冰(ぎょうひょう)という少女(しょうじょ)(まぎ)れも()三转(さんてん)だ。こちらは優勢(ゆうせい)だが確実(かくじつ)損耗(そんもう)()す。


(さら)に、この(よう)重大事(じゅうだいごと)(おのれ)独断(どくだん)()めるべきでは()い。族長(ぞくちょう)(とお)くでは()いのだ。其方(そち)(あお)ぎを(うけたまわ)るのが妥当(だとう)だろうか?


百陌行(ひゃくはくこう)はここまで思索(しさく)し、方源(ほうげん)たち二人(ふたり)(なだ)めることを決心(けっしん)した。



「これは奇遇(きぐう)だ!」百陌行(ひゃくはくこう)熱意(ねつい)()ちた笑顔(えがお)(つく)る。「賢兄(けんけい)よ、()百家(ひゃっか)本隊(ほんたい)(ちか)くで毎年恒例(まいとしこうれい)大狩猟祭(だいしゅりょうさい)(もよお)しておる。我々(われわれ)は半分(はんぶん)地元(じもと)(もの)、ぜひ賓客(ひんきゃく)として地主的義理(じぬしてきぎり)()くさせてくだされ」


「それは…」方源(ほうげん)(ふたた)芝居(しばい)躊躇(ちゅうちょ)する。


是非(ぜひ)(ひつじ)(あし)丸焼(まるや)きは天下一品(てんかいいっぴん)ぞ!」百陌行(ひゃくはくこう)(おい)(くち)()えたが、視線(しせん)凝冰(ぎょうひょう)()()いたままだ。


方源(ほうげん)(はら)をさすり、困惑(こんわく)欲求(よっきゅう)()()じった表情(ひょうじょう)(つく)る。


百陌行(ひゃくはくこう)()鋭光(えいこう)(はし)り、豪快(ごうかい)(わら)う:「ためらっておられるな。そうされねば老夫(ろうしゅ)面目(めんもく)(つぶ)すことになるぞ!」


方源(ほうげん)はようやく(こし)()り:「ではお言葉(ことば)(あま)えて、貴家(きか)にお邪魔(じゃま)する所存(しょぞん)でござる」


……


広壮(こうそう)天幕(てんまく)(なか)宴席(えんせき)展開(てんかい)された。


方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)は各々(おのおの)一人前(いちにんまえ)食案(しょくあん)(あた)えられ、隣接(りんせつ)して着座(ちゃくざ)している。


数名(すうめい)家老(かろう)対面(たいめん)(すわ)り、上座(かみざ)には百家族長(ひゃっかぞくちょう)鎮座(ちんざ)する。


天幕(てんまく)頂部(ちょうぶ)撤去(てっきょ)()みで、碧天(へきてん)(のぞ)く。中央(ちゅうおう)では小羊(こひつじ)丸焼(まるや)きが(ほのお)(うえ)焦褐色(こっかくしょく)(かがや)き、芳醇(ほうじゅん)なる脂香(しこう)天幕内(てんまくない)に立ち()め、肉汁(にくじゅう)(すみ)(うえ)に[ジュージュー]と(したた)っていた。


「さあ、(あし)(にく)こそ(もっと)(やわ)らかうござる。遠方(えんぽう)賓客(ひんきゃく)よ、(こころ)おきてご賞味(しょうみ)あれ」百家族長(ひゃっかぞくちょう)(あつ)(まね)く。


彼女(かのじょ)中年(ちゅうねん)女杰(じょけつ)であった。手振(てぶ)りで(めい)ずると、(ひつじ)()家僕(けぼく)が切り()けた脚肉(きゃくにく)をまず方源(ほうげん)献上(けんじょう)し、(つづ)いて(ぎん)大皿(おおざら)()せた二本目(にほんめ)白凝冰(はくぎょうひょう)(まえ)()()す。


湯気(ゆげ)()てる羊腿(ようたい)――方源(ほうげん)一咬(ひとか)じすると、サクサク、(こう)ばしく、(やわ)らかき(さい)(きわ)み。蜂蜜(はちみつ)やクミンの香辛料(こうしんりょう)()えれば、絶妙(ぜつみょう)なる(あじ)わいとなること必定(ひつじょう)であった。


「まさしく人間(にんげん)絶味(ぜつみ)草裙猴脳(そうくんこうのう)にも()けを()らぬ」口数(くちかず)(すく)ない白凝冰(はくぎょうひょう)ですら(くち)(ひら)いて感嘆(かんたん)した。


賓客(ひんきゃく)御満悦(ごまんえつ)(いた)だきこそ、主人(しゅじん)本望(ほんもう)百陌行(ひゃくはくこう)哄笑(こうしょう)する。


方源(ほうげん)()(すす)(うち)(なみだ)がこぼれ()ちた。


一同(いちどう)(おどろ)(なか)百家族長(ひゃっかぞくちょう)(いそ)いで()う:「方正(ほうせい)賢兄(けんけい)何故(なにゆえ)落涙(らくるい)?」


(しょく)絶妙(ぜつみょう)(こころ)()たれつつも、凝冰(ぎょうひょう)(とも)明日(あす)()れぬ逃避行(とうひこう)(おも)い、(ころも)(からだ)(かく)せず(しょく)(はら)()たせぬ同胞(どうほう)艱難(かんなん)(おも)い、感無量(かんむりょう)()(がた)く、どうか御赦(おゆる)しを」方源(ほうげん)()()がり拱手(きょうしゅ)する。


家老衆(かろうしゅう)(かお)()()わせ吐息(といき)()れ、百家族長(ひゃっかぞくちょう)()()ける:「古月(こげつ)遭難(そうなん)(たい)し、衷心(ちゅうしん)より哀悼(あいとう)します。賢兄(けんけい)青茅山(せいぼうざん)にはいったい(なに)()きたのか?」





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