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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第十五節:トン!

白骨山はっこつさんついくか」小高こだかおかうえ方源ほうげん遠方えんぽうしろ山峰さんぽうながめながら感嘆かんたんこえらした。


かたわらに白凝冰はくぎょうひょう黙然もくぜんっている。


二人ふたりとも衣類いるいはぼろぼろ、顔中かおじゅう疲労ひろういろかんでいた。


ただいま鋼鉄豚こうてつとん人家族にんかぞく追撃ついげきかろうじてったばかりだった。


鋼鉄豚こうてつとん特異とくい獣群じゅうぐんで、個体数こたいすうすくなく、通常つうじょう家族単位かぞくたんい行動こうどうし、成員せいいん十頭じゅっとうえない。だが成獣せいじゅう最低さいていでも百獣王ひゃくじゅうおうだ!


方源ほうげんたちをってきた五頭ごとうは――


祖父母豚そふぼとんすで千獣王せんじゅうおう父母豚ふぼとん百獣王ひゃくじゅうおう子豚こぶたたちにいたってはからだ一転蛊いってんこ寄生きせいされていた。


猴児酒こうじしゅ奪取だっしゅからさら五日いつかぎ、苛酷かこく道程みちのりて、白骨山はっこつさん遠望えんぼう可能かのうとなる。


南疆なんきょう広闊こうかつ山岳さんがくが多く、普通ふつう丘陵きゅうりょうやましょうするにあたいしない。すくなくとも千丈せんじょうえるたかさではじめてやまる。


白凝冰はくぎょうひょうさかうえち、凝視ぎょうしして遠方えんぽうえた。


彼女かのじょ白骨山はっこつさん目視もくしするのははじめてだった。


青茅山せいぼうざん周辺しゅうへん小高こだかおかしたがえているが、この白骨山はっこつさん孤高ここう将軍しょうぐんのごとく、周囲しゅうい地形ちけいきわめてゆるやかだ。からし、くもつらぬいてそびさま不気味ぶきみ無彩色むさいしょくだった。


このしろゆきしろではなく、ほねしろであった。


白骨山はっこつさん、そのしめごとく、やま一石一石いっせきいっせき骨質こつしつだ。人々(ひとびと)はこれらを骨石こついしともしょうする。


白骨山はっこつさん領域りょういきではい。特殊とくしゅ植生しょくせい繁茂はんもし、数多あまた骨獣こつじゅう棲息せいそくし、さら骨系ほねけい野生蛊虫やせいこちゅうすくなからず存在そんざいするのだ。


白凝冰はくぎょうひょう凝視ぎょうしするうち眉間みけんしわせた。


およ高山こうざん大川たいせん精気せいき集結地しゅうけつちである。白骨山はっこつさんひと気配けはいく、完全かんぜんに人の気配なしの原生状態げんせいじょうたいだ。やま数多あまた野獣やじゅう蛊虫こちゅう致命植物ちめいしょくぶつ跋扈ばっこする。危険度きけんど確実かくじつ青茅山せいぼうざんより格段かくだんうえである。一体いったい方源ほうげん執着しゅうちゃくしてやま奥深おくふかくへもうとする目的もくてきとはなにか?


或いは――何者なにものかがかれくも強烈きょうれつせているのか?


方源ほうげんいまおもいにふけっている。


白骨山はっこつさん現時点げんじてんではいま荒山こうざんであり、人煙じんえんい。だがこの状況じょうきょうは、十年後じゅうねんごには劇的げきてき変容へんようする。


百家寨ひゃっかさい名乗なの大規模だいきぼ山寨さんさい全族挙ぜんぞくあげて移住いじゅうし、発展はってんげるだろう。


百家ひゃっか氏族しぞくは、白骨山はっこつさんかくとして半径はんけい数千里すうせんり勢力せいりょく放射ほうしゃし、此処ここ覇者はしゃとなるのだ。


方源ほうげんが最も強烈きょうれつ記憶きおくしているのは、百家寨ひゃっかさい勢力拡大せいりょくかくだいではない。このでは個人こじんちから集団しゅうだん凌駕りょうがるからだ。


まことかれ脳裏のうりきざまれているのは――百家寨ひゃっかさい双子ふたご兄妹きょうだいである。


百生はくしょう百花ひゃっか



その双子ふたご兄妹きょうだいは、十八歳じゅうはっさいとし白骨山はっこつさん裏山うらやま試合しあいをするうち、あやまって洞窟どうくつ発見はっけんした。


その洞窟どうくつ彼等かれらたのは――正派せいは四転蛊师してんこしのこした完全かんぜんなる伝承でんしょうである。


蛊师こし不詳ふしょうだが、称号しょうごうだけがつたわっている――『肉骨上师にくこつじょうし』と。


百生はくしょう百花ひゃっかはこれにえくし、伝承でんしょういだのち正道双星せいどうそうせいへと成長せいちょうした。百年ひゃくねんずして双方そうほう五転蛊师ごてんこし昇格しょうかくし、百家寨ひゃっかさい采配さいはいるにいたっている。


両人りょうにん五転蛊师ごてんこしちから家族勢力かぞくせいりょく頂点ちょうてんへとみちびいたのだ。


完全(かんぜん)なる伝承(でんしょう)には(かなら)ずや攻撃(こうげき)治療(ちりょう)防御(ぼうぎょ)移動(いどう)貯蔵(ちょぞう)偵察(ていさつ)六領域(ろくりょういき)蛊虫(こちゅう)(ふく)まれている。これを()れば(われ)()つべき()()進退(しんたい)自在(じざい)となる」


以前(いぜん)青茅山(せいぼうざん)から遁走(とんそう)した方源(ほうげん)たちは、修為(しゅうい)蛊虫(こちゅう)不足(ふそく)していて、あたかも(あらし)(うみ)(わた)小舟(こぶね)断崖(だんがい)(ふち)(ある)くが(ごと)きものだった。(うん)(すこ)しでも(わる)ければ落下(らっか)(まぬが)()ない危険(きけん)状態(じょうたい)だ。


流転(るてん)困窮(こんきゅう)()(のち)重傷(じゅうしょう)魔道女蛊師(まとうおんなこし)(ころ)し、彼女(かのじょ)()(うば)って飯袋草蛊(はんたいそうこ)跳跳草蛊(ちょうちょうそうこ)()にした(とき)(かろう)じて生存(せいぞん)基盤(きばん)(きず)かれた。


しかし依然(いぜん)として欠陥(けっかん)(のこ)されている。


治療蛊ちりょうこ欠如けつじょのみならず、修為しゅういそのものがいちじるしくひくいからだ。


たと方源ほうげん一轉中階いってんちゅうかい昇格しょうかくしたとて、なん意味いみがあるというのか? 結局けっきょく青銅真元せいどうしんげん所詮しょせん青銅せいどうぎない。


現在げんざいかれたよれるのは、甲等こうとう資質ししつと、天元宝蓮座てんげんほうれんざによる真元回復しんげんかいふく即応性そくおうせいのみ。かろうじて局面きょくめん対応たいおうしている状態じょうたいだ。


実戦能力じっせんのうりょく厳密げんみつ評価ひょうかすれば、微々(びび)たるもの。白凝冰はくぎょうひょうがいなければ、川岸かわぎしで立ち往生おうじょうしたさいわにはら惨死ざんししていただろう。


此処ここまで辿たどけたのも、白凝冰はくぎょうひょうちからるところがおおきい。


されど――他者依存たしゃいそんおのれたのむにかず。


白骨山はっこつさん伝承でんしょうれば、諸問題しょもんだい大半たいはん解決かいけつされよう」と方源ほうげん心中しんちゅうねんじた。


ずは玉骨蛊ぎょっここである。れば、全身ぜんしん骨格こっかく凡胎俗骨ぼんたいぞくこつ脆弱ぜいじゃくさから脱却だっきゃくし、かた強靭きょうじんとなる。現状げんじょうかれからだるのは二猪にちょちからのみだが、玉骨蛊ぎょっここ併用へいようすればさら一鳄いちがくちから増加ぞうかできる。


いで治療蛊ちりょうこ——伝承でんしょうなか著名ちょめい三转治療蛊さんてんちりょうこ肉白骨にくはっこつ”が存在そんざいすることを方源ほうげん記憶きおくしている。前世ぜんせでは百花ひゃっかがこれを彼女かのじょ著名ちょめい治療蛊师ちりょうこしへとげた。


最後さいごに、方源ほうげん最重視さいじゅうしする“骨肉团圆蛊こつにくだんえんこ”。


この肉骨上師にくこつじょうし独自開発どくじかいはつした特異種とくいしゅであり、あましたただひとつだけの存在そんざいだ。その妙用非凡みょうようひぼんなる機能きのう前世ぜんせにおいて南疆なんきょう諸勢力しょせいりょく警戒けいかいさせた。


作用さよう分類ぶんるいすれば、蛊虫こちゅうおおむ七種しちしゅ大別たいべつできる:


第一だいいち攻撃蛊こうげきこ


第二だいに防御蛊ぼうぎょこ


第三だいさん治療蛊ちりょうこ


第四だいよん偵察蛊ていさつこ


第五だいご貯蔵蛊ちょぞうこ


第六だいろく移動蛊いどうこ


第七だいしち修行蛊しゅぎょうこ


酒虫しゅちゅう四味酒虫しみしゅちゅうも、人獣葬生蛊じんじゅうそうせいこ舎利蛊しゃりこも、あるいは天元宝蓮座てんげんほうれんざですら、ことごと修行蛊しゅぎょうこ区分くぶんされるのだ。


この骨肉團圓蛊こつにくだんえんこ修行类しゅぎょうるいぞく異種いしゅである。


陰陽轉身蛊いんようてんしんこ同様おなじく、ついとなったで、ふたり蛊師こしに別々(べつべつ)に作用さようする。両者りょうしゃ共修ともしゅすれば、修爲しゅういそろってすすみ、労少ろうすくなく功多こうおおしとなるのだ。


骨肉團圓蛊こつにくだんえんこ白凝冰はくぎょうひょうちからりれば、修為しゅういかなら飛躍的ひやくてき躍進やくしんする。三转さんてん以降いこう驚異的きょういてき速度そくど増長ぞうちょうする。特に初期しょき酒虫しゅちゅうよりもはるかに効果的こうかてきだ——かなら手中しゅちゅうにする」


そうおもいたるや、方源ほうげんかすかに目尻めじり白凝冰はくぎょうひょうはしらせた。


よしもない白凝冰はくぎょうひょうは、依然いぜんとして白骨山はっこつさんながつづけていた。


方源ほうげん心中しんちゅう冷然れいぜんわらい、出発しゅっぱつせんとした瞬間しゅんかんいくつかのかげ疾走しっそうして飛来ひらいした。


「ん?正派せいは蛊師こしだ!」方源ほうげん白凝冰はくぎょうひょう両者りょうしゃとも心臓しんぞうけられる衝撃しょうげきけた。


総勢そうぜい四名よんめい蛊師こし急速きゅうそく接近せっきんし、百歩ひゃっぽ距離きょりち、二人ふたりへとあるってくる。


先頭せんとう老蛊師ろうこしからは明瞭めいりょう三転さんてん気圧きあつはなたれている。ほか三人さんにん二转にてんだ。


統一とういつされた装束しょうぞく完璧かんぺき連携動作れんけいどうさ精悍せいかん気配けはい


「こんなひと山奥やまおくに、正派せいは蛊師こしあらわれるとは?」


蛊師こし野獣やじゅう次元じげんちがう。わたし三転頂点さんてんちょうてんだが――鋸歯金蜈蚣きょしきんごこうにぶり、さら方源ほうげんというあし存在そんざいもいる。彼等かれら相手あいてにはなるまい……厄介やっかいなことにった」


四人よにん蛊師こし一歩一歩いっぽいっぽなか二人ふたり心臓しんぞうしぼおもいだった。


……


黄昏たそがれ


地平線ちへいせんしずのようにあかく、帰巣きそうするからすが[カーカー]ときながらもどる。


鉄傲天てつごうてん冷徹れいてつ面持おももちで一行いっこう中央ちゅうおうあるく。


青茅山せいぼうざんったとき仲間なかま八人やつ全員ぜんいん族中ぞくちゅう精鋭せいえいだった。だがいまはわずか三人さんにんだけになっている。


道中どうちゅうでの犠牲ぎせいおもたびむねめつけられる。


損耗そんもう甚大じんだいだ!


まったくもって予想よそうえている。


修为しゅうい不足ふそくではなく、ただうんわるすぎただけなのだ――


黄龍江こうりゅうこう追跡ついせき開始かいし――白凝冰はくぎょうひょう方源ほうげん痕跡こんせきさがてたのち彼等かれら黄龍江こうりゅうこういかだ下流かりゅう漂流ひょうりゅうした。


しかし急流きゅうりゅう黄龍江こうりゅうこう痕跡こんせきのこがたく、偵察蛊ていさつこ駆使くしする追跡ついせき達人たつじんようするてつ一隊いったいすらも、ながれにぎてしてしまった。


遡上そじょうし、ときついやして辿たどいたのは、方源ほうげんたちのいかだ座礁ざしょうした地点ちてんだった。


そこから災難さいなんはじまった。


膨大ぼうだい六足鰐群ろくそくわにぐん襲撃しゅうげきけたのだ。


まったくもって不運ふうんなことに、この浅瀬あさせ六足鰐ろくそくわにたちの産卵地さんらんちだったのだ。方源ほうげん徹底的てっていてき破壊はかいされた結果けっか、元々(もともと)この占領せんりょうしていたむれほろびた。


獣群間じゅうぐんかんにも勢力圏せいりょくけん存在そんざいする。空白地帯くうはくちたいとなったこの領域りょういきは、周辺しゅうへん複数ふくすう六足鰐群ろくそくわにぐん注意ちゅういいた。


まさに彼等かれら勢力せいりょく拡大かくだいしようとしていた矢先やさき――鉄家てっか追跡隊ついせきたい上陸じょうりくしたのだった。


野獣やじゅう縄張なわば意識いしき侵害しんがい断固だんことしてゆるさない。二組ふたくみ千獣群せんじゅうぐん三組みくみ百獣群ひゃくじゅうぐん包囲攻撃ほういこうげきなか鉄家てっか追跡隊ついせきたい二人ふたりうしな痛手いたでこうむり、逃走とうそう余儀よぎなくされた。


方源ほうげん痕跡処理こんせきしょり玄人くろうとじみた手際てぎわさで、彼等かれら追跡調査ついせきちょうさ有効ゆうこう進展しんてんられないままだった。


蛊虫こちゅう支援しえんようや方源ほうげんたちの進行方向しんこうほうこうめた途端とたん——


色彩しきさい悪夢あくむそそいだ。


一頭いっとう軒猿神鶏げんえんしんけいてんよりり、彼等かれら食糧しょくりょうみなしておそかった。


まどった全過程ぜんかてい鉄傲天てつごうてん脳裏のうりふかきざまれ、いま軒猿神鶏げんえんしんけい姿すがたこそが、よる悪夢あくむにうなされる元凶げんきゅうなのである。


軒猿神鶏げんえんしんけい三人さんにん仲間なかまいのちうばった。最も優秀ゆうしゅう偵察蛊师ていさつこしも、三转さんてん防御蛊师ぼうぎょこしうしなわれたのだ。


損耗そんもう絶大ぜつだいであった。


いま偵察ていさつ担当たんとうする蛊师こしは、順番じゅんばん手分てわけし、持ちまわりの代役だいやく 状態じょうたいだ。


くも深手ふかでいながら、鉄傲天てつごうてんけっしてくっしはしない。


かれ鉄家てっか四公子しこうしとしてまれ、甲等こうとう資質ししつ天授てんじゅされている。おさなころから全幅ぜんぷく期待きたいになってきた。たゆまぬ鍛錬たんれんかさね、鉄一族てついちぞく血脈けつみゃくきざんだ剛毅不屈ごうきふくつさがあますところなく継承けいしょうしていた。



鉄血冷てつけつれい親子おやこ支援しえんする任務にんむこそが、かれにとっての初陣ういじんであった。


だがすくえたのはむすめ鉄若男てつじゃくなんだけ。神捕めいたんてい鉄血冷てつけつれい犠牲ぎせいとなり、理想りそうとは程遠ほどとお結末けつまつわった。


しかし血海流ちかいりゅう継承けいしょうした魔道まとう残党ざんとう捕縛ほばくし、鉄血冷てつけつれいあだてたなら――これぞ絶大ぜつだいなる成功せいこうぶに相応ふさわしい。


この功績こうせき族長ぞくちょう采配さいはい資格しかくきそ資本しほんとなり、よりおおくの族人ぞくじん支持しじ獲得かくとくするだろう。


魔道残党まとうざんとう戦力せんりょく不安ふあんい。追跡中ついせきちゅう発見はっけんした微小びしょう痕跡こんせきから、方源ほうげん白凝冰はくぎょうひょう戦闘能力せんとうのうりょくきずによる制限せいげんのため、実質じっしつ単体たんたい三転蛊师さんてんこし相当そうとう であると推定すいていしている。



仲間なかまおお喪失そうしつしたが、三转蛊师さんてんこし鉄刀苦てっとうくおなじく三转さんてんさら二转蛊师にてんこし二名にめい援護えんごもあれば、戦力せんりょく彼等かれら圧倒的あっとうてき凌駕りょうがしている。魔道残党まとうざんとう捕縛ほばくさえすれば、これまでの人的損耗じんてきそんもうこそが『不撓不屈ふとうふくつ』『断固不抜だんこふばつ』の美徳びとくとして称賛しょうさんされるだろう!」鉄傲天てつごうてんひかる。


四公子しこうし前方ぜんぽう微少びしょう痕跡こんせき発見はっけん追跡方向ついせきほうこうただしいようだ!」偵察担当ていさつたんとう蛊师こしもどしらせた。


「おお?ただちに案内あんないしろ!」


一杯いっぱいちゃもなく、ふたつの深穴ふかあなけられ、草裙猴そうくんこう死骸しがいほねやま露呈ろていした。


死亡しぼう一週間いっしゅうかん未満みまん草裙猴そうくんこうです。公子こうし、あの二人ふたりつけました!」鉄刀苦てっとうく驚喜きょうきこえらした。


鉄傲天てつごうてんふかいきむと、表情ひょうじょう俄然がぜんかがやいた!「ついにだ。大功たいこう完遂かんすいされるぞ」こぶしにぎめ、興奮こうふんしてきつもどりつする。


西にしそらあおぐと、夕焼ゆうやけがわかかおげていた。そのひとみするどひかる。


いた忍耐にんたい努力どりょくが、いまみのりをむすぼうとしているのだ!


しずみゆくが、それゆえ未来みらい希望きぼう見出みいだしているのだ……」胸中きょうちゅうふか嘆息たんそくし、突如とつじょがった衝動しょうどうさかのぼりつめ、このうつくしいときけようとする。


付近ふきん蛊师こしたちはかれ注視ちゅうしし、敬服けいふく仰慕ぎょうぼいろかべていた。


四公子(しこうし)、さすがは四公子(しこうし)!」


道中(どうちゅう)、我々(われわれ)は(あきら)めかけた。ただ四公子(しこうし)のみが(つらぬ)かれ、(いま)(つい)果実(かじつ)()んとしている」


「その御姿(みすがた)にこそ、一族(いちぞく)希望(きぼう)(かがや)前途(ぜんと)()る」


「この生涯(しょうがい)四公子(しこうし)追随(ついずい)し、(こころざし)()えぬ決意(けつい)でござる!」


数名(すうめい)鉄傲天(てつごうてん)(おか)緩緩(えんえん)(のぼ)姿(すがた)見守(みまも)るうち、(しば)恍惚(こうこつ)とした。


――明日(あす)この人物(じんぶつ)族長(ぞくちょう)()()光景(こうけい)(まぶた)()かぶ。


その刹那(せつな)――


(とどろ)爆発(ばくはつ)()()いた!


ドカーン!!!!!





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