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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔子出山
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第五節:背甲蛊と鳄力蛊

(およ)三转蛊师(さんてんこし)獣群(じゅうぐん)(せん)は、游撃戦(ゆうげきせん)(のぞ)むものだ。元石(げんせき)真元(しんげん)継続的(けいぞくてき)回復(かいふく)しながら(たたか)いを長引(ながび)かせる。白凝冰(はくぎょうひょう)正面突破(しょうめんとっぱ)がここまで()ったのは奇跡(きせき)(ちか)い。


蠱師(こし)真元(しんげん)()上がれば、戦闘力(せんとうりょく)(そこ)()く。


彼女(かのじょ)(しき)りに峭壁(しょうへき)()(かえ)り、登攀(とはん)による脱出(だっしゅつ)可能性(かのうせい)(さぐ)(はじ)めた。


岩壁(がんぺき)悠然(ゆうぜん)()()かる方源(ほうげん)姿(すがた)視認(しにん)した瞬間(しゅんかん)怒髪天(どはつてん)()いて罵倒(ばとう)する:「ほうげん!(わたし)命懸(いのちが)けで(たたか)(あいだ)に、お(まえ)見物(けんぶつ)かッ!?」


方源(ほうげん)()ややかに(はな)()らした:「(もと)北冥冰魄体(ほくめいひょうはくたい)立派(りっぱ)白凝冰(はくぎょうひょう)が、たかが百獣群(ひゃくじゅうぐん)にすら()()くとはな?」


(くち)だけの()たれが! そんなに()うなら(みずか)()(たたか)え!」と白凝冰(はくぎょうひょう)逆上(ぎゃくじょう)した。


方源(ほうげん)嘲笑(あざわら)った:「(おれ)三转(さんてん)境地(きょうち)ならとっくに掃討(そうとう)している。()(まく)など(のこ)してやらん」


白凝冰(はくぎょうひょう)逆上(ぎゃくじょう)した呼吸(こきゅう)(あら)く、(いか)りで五体(ごたい)(ふる)える。


方源(ほうげん)(きび)しい口調(くちょう)(さと)す:「凝冰(ぎょうひょう)よ。湯水(ゆみず)のように使い(つかいは)たす(くせ)がある。(もと)北冥冰魄体(ほくめいひょうはくたい)なら真元力(しんげんりょく)回復(かいふく)(はや)かったろうが……」指摘(してき)苛烈(かれつ)だ。「(いま)甲等九級(こうとうきゅうきゅう)資質(ししつ)だ。それでいて従来(じゅうらい)乱用(らんよう)では()りぬのも道理(どうり)(しん)蛊師(こし)真元力(しんげんりょく)一滴(いってき)ずつ(はか)って使(つか)う。これからは(おれ)指示(しじ)(うご)け。お(まえ)(せん)(じゅつ)粗雑(そざつ)()ぎる――  細密化(さいみつか)必要(ひつよう)だ」


「はあ?」白凝冰(はくぎょうひょう)口元(くちもと)痙攣(けいれん)した。「(おれ)戦術(せんじゅつ)粗雑(そざつ)だと?族長(ぞくちょう)家老(かろう)幾度(いくど)白家最強(はっかさいきょう)技巧派(ぎこうは)(たた)えたのを!」


凡庸(ぼんよう)どもと(くら)べて(なん)(とく)があろう?よく()け…」


白凝冰(はくぎょうひょう)冷笑(れいしょう)三度(さんど)()いたが、方源(ほうげん)(ごう)躊躇(ちゅうちょ)せず戦術(せんじゅつ)()(つづ)ける。


その(こえ)白凝冰(はくぎょうひょう)鼓膜(こまく)不可避(ふかひ)(なが)()んだ。(はじ)めは無視(むし)していたが、次第(しだい)表情(ひょうじょう)変貌(へんぼう)(はじ)めた。


(あなど)るような不屑(ふせつ)から次第(しだい)(けん)しい面持(おもも)つきへ、ついには(ふか)く考え()様相(ようそう)へ——


方源(ほうげん)言葉(ことば)一句一句(いっくいっく)真珠(しんじゅ)(ごと)(かがや)き、核心(かくしん)()き、(たえ)なる(きわ)みに(たっ)していた!


前世(ぜんせ)五百年(ごひゃくねん)経験(けいけん)凝縮(ぎょうしゅく)した結晶(けっしょう)(とき)堆積(たいせき)()んだ精華(せいか)——白凝冰(はくぎょうひょう)(ごと)小僧(こぞう)ならぬ小娘(こむすめ)に、震撼(しんかん)()こさぬはずがあろうか?


方源(ほうげん)前世(ぜんせ)()きた五世紀(ごせいき)は、人老(じんろう)いて(せい)()する(いき)(たっ)していた。


この経験値(けいけんち)深淵(しんえん)は、古月一代(こげついちだい)天鶴上人(てんかくしょうにん)すら凌駕(りょうが)する。


この二大(にだい)老怪(ろうかい)千年(せんねん)(ちか)()きたとされるが、(じつ)のところ活動期間(かつどうきかん)は二、三百年(にさんびゃくねん)()ぎぬ。大半(たいはん)休眠(きゅうみん)し、(むし)けらの(ごと)(いのち)(つな)いでいたのだ。


普段(ふつう)ならば、白凝冰(はくぎょうひょう)方源(ほうげん)指針(ししん)流聞(りゅうぶん)する程度(ていど)だったろう。(てん)(さい)(ほこ)りが、たとえ衝撃(しょうげき)()けても服従(ふくじゅう)(こば)むからだ。


だが(いま)——()のプレッシャーに()(つぶ)されんとする(なか)(からだ)(さき)(うご)いた。すると瞬時(またた)効果(こうか)顕現(けんげん)した。


六足鰐(ろくそくわに)が次々(つぎつぎ)に(たお)れ、彼女(かのじょ)戦闘(せんとう)加速度的(かそくどてき)洗練(せいれん)されていった。


真元(しんげん)体力(たいりょく)枯渇(こかつ)寸前(すんぜん)だったが、一縷(いちる)真元(しんげん)粗末(そまつ)にせず、寸暇(すんか)()しむように使(つか)うことで、無駄撃(むだうち)()らし攻撃効率(こうげきこうりつ)(たか)めた。すると(ぎゃく)戦闘(せんとう)(ちゅう)真元(しんげん)体力(たいりょく)が、ゆっくりと、しかし(たし)かに螺旋階段(らせんかいだん)(じょう)回復曲線(かいふくきょくせん)(えが)(はじ)めた。


一刻(いっこく)()六足鰐(ろくそくわに)()れは半数(はんすう)以上(いじょう)(うしな)い、二百(にひゃく)(あま)りの(しかばね)砂浜(すなはま)累積(るいせき)する。ついに攻勢(こうせい)()()り、(うしお)()くように後退(こうたい)(はじ)めた。


すると同時(どうじ)に、黄龍江(こうりゅうこう)水面(すいめん)()()がる。


その巨影(きょえい)(きば)()()し、(やいば)(むら)()した口内(こうない)琥珀(こはく)竪瞳(たてひとみ)白凝冰(はくぎょうひょう)(ゆが)めて(うつ)し、(こご)てつくような()意志(いし)(はな)つ。


六足鰐(ろくそくわに)(おう)——


百獣(ひゃくじゅう)(おう)たる雄鰐王(ゆうがおう)


他の六足鰐(ろくそくわに)とは(あき)らかに(こと)なる。この鰐王(がおう)巨躯(きょく)牦牛(やく)(ごと)く、しかも六足(ろくそく)着地(ちゃくち)せず、(こう)()二本(にほん)のみで(あゆ)む。


(ひと)のように()(ある)姿(すがた)肩幅(かたはば)(くま)のごとく、甲板(こうばん)(おお)われた()砂浜(すなはま)(ふか)(みぞ)()く。


自由(じゆう)四肢(しし)は全て(すべて)鉤爪(かぎづめ)(じょう)変形(へんけい)し、実質(じっしつ)四本(よんほん)(うで)()していた。その(うで)(いわ)のように()(かた)まった筋肉(きんにく)(おお)われている。


白凝冰(はくぎょうひょう)口元(くちもと)(ゆが)めた。


全盛期(ぜんせいき)なら、この百獣王(ひゃくじゅうおう)にだって勝機(しょうき)(たし)かだった。しかし(いま)——激戦後(げきせんご)疲弊(ひへい)体力(たいりょく)真元(しんげん)(そこ)()いている。万全(ばんぜん)状態(じょうたい)(てき)太刀打(たちう)ちできそうにない。


その(とき)背後(はいご)から方源(ほうげん)(こえ)(ひび)く:


()れ」


青白(せいはく)にきらめく(ひかり)が、彼女(かのじょ)空竅(くうこう)()()まれた。


蓮華(れんげ)(ごと)花模様(はなもよう)海底(かいてい)根付(ねづ)く。


(またた)()真元(しんげん)海面(かいめん)沸騰(ふっとう)(はじ)め、水位(すいい)暴騰(ぼっとう)する!


「こ…これは(なん)()!?」白凝冰(はくぎょうひょう)(おどろ)きと狂喜(きょうき)(ふる)えた。


天元宝蓮蛊(てんげんほうれんこ)よ」方源(ほうげん)(こえ)虚空(こくう)から(ひび)く。


天元宝蓮(てんげんほうれん)…!?古月一代(こげついちだい)渇望(かつぼう)したという所以(ゆえん)だ!」彼女(かのじょ)感嘆(かんたん)したが、直後(ちょくご)怒気(どき)爆発(ばくはつ)させた:「なぜもっと(はや)()さなかった!?」


方源(ほうげん)(かろ)やかに(わら)(なが)し、核心(かくしん)()す:「(さいわ)百獣王級(ひゃくじゅうおうきゅう)(とど)まっている。肝心(かんじん)なのは——」


「その胸板(むないた)白斑(はくはん)急所(きゅうしょ)だ」


(かた)()えると、(かれ)全身(ぜんしん)水光(すいこう)のように(なみ)()ち、次第(しだい)()けるように姿(すがた)()した。


──鱗隠蛊(りんいんこ)発動(はつどう)である。


奸智(かんち)()けた卑劣漢(ひれつかん)!」白凝冰(はくぎょうひょう)(こころ)(のろ)いながら、雄鰐王(ゆうがおう)胸元(むなもと)視線(しせん)(くぎ)づけにする。


(たし)かに洗面器(せんめんき)(ほど)白斑(はくはん)がある。だが、その四本(よんほん)(うで)(たく)みに死角(しかく)(まも)っている——(ねら)()つのは至難(しなん)(わざ)だ。


グオォオッ!


雄鰐王(ゆうがおう)咆哮(ほうこう)し、弾丸(だんがん)(ごと)突進(とっしん)する。白凝冰(はくぎょうひょう)(ちり)()って(よこ)(ころ)がり、間一髪(かんいっぱつ)回避(かいひ)すると同時(どうじ)()(ひるがえ)した。


鋸歯金蜈(きょしきんご)豪速球(ごうそっきゅう)(ごと)雄鰐王(ゆうがおう)背甲(せいこう)炸裂(さくれつ)


バシッ!


()()火花(ひばな)(あた)りを()め、武器(ぶき)(すさ)まじい反動(はんどう)()(かえ)る。彼女(かのじょ)(あや)うく転倒(てんとう)しかけた。


背甲(せいこう)には(わず)かに(しろ)(きず)(あと)()かんだだけで、雄鰐王(ゆうがおう)(ごう)(きず)()わなかった。


フッッ!


その()一閃(いっせん)風切音(かざきりおと)空間(くうかん)(つんざ)く。


白凝冰(はくぎょうひょう)視界(しかい)()()んだのは黒鉄(こくてつ)(むち)──(ふと)(なが)(はや)い。()ける()などなく、天蓬蛊(てんぼうこ)極限(きょくげん)まで駆動(くどう)する。


ドガッ!


(にぶ)衝撃音(しょうげきおん)(とも)彼女(かのじょ)十数米(じゅうすうメートル)()()ばされ、硬岩(こうがん)絶壁(ぜっぺき)(たた)きつけられる!


「ぐっ…!」


冷気(れいき)()るような(いた)み。天蓬蛊(てんぼうこ)防御(ぼうぎょ)卓越(たくえつ)だが衝撃吸収(しょうげききゅうしゅう)機能(きのう)はない。全身(ぜんしん)(ほね)(きし)んだ。


ドッドッドッ!


雄鰐王(ゆうがおう)巨木(きょぼく)(ごと)(あし)()()らし、砂浜(すなはま)巨大(きょだい)足跡(あしあと)(きざ)みながら突進(とっしん)する。


岩壁(がんぺき)にへばり()白凝冰(はくぎょうひょう)へ──()(かげ)眼前(がんぜん)()()った!



雄鰐王(ゆうがおう)凶威(きょうい)は滔々(とうとう)と渦巻(うずま)き、(きば)鉤爪(かぎづめ)()(まい)(おど)る。凡庸(ぼんよう)(もの)なら(こし)()かすか、(きびす)(かえ)して()げ出すところだが、彼女(かのじょ)白凝冰(はくぎょうひょう)だ。鋼鉄(こうてつ)意志(いし)を持つ。


「20()、15()、10()、5()!」距離(きょり)冷徹(れいてつ)()みながら、雄鰐王(ゆうがおう)殺到(さっとう)する寸前(すんぜん)でようやく()()った。


ゴゴゴゴォン!


一髪一毫(いっぱついちごう)()雄鰐王(ゆうがおう)(かわし)巨体(きょたい)無残(むざん)にも絶壁(ぜっぺき)激突(げきとつ)する。岩盤(がんばん)低吼(ていこう)()げて(くだ)け、()(そそ)(こいし)(かわ)瞬時(またた)巨獣(きょじゅう)()もれさせた!


畜生(ちくしょう)所詮(しょせん)畜生(ちくしょう)!」白凝冰(はくぎょうひょう)高笑(たかわら)いしながら()()まんとしたが、(なに)(おも)()(あし)()める。


次の瞬間(しゅんかん)雄鰐王(ゆうがおう)巨尾(きょび)(もう)(しん)して(こいし)()()らす。砕岩(さいがん)弾丸(だんがん)四方(しほう)(ほとばし)った。


白凝冰(はくぎょうひょう)静観(せいかん)し、やがて雄鰐王(ゆうがおう)瓦礫(がれき)(やま)()()(あらわ)れる。


無残(むざん)姿(すがた)だ——刃牙(はが)半分(はんぶん)()()ち、鼻孔(びこう)から血脈(けつみゃく)()れる。黄金(こがね)(ひとみ)(いま)煉獄(れんごく)(ごと)(しゅ)()まっていた。


(てん)(あお)絶叫(ぜっきょう)すると、今度(こんど)前身(ぜんしん)(ひく)()せ、(さき)よりも(はや)烈風(れっぷう)(いきお)いで突進(とっしん)してくる!


白凝冰(はくぎょうひょう)一歩(いっぽ)後退(こうたい)し、(かす)かに(わら)みを()かべて、(なが)れるような体捌(たいさば)きで回避(かいひ)


ドゴォオーン!


絶壁(ぜっぺき)大崩落(だいほうらく)砂煙(すなけむり)渦巻(うずま)()()がる…


半時(はんとき)()全身(ぜんしん)(きず)(きざ)まれた雄鰐王(ゆうがおう)が、(むな)しく(むね)白斑(はくはん)()さえ、なおも(たぎ)()ちる血潮(ちしお)()めようとする。


ドスン!


ついに無残(むざん)()わり()てた砂浜(すなはま)に、巨体(きょたい)(とどろ)()てて(たお)()した。



「この血月蛊(けつげつこ)存外(ぞんがい)使(つか)()ってるな。出血(しゅっけつ)()まらぬ特性(とくせい)こそが、雄鰐王(ゆうがおう)をあれほど簡単(かんたん)(たお)した所以(ゆえん)か」(てのひら)(あか)(つき)刻印(こくいん)(なが)めながら、白凝冰(はくぎょうひょう)(おも)いを(めぐ)らせる。


(おう)(うしな)い、残存(ざんぞん)する百頭(ひゃくとう)六足鰐(ろくそくわに)主心骨(しゅしんこつ)(うば)われ、一斉(いっせい)黄龍江(こうりゅうこう)潰走(かいそう)した。


「ようやく…()わった」鋸歯金蜈(きょしきんご)(すな)(はな)()し、(ちから)()きたように砂浜(すなはま)(くず)()ちる。


方源(ほうげん)姿(すがた)(あらわ)れ、雄鰐王(ゆうがおう)死骸(しがい)(そば)に蹲(うずくまると(さぐ)るように摸索(さぐ)る。


()つけた!」(てのひら)()()いた(とき)両手(りょうて)に各々(おのおの)(ひと)つずつ()(にぎ)っていた。


その(よう)目撃(もくげき)した白凝冰(はくぎょうひょう)は、呼吸(こきゅう)(みだ)して逆上(ぎゃくじょう)した。(みずか)らが生死(せいし)()して(たたか)い、ようやく(たお)した獲物(えもの)戦利品(せんりひん)を、(ごう)(きず)つかず、まるで収穫(しゅうかく)でもするように(ふところ)(おさ)めようとする




方源(ほうげん)掌中(しょうちゅう)二匹(にひき)仔細(しさい)()()える。


一匹(いっぴき)瀕死(ひんし)(あえ)ぎを(つづ)け、(かす)かに痙攣(けいれん)している。甲羅(こうら)(じょう)()(ひら)(おお)きさ――隆起(りゅうき)した表面(ひょうめん)(わに)(うろこ)(おお)われている。


背甲蛊(はいこうこ)だ。


もう一匹(いっぴき)無傷(むきず)静寂(せいじゃく)(ごと)微動(びどう)だにしない。方源(ほうげん)人指(ひとさ)(ゆび)親指(おやゆび)(あいだ)(もてあそ)ばれるまま。


鰐力蛊(がりきこ)である。


小ささは人間(にんげん)(ゆび)ほど。超小型(ちょうこがた)(わに)(かたち)(あたま)(どう)()があるが、四肢(しし)だけが()けている。


背甲蛊(はいこうこ)鰐力蛊(がりきこ)も、二转蛊(にてんこ)()ぎない。


そもそも百獣王(ひゃくじゅうおう)体内(たいない)寄生(きせい)するのは二转(にてん)野生蛊(やせいこ)千獣王(せんじゅうおう)なら三转(さんてん)万獣王(ばんじゅうおう)四转(してん)()宿(やど)す。


当然(とうぜん)結果(けっか)だ」方源(ほうげん)()のひらの二匹(にひき)()()て、(いささ)かの(おどろ)きもない。五百年(ごひゃくねん)経験(けいけん)があり、雄鰐王(ゆうがおう)実力(じつりょく)看破(かんぱ)していたからだ。


春秋蝉(しゅんじゅうせん)気配(けはい)一縷(いちる)()らし、真元(しんげん)()()して瞬時(またた)両蛊(りょうこ)煉化(れんか)した。


背甲蛊(はいこうこ)方源(ほうげん)背中(せなか)()()まれ、(かた)から(こし)にかけて鱗状(うろこじょう)紋様(もんよう)()わった。背中一面(せなかいちめん)(おお)刺青(いれずみ)のようだ。


()(とお)り、蛊师(こし)背部防御(はいぶぼうぎょ)強化(きょうか)する()である。


鰐力蛊(がりきこ)暗黄色(あんおうしょく)(ひかり)となって空竅(くうこう)(もぐ)る。


黒白豕蛊(こくびゃくしこ)同様(どうよう)(はたら)きで、蛊师(こし)筋力(きんりょく)恒久的(こうきゅうてき)強化(きょうか)する——一鰐(いちわに)(ちから)市価(しか)(きわ)めて(たか)く、普段(ふだん)市場(しじょう)()(まわ)ることのない珍品(ちんぴん)だ。


「またあの()か…()瞬時(またた)煉化(れんか)する!」目の()た(あ)りにし、白凝冰(はくぎょうひょう)(いか)りすら(わす)れ、瞳孔(どうこう)(はり)(さき)のように(ちぢ)んだ。


かつて方源(ほうげん)対峙(たいじ)した(とき)、この常識(じょうしき)()えた煉化速度(れんかそくど)()づいていた。


家族(かぞく)(もど)文献(ぶんけん)渉猟(しょうりょう)した(さい)煉化(れんか)補助(ほじょ)する()存在(そんざい)確認(かくにん)したが──


(いま)(あらた)めて目撃(もくげき)し、直感(ちょっかん)()げる:「真相(しんそう)はそれだけではない」


()(うち)(おお)すぎる…天蓬蛊(てんぼうこ)血月蛊(けつげつこ)鋸歯金蜈(きょしきんご)はまだしも、天元宝蓮(てんげんほうれん)まで()つとは!?」(きば)()(しば)る。「戦闘技術(せんとうぎじゅつ)(あき)らかに家伝(かでん)超越(ちょうえつ)している。さっき使(つか)ったのは一体(いったい)(なん)()だ…!?」


背筋(せすじ)()(つめ)たい戦慄(せんりつ)が、脳裏(のうり)の隅々(すみずみ)まで侵食(しんしょく)していくのを(かん)じた。








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