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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第百九十九節:やがて それぞれの 運命へ

ドドドッ!


氷河(ひょうが)激震(げきしん)して(くず)()ち、天鶴上人(てんかくしょうにん)攻撃(こうげき)展開(てんかい)し、(まばた)きするほんの(みじか)時間(じかん)で、氷層(ひょうそう)表面(ひょうめん)までほぼ到達(とうたつ)しかけた。


絶対(ぜったい)にこの()いぼれを脱出(だっしゅ)させるな!」方源(ほうげん)(ひく)(かつ)した。


白凝冰(はくぎょうひょう)はもはや(はな)せず、毅然(きぜん)として片腕(かたうで)自爆(じばく)させ、広大(こうだい)なる(しも)(かぜ)()えた。大風(おおかぜ)渦巻(うずま)き、氷河(ひょうが)蔓延(まんえん)し、迅速(じんそく)氷層(ひょうそう)十丈(じゅうじょう)(ちか)(あつ)くした。


天鶴上人(てんかくしょうにん)(こおり)の中で咆哮(ほうこう)し、(くる)ったように攻撃(こうげき)する。


白凝冰(はくぎょうひょう)はまたも(うで)爆散(ばくさん)させ、氷河(ひょうが)()(かえ)()(ふた)せ、天鶴上人(てんかくしょうにん)の度々(たびたび)の脱出(だっしゅ)鎮圧(ちんあつ)していった。


白凝冰(はくぎょうひょう)(とく)操作(そうさ)のもと、氷霜(ひょうそう)大軍(たいぐん)(ごと)く、執念(しゅうねん)天鶴上人(てんかくしょうにん)(つつ)()んだ。天鶴上人(てんかくしょうにん)五转(ごてん)ではあったが、古月一代(こげついちだい)(ころ)した(あと)(かれ)()れかかった(ゆみ)(すえ)だった。度重(たびかさ)なる突撃(とつげき)(こころ)みるも、最終的(さいしゅうてき)には(こおり)(なか)()()められた。


「まさか北冥氷魄体(ほくめいひょうはくたい)だったとは!だがこれだけでは()()(ころ)せはせん、お(まえ)たちの妄想(もうそう)にも(ほど)がある!」(つい)(かれ)合点(がてん)()き、存息玉葬蛊(そんそくぎょくそうこ)駆動(くどう)した。


一片(いっぺん)(あお)(たま)(ひかり)(ひらめ)き、(かれ)全身(ぜんしん)(おお)った。そして光芒(こうぼう)虚像(きょぞう)から実体(じったい)へと()わり、透明(とうめい)玉棺(ぎょくかん)()り、(かれ)(かた)(まも)った。


玉棺(ぎょくかん)異常(いじょう)堅固(けんご)で、白凝冰(はくぎょうひょう)幾度(いくど)努力(どりょく)するも、すべて無駄骨(むだぼね)()わった。結局(けっきょく)玉棺(ぎょくかん)周囲(しゅうい)氷層(ひょうそう)(ふか)(かさ)(つづ)け、数十丈(すうじゅうじょう)(たか)さの氷峰(ひょうほう)形成(けいせい)するのが精一杯(せいいっぱい)だった。


方源(ほうげん)(ずっ)集中(しゅうちゅう)して見守(みまも)り、(すべ)ての過程(かてい)目撃(もくげき)した。


(なが)れるは十絶体(じゅうぜつたい)か!」二度目(にどめ)()るとはいえ、(かれ)はなお(おも)わず賛嘆(さんたん)()らした。


(かれ)白凝冰(はくぎょうひょう)のそばに()()っており、(いま)白凝冰(はくぎょうひょう)両腕(りょううで)(うしな)い、(ひと)つの氷像(ひょうぞう)となっていた。(かお)すらも徐々(じょじょ)に判別(はんべつ)しづらくなり、氷霜(ひょうそう)(おお)われつつあった。


一切合切(いっさいがっさい)(かれ)意識(いしき)が徐々(じょじょ)に消散(しょうさん)していることを(しめ)していた。(ひと)たび消散(しょうさん)()くせば、(かれ)完全(かんぜん)死亡(しぼう)してしまう。


()(まわ)りの氷層(ひょうそう)自分(じぶん)にも蔓延(まんえん)(はじ)めるのを()て、方源(ほうげん)心中(しんちゅう)理解(りかい)した:自分(じぶん)一人(ひとり)では脱出(だっしゅつ)(きわ)めて困難(こんなん)であり、(おそ)かれ(はや)かれ氷河(ひょうが)(ふう)()まれ凍死(とうし)する運命(うんめい)だと!


時機(じき)だ」即座(そくざ)(かれ)空竅(くうこう)から一対(いっつい)蛊虫(こちゅう)を取り(とりだ)した。


この二匹(にひき)蛊虫(こちゅう)は、片方(かたほう)(くろ)(ひかり)(はな)ち、もう片方(かたほう)(しろ)(ひかり)(はな)ち、(たが)いに()()(まわ)って()(えが)き、一枚(いちまい)太極光球(たいきょくこうきゅう)形成(けいせい)していた。


(まさ)陰陽転身蛊(おんみょうてんしんこ)である。


()け」方源(ほうげん)心念(しんねん)(うご)かすと、(くろ)(ひかり)(はな)蛊虫(こちゅう)()()ち、白凝冰(はくぎょうひょう)氷像(ひょうぞう)(なか)()()んだ。


方源(ほうげん)一转(いってん)であったが、空竅(くうこう)には大量(たいりょう)三转(さんてん)雪銀真元(せつぎんしんげん)蓄積(ちくせき)されており、そのほぼ(すべ)てを使(つか)い、かろうじて蛊虫(こちゅう)駆動(くどう)させることに成功(せいこう)した。


刹那(せつな)(あいだ)に、(くろ)光芒(こうぼう)(てん)()くほど(のぼ)り、陰気(いんき)(いっ)せいに(あつ)まり、空気中(くうきちゅう)()(うず)へと渦巻(うずま)()った。(まった)(あら)たな生気(せいき)氷像(ひょうぞう)(なか)(かも)され(しょう)(たん)し、(つづ)いて(いきお)いよく発展(はってん)した。


まぶしい(くろ)(ひかり)()え、氷像(ひょうぞう)はカチッと(おと)()て、表面(ひょうめん)()けて破片(はへん)となり(ことご)くく()()らされた。


(あい)()わらず(しろ)(ころも)銀髪(ぎんぱつ)両腕(りょううで)無事(ぶじ)白凝冰(はくぎょうひょう)が、眉目(びもく)(うるわ)しく、(ほお)可愛(かわい)らしい紅暈(こううん)()びて、(こおり)(やぶ)って(あらわ)れた。


氷潮(ひょうちょう)(きゅう)()み、寒気(かんき)瞬時(しゅんじ)()()くした。方源(ほうげん)周囲(しゅうい)氷層(ひょうそう)は、(かれ)からわずか数寸(すうすん)距離(きょり)まで(せま)ったが、(あや)うく()(まぬが)れた!


「まさか(おれ)本当(ほんとう)(よみがえ)ったのか!」白凝冰(はくぎょうひょう)相当(そうとう)(おどろ)き、(みずか)らの(ほそ)優美(ゆうび)()()つめ、全身(ぜんしん)()(まわ)し、(しん)(がた)いとともに狂喜(きょうき)()びていた。


「ウフフ」方源(ほうげん)朗朗(ろうろう)(わら)った。「(おれ)はさっきお(まえ)陰陽轉身蛊(おんみょうてんしんこ)(なか)陰蛊(いんこ)使(つか)った。この()(よう)をもって(いん)(しょう)じさせる(ちから)があり、お(まえ)脱胎換骨(だったいかんこつ)させ、性別(せいべつ)転換(てんかん)し、()まれ()わらせるのだ。これは四转(してん)治療蛊(ちりょうこ)で、起死回生(きしかいせい)効能(こうのう)を持つ。だが一つ欠点(けってん)がある、使(つか)うと蛊師(こし)素質(そしつ)一割(いちわり)低下(ていか)してしまうことだ」


白凝冰(はくぎょうひょう)は元々(もともと)十絶体(じゅうぜつたい)で、つまりは十割(じゅうわり)素質(そしつ)だった。(いま)一割低下(いちわりていか)して方源(ほうげん)(おな)じく九割(きゅうわり)素質(そしつ)となった。


だがこの()らせは、他人(たにん)にとっては悲報(ひほう)かもしれない。白凝冰(はくぎょうひょう)にとっては、朗報(ろうほう)だったのだ。


「そいつは良い気分(きぶん)だ。(おれ)素質(そしつ)()がったって、もう北冥氷魄体(ほくめいひょうはくたい)じゃない。ハハ、九割(きゅうわり)でも九割(きゅうわり)(なん)問題(もんだい)があるものか?」彼女(かのじょ)大笑(おおわら)いした。


方源(ほうげん)(くび)()った:「十絶体(じゅうぜつたい)()えるのは困難(こんなん)(きわ)まりない。この方法(ほうほう)はお(まえ)素質(そしつ)()げはしたが、今後(こんご)修行(しゅうぎょう)(つづ)ければ素質(そしつ)回復(かいふく)していき、(とき)()てばまた北冥氷魄体(ほくめいひょうはくたい)(もど)ってしまうだろう。その(とき)こそ、(のこ)ったこちらの陽蛊(ようこ)必要(ひつよう)だ。これで(ふたた)(せい)転換(てんかん)でき、素質(そしつ)をさらに一割(いちわり)()げられる」


そう()()えると、方源(ほうげん)白凝冰(はくぎょうひょう)陽蛊(ようこ)をまっすぐに見据(みす)える視線(しせん)()(かい)さず、彼女(かのじょ)の目の(まえ)でそっと自身(じしん)空竅(くうこう)(なか)(おさ)めた。


()陰陽轉身蛊(おんみょうてんしんこ)一対(いっつい)(そん)(ざい)する。お(まえ)はすでに陰蛊(いんこ)使(つか)った以上(いじょう)(おれ)()にあるこの陽蛊(ようこ)使(つか)わなければ効果(こうか)()い。他の陽蛊(ようこ)使(つか)っても(なん)()()もない。(うば)おうなどと(かんが)えるなよ。この陽蛊(ようこ)はすでに(おれ)練化(れんか)してある。(おれ)(こころ)(おも)うだけで、(みずか)(こわ)させることもできるのだから」方源(ほうげん)はゆったりと()(はな)った。


(いま)現在(げんざい)白凝冰(はくぎょうひょう)依然(いぜん)として三转(さんてん)修为(しゅうい)だ。(かれ)一转(いってん)()ぎず、当然(とうぜん)()()くして、白凝冰(はくぎょうひょう)(こわ)したくない細工(さいく)()()せなくさせ、自分(じぶん)(たい)して敵対(てきたい)させないようにする必要(ひつよう)があった。


「なるほど。方源(ほうげん)、お(まえ)本当(ほんとう)計算高(けいさんだか)いな!」白凝冰(はくぎょうひょう)(なが)嘆息(たんそく)した。「お(まえ)(おも)うには、(わらわ)はどうすればその陽蛊(ようこ)()にできようか?」


「ウフフ…」方源(ほうげん)はしばらく(わら)(つづ)け、ようやく(あらた)まった口調(くちょう)()った。「この青茅山(せいぼうざん)はすでに氷山絶域(ひょうざんぜついき)()した。三大家族(さんだいかぞく)、そしえて数多(あまた)生霊(せいれい)(みな)氷下(ひょうか)()()められ、三、五日の(うち)全滅(ぜんめつ)するだろう。この異変(いへん)(かなら)ずや大勢(たいせい)関心(かんしん)探索(たんさく)(まね)くだろう。()してあの()いぼれも()んでおらず、(みずか)玉棺(ぎょくかん)(ふう)()まれ、脱出(だっしゅつ)(とき)()っている。この青茅山(せいぼうざん)絶対(ぜったい)(とど)まれない、我々(われわれ)はここを(はな)れねばならない」


「では(おれ)は?(いま)はまだ一转(いってん)修为(しゅうい)蛊虫(こちゅう)万全(ばんぜん)ではない、一人(ひとり)闖蕩(ちんとう)することなどできない。このような状況(じょうきょう)では、お(まえ)(ちから)(たよ)らねばなるまい。この天下(てんか)はかくも(ひろ)く、ことのほか哀愁(あいしゅう)(ふか)きもの、青茅山(せいぼうざん)などその一片(いっぺん)片隅(かたすみ)()ぎない。お(まえ)(おれ)()いて天下(てんか)縦横無尽(じゅうおうむじん)()(めぐ)れば、さぞかし精彩(せいさい)あふれることだろう!」


「なるほど。お(まえ)(まこと)万事(ばんじ)(そろ)(ととの)えたのだな。フン!」白凝冰(はくぎょうひょう)()()(しば)り、(こころ)(なか)(よろこ)びと(おどろ)きが(おお)いとはいえ、(すこ)しのどうしようもなさもあった。だが方源(ほうげん)提案(ていあん)(ふか)彼女(かのじょ)(こころ)()った、「引き()けても良いが、(ひと)明確(めいかく)にすべきことがあるわ」


(なに)?」方源(ほうげん)()う。


(わらわ)がお(まえ)()いていくのではない、お(まえ)(わらわ)()いて天下(てんか)()(めぐ)るのだ!」白凝冰(はくぎょうひょう)(べに)(くちびる)(すこ)(とが)らせ、傲然(ごうぜん)(わら)った。


「ハハハッ」方源(ほうげん)(こころ)(そこ)から大笑(おおわら)いした。


「では、(つぎ)に我々(われわれ)はどこへ()かう?(なに)(かんが)えはあるか?」白凝冰(はくぎょうひょう)()う。


白骨山(はっこつざん)だ」方源(ほうげん)は答え、(わら)(ごえ)()めようとしない。


(なん)(わら)ってるんだ?そんなに(わら)えるか?」白凝冰(はくぎょうひょう)理解(りかい)できない。


方源(ほうげん)(なみだ)(わら)いこぼした:「お(まえ)はまだ(なに)かおかしいところに()づいていないのか?」


(なに)がおかしいって?」白凝冰(はくぎょうひょう)(まゆずみ)(まゆ)をつり()げ、突如(とつじょ)として顔色(かおいろ)(きわ)めて精彩(せいさい)なものに()わった。


驚愕(きょうがく)恐怖(きょうふ)困惑(こんわく)恐慌(きょうこう)衝撃(しょうげき)憤怒(ふんぬ)……それらが()()じって彼女(かのじょ)(かお)(あらわ)れた。


彼女(かのじょ)(みずか)らの(ゆた)かで(まる)みを()びた(むね)()て、大声(おおごえ)(さけ)んだ:「(おれ)、どうして女子(おなご)になってるんだ!?」


(こえ)青茅山(せいぼうざん)(あいだ)反響(はんきょう)し、白雪(しらゆき)(いく)らか(ふる)()ちた。


「それは当然(とうぜん)だ!陰陽轉身蛊(おんみょうてんしんこ)というもの、陰蛊(いんこ)男体(だんたい)(もち)いれば陽転陰(ようていん)となり女子(じょし)となる。陽蛊(ようこ)女体(にょたい)(もち)いれば陰転陽(いんてんよう)となり男児(だんじ)となる。陰陽(おんみょう)転身(てんしん)陰陽(おんみょう)転身(てんしん)……(なに)だと(おも)ってた?」方源(ほうげん)(きわ)めて()たり(まえ)のように()った。


(おれ)(おれ)は……くそっ!」白凝冰(はくぎょうひょう)方源(ほうげん)(にら)みつけ、(くち)(ひら)いて罵倒(ばとう)した。この度合(たび)彼女(かのじょ)唯一(ゆいいつ)陽蛊(ようこ)()にせねばならない羽目(はめ)となったのだ。


白兄(はくけい)()()きたまえ、()(のこ)ったことが万幸(ばんこう)というものだ」方源(ほうげん)(なぐさ)めた。


万幸(ばんこう)(くそ)もあるか、お(まえ)が女々(めめ)しくなってみてみろよ?!」雪山(せつざん)氷河(ひょうが)(あいだ)白凝冰(はくぎょうひょう)怒号(どごう)反響(はんきょう)した。


……


二日(ふつか)()って(あと)


太陽(たいよう)(たか)()かり、氷雪(ひょうせつ)()け、一筋一筋(ひとすじひとすじ)清水(せいすい)氷山(ひょうざん)(あいだ)横切(よこぎ)って(なが)れた。


ガシャンッ……


(こおり)()れる(おと)(ひび)き、一筋(ひとすじ)碧玉(へきぎょく)(ひかり)(てん)()いて()()がり、空中(くうちゅう)一基(いっき)玉棺(ぎょっかん)へと()した。


轟音(ごうおん)(とも)玉棺(ぎょっかん)(くだけ)()り、天鶴上人(てんかくしょうにん)長音(ちょうおん)()げて(うそぶ)き、(ふたた)天日(てんじつ)(はい)し、自由(じゆう)()(もど)した。


この存息玉葬蛊(そんそくぎょくそうこ)(たか)五转(ごてん)(たっ)しており、神秘的(しんぴてき)非凡(ひぼん)蛊師(こし)一息(ひといき)でも(のこ)していれば、(いのち)(つな)(とど)め、(きず)()ばすことができた。それのみならず、結成(けっせい)した玉棺(ぎょっかん)(さら)堅固(けんご)無比(むひ)で、防御(ぼうぎょ)には最適(さいてき)道具(どうぐ)()えた。


「くそったれの小僧(こぞう)め!」(かれ)()()んで(のろ)いの言葉(ことば)()き、(いか)りと(あせ)りでいっぱいだった。


生涯(しょうがい)仇敵(きゅうてき)古月一代(こげついちだい)()ったものの、血海真伝(けつかいでんじゅ)を取り(とりもど)せず、帰還後(きかんご)どう師門(しもん)報告(ほうこく)すれば良いのか?


記憶(きおく)にある方源(ほうげん)のいた氷穴(ひょうけつ)は、とっくに(やぶ)られて(ひら)かれていた。


(とお)くへは()っていないことを(ねが)うばかりだ!」(かれ)一縷(いちる)(のぞ)みを(いだ)き、周辺(しゅうへん)巡視(じゅんし)した。


蛊虫(こちゅう)偵察(ていさつ)した結果(けっか)氷層(ひょうそう)(ふか)くにはなお数多(あまた)生存(せいぞん)個体(こたい)残存(ざんそん)しているのを発見(はっけん)した。


生き(いきもの)強靭(きょうじん)さは(とき)として奇跡(きせき)()こす。この氷河(ひょうが)(ゆき)(おお)ったままでも二日間(ふつかかん)では、(すべ)ての生霊(せいれい)()(いた)らしめるには充分(じゅうぶん)時間(じかん)とは()えなかった。


()つけた!まさかこんな(ところ)(もぐ)るとはな。フンフン、危険(きけん)場所(ばしょ)こそ安全(あんぜん)だというのか?(じつ)狡猾(こうかつ)め!」天鶴上人(てんかくしょうにん)突然(とつぜん)全身(ぜんしん)(ふる)わせ、(なに)かを発見(はっけん)し、抑制(よくせい)できない驚喜(きょうき)(かお)(かがや)かせた。


(かれ)氷層(ひょうそう)(なか)()()み、しばらくすると、氷塊(ひょうかい)(ひと)(すく)()げた。


氷塊(ひょうかい)(なか)で、方正(ほうせい)全身(ぜんしん)月光(げっこう)のような裳衣(もすそ)(つつ)まれていた。(まさ)月霓裳(げつどうしょう)である。(かれ)瀕死(ひんし)状態(じょうたい)で、かすかに(いき)()うが(のこ)っているだけだった。


天鶴上人(てんかくしょうにん)(ちか)った、(みずか)らの生涯(しょうがい)(けっ)して方源(ほうげん)容貌(ようぼう)(わす)れはしないと。


しかし(かれ)所詮(しょせん)五转(ごてん)強者(きょうじゃ)方正(ほうせい)()ると即座(そくざ)失望(しつぼう)した:「こいつは(やつ)ではない、ただ容貌(ようぼう)()ているだけだ。ああ……」


(ふか)嘆息(たんそく)し、突如(とつじょ)として呆然(ぼうぜん)とした。


()()て、容貌(ようぼう)がこれほど酷似(こくじ)していれば、(きわ)めて双生児(そうせいじ)であろう!となれば、こいつはあの小僧(こぞう)肉親(にくしん)であるわい!」天鶴上人(てんかくしょうにん)老眼(ろうがん)(かす)んだ()は、即座(そくざ)(ひと)(すじ)(するど)精気(せいき)(かがや)きを爆発(ばくはつ)させた。


肉親(にくしん)()(はい)れば、至親血虫(ししんけっちゅう)練製(れんせい)できる!


(まさ)五转(ごてん)至親血虫(ししんけっちゅう)(ゆえ)にこそ、(かれ)広大(こうだい)天下(てんか)の、幾千万(いくせんばん)という衆生(しゅじょう)(なか)から古月一代(こげついちだい)()つけ()せたのだ。


師門(しもん)任務(にんむ)俺様(おれさま)完全(かんぜん)失敗(しっぱい)したわけではない。まだ(のぞ)みはある。この小僧(こぞう)こそが、俺様(おれさま)唯一(ゆいいつ)希望(きぼう)だ。(かなら)ずや(いのち)(すく)わねばならない!」


方正(ほうせい)(つか)()(おも)たげな両目(りょうめ)(ひら)き、(くる)しげに(よみが)えった。


「ここはどこだ?」(かれ)()朦朧(もうろう)として、眼前(がんぜん)にぼやけた(かげ)を一つ(みと)めただけだった。同時(どうじ)全身(ぜんしん)がだるく、(あたま)()()けんばかりに(いた)んでいた。


(かれ)最後(さいご)記憶(きおく)()()(めん)は、三族大比(さんぞくたいひ)山野(さんや)で、(そら)(おお)(てつ)(くちばし)を持つ飛鶴(ひかく)周囲(しゅうい)全員(ぜんいん)奔逃(ほんとう)している様子(ようす)だった。


(かれ)月霓裳(げつどうしょう)(まと)っていたが、飛鶴(ひかく)包囲攻撃(ほういこうげき)()けた。戦闘(せんとう)最中(さいちゅう)一羽(いちわ)飛鶴(ひかく)(かれ)(ひたい)()()けて、(つよ)一啄(いったく)みした。


(かれ)即座(そくざ)気絶(きぜつ)して、そのまま(がけ)(はし)から(ころ)がり()ちていった。


「お(まえ)は…あの(つる)背中(せなか)老人(ろうじん)?!」()(ぜん)(もの)見定(みさだ)めた方正(ほうせい)(おどろ)き、よろよろと()()がろうとしたが、(なか)ばでまたも(たお)()した。


小僧(こぞう)天鶴上人(てんかくしょうにん)俺様(おれさま)(まえ)で、()げる()か?」天鶴上人(てんかくしょうにん)はひげを()でながら冷笑(れいしょう)した。


(かれ)方正(ほうせい)(うえ)(した)(ひと)()()て、さらに()()した:「()っておくが、俺様(おれさま)はお(まえ)(いのち)恩人(おんじん)だ。俺様(おれさま)()なければ、とっくに凍死(とうし)していたぞ。()(やみ)(うご)くのは()めた(ほう)がいい、()ちればそいつは俺様(おれさま)責任(せきにん)じゃあないからな」


方正(ほうせい)周囲(しゅうい)見渡(みわた)すと、即座(そくざ)仰天(ぎょうてん)した。


(くも)がひらりひらりと(ただよ)(なか)(かれ)巨大(きょだい)(つる)背中(せなか)(うえ)(よこ)たわっており、(たか)(くう)蒼穹(そうきゅう)飛行(ひこう)していた。


「お、お(まえ)一体(いったい)何者(なにもの)だ?それにどこへ()れて()くんだ?」方正(ほうせい)驚叫(きょうきょう)した。


俺様(おれさま)天鶴上人(てんかくしょうにん)。この(たび)当然(とうぜん)中洲(ちゅうしゅう)(もど)る」


中洲(ちゅうしゅう)だと?!」方正(ほうせい)(おお)(ごえ)(さけ)んで驚愕(きょうがく)した。



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