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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第百九十五節:それならば我、魔と成り果てるまでッ!!

古月一代こげついちだい笑声わらいごえ一層いっそうたかまったが突如とつじょみ、よこいて天鶴上人てんかくじょうにんかえり、怨念おんねんちたこえった:


師弟してい、まさかこのるとはおもわなかったろう!我々(われわれ)はとも孤児こじ師匠ししょうひろわれたが、ちいさいころから師匠ししょうはいつも貴様きさま寵愛ちょうあいした。


何故なぜだ?


貴様きさま資質ししつ甲等こうとうなのにたいし、丙等へいとうだったからにほかならない!


貴様きさま甲等こうとう資質ししつだから、当然とうぜん修為しゅういすすみもはやい。


この丙等へいとうが、貴様きさまより何倍なんばいものあせ努力どりょくついやさねば、かろうじて貴様きさまあとえたことかかるか?


表向おもてむきは『正道双鹤せいどうそうかく』とうたわれても、つねぬし貴様きさまわれしたがかがやくのはいつも貴様きさまだった!


これも全て(すべて)、貴様きさま甲等こうとう天才てんさいだったからだッ!


しかはからずも貴様きさま血海老祖けっかいろうそ真伝しんでんひとつをにした。


血髑蠱けつどくこ肉親にくしんり、純粋じゅんすい血泉けっせん抽出ちゅうしゅつして空窓くうそうそそぎ込み、資質ししつ向上こうじょうさせることができる。


このとき心境しんきょうかるか?


この血髑蠱けつどくここそが唯一ゆいいつ希望きぼうだったのだ!


われてもめても、あたまからはなれなかった希望きぼうだ!


これさえあれば人生じんせいえられ、運命うんめいえられたのだッ!」


「だがそれは俺のもの、俺のものだッ!」天鶴上人てんかくじょうにん地団太じだんだんで罵倒ばとうする。


「ああ、おまえのものだ」古月一代こげついちだいうなずく。「おまえ資質ししつければ、運勢うんせいい。あきらかに二人ふたり出発しゅっぱつし、ともてきったのに、てんひとえに貴様きさまだけを贔屓ひいきし、血海けっかい真伝しんでんさずけた。かるか?貴様きさま得意満面とくいまんめん将来しょうらいかた姿すがたながら、そのとき、作りわらいをつづけていたれに突然とつぜんさとりがおとずれたのだ」


てん貴様きさま偏愛へんあいし、甲等こうとう資質ししつあたえ、血海真伝けっかいしんでんさずけた。れはどうすればい?れはるにらない丙等へいとうだ。おのれだけのちからでどうやって成功せいこうなどできよう?うばるしかない!れのものではないものを、がものへとえるのだ!てんれにさだめた運命うんめいとは、下僕げぼくあつかいされ、他人たにんかげになることか!れは納得なっとくできん。なぜなのか?なぜれがした貴様きさまうえなのだ!?」


ここまでうと、古月一代こげついちだいぎゃくにシクシクとごえらしはじめた。


https://v.douyin.com/IuMOnq5MqdQ/


血鬼屍けっきしむくろおそろしききわみ、この奇怪きかいこえはっして、ひとこころ寒気さむけはしらせずにはおかない。


てんれを偏愛へんあいせず、師匠ししょう寵愛ちょうあいせず、世間せけん見込みこまぬならば、れはなお一層いっそうみずからをあいし、みずからをしんじ、みずからにたよるしかない!


より一層いっそう努力どりょくし、よりあやうきをおかし、より奮起ふんきする!


ただこのみがれをらしめる!


だが正道せいどうとは綱常こうじょう倫理りんり情義じょうぎ経歴けいれき世代せだいわくとらわれる。このような背景はいけいも、才能さいのうも、資源しげんもなき小人こびとたるれになん成功せいこうせよというのだ?


挿絵(By みてみん)


正道せいどうあゆめば、貴公子様きこうしさま天才てんさいどもの搾取さくしゅまととなり、いぼれるまで経歴けいれきみ、かすかな成果せいかしかられぬ。


これこそが正道せいどう…クソ正道せいどうめッ!」


て、倫理りんりなさけもて、ぞくまりをげうって、苛烈かれつ代償だいしょうはらう時にのみ、あらたなるみち荆棘いばらなかに切りひらけるのだ!


ゆえれは貴様きさまはかり、血海真伝けっかいしんでんうばい、ちたのだ!


ガハハハッ!それならば、れはてるまでだッ!」


「それならば我は魔となり果てるまでだッ…


そう、魔となり果てるまでだッ…」


こえ血幕けつまくうち幾重いくえ反響はんきょうする。


護罩ごしょうそとでは、天鶴上人てんかくじょうにん一瞬いっしゅん黙然もくぜんとした。古月一代こげついちだいわらいをおさめ、ふたた殺戮さつりくはじめた。数多あまた蛊师こし斬殺ざんさつされ、鮮血せんけつ血髑蠱けつどくこ吸尽きゅうじんされる。そして凝練ぎょうれんされた血泉精華けっせんせいか古月一代こげついちだい空窓くうそうそそがれ、かれ資質ししつ昇華しょうかさせる。


資質ししつたかまるほど、空窓くうそうにはさらおおくの真元しんげんたくわえられるのだ。


古月一代こげついちだい古月族人こげつぞくじん斬殺ざんさつすればするほど、その資質ししつ上昇こうしょうする。元石げんせき咀嚼そしゃくしたあと真元しんげん貯蔵ちょぞうし、戦闘力せんとうりょくさら強大きょうだいになる。


血幕けつまくそとで、天鶴上人てんかくじょうにん焦燥しょうそうして五内ごだいかれたが、血幕天華けつまくてんか天険てんけんごとへだたり、すべもなく嘆息たんそくするばかりだった。


つい護罩ごしょうなかのこったのは、数名すうめいだけになる。


小僧こぞうよ、天元宝蓮てんげんほうれんうばったな?


つみつぐな機会きかいあたえてやる。素直すなおせ!


いのちだけはたすけてやるぞ!」古月一代こげついちだいがじりじりとちかづき、殺気さっき方源ほうげん集中しゅうちゅうさせる。


方源ほうげん生存せいぞん可能性かのうせいきわめてひくいことを理解りかいしつつも、微動びどうだにせず冷笑れいしょうした:


「その戯言たわごと三歳児さんさいじでもだませまい。


ふん、これ以上いじょうちかづけば天元宝蓮てんげんほうれんつぶしてしまう。


わすれるな、このわたし煉化れんかしたものだ。


心念しんねんひとつで自壊じかいさせられる。


覚悟かくごのほどをせてみよ!」


古月一代こげついちだい足取あしどりは一瞬いっしゅんゆるんだが、かずに確固かっことして方源ほうげんせまる。


小僧こぞう、なかなか度胸どきょう知恵ちえがあるようだな。


そのとおり、おまえ子孫しそん吸収きゅうしゅう資質ししつたかめるため、当然とうぜんにがさぬ。


残念ざんねんだが、かつて血種蠱けっしゅこ子孫しそん血脈けつみゃく洗練せんれんし、古月陰荒体こげついんこうたい出現しゅつげん画策かくさくした。


もしそんな天才てんさいあらわれれば、そのくしくれば資質ししつ甲等九割九分こうとうきわりくぶ暴騰ぼうとうできたのだッ!」


「そのようなものあらわれれば貴様きさまらもたすけただろうに、うんがなかったな。


フンフン、ざまで最もひと指図さしずされるのはえられん。天元宝蓮てんげんほうれん仕方しかたなしだ、らえ、ぬがいい!」


語音ごいんいまちず、背中せなかつばさ一振ひとふりするや、電光でんこうごとす。またた方源ほうげん眼前がんぜん出現しゅつげんした。


みぎばして捕縛ほばくせんとする。その刹那せつな方源ほうげん瞳孔どうこう猛烈もうれつ収縮しゅうしゅくし、全身ぜんしん逆立さかだつ。あわてて後退こうたいしたが——


五轉強者ごてんきょうしゃをかわすのは所詮しょせん容易よういならず。魔爪まそうとど寸前すんぜんで、よこからこおごと巨掌きょしょうってはいった!



ドカンッ!


衝突音しょうとつおんなか氷手こおりてくだり、寒気さむけほとばしる。古月一代こげついちだい一歩いっぽう後退こうたいした。


白凝冰はくぎょうひょう!?」方源ほうげんかえり、したものすこおどろいた。


白凝冰はくぎょうひょう切断面せつだんめんから冷気れいき白煙はくえんごとがる断臂だんびむと、またたあらたな氷手こおりて形成けいせいされ、元通もとどおりにもどった。だがこおりのままで血肉けつにくにはならなかった——十絶大限じゅうぜつたいげんまえせまっている証拠しょうこだ。


「まさか、こんな見事みごとざまができるとはな。


このたたかいの結末けつまつ見届みとどけられぬのが残念ざんねんだ!」白凝冰はくぎょうひょう長嘆ちょうたんし、突然とつぜんわらした。紺碧こんぺき双瞳そうどう方源ほうげんとらえる:


方源ほうげんよ、貴様きさまわれ同類どうるいだ。


まっているが、貴様きさままでもぬのは勿体もったいない。


まもってやろう――


ただし一つ条件じょうけんがある。」


白凝冰はくぎょうひょう三転さんてんぎないが、ちかづくほど戦力せんりょく噴水ふんすいごと高騰こうとうしていた。最後さいご古月一代こげついちだいたおせる希望きぼうかれのみだ!


「ほう、どんな条件じょうけんだ?」方源ほうげん双眸そうぼうひかる。


白凝冰はくぎょうひょう両腕りょううで水平すいへいばし、あたかも世界せかい抱擁ほうようせんとするように。白髪はくはつかぜなびき、まゆかろげる:「わりに生きてくれよ──この万般ばんぱん精彩せいさい目撃もくげきし、あじわうがいいッ!」


一瞬いっしゅん方源ほうげんこころうごかされた!


このおとこは…


白凝冰はくぎょうひょう注視ちゅうしする方源ほうげんひとみに、かつて(た)の自分じぶんかびがった。


白凝冰はくぎょうひょう言葉ことば荒唐無稽こうとうむけいこえようとも、じついつわりのない真情しんじょうにあふれている。常人じょうじんならけっしてしんじまいが、方源ほうげんだけがこの言辞げんじめられた深遠しんえん意味いみしていたのだ。



白凝冰はくぎょうひょう天稟てんぴんさいめぐまれながらも、命数めいすうかみごとうすい。おのれみち見出みいだ信念しんねんかれは、おそれぬが、このへの未練みれんれない。


心中しんちゅうにはうらみがあり、万策尽ばんさくつて、その未練みれん方源ほうげんたくすよりほかにないのだ。


「おおっ、なんと本物ほんもの北冥冰魄体ほくめいひょうはくたいか。


しいことよ、血筋ちすじならば全員ぜんいんなずにんだものを」古月一代こげついちだい残忍ざんにんわらいをらす、「北冥冰魄体ほくめいひょうはくたいだけをってれをはばもうとは?


あますぎるわッ!」


語尾ごびえやらぬうちにかげひらめき、ふたた視界しかいあらわれたときにはすで白凝冰はくぎょうひょう眼前がんぜんにあった。


ドオォン!


爆響ばくきょうとどろき、両者りょうしゃ激突げきとつ炸裂さくれつする。


古月一代こげついちだい二歩にほ後退こうたいし、白凝冰はくぎょうひょう頭蓋ずがい大半たいはん上半身じょうはんしん爆砕ばくさいされる。


されど転瞬てんしゅんにして、ガリガリッ…


冷気れいきほとばしり、しも結晶けっしょうし、あらたに躯体くたい頭部とうぶ再構築さいこうちくされる。白凝冰はくぎょうひょう復活ふっかつしたのだ!


「まさか!」古月一代こげついちだい衝撃しょうげきけた。十絶体じゅうぜつたいとの対決たいけつなどはじめての経験けいけんだった。


両者りょうしゃ激闘げきとうひろげる。白凝冰はくぎょうひょう修為しゅうい所詮しょせんおよばず、圧倒的あっとうてき劣勢れっせいだった。しかし古月一代こげついちだい幾度いくどころそうとも、かれ絶命ぜつめいさせることはできなかった。


北冥冰魄体ほくめいひょうはくたいいま不死身ふじみひとしく、きずふかさなど無関係むかんけいに、瞬時またた氷結ひょうけつして再生さいせいした。


これに古月一代こげついちだいいかりと畏怖いふ倍増ばいぞうし、攻撃こうげきさら狂瀾きょうらんごとくなった。白凝冰はくぎょうひょう次第しだい生気せいきうしない、うご氷像ひょうぞうへと変貌へんぼうした。ゆきごと白髪はくはつさえも、一条一条いちじょういちじょう氷糸こおりいとわっていく。


ときが、ついにた。


が、まさにいまおとずれんとしている。


万丈红尘缤纷彩ばんじょうこうじんひんぷんさい


天涯云水路遥长てんがいうんすいろようちょう


此刻风流归天地このときふうりゅうきてんち


不胜水中明月光たえずすいちゅうのめいげつこう!」


白凝冰はくぎょうひょう長吟ちょうぎんし、ほのかな微笑ほほえみをかべる。


かくて、表情ひょうじょう永久えいきゅうかたまる。


寒風かんぷう驟然しゅうぜんこり、霜気そうききりごと猛烈もうれつがった。


ガリガリッ…


大量たいりょう氷霜ひょうそうがその足元あしもとから蔓延まんえんし、みるみるうちに山脈さんみゃく成長せいちょうするがごとく、氷河ひょうがからせり上がる!


澎湃磅礴ほうはいほうはくたる白氷はくひょうが、竜獣りゅうじゅうごと奔騰ほんとうし、山崩やまくず海嘯かいしょうごと古月一代こげついちだいへとせる。古月一代こげついちだい絶叫ぜっきょうし、渾身こんしんちからふるってあらがう。あたま赤毛あかげ逆立さかだち、全身ぜんしんから血霧ちぎりがる。無数むすう血滴子けってきし刀翅血蝠蛊とうしけっぷこ駆使くしし、氷河ひょうがにぶつかってすす速度そくどかすかに遅滞ちたいさせる。


しかし最終的さいしゅうてきに、かれ氷河ひょうがさえまれ、幽閉ゆうへいされ、まれた。


巨大きょだい氷河ひょうが血幕けつまく全空間ぜんくうかん充満じゅうまんさせた。ただひと方源ほうげんのいる場所以外ばしょいがい白凝冰はくぎょうひょうわざわざのこしたひとてるだけの小空間しょうくうかんだけが例外れいがいだ。


ドッ!


かろやかなおととも血幕天華蠱けつまくてんかこさえも氷河ひょうがひろげられてやぶれた。阻害物そがいぶつえた途端とたん大量たいりょう寒気かんき狂乱きょうらんごとほとばり、またた氷霜ひょうそう結晶けっしょうして氷河ひょうが四方八方しほうはっぽうひろがる。


血幕天華蠱けつまくてんかこすらやぶられただと!


この破壊力はかいりょくは…!」天鶴上人てんかくじょうにんはその鋭鋒えいほうれようとはせず、いそいで高空こうくうがった。


かれ震撼しんかんしながら見下みおろすと、氷河ひょうが青茅山せいぼうざん全山ぜんざん拡大かくだいしていくのがえた。山頂さんちょうからふもとまでを刹那せつなおおくし、もと鬱蒼うっそうしげ生気せいきあふれた青茅山せいぼうざんを、一面いちめん白銀世界はくぎんせかいへとえ、危険極きけんきわまる凍土とうどへとちさせたのだ。


足元あしもと氷地ひょうちなく隆起りゅうきし、方源ほうげんもその光景こうけい目撃もくげきした。


この千里せんりつらなる氷河ひょうがは、一人ひとり少年天才しょうねんてんさい散華さんげあかし、白凝冰はくぎょうひょう無念むねん無常むじょう嘆息たんそくふうんでいる。


不味まずい、ただちに脱出だっしゅつせねば!


白凝冰はくぎょうひょう意識いしき減衰げんすい制御せいぎょ不能ふのうに!」方源ほうげん気付きづく——空間くうかん縮小しゅくしょうつづけ、氷霜ひょうそう際限さいげんなく増殖ぞうしょくし、生存領域せいぞんりょういきが刻々(こっこく)と浸食しんしょくされていると。




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