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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第十九節: 六转本命春秋蝉!

煉化れんか最中さなか反噬はんぜい発生はっせい


花酒行者かしゅぎょうじゃ強靭きょうじん意志いし継承けいしょうした酒虫しゅちゅう空竅くうこう侵入しんにゅうし、方源ほうげん猛然もうぜん反撃はんげき仕掛しかけてきた。


この強力きょうりょく意志いしちからうえからしたへ、空竅くうこう底部ていぶにある青銅元海せいどうげんかい目掛めがけてはげしくおそいかかる。


青銅元海せいどうげんかい逆巻さかまなみのようにはげしくうごき、方源ほうげん意志いしによっておおきな真元しんげんながれがてん大波おおなみとなり、酒虫しゅちゅう意志いしに立ちかった。


両者りょうしゃちから空竅くうこう中央ちゅうおう激突げきとつしようとする瞬間しゅんかん両勢力りょうせいりょくあいだ空白くうはく領域りょういきに、かすかな虚影きょえいかびがった。


それは一匹いっぴきせみであった。


そのせみちいさなからだをしており、月光蛊げっこうこあおかがやつきかたちをした水晶すいしょうであるなら、このせみ職人しょくにん茶色ちゃいろつくった精緻せいち工芸品こうげいひんのようであった。


頭部とうぶ腹部ふくぶ茶褐色ちゃかっしょくで、表面ひょうめんには年輪ねんりんのような模様もようきざまれており、なが歳月さいげつたことをおもわせる。


背中せなかはね幅広はばひろ半透明はんとうめいで、二枚にまいかさなっているかのようであった。両方りょうほうはねには非常ひじょう葉脈ようみゃくのような模様もようがあり、中央ちゅうおうふとくきから両側りょうがわ網目あみめじょう紋様もんようひろがっている。


春秋蝉しゅんじゅうせん


それが目覚めざめた。


あたかも巨獣きょじゅう洞窟どうくつひそんでねむっていたが、突然とつぜん目覚めざめ、自分じぶん縄張なわばりがおかされたことに気付きづいたかのようであった。


だれ領域りょういきおかすのか!」


尊厳そんげんけがされたとでもうように、春秋蝉しゅんじゅうせんいかくるい、一筋ひとすじはなった。


そのかすかでありながら、同時どうじ圧倒的あっとうてきつよさをゆうしていた。まるでてんからながちる大河たいがが、万里ばんりの山々(やまやま)をみ、てしない砂漠さばく水浸みずびたしにするかのようであった。


このくらべれば、酒虫しゅちゅう意志いしありぞうるようなものだった。


周囲しゅういひろがり、えざる大津波おおつなみとなって酒虫しゅちゅう意志いしんだ。抵抗ていこうする余裕よゆうもなく、酒虫しゅちゅう意志いし完全かんぜんった。


方源ほうげんむねめ付け(つけ)られるような感覚かんかくおそわれた。天山てんざんにぶつかるなみのように、集結しゅうけつした青銅真元せいどうしんげんが粉々(こなごな)にくだけ、あめのように元海げんかいそそいだ。


ざあざあ――


真元海しんげんかい暴雨ぼううたれたようにはげしくうごいたが、数回すうかい呼吸こきゅう春秋蝉しゅんじゅうせん元海げんかいしずかせた。


ドォン! 方源ほうげん耳鳴みみなりのようなおとかんじた。瞬時しゅんじ波濤はとう渦巻うずま元海げんかい完全静止かんぜんせいしした。


春秋蝉しゅんじゅうせん気配けはい元海全体げんかいぜんたいけ、無形むけい巨山きょざん鎮座ちんざするがごとく、海面かいめん微動びどうだにせず鏡面きょうめんのようにたいらかだった。


しわだらけのかみ巨人きょじんてのひらつぶされたいらにされるような圧倒的あっとうてきちから


方源ほうげん心臓しんぞうやませられたような重圧じゅうあつおぼえ、孫悟空そんごくう五行山ごぎょうざんふうじられたように、一片いっぺん真元しんげんうごかせなかった。


だがおどろきよりもはげしいよろこびがむねがらせた。


春秋蝉しゅんじゅうせんわたしとも転生てんせいしていたとは! この消耗品しょうもうひんではなく再利用さいりよう可能かのうだったのか!」


六転ろくてんという最高品級さいこうひんきゅうほこ春秋蝉しゅんじゅうせんは、前世ぜんせ方源ほうげん全財産ぜんざいさん三十年さんじゅうねん歳月さいげつついやし完成かんせいさせた最高傑作さいこうけっさく


だが完成直後かんせいちょくご正派せいは攻撃こうげきにより方源ほうげん死亡しぼう転生後てんせいご春秋蝉しゅんじゅうせん気配けはい感知かんちできず消滅しょうめつしたとおもんでいた。


実際じっさい方源ほうげん体内たいない宿やどり、五百年ごひゃくねん時空じくう逆行ぎゃっこうによる消耗しょうもう衰弱すいじゃくしきっていたのだ。


いまあらわれた春秋蝉しゅんじゅうせん姿すがたいたましい。


記憶きおくなかでは、躯幹くかん高級木材こうきゅうもくざいのような光沢こうたくはなち、はね若葉わかばのような嫩緑色どんりょくしょくをしていた。


しかし現在げんざい躯幹くかんのようにあらく、はねあきわりにのような黄褐色おうかっしょく翅先はさきけ、枯葉かれはふちのようにがっていた。気配けはい濃厚のうこうただよっている。

これに対し、方源ほうげんむねいたむと同時どうじ安堵あんどしていた。


いたみの理由りゆうは、春秋蝉しゅんじゅうせん崩壊ほうかい寸前すんぜん——がけっぷちに片足かたあしんだ状態じょうたい——であること。


安堵あんどしたのは、春秋蝉しゅんじゅうせんがこの程度ていどまで衰弱すいじゃくしていたからこそ、みずからのいのちたすかっているという現実げんじつだった。


蛊師こし関係かんけい相互補完そうごほかん最適さいてきで、同階どうかいきゅうであることがのぞましい。


一転蛊師いってんこし一転蛊いってんこ使つかうのが最適解さいてきかいだ。ひくければ大男おおおとこ小枝こえだまわすような非効率ひこうりつたかければ子供こどもおもおのかつぐような危険きけんともなう。


六転蛊虫ろくてんこちゅうである春秋蝉しゅんじゅうせん一転初階いってんしょかい方源ほうげんは、やま栗鼠りす関係かんけいひとしい。栗鼠りすやま背負せおってたたかえばすなわ圧死あっしする。


もし春秋蝉しゅんじゅうせん全盛期ぜんせいきなら、方源ほうげん空竅くうこうなど瞬時しゅんじ破裂はれつしていただろう。虚弱きょじゃくきわまったいまだからこそ収容しゅうよう可能かのうなのだ。


月光蛊げっこうこ酒虫しゅちゅうさがもとめたが、じつすで本命蛊ほんめいこゆうしていた。春秋蝉しゅんじゅうせんこそがわたし本命蛊ほんめいこなのだ!」


蛊師こしにとって最初さいしょ煉化れんかする本命蛊ほんめいこ将来しょうらい左右さゆうする。すぐれた本命蛊ほんめいこ成長せいちょう加速かそくし、おとるものはあしる。


方源ほうげん古月山寨こげつさんさい最高さいこう月光蛊げっこうこさえ不満ふまん酒虫しゅちゅうえらんだ。かれ記憶きおくでは、酒虫しゅちゅう一転いってん蛊師こしにとって最上級さいじょうきゅう選択肢せんたくしだった。


しかし人生じんせいたえ予測よそく不能ふのうにある。


前世ぜんせ煉化れんかした春秋蝉しゅんじゅうせん転生後てんせいご契約けいやく保持ほじしていた。ときかわさかのぼった影響えいきょうか、きずなまえよりふか神秘しんぴてきになっていた。ただ衰弱すいじゃくいちじるすぎて気付きづかなかっただけだ。


つまりしん意味いみで、春秋蝉しゅんじゅうせん方源ほうげん最初さいしょ本命蛊ほんめいこ——前世五百年ぜんせごひゃくねん結晶けっしょうとして存在そんざいする。


一転蛊師いってんこし六転蛊ろくてんこ本命ほんめいとする事実じじつ常識じょうしき超越ちょうえつしている。だれしんじまいが、まぎれもない現実げんじつだ。


酒虫しゅちゅう最良さいりょう選択せんたくだったが、春秋蝉しゅんじゅうせんくらべればちり同然どうぜん哈哈哈ははは!」

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