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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第百八十九節:惊变

夕焼けが空を赤く染め、天辺の紅霞こうかが火のように燃えている。


白凝冰はくぎょうひょうは白い衣に雪のような白髪しらが、丘の斜面しゃめんに立っている。沈みかけた落日らくじつ残光ざんこうが、彼の両目りょうめを照らし、まさに消えようとする命を暗示あんじしているようだ。


「こんなに美しい落日らくじつを、あと何度見られるか……この天地てんち精彩せいさいを、僕はその中のてんほどの微塵みじんしか見てこなかった。本当にしいことだ。特に周囲しゅういには、目障めざわりな奴らがさわいでいてな」


白凝冰は心中しんちゅうひえややかにわらい、視線しせんを引きもどし、周囲しゅうい一巡いちじゅん見渡みわたした。


古月こげつ熊家ゆうけ連合れんごうは、のこ百人余ひゃくにんあまり蛊師こしたちを集結しゅうけつさせ、白凝冰をがっちり包囲ほういしている。


白凝冰(はくぎょうひょう)、お前が自ら予選(よせん)から退(しりぞ)けば、(いのち)は助けてやる!」


「そうだ、()(ほど)をわきまえるなら、慈悲(じひ)をかけて()がしてやってもいい」


白家(はくけ)蛊師(こし)は、もう我々に殲滅(せんめつ)されたも同然(どうぜん)(のこ)りも全てそ(げき)足止(あしど)めしている。援軍(えんぐん)など期待(きたい)するな。絶対(ぜったい)()ないぞ!」


方正(ほうせい)熊驕嫂(ゆうきょうそう)熊林(ゆうりん)赤城(せきじょう)四人(よにん)首謀(しゅぼう)として、若手蛊師(わかてこし)たちが()わる()わる挑発(ちょうはつ)言葉(ことば)()げ、白凝冰(はくぎょうひょう)戦意(せんい)()ごうと(たくら)んでいた。


しかし、それらの言葉(ことば)は、白凝冰(はくぎょうひょう)(こころ)(かす)かな()らぎようもなかった。


「ネズミどもが巨象(きょぞう)(まえ)(さわ)ぐとは、笑止(しょうし)千万(せんばん)だな」白凝冰(はくぎょうひょう)(ひや)やかに(わら)い、軽蔑(けいべつ)(いろ)()かべて周囲(しゅうい)見渡(みわた)した。「お(まえ)たちの中で興味(きょうみ)があるのは古月方源(こげつほうげん)だけだ。()しいことに(いま)(あらわ)れておらん。ふふ…全員(ぜんいん)でかかってこよう」


そう()うと白凝冰は氷刃(ひょうじん)()らし、冷気(れいき)がほとばしる透明(とうめい)(やいば)()()でながら、周囲(しゅうい)(ひと)()()ようとしない。


「こいつは傲慢(ごうまん)すぎる!」


「ふん…我々(われわれ)を眼中(がんちゅう)()いてないだと」


兄弟(きょうだい)たち全員(ぜんいん)一撃(いちげき)ずつ(くわ)えれば、十人(じゅうにん)の白凝冰でも肉泥(にくどろ)にできるぞ!」


蛊师(こし)たちは一時(いちじ)ざわめいたが、実際(じっさい)無鉄砲(むてっぽう)()()(もの)(だれ)もいなかった。


白凝冰(はくぎょうひょう)孤軍(こぐん)ながら圧倒的(あっとうてき)気魄(きはく)(はな)ち、包囲(ほうい)する全員(ぜんいん)畏怖(いふ)(ねん)(いだ)かせていた。


(みな)(あわ)てるな。白凝冰(はくぎょうひょう)挑発(ちょうはつ)()るでない。我々(われわれ)は事前(じぜん)訓練(くんれん)しておらず、連携(れんけい)齟齬(そご)がある。同時(どうじ)()()せば(かえ)って足並(あしな)みが(みだ)れ、(やつ)漁夫(ぎょふ)()(あた)えてしまう」熊林(ゆうりん)()()めた。


「じゃあ(だれ)最初(さいしょ)()()すんだ?」赤城(せきじょう)()う。


熊家(ゆうけ)()()白家(はくけ)対抗(たいこう)しているとはいえ、この同盟(どうめい)一枚岩(いちまいいわ)ではない。(さき)(うご)けば危険(きけん)()し、先攻(せんこう)(がわ)もまた敵方(てきがた)()(うば)われる懸念(けねん)(いだ)かなければならなかった。


(かま)わん、(わたし)先陣(せんじん)()ろう。白凝冰(はくぎょうひょう)率直(そっちょく)()えばお(まえ)(たたか)いたくて仕方(しかた)なかったんだ」熊驕嫂(ゆうきょうそう)腕組(うでぐ)みをしながら一歩(いっぽ)()()した。


彼女(かのじょ)(するど)口笛(くちぶえ)一吹(ひとふ)きするや、遠方(えんぽう)から獣群(けものむれ)(はし)(おと)(ひび)いた。(はやし)には(またた)()無数(むすう)黒影(こくえい)(あらわ)れ、二百頭余(にひゃくとうあま)りの黒熊(くま)姿(すがた)(あらわ)した!


先頭(せんとう)黒熊(くま)同種(どうしゅ)より(ひと)(まわ)巨大(きょだい)で、百獣王級(ひゃくじゅうおうきゅう)存在(そんざい)だった。狼潮(ろうちょう)危険(きけん)であると同時(どうじ)機会(きかい)でもあった——熊驕嫂(ゆうきょうそう)はその危機(きき)()()え、三転蛊師(さんてんこし)昇格(しょうかく)馭熊蛊(ぎょゆうこ)三転(さんてん)進化(しんか)し、獣王級(じゅうおうきゅう)(くま)制御(せいぎょ)できるようになったのだ。


これが熊驕嫂(ゆうきょうそう)の切り(きりふだ)だった。



姐御(あねご)(すご)いぜ!」


「くそっ…こんなに(くま)がいるとは」


(くま)大群(たいぐん)に我々(われわれ)の百人(ひゃくにん)だ。はっ、白凝冰(はくぎょうひょう)(いき)()此処(ここ)()まるな!」


熊家(ゆうけ)蛊師(こし)たちは興奮(こうふん)のざわめきを()てた。一方(いっぽう)古月一族(こげついちぞく)表情(ひょうじょう)複雑(ふくざつ)だった——熊驕嫂(ゆうきょうそう)熊力(ゆうりき)死後(しご)熊家(ゆうけ)(かつ)()となった。対照的(たいしょうてき)古月家(こげつけ)青書(せいしょ)死後(しご)漠塵(ばくじん)までもが落命(らくめい)した。方源(ほうげん)三転(さんてん)昇格(しょうかく)したものの、丙等(へいとう)資質(ししつ)では(おお)きな期待(きたい)()てない。


(さいわ)いに我々(われわれ)には甲等(こうとう)資質(ししつ)古月方正(こげつほうせい)がおる」多くの蛊師(こし)方正(ほうせい)(あお)()ながら(むね)()()ろす。(とく)今回(こんかい)三族大比武(さんぞくたいひぶ)では、(かれ)(おどろ)(ほど)成長(せいちょう)()せ、白家(はくけ)蛊師(こし)を次々(つぎつぎ)に(ほうむ)っていた。その手辣(てざい)(たたか)()りは族中(ぞくじゅう)(なぐさ)みとなっている。


甲等(こうとう)天才(てんさい)()()じぬ(うつわ)よ!」


大局(たいきょく)()した!たとえ三轉(さんてん)頂点(ちょうてん)であり、才能(さいのう)(めぐ)まれていようと、百人(ひゃくにん)(てき)ではあるまい…青書様(せいしょさま)今度(こんど)こそ貴方(あなた)(あだ)()って()せます!…その()、もし兄貴(あにき)(あらわ)れたら…」方正(ほうせい)白凝冰(はくぎょうひょう)(にら)みつけ、脳裏(のうり)(おも)いが渦巻(うずま)く。


「たかが獣王(じゅうおう)一頭(いっとう)だけか。()まらない芝居(しばい)だな」(くま)()れが(せま)()(なか)白凝冰(はくぎょうひょう)悠然(ゆうぜん)欠伸(あくび)を一つ。


全身(ぜんしん)から(かす)かに(しろ)冷気(れいき)(にじ)()ていた。


北冥氷魄体(ほくめいひょうはくたい)…まもなく()たぬか」(かれ)(すで)天命(てんめい)()きるのを(かん)()っていた。この(からだ)限界(げんかい)(たっ)し、(とお)くない(うち)(いのち)()とす。(いま)この瞬間(しゅんかん)さえも、肉体(にくたい)崩壊(ほうかい)(ふち)()ち、全身(ぜんしん)血肉(ちにく)(しも)へと変移(へんい)する(きざ)しがあるのを(さと)っていた。


だがその(なか)でさえ、白凝冰(はくぎょうひょう)平然(へいぜん)とした様子(ようす)(くず)さない。夕焼(ゆうや)けの(のこ)()一目(ひとめ)()やると、ゆっくりと(くび)(まわ)して、(おそ)()(くま)()れへと視線(しせん)()けた。



「そんなに死にたければ、慈悲深(じひぶか)()かせてやろう。これもわが(いのち)一片(いっぺん)精彩(せいさい)()えるかもしれん」(かす)かな嘆息(たんそく)()れた。


少し(はな)れた場所(ばしょ)で、三族(さんぞく)族長(ぞくちょう)蛊師(こし)たちが黙然(もくぜん)と立ちつくす。


「ついに決戦(けっせん)だ!白凝冰(はくぎょうひょう)()てば、これ以上の勝利(しょうり)はない!」熊家(ゆうけ)族長(ぞくちょう)(こころ)(うち)興奮(こうふん)()(ころ)した。


「ふん…(わな)にかかったな。よくも結託(けったく)して…くっくっく、白凝冰(はくぎょうひょう)(あなど)()ぎたな。さあ(おどろ)くがよい」白家(はくけ)族長(ぞくちょう)水面(みなも)のように(しず)かな表情(ひょうじょう)()かべ、()(ほそ)めつつ謀略(ぼうりゃく)(めぐ)らせる。


古月博(こげつはく)憂色(ゆうしょく)(たた)えていた。


(いま)(いた)るまで、方源(ほうげん)鉄血冷(てっけつれい)姿(すがた)()せない。


三族大比武(さんぞくたいひぶ)重要(じゅうよう)さは()うまでもなかったが、(かれ)(こころ)日増(ひま)しに戦場(せんじょう)から(はな)れていた。



古月陰荒体(こげついんこうたい)…もし方源(ほうげん)本当(ほんとう)にその資質(ししつ)なら、(かなら)(かれ)(まも)り、血潮墓所(ちしおぼしょ)()れて()かねば!」そう(かんが)えると古月博(こげつはく)はそっと(かたわ)らの铁若男(てつわかな)一瞥(いちべつ)した。


この铁家(てつけ)少女(しょうじょ)(ふか)背景(はいけい)()つが、(すで)古月博(こげつはく)掌握(しょうあく)()()かれていた。


铁若男(てつわかな)(みずか)らの状況(じょうきょう)(まった)憂慮(ゆうりょ)しておらず、(ちち)(しん)()っている。(いま)彼女(かのじょ)一途(いちず)(おも)うのは方源(ほうげん)(とら)えることだ。


方源(ほうげん)(しん)資質(ししつ)など、本気(ほんき)調(しら)べれば判明(はんめい)する。もし本当(ほんとう)十絶体(じゅうぜつたい)なら、(かれ)嫌疑(けんぎ)(もっと)濃厚(のうこう)だ!


「ちくしょう!」方源(ほうげん)(こころ)(のろ)いながら、千里地狼蛛(チーリーィディラングズー)背中(せなか)にへばりつき、()()とされぬよう必死(ひっし)にしがみついた。


(かれ)は元々(もともと)、花酒行者(かしゅぎょうじゃ)(ひら)いた通路(つうろ)利用(りよう)して(らく)前進(ぜんしん)しようと考え(かんがえ)ていた。


しかし好況(こうきょう)(なが)(つづ)かず、()もなくして千里地狼蛛(チーリーィディラングズー)凶暴化(きょうぼうか)したのだ。


空気中(くうきちゅう)元気(げんき)吸収(きゅうしゅう)(はじ)め、(おのれ)(ちから)()す。同時(どうじ)三対(さんつい)触肢(しょくし)(はげ)しく(うご)かし、(あら)たな坑道(こうどう)()(すす)みながら地下(ちか)無軌道(むきどう)暴走(ぼうそう)しだした。


その様子(ようす)方源(ほうげん)(さと)る。


この千里地狼蛛(チーリーィディラングズー)花酒行者(かしゅぎょうじゃ)指揮下(しきか)古月一代(こげついちだい)激烈(げきれつ)戦闘(せんとう)()(ひろ)げた(さい)


すでに血狂蛊(けっきょうこ)汚染(おせん)されていたのだ。


花酒行者(かしゅぎょうじゃ)千里地狼蛛(センリジロウグモ)()って遠遁(えんとん)し、(いそ)山体(さんたい)秘洞(ひとう)改造(かいぞう)遺産(いさん)(のこ)した(あと)()いを(いだ)いて(いき)()()った。


千里地狼蛛(センリジロウグモ)(あるじ)(うしな)い、制御(せいぎょ)不能(ふのう)拍車(はくしゃ)がかかり暴走(ぼうそう)錯乱(さくらん)(すえ)逃亡(とうぼう)()()った坑道(こうどう)(もど)った。


()(せま)(なか)幸運(こううん)にも千里地狼蛛(センリジロウグモ)(みずか)自我封印(じこふういん)(ほどこ)して休眠(きゅうみん)状態(じょうたい)へ。死期(しき)(おく)らせ、かすかな生機(せいき)(たも)つ。


数百年後(すうひゃくねんご)方源(ほうげん)がこの()到着(とうちゃく)石繭(いしまゆ)()(ひら)き、千里地狼蛛(センリジロウグモ)覚醒(かくせい)させる。しかし血狂蛊(ケッキョウコ)弊害(へいがい)根絶(こんぜつ)されておらず、(とき)経過(けいか)(とも)再発(さいはつ)したのだ。


地下深(ちかふか)くで、方源(ほうげん)(ひと)りの(ちから)では地表(ひょうひょう)脱出(だっしゅつ)不可能(ふかのう)千里地狼蛛(センリジロウグモ)能力(のうりょく)(たよ)るしかない。


千里地狼蛛(センリジロウグモ)凶暴化(きょうぼうか)(いちじる)しく、制御(せいぎょ)日増(ひま)しに困難(こんなん)となる。方源(ほうげん)背中(せなか)騎乗(きじょう)したまま、運任(うんまか)せの()けに()るより(ほか)なかった。


しかし(さいわ)いにも、事態(じたい)はまだ(はじ)まったばかり。千里地狼蛛(センリジロウグモ)暴走(ぼうそう)する頻度(ひんど)はさほど(たか)くなく、方源(ほうげん)もかすかな制御(せいぎょ)力を(のこ)していた。


制御度(せいぎょど)(ひく)くなりつつあるものの、全体的(ぜんたいてき)には依然(いぜん)として正確(せいかく)方向(ほうこう)()かわせることに成功(せいこう)千里地狼蛛(センリジロウグモ)可能(かのう)(かぎ)地表(ひょうひょう)()(すす)ませているが、特定(とくてい)到達地点(とうたつちてん)指定(してい)することは(かな)わない。


西天(せいてん)(のこ)()血痕(けっこん)(ごと)く、戦場(せんじょう)(いた)(ところ)肢肉(しにく)片片(へんぺん)()らばる。


白凝冰(はくぎょうひょう)戦場(せんじょう)凛然(りんぜん)()ち、足下(あしもと)には(あつ)氷霜(ひょうそう)刻一刻(こくいっこく)(ひろ)がっていた。


残存(ざんぞん)する蛊師(こし)三十人(さんじゅうにん)()たず、(たが)いに(からだ)()()い、(わず)かな安心感(あんしんかん)()ようと必死(ひっし)だ。


(くま)()れは(すで)全滅(ぜんめつ)熊驕嫂(ゆうきょうそう)(いた)っては白凝冰(はくぎょうひょう)一太刀(ひとたち)斬首(ざんしゅ)され、(うつく)しい頭部(とうぶ)(はる)(とお)くへ()び、(くび)からは()(いずみ)()()ていた。


熊林(ゆうりん)白凝冰(はくぎょうひょう)氷錐(ひょうすい)全身(ぜんしん)(つらぬ)かれ、古月赤城(こげつせきじょう)氷像(ひょうぞう)へと(こお)りついた。氷棺(ひょうかん)(なか)(かれ)()直前(ちょくぜん)必死(ひっし)回避(かいひ)しようとした動作(どうさ)(とど)め、顔面(がんめん)には驚愕(きょうがく)恐怖(きょうふ)震撼(しんかん)表情(ひょうじょう)が生々(なまなま)しく(きざ)まれていた。


方正(ほうせい)全身(ぜんしん)(きず)()いながらも出血(しゅっけつ)せず、氷霜(ひょうそう)傷口(きずぐち)()()めている。


(あら)(いき)()りながら白凝冰(はくぎょうひょう)(にら)む――この数分間(すうふんかん)惨劇(さんげき)はまるで悪夢(あくむ)のようだった!


白凝冰(はくぎょうひょう)(はな)つのは(あき)らかに三轉(さんてん)氣息(きそく)。だがその戦闘力(せんとうりょく)(すで)四轉(してん)(せま)領域(りょういき)(たっ)していた!!


「ふん…(やつ)には()ているが、お(まえ)はお(まえ)だ。つまらん」白凝冰(はくぎょうひょう)一步(いっぽ)、また一步(いっぽ)方正(ほうせい)(ちか)づく。方正(ほうせい)がここまで()()びたのも、白凝冰(はくぎょうひょう)意図的(いとてき)見逃(みのが)した結果(けっか)だ。


蛊師(こし)たちは騒然(そうぜん)士気(しき)最低限(さいていげん)まで()()んでいた。(みずか)らの族長(ぞくちょう)(ちか)くで観戦(かんせん)していると()らなければ、とっくに崩壊(ほうかい)して逃散(とうさん)しているところだった。


「くそっ!くそっ!!なぜ戦力差(せんりょくさ)がこんなに…(おれ)甲等(こうとう)資質(ししつ)だぞ!ここで()わるわけには…!」方正(ほうせい)()()いしばり、(こころ)の中で咆哮(ほうこう)した。


()ね」


白凝冰(はくぎょうひょう)縦身(じゅうしん)跳躍(ちょうやく)空中(くうちゅう)氷刃(ひょうじん)を高々(たかだか)と(かか)げる。


()ッ!


刃身(はみ)急激(きゅうげき)膨張(ぼうちょう)五倍(ごばい)以上(いじょう)巨大化(きょだいか)(あらが)(がた)威勢(いせい)で人々(ひとびと)へ(たた)きつけた。



「死じゃょ…!」


「あああっやめろ…!」


その(やいば)を前に、多くの蛊师(こし)たちが崩壊(ほうかい)し、絶望(ぜつぼう)慟哭(どうこく)()らした。


「くそっ…まさかここまで!」熊家(ゆうけ)族長(ぞくちょう)土気色(つちけいろ)(かお)(うめ)く。


古月博(こげつはく)身動(みうご)きせんとしたその(とき)白家(はくけ)族長(ぞくちょう)嘲笑(ちょうしょう)()かべて(はば)んだ:「古月(こげつ)族長(ぞくちょう)(だれ)介入(かいにゅう)(ゆる)されん。契約(けいやく)反故(ほご)にするおつもりか?」


古月博(こげつはく)細目(ほそめ)にしつつ言下(げんか)()()る:「白凝冰(はくぎょうひょう)三轉(さんてん)()ぎん!この戦力(せんりょく)はありえぬ…貴公(きこう)公然(こうぜん)不正行為(ふせいこうい)(はたら)いている!」


「不正だと?ふっ…(はく)つらに(おし)えてやろう、()(ぞく)白凝冰(はくぎょうひょう)こそ北冥氷魄体(ほくめいひょうはくたい)である!」白家(はくけ)族長(ぞくちょう)(こえ)()()げて()(はな)つ。


「何?! 十絶天資(じゅうぜつてんし)だと?!」古月博(こげつはく)熊家(ゆうけ)族長(ぞくちょう)二人(ふたり)表情(ひょうじょう)一変(いっぺん)した。


急報(きゅうほう)族長殿(ぞくちょうどの)突如(とつじょ)として正体不明(しょうたいふめい)地震(じしん)発生(はっせい)山寨(さんさい)竹楼(ちくろう)数棟(すうとう)崩壊(ほうかい)地面(じめん)より()()じった(みず)(にじ)()でております!死傷者(ししょうしゃ)(すく)ないものの、混乱(こんらん)(きわ)みでございます!」古月家(こげつけ)蛊師(こし)息切(いきぎ)れながら(いそ)いで()けつけてくる。


「まさか…そんなことが!」古月博(こげつはく)顔面(がんめん)強張(こわば)った。






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