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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第百八十三節:血海老祖

てよ、赤土せきど?」


方源ほうげんがそれをて、心臓しんぞうはげしくふるえた。


ばし岩壁がんぺきつかむと、力任ちからまかせに赤土せきどかたまりった。


土質どしつやわらかく、かすかな赤光せきこうはなっている。方源ほうげんかる指先ゆびさきつぶすと、なんくるしみもなくくだった。


合点がてんがいった」かれ完全かんぜん理解りかいした。


はじめていわにある秘洞ひとうもぐったとき洞窟どうくつ全体ぜんたいがこうした赤土せきどおおわれ、微光びこうはっしていることに気付きづいていた。他の照明しょうめいなどまった不要ふようだった。


当時とうじ不自然ふしぜんおもった。なぜなら青茅山せいぼうさんつち青黒あおぐろいのがつねだからだ。花酒行者かしゅぎょうじゃ特殊処理とくしゅしょりほどこしたためだと推測すいそくしていたが、いま禍根かこんはこの不気味ぶきみ血湖ちこにあるようだ。


方源ほうげん不安ふあん倍加ばいかするのを感じた。前世五百年ぜんせごひゃくねんげてきた人生経験じんせいけいけんが、もう直感ちょっかんレベルに昇華しょうかされているのだ。


「この場所ばしょ不気味ぶきみなだけでなく危険きけんいたところにある。時間的じかんてき余裕よゆうもまったくないのに、どうやってここから脱出だっしゅうすべきか?」方源ほうげん天井てんじょう見上みあげると、壁面へきめん最上部さいじょうぶには無数むすうあないており、どれも元泉げんせんつづ洞窟どうくつつながっているようだ。一体いったいどの穴が正解せいかいなのか?


方源ほうげん躊躇ちゅうちょした。


みずながめてくるからといって、地下ちか水路すいろ人間にんげんとおれるほどひろいとはかぎらない。


「それに…」方源ほうげんけわしい表情ひょうじょうで、背中せなか雷光らいこうつばさふるわせようとこころみた。


だが雷光らいこうつばさは、以前いぜんのように自分の手足てあしのように自由じゆうあやつれる感覚かんかくはなかった。かつての群青ぐんじょういろ電光でんこうは、いま不気味ぶきみあかすじじり、衰弱すいじゃく強大きょうだい混在こんざいする矛盾むじゅんした感覚かんかくはなっていた。


雷翼らいよくのこの状態じょうたいはまったくたよりにならず、飛行中ひこうちゅう突然とつぜんうごかなくなり、方源ほうげん空中くうちゅうから真逆様まっさかさま墜落ついらくする可能性かのうせい十分じゅうぶんにある。



ざぱあっ…… 血湖ちこなかで、不意ふい暗流あんりゅうった。


五転ごてん謎物はな膨大ぼうだい気配けはいが、みずうみからにじてくる。


「まさか…」方源ほうげん瞳孔どうこうまたたく間に収縮しゅうしゅくした。まみれのみずなかに、ながくろかげが徐々(じょじょ)にがってきたのだ。


その全長ぜんちょう四十よんじゅうメートル以上いじょうもあり、直径ちょっけいろくメートルちかくもある巨体きょたい


血湖ちこ深層しんそう生息せいそくしていた巨大きょだい水蛇うみへびが、方源ほうげん生身なまみ気配けはいせられ、いままさに狩猟しゅりょうあらわれんとしている!


「ちくしょう…」方源ほうげんこころ焦燥感しょうそうかんはしった。


いまかれなが黒髪くろかみ墨染すみぞめの外套がいとう鋸歯状のこぎりばじょう金蜈きんご山壁やまかべつらぬいて、たわんだ赤土あかつちにぶらがっている状態じょうたいだった。


広大こうだい血海ちかい比較ひかくすれば、まるで黒蟻くろありのような存在感そんざいかんである。


数百すうひゃく黒点こくてん湖底こていからあらわれ、上昇じょうしょうしはじめた——それはまるでさかなれがただようようだ。


ビュンビュン…


その速度そくど巨大きょだい水蛇うみへびよりもはやく、瞬時またたく間に湖面こめんからして姿すがたあらわした。


これはさかなではなかった。蝙蝠こうもりである。


暗赤色あんせきしょくからだとがったながみみ、しかも二対にたいつばさそなえている——主翼しゅよくが大きめで、そのした副翼ふくよくちいさくいている。


あしつめいが、二枚にまいつばさふちはすべてはがねやいばごとするどとがっている。


三転さんてん刀翅血蝠蛊とうしけっぷこか?」方源ほうげんこころ即座そくざひとつのこたえがかんだ。


やいばのようなつばさをもつ蝙蝠こうもりれが、不気味ぶきみ威圧いあつしながら自分じぶんおそいかかってくるのをて、かれ脳裏のうりさきかんだのは、あの記録きろく映像えいぞうだった。


留影存声蛊りゅうえいそんせいこ記録きろくうつっていた花酒行者かしゅぎょうじゃは、全身ぜんしんまみれで瀕死ひんし重傷じゅうしょうっていた。


月影蛊げつえいこがあのようは重傷じゅうしょうわせることは不可能ふかのうだ。しかし、この刀翅血蝠とうしけっぷれによる攻撃こうげきなら、状況じょうきょう完全かんぜん符合ふごうする。


「まさか、花酒行者かしゅぎょうじゃもここをおとずれたのか?つまり事実じじつかれきずはここの刀翅血蝠とうしけっぷによるものだったのか?」


その刹那せつな方源ほうげん思考しこう電光でんこうのようにめぐる。


花酒行者かしゅぎょうじゃ死因しいんは、ずっとなぞつつまれていた。しかしいまや、そのなぞかぎはおそらくこの場所ばしょ――それもこの刀翅血蝠とうしけっぷ存在そんざいすることは間違まちがいないだろう。


刀翅血蝠とうしけっぷ…」方源ほうげんこころの中でつぶやいた。このに対して、かれじつなんちがいもかんじていなかった。


この三転さんてんぎないが、血液けつえきさえあればきわめて容易ようい飼育しいくできる。


前世ぜんせにおいてかれつくげた血翼魔教けつよくまきょうは、刀翅血蝠とうしけっぷをシンボルとしていた。魔教まきょう資源しげんとうじて約一万頭やくいちまんとうもの刀翅血蝠蛊とうしけっぷこやしない、その兇威きょういは赫々(かくかく)として、恐怖きょうふらした――より正確せいかくえば、かれ基盤きばんきずいたのは刀翅血蝠とうしけっぷそのものだったのだ。


前世ぜんせ四百余年後よんひゃくよねんごあやまって偶然ぐうぜん血海老祖けっかいろうそ一箇所いっかしょ継承けいしょうれた。刀翅血蝠とうしけっぷれとぶん五転ごてん実力じつりょくたのみに、一方いっぽう覇者はしゃとなったのだ。


この血海老祖けっかいろうそ七転ななてん魔道まどう蛊師こしであり、悪名あくめいとどろき、ひとあさごところし、史書ししょって万年まんねん汚名おめいのこした。


かれはもとは凡人ぼんじんであり、えんみちびかれて魔道まどう蛊師こしとなった。社会しゃかい最底辺さいていへんからがり、八百年はっぴゃくねん以上いじょう歳月さいげつをかけて魔道まどう巨魁きょかいとなった。」


かれ資質ししつけっしてたかくなかった。空嚢くうのう宿やど真元しんげんかぎられていたが、だからこそ蛊虫こちゅう合煉ごうれんたいして、一貫いっかんして狂気きょうきじみた探究心たんきゅうしんつづけていた。


野性やせいにはものとしての意思いしがあり、みずか大気たいきちゅうから自然しぜん真元しんげん吸収きゅうしゅうできる。しかし蛊師こし煉化れんかされ、人間にんげん意志いし制御せいぎょされると、周囲しゅうい吸収きゅうしゅうする能力のうりょくうしない、蛊師こし空嚢くうのうから真元しんげんあたえられることしか出来できなくなるのだ。


血海老祖けっかいろうそ生涯しょうがいをかけてもとめたのは、「蛊師こし煉化れんかされながらも、自然しぜん真元しんげん吸収きゅうしゅうできる」を研煉けんれんすることだった。


正道せいどう蛊師こしたちはこの研究けんきゅう極度きょくどおそれ、血海老祖けっかいろうそ成功せいこうするのをこころから危惧きぐしていた。後に何度なんど正義連合せいぎれんごう組織そしきし、包囲網ほういもういてかれ抹殺まっさつしようとこころみたのだ。


血海老祖けっかいろうそ最終的さいしゅうてき成功せいこうしなかったが、完全かんぜん失敗しっぱいにもわらなかった。


かれ解明かいめいしたのは、刀翅血蝠蛊とうしけっぷこ血滴子蛊けってしこ血狂蛊けっきょうこ合煉ごうれんする秘伝ひでん調合方ちょうごうほうだった。


三転さんてん刀翅血蝠蛊とうしけっぷこは、かれもっとはじめに成果せいかである。飼育しいくきわめて容易よういだが、それでも蛊師こし真元しんげん供給きょうきゅう必要ひつようだ。ただしこの刀翅血蝠群とうしけっぷぐんきわめて特殊とくしゅ集団しゅうだん構造こうぞうゆうしている――蛊師こし唯一ゆいいつ雄蝙蝠おすこうもりあやつるだけで、間接的かんせつてきすべての雌蝙蝠めすこうもりへの命令めいれい掌握しょうあくしたことになるのだ。


血狂蛊けっきょうこかれ第二だいに成果せいかである。この無形無体むけいむたいで、かたまりであり、他の物体ぶったい寄生きせいしなければ生存せいぞんできない。四転よんてんという高位こういで、その効果こうかきわめて特異とくいだ。血狂蛊けっきょうこ気配けはいれた蛊虫こちゅうは、時折ときおり自然しぜん真元しんげん吸収きゅうしゅうできるようになる。だがそれにはきわめて重大じゅうだい欠陥けっかんがある――血狂蛊けっきょうこ影響えいきょうけた蛊虫こちゅう次第しだい蛊師こし制御せいぎょはなれ、時間じかんつととも水溜みずたまりへともどってしまうのだ。



血滴子蛊けってしここそ血海老祖けっかいろうそ最終成果さいしゅうせいかだった。五転ごてんという高位こういであり、前二者ぜんにしゃくらべてうたがいなく成熟せいじゅくしている。養育よういく使用しよう一体いったいとなり、たたかいでみずからをやしなう――つまり蛊師こし鮮血せんけつんで増殖ぞうしょく分裂ぶんれつする特性とくせいゆうし、完全かんぜん所有者しょゆうしゃ真元しんげん供給きょうきゅう不要ふようにしたのだ。


しかし皮肉ひにくにも、血海老祖けっかいろうそ血滴子けってし創造そうぞうした直後ちょくご散散さんざん乱戦らんせんてに正道せいどうぜい包囲攻撃ほういこうげきけ、力尽ちからつきて敗北はいぼくした。


かれ致命ちめいともえる手当てあてほどこせない重傷じゅうしょうい、幾重いくえにもかさなる包囲網ほういもうなか血遁けっとんじゅつかろうじて脱出だっしゅうする。


正道せいどうものたちはぎわ逆襲ぎゃくしゅうによる自損じそんおそれ、追撃ついげきしようとはおもわなかった――ただあっけにとられてかれたかみのそらるのを見送みおくっただけだった。だがそのさかいに、これらの正道せいどうものたちはかえたびに、てき安易あんいがしたみずからの愚挙ぐきょおもうたびにはげしい後悔こうかいられることになるのである。



血海老祖けっかいろうそまぬがれぬことをさとり、後継こうけいしゃへの広範こうはん遺産相続いさんそうぞく開始かいしした。かぎられた臨終りんじゅう時間じかん利用りようし、七転ななてん蛊師こしとしての能力のうりょく駆使くしして、なんと数万すうまんにもおよ秘伝継承地ひでんけいしょうち中州ちゅうしゅう南疆なんきょうなど各地かくち仕掛しかけたのである。


直前ちょくぜんかれ口元くちもとゆがめて嘲笑あざわらいながらった:『みち不孤末代まつだい禍根かこん!!』


このくるったような預言よげん一字一句いちじいっく嘘偽うそいつわりではなかった――後世こうせいにおいて数多あまた蛊師こしがこの遺産いさんにより飛躍ひやくし、魔道まどうおおいにさかえたのだ。


刀翅血蝠蛊とうしけっぷこにしろ、血狂蛊けっきょうこにしろ、血滴子蛊けってしこにしろ、それらは飼育しいく繁殖はんしょく異常いじょう容易よういだ。どこかの渓谷けいこくで、みすぼらしい村々(むらむら)で、人気ひとけのない砂漠さばくで、山道やまみちわきで――血海老祖けっかいろうそ気紛きまぐれに二匹にひき三匹さんびきのこしているかもしれないのだ。


これらの飼育しいくやすく、真元しんげん要求量ようきゅうりょうすくないため、凡庸ぼんよう資質ししつ蛊師こしですら容易よういあつかえる。


こんな荒削あらけずりな世界せかいびるため、明日あすをもれぬいのちかかえる蛊師こしだれが、より強大きょうだいちから渇望かつぼうしないだろうか?血海老祖けっかいろうそのこした蛊虫こちゅうは、それ自体いたい新種しんしゅちからへの切符きっぷなのである。




このしゅちから迅速じんそく手軽てがるなものだった。他の蛊虫こちゅうくらべてうたがいなく圧倒的あっとうてき人気にんきはくした。


ちから自体じたいにはつみはない。使い方次第つかいかたしだいどくにもくすりにもなる。だが世間せけんなんにんが、堅固けんご精神せいしんたずさえ、急激きゅうげき増大ぞうだいしたちから制御せいぎょできるというのか?


かねったおとこおんなにだらしなくなるように、急激きゅうげき増大ぞうだいしたちからかならず、ぜんにはなかった野望やぼうはぐくむのだ!


ゆえに、血海老祖けっかいろうそ継承けいしょうさずかった蛊師こしたちの数多あまたが、四方しほうふるがらす魔頭まとうした。もと正道せいどうものたちでさえ、こぞって鞍替くらがえするれいすらすくなくなかったのだ。


血蛊けっこ継承けいしょう天下てんか全体ぜんたいきわめておおきな激動げきどう災禍さいかをもたらした。


血海老祖けっかいろうそ仕掛しかけたひとつの継承施設けいしょうしせつには往々(おうおう)にして二匹三匹にひきさんびきしか配置はいちされていなかった。しかしそれらの継承けいしょうは、燎原りょうげんくすほし火種ひだねごとく——油断ゆだんひとつあれば瞬時またたく間に原野げんや全体ぜんたいくすのだ!


ほぼ一定いってい周期しゅうきごとに、血蛊けっこあやつ魔道まどう蛊師こしあらわ暴虐ぼうぎゃくかぎりをくす。それらのもののうち失敗しっぱいし、山寨さんさいないたされるものもいれば、一時的いちじてき成功せいこうし、勢力せいりょく形成けいせいして一方いっぽう害毒がいどくながものもいた。


一時成功いちじせいこうしたものであれ、失敗者しっぱいしゃであれ、やがてまったときには例外れいがいなく屈辱くつじょくみしめつつ、あらたな継承けいしょうひそかにのこしていったのである。


よって血禍けっかえることなく連綿れんめんつづき、血海老祖けっかいろうそ正道せいどう全力ぜんりょくによる討伐とうばつ衰退すいたいするどころか、ぎゃくにますます隆盛りゅうせいきわめ、深層しんそういきひそめた底力そこぢからによって、根絶こんぜつ途絶とぜつもありえぬ趨勢すうせいせていた。


正道せいどうものたちが慟哭どうこくしながら罵倒ばとうする光景こうけいすら常態化じょうたいかしていた:『あのいまわしい血蛊師けっこしめ!たしかに何度なんどこそぎにしたと記憶きおくしているというのに…少しはなしたすきかおげれば、いったいどこからいてたのか、かならあらたな脅威きょういしょうじているではないか!』


いま血海传承けっかいでんしょう天下てんかにおいて最も普及ふきゅうし、数量すうりょう最多さいた継承けいしょう体系たいけいとして――まさしく圧倒的あっとうてき首位しゅい独走どくそうするものと公認こうにんされているのだ!



厳密げんみつえば、方源ほうげん前世ぜんせもまた血海老祖けっかいろうそ遺産いさん恩恵おんけいこうむった一人ひとりであった。


前世ぜんせでは、四百年後よんひゃくねんごにようやく血海传承けっかいでんしょうひとつを発見はっけんし、覇権はけんみちあるはじめた。今生こんじょうでこの血蝠けっぷたちを手懐てなずけることができれば、すなわち四百年分よんひゃくねんぶん時間じかん労力ろうりょく節約せつやくしたことになる!」


蝙蝠こうもりおそいかかるなか方源ほうげん危険きけんめんしても微動びどうだにしない。


かれ春秋蝉しゅんじゅうせんゆうしている――六転ろくてん気圧きあつはこれらの蝙蝠こうもりを戦わずして自壊じかいさせるに十分じゅうぶんだ。唯一ゆいいつ警戒けいかいすべきは、血湖ちこそこひそ五転ごてん巨蛇おろちだけだ。


「だがこの状況じょうきょうは、どこか様子ようすがおかしい…」と方源ほうげんおもった。


血海老祖けっかいろうそのこした継承けいしょう普通ふつう二匹三匹にひきさんびきぎない。それなのにここにはひゃくえる刀翅血蝠とうしけっぷ存在そんざいする?もしかすると…れいうわさ本当ほんとうなのか?」


世間せかんではこうささやかれている――血海老祖けっかいろうそ巧妙こうみょう偽装にせもの仕込しこみ、数十万すうじゅうまんもの継承けいしょうもうけつつも、本当ほんとうつたえたかったのはすうしょだけだという。


その数少すうすくない継承地けいしょうちには血海老祖けっかいろうそほこ数体すうたい蛊虫こちゅう、あるいは研究資料けんきゅうしりょう合煉秘方ごうれんひほうなどが隠匿いんとくされていると。


「まさかこここそ、血海老祖けっかいろうそしん継承けいしょうでは…?」方源ほうげん自然しぜんにそうかんがえ、むね高鳴たかなった。


思考しこう電光でんこうのように疾走しっそうしたが、現実世界げんじつせかい時間じかんはほとんど経過けいかしていなかった。


刀翅血蝠とうしけっぷれがすさまじいいきおいでおそいかかる。方源ほうげん表情ひょうじょう冷静れいせいそのものだ。なが黒髪くろかみ墨染すみぞめの外套がいとう山壁やまかべによじのぼり、いままさに春秋蝉しゅんじゅうせんそうとした。


しかしそのとき異変いへん突発とっぱつした!


たせるかな、ここに血禍けっかひそんでいた!」重厚じゅうこうかつ堅固けんごで、てつ意志いしめたごとこえ洞窟天井どうくつてんじょうからひびわたり、血海ちかいうえにブーンと反響はんきょうした。


神捕しんぽ鉄血冷てっけつれいだった!





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