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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第百六十八節:狡电狈

狼群ろうぐん蠢動しゅんどうし、呼嘯こしょうして来襲らいしゅうす。


情勢じょうせい急転直下きゅうてんちょっか両家りょうけ族長ぞくちょう及び家老かろうたちは顔色かおいろ驟変しゅうへんせしむ。


両家りょうけ狼潮ろうちょうふせたとはいえ、危機一髪ききいっぱつかろうじてのもの。今般こんぱんまたこのごと強勢きょうせい狼群ろうぐんあらわれれば、最早もはや抵抗ていこう余力よりょくなどし。


一瞬いっしゅん家老かろうたちと両族長りょうぞくちょう無意識むいしき戦闘せんとう停止ていしせり。


情報じょうほうには、雷冠頭狼らいかんとうろう三頭さんとうのみとしるされていなかったか?」家老かろう一人ひとりこえむ。


いな、この雷冠頭狼らいかんとうろう負傷ふしょうになっており、狼群ろうぐん規模きぼ甚大じんだいではない」古月博こげつはくいて冷静れいせいよそおべる。


「まさか、熊家寨ゆうかさい襲撃しゅうげきせし雷冠頭狼らいかんとうろうではあるまいな?」家老かろう脳天のうてんたたさけぶ。


この可能性かのうせい極大きょくだい九分九厘くぶくりんたがいなし。


家老(かろう)たちの心情(しんじょう)なお(おも)く、(こえ)()まり()(もの)あり「この狼群(ろうぐん)(すで)此処(ここ)(あらわ)れりとすれば、熊家寨(ゆうかさい)()はや…」


「くそったれの熊家寨(ゆうかさい)め、何故(なぜ)かくも非力(ひりき)なる?一波(いっぱ)狼潮(ろうちょう)さえ(ふせ)()ず!」大声(おおごえ)呪詛(じゅそ)する(もの)あり。


(しか)るに楽観視(らっかんし)する(もの)もありき「()よ、この雷冠頭狼(らいかんとうろう)両前肢(りょうぜんし)重傷(じゅうしょう)()筋肉骨格(きんにくこっかく)ことごとく萎縮(いしゅく)せり!」


衆人(しゅうじん)(こえ)(みなもと)瞥見(べつけん)し、喪失(そうしつ)せし士気(しき)(かす)かに()るい()つ。


(じつ)(しか)り。


この雷冠頭狼(らいかんとうろう)後肢(こうし)発達(はったつ)せるも両前肢(りょうぜんし)短小(たんしょう)にて筋肉(きんにく)萎縮(いしゅく)す。これにより奔走(ほんそう)するとき、(ただ)二本(にほん)後肢(こうし)利用(りよう)し、(あた)かもカンガルーの(ごと)跳躍(ちょうやく)しつつ前進(ぜんしん)す。



()て、これは雷冠頭狼(らいかんとうろう)ではないようだ…」白家(はくけ)族長(ぞくちょう)突然(とつぜん)(なに)かを(おも)()き、全身(ぜんしん)(ふる)わす。


狡電狽(こうでんはい)だ!」方源(ほうげん)(こころ)(なか)(すで)回答(かいとう)()たり。


五虎(ごこ)一彪(いっぴょう)三犬(さんけん)一獒(いちごう)十狼(じゅうろう)一狽(いっぱい)あり。


(はい)()狼属(ろうぞく)なれど、(おおかみ)より数倍(すうばい)聡明(そうめい)にして、往々(おうおう)として狼群(ろうぐん)軍師(ぐんし)(にな)う。眼前(がんぜん)のこの狡電狽(こうでんはい)外形(がいけい)雷冠頭狼(らいかんとうろう)(きわ)めて類似(るいじ)し、偵察蛊師(ていさつこし)誤解(ごかい)されしも(あや)しむに()らず。(しか)れどもこれ(まぎ)れもなき万獣王(ばんじゅうおう)(ひと)(おと)らぬ知恵(ちえ)()つ!


この狡電狽(こうでんはい)肉弾戦(にくだんせん)においては尋常(じんじょう)雷冠頭狼(らいかんとうろう)(くら)(やや)見劣(みおと)りすれど、類人(るいじん)知恵(ちえ)(そな)えるが(ゆえ)に、その危険度(きけんど)雷冠頭狼(らいかんとうろう)(はる)かに凌駕(りょうが)す。(くわ)うるに無数(むすう)電狼(でんろう)大軍(たいぐん)駆使(くし)()れば、熊家寨(ゆうかさい)(ほろ)びしも(あや)しむに()らず。


(てつ)!」方源(ほうげん)雷翼(らいよく)(ひと)()り、即座(そくざ)上空(じょうくう)飛翔(ひしょう)


目前(もくぜん)家老(かろう)たちは、(すで)長時(ながとき)激闘(げきとう)にて戦力(せんりょく)(おお)きく消耗(しょうもう)し、到底(とうてい)狼群(ろうぐん)脅威(きょうい)()(がた)し。(さら)肝心(かんじん)なれば、(たが)いに猜疑心(さいぎしん)(いだ)き、協力(きょうりょく)到底(とうてい)(およ)ばず。


方源(ほうげん)(きびす)(かえ)遁走(とんそう)す。万獣王(ばんじゅうおう)冗談(じょうだん)にあらず。場中(ばちゅう)野生蛊(やせいこ)二匹(にひき)乱舞(らんぶ)するも、最早(もはや)(かえり)みる余裕(よゆう)()し。


撤退(てったい)必須(ひっす)(おそ)くば脱出(だっしゅつ)(かな)わぬ!


(おのれ)(わきま)え、()てる(とき)()()るこそ、()(わた)最要(さいよう)()なり。



撤収(てっしゅう)せよ。狼潮(ろうちょう)(いきお)いは甚大(じんだい)、我々(われわれ)では(かな)わん」


山塞(さんさい)(もど)り、(いそ)防備(ぼうび)(かた)めろ!」


家老(かろう)たちは(いま)狡電狽(こうでんはい)正体(しょうたい)見抜(みぬ)けずとも、全員撤退(ぜんいんてったい)意思(いし)(いだ)(はじ)めた。


(しか)るに()(とき)狡電狽(こうでんはい)忽然(こつぜん)咆吼(ほうこう)巨大(きょだい)狼口(ろうこう)(ひら)く。


狼牙(ろうが)(やいば)(ごと)参差(しんし)として、その(あいだ)黒気(こっき)()から()りとなす。(またた)()黒球(こっきゅう)凝結(ぎょうけつ)せり。


シュッ!


黒球(こっきゅう)暴発射出(ぼうはつしゃしゅつ)空中(くうちゅう)(かす)弯曲(わんきょく)せる黒色弧線(こくしょくこせん)(えが)き、(つい)地面(じめん)落下(らっか)す。


(はず)れたか?」


「この雷冠頭狼(らいかんとうろう)最早(もはや)駄目(だめ)だ。照準(しょうじゅん)(めっ)茶苦茶(ちゃくちゃ)だ!」


家老(かろう)たちが罵声(ばせい)(さけ)(なか)方源(ほうげん)飛翔(ひしょう)(さら)(はや)める。


ドオオオン――!


黒色煙球(こくしょくえんきゅう)猛然(もうぜん)爆発(ばくはつ)し、(はげ)しい轟音(ごうおん)(とも)黒煙(こくえん)四方(しほう)放射(ほうしゃ)拡散(かくさん)


その(いきお)いは猛烈無比(もうれつむひ)瞬時(またた)く間に半径半里(はんけいはんり)(おお)()くした。



「これは四転狼烟蛊してんろうえんこだ!」方源ほうげんこころなかしずむ。かれさいしょ瞬間しゅんかんに、もっと正確せいかく賢明けんめい対応たいおうったが、この黒色狼烟こくしょくろうえんはやすぎてかれ直撃ちょくげきした。


一瞬いっしゅん漆黒しっこくよるほうまれたかんで、五指ごしすらえず。いたところのど濃煙のうえん充満じゅうまんし、呼吸こきゅう困難こんなんがたい。


さいわ雷翼蛊らいよくこがあるため、うえべばかなら狼烟範囲ろうえんはんい脱出だっしゅつできる。


ビリリリッ!


次の刹那せつな一閃いっせん霹靂へきれき黒煙こくえんそうき、雷蛇かみなりへびごと狂龍きょうりゅうごとく、百里ひゃくりまたぎほうげんをとどろかせた。




これは狡電狽(こうでんはい)()()なり。


雷光(らいこう)(ごと)(はや)さ、(ほとん)(ひと)反応(はんのう)(ゆる)さず。


(しか)れど危機一髪(ききいっぱつ)(さい)方源(ほうげん)戦闘意識(せんとういしき)思考速度(しこうそくど)超越(ちょうえつ)し、最優先(さいゆうせん)対応(たいおう)せり。


雷盾蛊(らいじゅんこ)


天蓬蛊(てんぼうこ)


円形(えんけい)電光(でんこう)護盾(ごじゅん)俄然(がぜん)ほうげんの(わき)顕現(けんげん)同時(どうじ)()身上(しんじょう)(しろ)(ひかり)虚甲(きょこう)燃上(もえあ)がる。


狂暴(きょうぼう)なる雷光(らいこう)()(ごと)(まばゆ)(きわ)み。怒号(どごう)する天龍(てんりゅう)(ごと)く、()(さき)電光護盾(でんこうごじゅん)衝撃(しょうげき)


護盾(ごじゅん)一秒(いちびょう)()らずで、()(えだ)(くだ)(ごと)雷霹(らいへき)引裂(ひきさ)かれ打破(だは)さる。


雷光(らいこう)がほうげんの体躯(たいく)(つらぬ)刹那(せつな)(かれ)(すで)両目(りょうめ)(かた)()ずるも、(なお)(まばゆ)(きわ)みを(かん)ず。


巨大(きょだい)なる(ちから)奔流(ほんりゅう)し、(かれ)()撃落(げきらく)せり。


(ひん)すでに失神(しっしん)せんとし、電流(でんりゅう)(わだかま)全身(ぜんしん)筋肉(きんにく)麻痺(まひ)せしめて、呼吸(こきゅう)忘却(ぼうきゃく)せしめんばかり!


ドスンと(おと)()て、(かれ)地面(じめん)墜落(ついらく)


激痛(げきつう)襲来(しゅうらい)し、(いた)みで正気(しょうき)(かえ)る。


全身(ぜんしん)激痛(げきつう)(しび)れを咀嚼(そしゃく)しつつ、(あわ)てて()()がる。


雷盾蛊(らいじゅんこ)(すで)死滅(しめつ)し、雷翼蛊(らいよくこ)()()えで瀕死(ひんし)となり、最早(もはや)使用(しよう)不能(ふのう)天蓬蛊(てんぼうこ)(すくな)からず損傷(そんしょう)し、威勢(いせい)()ちて()える。畢竟(ひっきょう)あれほどの電流衝撃(でんりゅうしょうげき)()けたのだ。


狡電狽(こうでんはい)(はな)った(さき)一撃(いちげき)(かなら)ずや四転蛊(してんこ)威能(いのう)なり。


蛊虫(こちゅう)昇級(しょうきゅう)するほど、階差(かいさ)ごとの威力差(いりょくさ)雲泥(うんでい)()となる。


四転(してん)攻撃蛊(こうげきこ)は、三転蛊(さんてんこ)二匹(にひき)をもって防禦(ぼうぎょ)せねば(およ)ばず。無論(むろん)雷盾蛊(らいじゅんこ)死滅(しめつ)したのも、先般(せんぱん)(なが)激戦(げきせん)にて傷跡(きずあと)(かさ)なりし(ゆえ)なり。



(おも)いも()らぬ、狡電狽(こうでんはい)(かく)()れを重視(じゅうし)するとは…」方源(ほうげん)苦笑(くしょう)しつつ周囲(しゅうい)観察(かんさつ)


周囲(しゅうい)漆黒(しっこく)(やみ)(つつ)まれ、濛々(もうもう)たる黒煙(こくえん)(ため)方向(ほうこう)すら見分(みわ)(がた)し。


警戒(けいかい)せよ!雷冠頭狼(らいかんとうろう)縮小(しゅくしょう)し、(すべ)電狼(でんろう)同大(どうだい)となって狼群(ろうぐん)(まぎ)れているぞ!」黒煙(こくえん)深奥(しんおう)より、()家老(かろう)喊声(かんせい)(つた)わる。


ほうげんこれを()き、瞳孔(どうこう)収縮(しゅうしゅく)


狡電狽(こうでんはい)魔性(ましょう)狡猾(こうかつ)さ。(じつ)陰湿(いんしつ)(きわ)まる。全蛊師(ぜんこし)一網打尽(いちもうだじん)にせんと(たくら)めるか。先刻(せんこく)方源(ほうげん)狙撃(そげき)は、一匹(いっぴき)たりとも見逃(みのが)すまいとする意志(いし)(あら)われなり。


周囲(しゅうい)瞬時(またた)無数(むすう)狼瞳(ろうどう)(とも)(あらわ)れた。


(ひく)(うな)(ごえ)狼群(ろうぐん)(おそ)いかかる風音(かざおと)方源(ほうげん)(つた)わる。


かかる漆黒(しっこく)環境(かんきょう)(もと)では、蛊師(こし)らの視野(しや)甚大(じんだい)阻害(そがい)される。(しか)れど狼群(ろうぐん)(いささ)かも影響(えいきょう)せず、電狼(でんろう)嗅覚(きゅうかく)()視力(しりょく)(きわ)めて良好(りょうこう)なるが(ゆえ)なり。


(すみ)やかに脱出(だっしゅつ)せねば。狡電狽(こうでんはい)遭遇(そうぐう)危険(きけん)未知(みち)(かり)一時回避(いちじかいひ)できても、狼群(ろうぐん)包囲(ほうい)されれば残存(ざんぞん)真元(しんげん)四割(よんわり)では消耗戦(しょうもうせん)到底(とうてい)()(こた)えぬ!」


方源(ほうげん)脳裏(のうり)電走(でんそう)せしめ、地聴肉耳草(ちちょうにくみそう)駆動(くどう)


十数本(じゅうすうほん)根髭(ねひげ)右耳(みぎみみ)より萌芽(ほうが)し、外方(そとがた)蔓延(はびこ)る。


無数(むすう)(おと)(つた)わってきた。(おおかみ)遠吠(とおぼ)えあり、戦闘(せんとう)(おと)あり、家老(かろう)恐慌(きょうこう)()ちた(うめ)きあり、電狼(でんろう)断末魔(だんまつま)悲鳴(ひめい)あり。


(もっと)混沌(こんとん)としている!


地聴肉耳草(ちちょうにくみそう)偵察範囲(ていさつはんい)広大(こうだい)だが、細部(さいぶ)識別(しきべつ)することは不可能(ふかのう)だ。


方源(ほうげん)眉根(まゆね)(ひと)(ひそ)め、(おと)(すく)ない(がわ)移動(いどう)する(ほか)なかった。


(しか)(ほど)なく、百頭規模(ひゃくとうきぼ)電狼(でんろう)(むれ)遭遇(そうぐう)した。


電狼(でんろう)黒煙(こくえん)(なか)から(おそ)()かり、一匹一匹(いっぴきいっぴき)(きわ)めて凶悍(きょうかん)であった。


方源(ほうげん)鋸歯金蜈(きょしきんご)喚起(かんき)すると同時(どうじ)天蓬蛊(てんぼうこ)展開(てんかい)した。


鋸歯(きょし)(くる)ったように回転(かいてん)金蜈(きんご)大剣(だいけん)(ごと)黒煙(こくえん)撹拌(かくはん)し、(おおかみ)(からだ)()()けば(かなら)一陣(いちじん)血雨白骨(けつうはっこつ)()()がる。


方源(ほうげん)(おぼ)れた(ふね)(すす)むが(ごと)く、(いばら)()(はら)いながら前進(ぜんしん)した。



一匹一匹(いっぴきいっぴき)電狼(でんろう)鋸歯金蜈(きょしきんご)(もと)惨死(ざんし)す。(しか)るに(またた)く間に第二(だいに)第三(だいさん)電狼(でんろう)が…()(つづ)()()なく(おそ)()かる。


狡電狽(こうでんはい)陰険極(いんけんきわ)まりない、狼群(ろうぐん)背後(はいご)(まわ)包囲(ほうい)させるとは」方源(ほうげん)一方向(いちほうこう)()くこと片時(かたとき)、なおも電狼(でんろう)遭遇(そうぐう)(つづ)け、内心(ないしん)(たちま)(さと)る。(たたか)いながら退(しりぞ)き、()もなく全身(ぜんしん)()()まる。


重圧(じゅうあつ)甚大(じんだい)周囲(しゅうい)暗幕(あんまく)幾重(いくえ)にも(かさ)なり、五本指(ごほんゆび)すら()えず。狼群(ろうぐん)四方八方(しほうはっぽう)から()()せ、()(どく)()にて万全(ばんぜん)対応(たいおう)など(かな)うべくもなし。



古月博(こげつはく)貴様(きさま)如何(いか)がすべきと(もう)す?」黒煙(こくえん)深奥(しんおう)より白家(はくけ)族長(ぞくちょう)(こえ)(たちま)(ひび)く。


(まか)んぬるか!ひとまず協力(きょうりょく)し、包囲(ほうい)突破(とっぱ)して再考(さいこう)せん!」古月博(こげつはく)怒号(どごう)(つづ)いて伝達(でんたつ)さる。


これも形勢(けいせい)(ゆる)さぬ(ゆえ)――協同(きょうどう)あるのみ生存(せいぞん)機会(きかい)あり。


(しから)ずんば単独(たんどく)行動(こうどう)では、瞬時(またた)電狼(でんろう)真元(しんげん)消耗(しょうもう)され、狼群(ろうぐん)()()くされん。末路(まつろ)(いきお)いに言語道断(ごんごどうだん)凄惨(せいさん)さ。


ウォオーン!


「くそっ!」


次の刹那(せつな)一声(ひとこえ)狼吼(ろうこう)激烈(げきれつ)なる爆発音(ばくはつおん)両族長(りょうぞくちょう)同時(どうじ)怒号(どごう)最早(もはや)家老(かろう)らを統率(とうそつ)不能(ふのう)


(あきらか)狡猾(こうかつ)なる電狽(でんはい)奇襲(きしゅう)なり。


(ひと)(おと)らぬ知恵(ちえ)()し、()()せば(そく)両族長(りょうぞくちょう)意図(いと)粉砕(ふんさい)家老(かろう)たちの反抗(はんこう)段階(だんかい)混乱(こんらん)せしむ。


両族長(りょうぞくちょう)威圧(いあつ)なき(いま)家老(かろう)らは誠実(せいじつ)協調(きょうちょう)()るや?


これ巨大(きょだい)なる疑問(ぎもん)たり。



「もう限界だ。真元(しんげん)消耗(しょうもう)(はげ)しすぎる、他力(たりき)()りねば!」さらに片刻(へんこく)突撃(とつげき)()て、方源(ほうげん)疲労(ひろう)(かん)じた。


二豚(にとん)怪力(かいりき)()つも、(なお)全身(ぜんしん)筋肉(きんにく)酸痛(さんつう)(おぼ)える。


真元(しんげん)最早(もはや)不足(ふそく)全身創傷(ぜんしんそうしょう)し、天蓬蛊(てんぼうこ)も時々(ときどき)作動停止(さどうていし)せざるを()ない状態(じょうたい)


鋸歯金蜈(きょしきんご)体躯(たいく)(にぶ)(ひかり)両側(りょうがわ)鋸歯(きょし)破損(はそん)してボロボロなり。短時間(たんじかん)千頭(せんとう)(ちか)電狼(でんろう)()(たお)し、(なか)には豪電狼(ごうでんろう)数頭(すうとう)(ふく)まれていた。


その数頭(すうとう)防御蛊(ぼうぎょこ)(ゆう)し、鉄石(てっせき)(しの)硬度(こうど)ありき。


鋸歯金蜈(きょしきんご)無堅不摧(むけんふさい)にあらず、鋸歯(きょし)なきが(ゆえ)斬撃能力(ざんげきのうりょく)暴落(ぼうらく)し、悲惨極(ひさんきわ)まりなき姿(すがた)となる。


方源(ほうげん)纏綿(てんめん)せず、(たたか)いながら退(しりぞ)きたり。


(かれ)地聴肉耳草(ちちょうにくみそう)(たよ)り、極力(きょくりょく)()()けようとした。狂電狼(きょうでんろう)重厚(じゅうこう)足音(あしおと)察知(さっち)すれば、即座(そくざ)方向(ほうこう)(てん)じ、必死(ひっし)()けようとする。


狂電狼(きょうでんろう)なれど千獣王(せんじゅうおう)(ひと)りで(たたか)える相手(あいて)ではない。一旦(いったん)足止(あしど)めされ包囲網(ほういもう)(おちい)れば、十死零生(じゅっしれいせい)必定(ひつじょう)


(われ)(くや)しいぞ!」黒煙(こくえん)(おく)から家老(かろう)断末魔(だんまつま)(ひび)き、(こえ)途端(とたん)途切(とぎ)れた。


黒煙(こくえん)(なか)狼潮(ろうちょう)猛威(もうい)(ふる)い、家老(かろう)の多くは狼口(ろうこう)(たお)れ、無念(むねん)怒号(どごう)(はな)つ。


(われ)最早(もはや)()たん!」方源(ほうげん)()気配(けはい)(かん)じるが、表情(ひょうじょう)冷酷(れいこく)で、危機(きき)(せま)れば(せま)るほど(こころ)雪原(せつげん)(ごと)静謐(せいひつ)であった。


(かれ)(こころ)(かす)かな()らぎもなく、前世(ぜんせ)(くら)べればこの程度(ていど)危険(きけん)など数多(あまた)ありき。


現状(げんじょう)最悪(さいあく)といえず、両族長(りょうぞくちょう)狡電狽(こうでんはい)(たたかい)(つづ)け、希望(きぼう)(ひかり)(のこ)る。「む?前方(ぜんぽう)戦闘音(せんとうおん)あり!」(おと)()くや、方源(ほうげん)(ただ)ちに()きを()えた。限界(げんかい)(ちか)く、古月一族(こげついちぞく)であれ白家蛊師(はくけこし)であれ、()になる相手(あいて)なら(だれ)でも()い。


()れ!()れ!()れ!」(はる)彼方(かなた)から蛊師(こし)咆哮(ほうこう)(とどろ)く、死闘(しとう)()最中(さいちゅう)()える。


方源(ほうげん)疾走(しっそう)するが、衝勢(しょうせい)突如(とつじょ)停滞(ていたい)す。


白凝冰(はくぎょうひょう)

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