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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第十六節:尽收囊中

うごいてみろ?」

「おまえわたし独門どくもん毒蛊どくこっている。解蛊かいこなしでは七日後なのかご膿血のうけつす」

花酒かしゅさまくらべれば、若輩じゃくはいなどのような存在そんざいです! くらんでおり、泰山たいざん)けるもなく、花酒様さま冒涜ぼうとくしてしまいました。以前いぜんぞく歓待かんたいおもし、どうかいのちだけはおゆるしください!」


かべうえで、映像えいぞうふたた二回目にかいめかえ再生さいせい開始かいしした。


方源ほうげん沈黙ちんもくつらぬき、映像えいぞう三回目さんかいめ再生さいせいはじめたとき、ようやくかすかな嘆息たんそくらした:「成程なるほど


この映像えいぞう音声おんせい岩壁がんぺきのこした手段しゅだんは、花酒行者かしゅぎょうじゃ設置せっちした「留影存声蛊りゅうえいそんせいこ」だろう。この映像えいぞう刻印こくいん投射とうしゃする能力のうりょくを持つ。


留影存声蛊りゅうえいそんせいこひかりおと吸収きゅうしゅうして生存せいぞんする。この山壁秘洞さんぺきひとう何故なぜつね赤光せっこうはなち、いわ外界がいかいつうじておりおと遮断しゃだんしない。方源ほうげんみみには小瀑布しょうばくふ轟音ごうおんひびいている。


ゆえ留影存声蛊りゅうえいそんせいこはこの洞窟どうくつ生存せいぞんつづけてきた。


先程さきほど方源ほうげんふじはらったさい岩壁がんぺきひそんでいた留影存声蛊りゅうえいそんせいこ刺激しげきしたのだ。


思考しこうめぐらせれば、この映像えいぞう真実しんじつであることは明白めいはくだ。


当時とうじ四代族長よんだいぞくちょう花酒行者かしゅぎょうじゃ暗算あんさんして失敗しっぱいし、敗北はいぼく後にふたた不意打ふいうちを仕掛しかけた。後者こうしゃ撃退げきたいしたものの、自身じしんいのちとした。この不名誉ふめいよ歴史れきしを生きのこった家老かろうたちは真実しんじつ改竄かいざんした。


両者りょうしゃ役割やくわり完全かんぜん逆転ぎゃくてんさせ——花酒行者かしゅぎょうじゃ敗戦はいせん後に卑怯ひきょう不意打ふいうちを仕掛しかけ、即座そくざられた魔頭まとうに。四代よんだい清廉潔白せいれんけっぱく英雄えいゆう仕立したて上げたのだ。


しかしこの物語ものがたりには、重大じゅうだい矛盾むじゅんがある。

花酒行者かしゅぎょうじゃはとっくにそのごろされ、遺骨いこつ古月一族こげついちぞく管理かんりしているはずなのに、なぜべつ骸骨がいこつ発見はっけんされたのか?


前世ぜんせでこの場所ばしょ発見はっけんした蛊師こしは、おそらくこの映像えいぞう恐怖きょうふおぼえたのだろう。

生きのこった家老かろうたちはすで他界たかいしていたが、花酒行者かしゅぎょうじゃ逆襲ぎゃくしゅうそなえ、真実しんじつ一族上層部いちぞくじょうそうぶ秘密裏ひみつり伝承でんしょうされていたにちがいない。


その蛊師こしは、遺産いさんひとめすれば巨大きょだいなリスクをうこと——後日ごじつ花酒行者かしゅぎょうじゃとのかかわりを発覚はっかくされれば、一族いちぞくから粛清しゅくせいされる可能性かのうせいさとった。


ゆえ得失とくしつ天秤てんびんにかけたすえ遺産いさん隠匿いんとくせず上層部じょうそうぶ報告ほうこくする決断けつだんくだした。この行動こうどうかえってぞくへの忠誠心ちゅうせいしん証明しょうめいし、後の順調じゅんちょう境遇きょうぐう賢明けんめい選択せんたくだったことをしめした。


だがかれ選択せんたくは、方源ほうげん指針ししんとはならなかった。

苦労くろうしてさがした遺産いさん他者たしゃ道理どうりなどない。発覚はっかくされようがかまわん。危険きけんおかさねば利益りえきられぬ。やつ臆病者おくびょうものだ」方源ほうげんつめたいわらみをかべ、かえ再生さいせいされる映像えいぞう無視むしがした。


花酒行者かしゅぎょうじゃ遺骸いがいは粉々(こなごな)にくだけ、方源ほうげん邪魔じゃま腿骨たいこつばし、遺産いさんさがしに集中しゅうちゅうした。


最初さいしょつけたのは元石げんせき十五枚じゅうごまいりのふくろ

貧乏人びんぼうにんめ」方源ほうげんわらった。派手はで外見がいけんはんたくわえのすくなさにおどろいたが、月影蛊げつえいこ影響えいきょう療養りょうよう元石げんせき使つかたしたのだと推測すいそくした。


つぎ発見はっけんしたのはてた花草型かそうがた残骸ざんがい日光にっこうのない洞窟どうくつでは、光合成こうごうせい必要ひつようとする植物型しょくぶつがた生存せいぞんできなかった。


そして……

そして、ほかにはなにもなかった。


家族かぞくてにする? ふっ」方源ほうげん内心ないしん冷笑れいしょうした。「前世ぜんせごと天真爛漫てんしんらんまんえるわけがない」


だれにもたよるな。この一切いっさいおのれ次第しだいだ。


秘洞ひとう徹底的てっていてき捜索そうさくみであることを確認かくにんしたあと方源ほうげんみちもどった。


水圧すいあつあらが巨岩きょがんからすと、ふたた山外さんがいへ。かえっていわやりながら、前世ぜんせ記憶きおくにある「地下秘洞ちかひとう発見はっけん」との記述きじゅつ現実げんじつの「山壁内部さんぺきないぶ」の矛盾むじゅん気付きづいた。


道理どうり七日間なぬかかん苦労くろうしてもつからなかったのだ。


前世ぜんせ一族いちぞくがこの場所ばしょ発見はっけんしたさい即座そくざ影壁えいへき破壊はかいし、真偽混在しんぎこんざい情報じょうほうながして族民ぞくみんあざむいたにちがいない。


今夜こんや発見はっけんうん経験けいけんくわえ、最大さいだい要因よういんとなった青竹酒せいちくしゅ存在そんざいによるものだ。


このさけかおりは青茅山せいぼうざん随一ずいいち濃厚のうこうさ。おそらく前世ぜんせ蛊師こし失恋しつれんんだのもこのさけだろう。


しかしいま重要じゅうようではない。花酒行者かしゅぎょうじゃ遺産いさん方源ほうげんくされ、結果けっかはやや期待きたいはずれだったがかなっている。最優先さいゆうせん目標もくひょうである酒虫しゅちゅう必要ひつよう元石げんせきすで手中しゅちゅうにある。


つぎ客栈やどやこも煉化れんか専念せんねんする。本命蛊ほんめいこにすれば学舎がくしゃもどり、宿舍しゅくしゃみながらぞく資源しげん活用かつようできる。客栈代やどやだいかさ長期滞在ちょうきたいざいけねば」方源ほうげんかんがえながら山寨さんさいいそいだ。


元石げんせきのこ二枚にまい新規しんき十五枚じゅうごまいくわえ、総計そうけい十七枚じゅうしちまい。しかし蛊師こしにとってこの程度ていど元石げんせきなど微々たる(びびたる)ものだ。

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