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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第百四十一節:古月青书vs白凝冰(中)

三転蠱虫さんてんこちゅうちからで、青書せいしょ両目りょうめ翠緑すいりょくいろ変化へんかした。


この瞬間しゅんかんかれ気配けはい急変きゅうへん活気かっきあるひと気配けはいから、深淵しんえんのようなもり気配けはいへと転換てんかんした。


「ん?」白凝冰はくぎょうひょうおもわずかすかにおどろきをせ、口角こうかくゆるませた。「随分ずいぶんたたかってなかったからか、面白おもしろ手段しゅだんってるじゃないか」


氷錐蠱ひょうすいこ


思念しねんうごかすと、五本ごほんするど氷柱つらら空中くうちゅう凝結ぎょうけつした。


け」白凝冰はくぎょうひょう指差ゆびさすと、氷柱つららごと発射はっしゃした。


バシッバシッ!


青書せいしょ両掌りょうてのひらから二本にほんつるした。くうはらつる青蛇あおへびごと敏捷びんしょううごき、氷柱つららを軽々(かるがる)とはじばした。


軌道きどうえられた氷柱つららは、青書せいしょかたかすめ、凍結とうけつした地面じめん硬質こうしつ岩盤がんばん氷像ひょうぞうのようなもりさった。


青書せいしょたくみにちからせいし、白凝冰はくぎょうひょう無駄足むだあしわらせた。


白凝冰はくぎょうひょう冷笑れいしょうらした:「いいむちさばきだな。だが何本なんぼん氷錐ひょうすいえられるか、見物けんぶつさせてもらおう」


そううと、白凝冰はくぎょうひょう両目りょうめあわあおひかはじめた。


十本じゅっぽん氷錐ひょうすい同時どうじあらわれ、眼前がんぜん浮遊ふゆうすると電光石火でんこうせっか青書せいしょさった。


つづいてさら十本じゅっぽん生成せいせいされ……


こうしてかえすうち、またたく間に氷錐ひょうすいあめ形成けいせいされた。


ヒュッヒュッ!


空気くうき氷錐ひょうすいおと戦慄せんりつはしらせる。


青書せいしょ回避かいひしながら、両手りょうて青藤せいとうかげごとわせた。


数多あまた鍛錬たんれんかれ鞭術べんじゅつは、ままあやつれるいきたっしていた。


だが氷錐ひょうすいかず圧倒的あっとうてきで、ついに右肩みぎかた一撃いちげきらった。


氷錐ひょうすいかた貫通かんつうし、先端せんたん背中せなかがわした。


松針蠱しょうしんこ


いたみをこらえ、長髪ちょうはつはらうと、かみ毛先けさきから無数むすう碧色へきしょく松葉まつば射出しゃしゅつされた。


松針まつば白凝冰はくぎょうひょうつつむが、かれ即座そくざ水罩蠱すいしょうこ展開てんかい強化きょうかされたみずまく三転蠱さんてんこみの防御力ぼうぎょりょく発揮はっきした。


松針まつば水罩すいしょうさると、速度そくどが徐々(じょじょ)にち、やがて水罩すいしょうない循環じゅんかんする水流すいりゅうながされて排出はいしゅつされた。


しかしこれによって白凝冰はくぎょうひょう氷錐ひょうすい攻撃こうげき中断ちゅうだんせざるをなくなった。


古月青書こげつせいしょはこのすきに、いたみをめながらかた氷錐ひょうすい無理矢理むりやり引きいた。


一滴ひとしずくながないのは、一方いっぽう氷錐ひょうすい冷気れいきによるもの、他方たほうかれ身体からだ持続的じぞくてき木質化もくしつかしているためだった。


白凝冰はくぎょうひょう水罩蠱すいしょうこ解除かいじょすると、即座そくざ古月青書こげつせいしょ傷口きずぐちせられた。


ふくやぶれたあなからのぞ傷口きずぐちには、木目もくめのような模様もようかびがり、目視もくしできるはやさで治癒ちゆしていくのがかった。あらたに形成けいせいされたはだには樹木じゅもく年輪ねんりんのような紋様もんようきざまれていた。


同時どうじに、古月青書こげつせいしょ両耳りょうみみとがはじめ、長髪ちょうはつ翠緑色すいりょくしょくわり、毛先けさきから若葉わかばした。両手りょうて生身なまみ血色けっしょくからくすんだ色合いろあいに変貌へんぼう全身ぜんしん皮膚ひふ硬化こうかはじめ、褐色かっしょく樹皮じゅひへと変異へんいしていった。



これがかれはじめて木魅蠱もくみこ無茶苦茶むちゃくちゃ使つかんだ結果けっかだった!


木魅蠱もくみこによってかれは徐々(じょじょ)に樹精じゅせいへと変貌へんぼうしていく。同時どうじ古月青書こげつせいしょ大気中たいきちゅうあふれる豊富ほうふ天然元気てんねんげんきかんった。


この元気げんき普通ふつう蠱師こしには感知かんちできない。樹精じゅせいなど特殊とくしゅ生命体せいめいたいだけが感応かんのうし、吸収きゅうしゅう運用うんようできるものだ。


古月青書こげつせいしょ母液ぼえきひたされているような感覚かんかくおぼえた。濃密のうみつ元気げんき全身ぜんしんつつみ、極上ごくじょう快感かいかんをもたらしていた。


かれからだでは月旋蠱げつせんこ変化へんかはなかったが、青藤蠱せいとうこ松針蠱しょうしんこ生機葉せいきようからは活気かっきみなぎる意志いしつたわってきた。樹精じゅせいとしてこれらの木行蠱虫もっこうこちゅう駆動くどうするとき、その威力いりょく増幅ぞうふくされるのだ!


古月青書こげつせいしょふかいきんだ。これほどつよさをかんじたことはない!周囲しゅうい豊富ほうふ天然元気てんねんげんききることない真元しんげん供給きょうきゅうしてくれる。これこそ木魅蠱もくみこ真骨頂しんこっちょうだ。


しかし同時どうじに、かれ胸中きょうちゅう恐怖きょうふねんがってきた。



かれさとっていた――このつよさと快感かいかんおぼれ、木魅蠱もくみこ無節制むせっせい使つかつづければ、最終的さいしゅうてきのような樹人じゅじんしかばねになることを。


あらゆるものには代償だいしょうがある。


古月青書こげつせいしょ瞬時しゅんじ恐怖きょうふころし、白凝冰はくぎょうひょうにらみつけて二言ふたことはなった――「たたかえ」


激戦げきせん爆発ばくはつした。


青藤せいとう氷刃ひょうじんからい、氷錐ひょうすい松葉まつば交差こうさする!


一方いっぽう北冥冰魄体ほくめいひょうはくたい真元しんげん回復速度かいふくそくど異常いじょうはやく、他方たほう木魅樹精もくみじゅせいからだ天然元気てんねんげんき自在じざいあやつる。


このたたかいは普通ふつう三転蠱師さんてんこしいきえていた。


方正ほうせいとおくのおか呆然ぼうぜん見守みまもっていた。これほどの熱戦ねっせんきてはじめてだ!


通常つうじょう蠱師こし真元しんげん節約せつやくし、一滴いってきたりとも無駄むだにせず冷徹れいてつ計算けいさんするものだ。


だがいま白凝冰はくぎょうひょう古月青書こげつせいしょ制限せいげんなく能力のうりょく爆発ばくはつさせている。まるで真元しんげん無限むげんであるかのように。山道やまみち破壊はかいされくし、巨木きょぼくたお岩盤がんばんくずくだけていた。



激戦げきせんつづく……


藍鳥冰棺蠱らんちょうひょうかんこ


白凝冰はくぎょうひょう戦機せんきとらえ、突然とつぜんくちひらき、あいだから氷藍色ひょうらんしょくとりはなった。


とりはカラカラとき、はとほどの体躯たいくだったが、北冥冰魄体ほくめいひょうはくたい増幅ぞうふくけてそらううちにわしほどの巨躯きょく変貌へんぼう旋回せんかいかえしたのち古月青書こげつせいしょ猛然もうぜんおそいかかった。


古月青書こげつせいしょ回避かいひできず、硬直こうちょくえるしかなかった。


ドォン!


爆音ばくおんともに、かれいえほどの大きさの氷晶ひょうしょうめられた。


わりだ……」白凝冰はくぎょうひょう未練みれんがましく吐息といきらした。


氷晶ひょうしょうない身動みうごきできない古月青書こげつせいしょ見下みおろしながらつぶやく:「面白おもしろ経験けいけんをさせてくれたれいだ。これまでで最高さいこうたたかいだった。青書せいしょ本望ほんもうだろう。おまえおれ記憶きおくする」


青書様せいしょさま!」おかうえ方正ほうせい悲鳴ひめいを上げた。


「うるさいガキ、つぎはおまえだ」白凝冰はくぎょうひょう舌打したうちしながらちかづく。


しかしそのとき氷晶ひょうしょうれるおとかれ鼓膜こまくふるわせた。



「まさか…?」かれかえると、氷晶ひょうしょうなか古月青書こげつせいしょ天地てんちがひっくりかえるような変化へんかきていた。


からだ膨張ぼうちょうはじめ、二転蠱師にてんこしよう武闘服ぶとうふくまたたく間にやぶった。


かみ無数むすう青蔓あおづるわり、てのひらおおきい緑色みどりいろそうして濃密のうみつみどりかたまりとなった。


指先ゆびさき完全かんぜん頑丈がんじょう木質もくしつへ、手足てあしふとえだじょう変異へんいしながら、かすかに人体じんたい輪郭りんかくとどめている。


バキッ!


氷晶ひょうしょう完全かんぜん崩壊ほうかいした。


古月青書こげつせいしょが立ちがった姿すがたは、もはやもと精悍せいかん人面じんめんうしない、鼻先はなさきとが目玉めだま巨大きょだい樹精じゅせい顔貌がんぼうへと変貌へんぼうしていた。


身長しんちょう三米さんメートル褐色かっしょく樹皮じゅひよろいのように分厚ぶあつく、巨大きょだい緑葉りょくようつる全身ぜんしんおおっている。


白凝冰はくぎょうひょうがこの変異へんい呆然ぼうぜん見上みあげるさまは、大人おとな足下あしもと幼子おさなごのようだった。


「この姿すがた……まさか木魅蠱もくみこ合煉ごうれんしたのか?このおれ霜妖蠱そうようこより煉化れんかむずかしいぞ!」白凝冰はくぎょうひょうつい真相しんそう気付きづいた。



樹精木魅じゅせいもくみ空気中くうきちゅう元気げんき直接利用ちょくせつりようできる……道理どうり青書せいしょ真元しんげんきないわけだ」白凝冰はくぎょうひょう合点がてんがいったが、さらなる疑問ぎもんいた。


まよいなく直接問ちょくせつとめる:「青書せいしょ……木魅蠱もくみこをここまで使つかんで、樹人じゅじんになる覚悟かくごはあるのか?たとえおれたおしても、結局けっきょくぬことにわりないぞ!」


白凝冰はくぎょうひょう……」古月青書こげつせいしょこえ地響じひびきのようにおもひびいた。「おまえ孤児みなしごとして族長ぞくちょうひろわれた……そのてんではおれおなじだ。だがえらんだみち正反対せいはんたいだ。もり一本いっぽんれても問題もんだいない。もりのこかぎり、無数むすう若芽わかめそだつ。い……宿敵しゅくてきよ」


数百本すうひゃっぽん青蔓あおづる大蛇だいじゃごと白凝冰はくぎょうひょうおそいかかる。


一族いちぞくのため?馬鹿ばかげている!」白凝冰はくぎょうひょう表情ひょうじょうゆが後退こうたいする。


だが青蔓あおづる速度そくど以前いぜん数倍すうばいで、またたく間にいついた。


白凝冰はくぎょうひょう俊敏しゅんびんをかわす。うでほどもあるつるからだかすめ、地面じめん岩盤がんばんさるたびに土煙つちけむりい、岩片がんぺん四方しほうった。



水罩蠱すいしょうこ


白凝冰はくぎょうひょう次第しだい回避かいひしきれなくなり、あわててみずまく展開てんかい


青書せいしょすでにこの弱点じゃくてん見抜みぬいており、強攻きょうこうせず無数むすう青蔓あおづる水罩すいしょう包囲ほうい拘束こうそくした。


ぐいっとけると、水罩すいしょうがプシュッときしはじめた。表面ひょうめん水流すいりゅう暴走ぼうそう青蔓あおづる衝突しょうとつ水飛沫みずしぶきらす。


水罩すいしょう青蔓あおづる拘束力こうそくりょくれず縮小しゅくしょうつづけ、崩壊ほうかいきざしをはじめた。


「まずい!水罩すいしょうやぶれて身動みうごふうじられたら……!」水罩内すいしょうない白凝冰はくぎょうひょう決死けっし覚悟かくご


次の瞬間しゅんかん水罩すいしょうがバンッと破裂はれつ


ゴォォ――!


氷刃嵐ひょうじんあらし内側うちがわから噴出ふんしゅつし、渦巻うずまきながら巨大化きょだいかしていく。


白凝冰はくぎょうひょう意図的いとてき防御ぼうぎょき――守勢しゅせいでは限界げんかいさとり、攻撃こうげき対抗たいこうするみちえらんだのだ!



瞬時しゅんじ温度おんど急降下きゅうこうか冷気れいきほとばしる。


真白まっしろ氷刃嵐ひょうじんあらし古月青書こげつせいしょおそいかかり、青蔓あおづるはこのしろ竜巻たつまきあらがえず無数むすう断片だんぺん切断せつだんされた。


い!」古月青書こげつせいしょ微動びどうだにせず、巨体きょたいごと氷刃嵐ひょうじんあらしんだ。


ドスンとにぶおとひびき、かれしろ竜巻たつまきかかまれる。


両腕りょううでひろげ、そのかせのようにけた。


ガリガリッ!


するど氷刃ひょうじん巨体きょたいけずり、瞬時またたく間に無数むすう緑葉りょくようり、樹皮じゅひがれんだ。


凌遅りょうちのような激痛げきつうはしり、青書せいしょうめごえらしたがゆるめず、全霊ぜんれいめてけた。


氷刃嵐ひょうじんあらしかれ怪力かいりきされ、徐々(じょじょ)に圧縮あっしゅくされていく。


「くそっ!この自棄やけっぱち野郎やろう……」白凝冰はくぎょうひょう内心ないしんののしりつつも、氷刃ひょうじん加速かそくさせつづけるしかなかった。


氷刃ひょうじん青書せいしょからだけずたび摩耗まもうするが、氷刃蠱ひょうじんこちから瞬時またた再生さいせい戦局せんきょく膠着こうちゃくし、両者りょうしゃとも制御せいぎょ不能ふのう状態じょうたいおちいった。


古月青書こげつせいしょ白凝冰はくぎょうひょう絞殺こうさつするか、白凝冰はくぎょうひょう青書せいしょせるか――双方そうほう攻撃こうげきかさねるこのたたかいは、悲壮感ひそうかん凄惨せいさんさにちていた。

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