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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第百三十八節:白凝冰への逆追討?

「フフフ……おれをここまでめたやつはじめてだ!方源ほうげん……おまえ本当ほんとう面白おもしろい……*いきととのえたらかならころしてやる!」白凝冰はくぎょうひょうげながらこころ奥底おくそこ咆哮ほうこうしていた。


方源ほうげんからはなたれる殺気さっきが、いきもつけないほどの圧迫感あっぱくかんあたえていた。


この感覚かんかくかれにとって未体験みたいけんのものだった。


気配けはい濃厚のうこうになるほど、身体からだふるびょう的な興奮こうふんがってくる。


背後はいごから方源ほうげん足音あしおとちかづいてくる。


らえ!」突然とつぜんり、くろ蠱虫こちゅうげつけた。


方源ほうげん咄嗟とっさあし警戒けいかいしたが、ちかづいてるとそれが熊氈ゆうせん強纏きょうてんだと気付きづいた。


パチリ。かるやかに蠱虫こちゅうおさめた。


強纏きょうてん黒甲虫こっこうちゅう通常つうじょうサイズ、頭部とうぶ鉄製てつせいはさみち、背中せなか白斑はくはんらばっている。


春秋蝉しゅんじゅうせみらし真元しんげんそそぐと、強纏きょうてん瞬時しゅんじ煉化れんか空竅くうこう収納しゅうのうした。


ふたた追跡ついせき開始かいしするが、白凝冰はくぎょうひょうがここまで手段しゅだんこうじるのは、まさにめられている証拠しょうこ。しかしこの一瞬いっしゅんおくれで、かろうじてちぢめた距離きょりふたたひらいてしまった。


残念ざんねんながら移動補助いどうほじょ蠱虫こちゅうってない。あればとっくに白凝冰はくぎょうひょうめてるはずなのに」方源ほうげんこころ嘆息たんそくした。


「まさか…方源ほうげん強纏きょうてん瞬時しゅんじ煉化れんか!?」白凝冰はくぎょうひょう目尻めじりでちらりとその様子ようすとらえ、おどろきと不安ふあんざった感情かんじょうおそわれた。


かれ自身じしんもこの強纏きょうてんれてからなが時間じかん煉化れんかこころみていたが、熊氈ゆうせん間接的かんせつてきかかわっていたため、蠱虫こちゅう意志いしはげしく反発はんぱつ煉化れんか難易度なんいど異常いじょうたかかったのだ。


だが方源ほうげん一瞬いっしゅんでそれをげた。特殊とくしゅ蠱虫こちゅう存在そんざいっていたが、まさかこのおとこっているとは……


白凝冰はくぎょうひょう背筋せすじつめたいあせつたわる。方源ほうげんに対する警戒心けいかいしん再燃さいねんし、その危険きけんなぞめいた印象いんしょうさらふかまった。


しかし時間じかんつにつれ、ぎゃく方源ほうげん気分きぶんしずんでいった。



時間じかんつほど、白凝冰はくぎょうひょう真元しんげん回復かいふくすすみ、きずあさくなっていく。方源ほうげん優位性ゆういせいは徐々(じょじょ)にうすれつつあった。


今度こんどこそころせないかも…」方源ほうげん内心ないしんなげいた。


このままではちか将来しょうらい白凝冰はくぎょうひょう体力たいりょく真元しんげん大幅おおはば回復かいふくしてしまう。


月芒蠱げつぼうこ継続的けいぞくてききずっているものの、北冥冰魄体ほくめいひょうはくたい資質ししつ圧倒的あっとうてきで、元石げんせきから真元しんげん吸収きゅうしゅうする方源ほうげん速度そくどさえ凌駕りょうがしていた。


狼群おおかみぐん蠱師こしグループに遭遇そうぐうしなければ……もし白家はくけ小組こぐみならぎゃく危険きけんだが」


方源ほうげん脳裏のうり撤退てったい選択肢せんたくしかびはじめた。


これだけの距離きょり移動いどうしても狼群おおかみぐん遭遇そうぐうしないのは、白凝冰はくぎょうひょう偵察蠱ていさつこ経路けいろ事前じぜんえらんでいる証拠しょうこだ。


青茅山せいぼうざん広大こうだい地形ちけいかし、八方はっぽうみちつく白凝冰はくぎょうひょうを、特定とくてい方向ほうこうむことなど不可能ふかのうだった。


……


狼群おおかみぐん対処たいしょする最重要さいじゅうようてんは、結束けっそくかたたもつことだ。離散りさんした瞬間しゅんかん危機ききおとずれる」古月青書こげつせいしょ足早あしばやあるきながら、かたわらの方正ほうせい指南しなんしていた。


豪電狼群ごうでんろうぐん相手あいてなら要害ようがいまも正面突破しょうめんとっぱ可能かのうだが、狂電狼群きょうでんろうぐんあいはまず撤退てったい信号蠱しんごくこ周囲しゅうい小組こぐみ合流ごうりゅうだ。最低さいてい三組さんくみそろわなければ勝機しょうきはない。もちろん狼群おおかみぐんだけでなく、蠱師こしにも警戒けいかい必要ひつようだ」


ここで古月青書こげつせいしょ一瞬いっしゅん言葉ことばった。


同行どうこう四人よにん全員ぜんいんかれ人物じんぶつさっしていた。


あきらかに白凝冰はくぎょうひょうのことだ。


近日きんじつ白凝冰はくぎょうひょうえて二転にてん赤鉄真元せきてつしんげん熊力ゆうりき赤山せきざんらを挑発ちょうはつつぎ標的ひょうてきとして古月青書こげつせいしょ公言こうげんしていた。


「もし白凝冰はくぎょうひょう遭遇そうぐうしたら……」古月青書こげつせいしょおもたい空気くうきけるようにつづけた。「交戦こうせん極力きょくりょくけるべきだ」


この言葉ことばいた方正ほうせいむね不満ふまん感情かんじょうがった。


かれこころの中で、古月青書こげつせいしょ外見がいけんこそおだやかだがしんつよく、すじとお人物じんぶつだった。青書せいしょからは濃厚のうこう家族愛かぞくあいかんり、敬愛けいあいねんいだいていた。当然とうぜん白凝冰はくぎょうひょう青書せいしょ上回うわまわることをしとしなかった。


みんな白凝冰はくぎょうひょうのことをうわさしてるけど、あいつってどんなやつなんだ?」方正ほうせいまゆひそめてう。


小組こぐみほか三人さんにん沈黙ちんもくつつまれた。


古月青書こげつせいしょおだやかなみをかべてこたえた。「かれ青茅山せいぼうざん随一ずいいち天才てんさいだ。方正ほうせい、よくきなさい。きみわかくして甲等こうとう資質ししつつ。将来しょうらいかれえる可能性かのうせい十分じゅうぶんある。だから成長せいちょうするまでは正面衝突しょうめんしょうとつけるんだ。以前いぜんはなした『あたまげるときげるとき』のはなしおぼえているだろう?」


方正ほうせい青書せいしょ見上みあげると、そのたまのようなうるおいあるひとみれて自然しぜんうなずいた。「かりました。青書兄貴せいしょあにきう通り(どおり)にします」


かってくれた……」青書せいしょ言葉ことばつづけようとした瞬間しゅんかん小組こぐみ偵察蠱師ていさつこしこえげた。「前方ぜんぽう蠱師こし一人ひとり高速こうそく接近せっきんちゅうです!」



一同いちどう表情ひょうじょう同時どうじけわしくなった。


治療蠱師ちりょうこし古月薬紅こげつやっこう深刻しんこく面持おももちでった。「おそらく狼群おおかみぐんばらばりになった小組こぐみ残党ざんとうでしょう。いそいで救援きゅうえんに!」


方正ほうせいおもわずくちすべらせた。「もしかして白凝冰はくぎょうひょうかも?あいつ一人ひとり行動こうどうしてるじゃん」


可能性かのうせいはあるが、ないともかぎらん。だが孤立こりつした蠱師こしなら、どの山寨さんさいものでもいま味方みかただ」古月青書こげつせいしょがそうい、さき方向ほうこう転換てんかんした。


四人よにん仲間なかま当然とうぜんのようについてく。


しかしすぐに偵察蠱師ていさつこしふたたしらせた。「一人ひとりじゃありません。最初さいしょ蠱師こし後方こうほうにもう一人ひとりっています」


二人ふたりか……薬紅姉やっこうねえう通り(どおり)、小組こぐみくずれたんだな」古月方正こげつほうせい安堵あんどいきをついた。


古月青書こげつせいしょ表情ひょうじょうえなかったが、ほか三人さんにんかおから緊張きんちょう幾分いくぶんほどけた。


このとき高空こうくうから見下みおろせば、青書小組せいしょこぐみ方源ほうげん白凝冰はくぎょうひょう二人ふたりけわしい山道やまみち急速きゅうそく接近せっきんしつつあるのがかるだろう。


「ん?」白凝冰はくぎょうひょう表情ひょうじょうかすかにうごいた。偵察蠱ていさつこ五人組ごにんぐみ蠱師こしグループが真正面ましょうめんから接近せっきんしてくるのを察知さっちしたのだ。


いそいで方向ほうこうえた。


偵察用ていさつよう蠱虫こちゅう所有しょゆうしているが、正確せいかく相手あいて特定とくていまでは不可能ふかのうだった。各蠱虫かくこちゅう能力のうりょく単一たんいつ機能きのうかぎられ、長所ちょうしょ欠点けってんあわつのがつねだ。


たとえば方源ほうげん地聴肉耳草ちちょうにくじそう同様どうようで、足音あしおと特化とっかした聴覚ちょうかく強化きょうか可能かのうだが、男女だんじょ判別はんべつや、悄歩蠱しょうほこ消音しょうおんされた足音あしおと感知かんち出来できない。


正体不明しょうたいふめい相手あいてとの接触せっしょくけるため、白凝冰はくぎょうひょう安全策あんぜんさくった。


だが今回こんかい青書小組せいしょこぐみ精鋭せいえいぞろいで、偵察能力ていさつのうりょく一級品いっきゅうひん


だれかいる!」つづいて方源ほうげん青書小組せいしょこぐみ存在そんざい気付きづいた。


疾走しっそうする最中さいちゅう右耳みぎみみ人参髭にんじんひげかぜなびいていた。地面じめんっていないため、偵察範囲ていさつはんい最大さいだい時の半分はんぶんにもたなかった。


白凝冰はくぎょうひょうふたた走行方向そうこうほうこう変更へんこうする。


しかし青書小組せいしょこぐみ即座そくざ進路しんろ調整ちょうせいした。


このうごきで、白凝冰はくぎょうひょう方源ほうげん表情ひょうじょうかたくした。



二人ふたりとも聡明そうめいものゆえ、すぐにさとった――この未知みち小組こぐみ最大さいだい変数へんすうとなり、最終的さいしゅうてき結末けつまつ左右さゆうすることを。


るのが白家はくけ小組こぐみなら、即座そくざ隠鱗蠱いんりんこ撤退てったいする。ほか山寨さんさいなら……フン」方源ほうげんつめたいひかりはなった。


この選択せんたくけの要素ようそふくまれることも自覚じかくしていた。


もし白家はくけ小組こぐみ隠形いんけい探知たんち手段しゅだんものがいれば、絶体絶命ぜったいぜつめいまれる。


だがこの機会きかいのがせば、白凝冰はくぎょうひょうほうむ最後さいご可能性かのうせいえる。


さらに確率かくりつ計算けいさんすれば、方源ほうげん有利ゆうり三分さんぶん白凝冰はくぎょうひょう不利ふり三分さんぶんいちけない理由りゆうなどない。


疾走しっそうするなか両者りょうしゃ距離きょりちぢまりつづける。


「あの二人ふたり、もうすぐかどこうにえるはずです」偵察蠱師ていさつこし山道やまみちがりかど指差ゆびさした。


一同いちどう自然しぜんあしゆるめ、合流ごうりゅう瞬間しゅんかんそなえた。


しろかげ突然とつぜんかどがり、彼等かれら眼前がんぜんあらわれた。


白凝冰はくぎょうひょう!」方正ほうせいおもわずさけんだ。当然とうぜんかれ白凝冰はくぎょうひょう肖像画しょうぞうがたことがあった。


のこ四人よにんも、青書せいしょさえも表情ひょうじょうけわしくした。


白凝冰はくぎょうひょうがこんなに狼狽うろたえてる……狂電狼群きょうでんろうぐんおそわれたんだな」


自業自得じごうじとくだ。一人ひとり狼潮ろうちょうわたあるくとか威張いばってたんだろ?」


一同いちどうはしばらくうごこうとしなかった。


白凝冰はくぎょうひょう必死ひっし様子ようすが、青書せいしょたちにいたいほど快哉かいさいおぼえさせた。


だがそのとき方源ほうげん怒鳴どなこえかどこうからひびいた。「げてんじゃねえよ白凝冰はくぎょうひょう今日きょうこそぶっ殺す!」


この発言はつげんにはさぐりがはいっていた。


地聴肉耳草ちちょうにくじそうで、五人組ごにんぐみ存在そんざい把握はあくしていた方源ほうげん計算けいさんだ。もし相手あいて白家はくけ小組こぐみなら、はげしい反論はんろんかえってくるはずだった。



かどこうがわで、古月青書こげつせいしょらはこの言葉ことばいてまるくした。


「どういうこと!?」


白凝冰はくぎょうひょういかけているやつがいるだと!?」


冗談じょうだんじゃないわ!こんなことがありえるの?」


白凝冰はくぎょうひょうがあんなに狼狽うろたえてるなら、追手おってはどんなものだってうんだ!?」


古月薬紅こげつやっこうらはかお見合みあわせ、たがいの表情ひょうじょう驚愕きょうがくいろかべていた。


古月方正こげつほうせい混乱こんらんしながらもおもった。「このこえ、どこかでいたような……」


そのこえぬしおももなく、方源ほうげんかどがってあらわれた。


「……!?」 古月青書こげつせいしょおもたい表情ひょうじょう一瞬いっしゅんこおりついた。


ほか四人よにんみはり、方源ほうげん姿すがた瞬間しゅんかん目玉めだまそうになった。


「あ、あれは!」古月薬紅こげつやっこうかもたまごはいるほどくちけっぱなしにした。


兄貴あにき!?」方正ほうせいこえまらせた。


かれが……?」冷静沈着れいせいちんちゃく古月青書こげつせいしょさえ、この事態じたいにはおどろきをかくせなかった。

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