28 冷たい目2
メザリアside
私は目の前で起きている光景を信じられな語った。
この少年は何者なのか。なぜこんなに強いのか。どうしてこうなったのか。数えだすときりがない疑問の数々が頭に浮かぶ。
最初は、今魔物に襲わせている兵士たちと同じ程度の人間だと思っていた。
だけど、私が毒の攻撃を使った瞬間に目の色が変わった。雷のように、すぐに動き出したのだ。
一瞬で私の背後に回り、剣を振るった。いきなりのことで私は咄嗟に反応したが、その一撃で私の左腕は宙に舞うことになった。その瞬間に認識した、こいつは舐めてはいけない存在だと。
その後に続く連撃、その一つ一つが確実に隙を突いてくるものだった。それを捌くだけでも大変なのに、彼は次の一手を打たせない動きをしていた。これほどまでに戦闘慣れしている敵を私は見たことがなかった。
何なのよこいつは!どうして、こんな子供に私の計画が壊されそうになっているのよ!!
そんな、愚痴をこぼしたくなるくらい、彼は強かった。
「クソ、このままでは【解獄の鍵】を得られないじゃない・・・」
私がそう愚痴を口にしたとき、彼の目の色が変わった気がした。
先程までも、冷たい視線をこちらに向けていた。
しかし、今ではそれは何ともないものだと断言できる。
彼の視線はまるで絶対零度のように冷え切っていた。
それと同時に、目の前に獲物を目にした狩人の目のようにも見えた。
「…ヒィ!」
私は自然とそんな悲鳴をこぼしていた。
魔王軍の幹部となってから三百年間、未だここまでの恐怖を体験したことはなかった。
あの魔王様との謁見でさえ、ここまでの恐怖を受けることはなかった。
だからこそ、本能で理解してしまう。彼は化け物で、私その前にいる無力なウサギに過ぎないのだと。
そんなとき彼から声を掛けられた。
「おい、【解獄の鍵】を得るとはどういうことだ。お前たちの計画を教えろ」
発せられた声からは、今にも殺されると思うほどの威圧感があった。
なぜ、この化け物は私たちの計画について聞いてきたのだろう。彼らからすれば、孫娘を取り返すことと、街を守ることが最優先のはず。
それなのに、計画の方を私に聞くなんておかしい。まるで、他の人間とは別の目的があるみたい。
「・・・お、教えないわよ」
彼がどれだけ怖くても、どれだけ強くても魔王軍幹部として、情報を漏らすわけにはいかない。
私はその一心で彼にそう言った。
ただ、それが間違いだったのだとすぐに分かった。
その言葉を聞いた瞬間、彼は姿を消した。否、低姿勢になったのだ。そして、その瞬間に私の四肢を切断したのだ。
私はその攻撃の残像すら見えなかった。だが、切断された四肢の断面から、がこれをやってのけたのだと理解した。
激痛が走る。左腕を斬り飛ばされたときは何とか耐えられた。
しかし、今回はまるで違うのだ。切断された面が先ほどの日じゃないほどに痛いのだ。
まるで、何かに焼かれたと錯覚するほどだ。
「・・・もう一度聞く、計画を答えろ」
彼はもう一度その質問を投げかけた。
計画は教えてはならない。魔王様復活のためならば、絶対に教えてはならないのだ。
しかし、生物の本能として魂が、彼に歯向かってはいけないと言っている。
だから、教えてしまったのだ私たちの計画を。
「~~~~~」
それを聞いた彼は私に案内しろと言い、私の首を掴んだ。引きずるように私を運び始めた。
私は教えてしまったのだろう。無造作に、その場所に捨てられた。
これで楽になれる。
シュッ!!
そんな音がした後、私の意識は途切れた。
最後に残ったのは一つの疑問。彼がなぜ解獄の鍵を欲しているのかと言うこと。
解獄の鍵はあらゆる繋がりを遮断することができる。一度きりの神具だ。
だから、我々はそれで魔王様の封印を解こうとしていたのに、彼に邪魔されたのだ。
・・・本当に理不尽だ。
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