表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/23

13 元英雄級

そこにいたのは、ジルフォードだった。

いつもとは違い、全身に鎧を纏っている。戦場にいる戦士の姿でここにいた。

だが、別に驚きはしない。

なぜなら、ジルフォードは・・・


「お主。何者だ?」


どうやら、白夜は体勢を立て直したようだ。

こちらに対して、そのような疑問を投げかけた。

その問いかけに、ジルフォードは威圧感のある声で答える。


「儂は元カイヤナイト伯爵ジルフォード・カイヤナイトだ。元英雄(ヘルト)級騎士として、貴様を討伐する!!」


・・・ジルフォードは元騎士なのだ。英雄級のね。

英雄級や災害級と言うのは、大まかな強さや危険度の基準だ。

人と魔物では階級が異なる。

人は下から兵士級、騎士級、団長級、英雄級、伝説級、救世主級、神話級。

魔物は、下級、中級、上級、最上級、災害級、魔王級、神話級。

と分けられている。


災害級と英雄級では災害級の方が、上と言うことになる。

そのため、現状では白夜の方が有利と言う状況は変わってはいない。

だが、ジルフォードならば対等に斬り合うことくらいできるだろう。

それに、ジルフォードは剣がメインと言うわけではない。


「土属性魔法ソードマン」


ジルフォードがそう唱えると、地面から十体の土人形が現れた。

その土人形は、さながら剣士のような風貌をしている。


「行け」


そう命令を下すと、白夜の方に騎士たちは向かう。

白夜は、それに風の斬撃で対応する。

しかし、騎士たちはそれを無傷で潜り抜ける。


「エンチャント「アクセル」」


ジルフォードが魔法を発動すると、騎士たちの動きが早くなった。

白夜はそれにより反応が遅れたのか、騎士たちの一撃を喰らったしまった。

()()()()()()()()()()()()()に対して、白夜は腕を振るった。

その攻撃は空を切った。

またしても、白夜は騎士たちの攻撃を喰らってしまう。


なるほど、加速を騎士に付与することで認識をずらし、さらに付与していない個体を作ることで、また認識をずらしたのか。高度な魔力操作が成せる技だ。


「なかなかやるようだな。しかし、この程度の人形では相手にならんぞ」


白夜はそう言うと、大きく息を吸った。

そして、大きな咆哮を放った。

俺は咄嗟に、水魔法で壁を作った。


その咆哮により、土人形は破壊された。

これで破壊されるのならば、土人形は無意味になるな。

俺はそう考えながら、剣も持たずに白夜の背後に回った。

指先に魔力を込める。今日一番と言っていいほどの魔力だ。

さすがに、白夜もこちらに気づいたようだ。

咆哮なんて隙を作る行為を、みすみす見逃すわけがないのだ。

ここはそんなご都合主義な世界ではないからな。

そして、白夜の反応は間に合っていない。

俺は渾身の魔法の名を告げる。


(イカズチ)


次の瞬間。大量の電撃が指先から放たれる。

それが、白夜にぶつかる。すると、雷が落ちたような轟音と共に、白夜は吹き飛ばされる。

白夜はゴォォォン!!という音を立てながら、屋敷の壁にぶつかった。

渾身の魔法だったんだがな。

殺しきれなかったか。

白夜の体には、大きな火傷痕のようなものができていた。

すると、ジルフォードがこちらに近づいてきた。


「やはり、フォンは強かったのじゃな」


「まあ、それなりには」


「別に隠していたことは怒っていない。こういう事態だしな。それで、あいつを殺せる見込みはあるか?」


「無理ですね。少なくとも、お爺様が三人はいないと」


そう、無理なのだ、白夜に勝つことは。

簡単に言うと、ゲームの負けイベントくらい勝てない。

まず、白夜は風と氷の魔法を使ってくる。

この魔法で、大抵の攻撃魔法が弾き返される。

先程までは手加減されていたが、(イカズチ)を当てたことで本気を出してくるだろう。

次に、あいつの自然回復速度だ。

土人形に付けられた傷がもう回復している。

純粋に殺しきれない。

それに、あいつはまだフェンリルとしての固有能力を使っていない。

このままやっても、敗色濃厚だろう。


「ではどうする?儂が囮となっても良いが」


「それは、なしで行きましょう。アンジェリカさんが悲しみますよ」


「なぜ、アンジェリカが関係あるのだ?」


「本気で言ってますか?」


アンジェリカさんものすごく分かりやすいのに。

三ヶ月、この街で過ごしただけでもわかるんだぞ。

これがいわゆる鈍感っていうのかな?


俺たちがそんな会話をしていると、白夜が起き上がった。


「すまんな。お主らを少し舐めておった。ここからは、本気で行かせてもらう」



ご覧いただき、ありがとうございます。

誤字や間違いがありましたらご報告いただけると助かります。

作品への評価・感想等を頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ