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10/23

10 災害級・・(2)

翌日。

俺達はジルフォードに連れられて、街の中を散策していた。

どうやら、この街のことをジルフォードが紹介してくれるらしい。

もう既に三時間ほど、街を周っている。


「もうみんな足が疲れてきただろう。一回休憩にお勧めのお店に行かないか?」


ジルフォードがそう提案すると、オリビアは嬉しそうに頷いた。

オリビアは食べることが好きだからな。

俺はそんなことを考えながら、歩き出すオリビア達について行く。


少しすると、ジルフォードが立ち止まった。

そこは少し古びた外装の店だった。


「ここが儂の行きつけの店なんじゃ」


そう言って、ジルフォードは店に入っていく。

俺達もそれについて行く形で、店内に入る。

店内は、落ち着いた雰囲気の喫茶店のようだった。

古びた机や椅子が、そんな雰囲気を助長している。


「はーい。いらっしゃいませ。あ、ジルフォード様でしたか」


キッチンの方から、五十代くらいの女性が出てきた。

店内を見回すが、この店には彼女しかいないようだ。


「あら、今日はお連れ様がいらっしゃるんですね」


「ああ、可愛い儂の孫たちだ」


「ほう、お孫さんでしたか、あの狂人にも孫がいるんですね」


「孫たちの前で、そんな古い呼び名で呼ぶ出ない」


どうやら、ジルフォードと彼女はとても仲がいいようだ。

まるで、親友のようなそんな雰囲気がする。


「おじい様、その人とはどのような関係なのですか?」


俺は気づくと、そんなことを口にしていた。

その問いにおじいさまは顔を顰めた。


「私とジルフォード様は小さい頃からの腐れ縁よ」


「おい、令嬢の頃の癖が出ているぞ」


令嬢の頃の癖?

もしかして、この人もともとは貴族だったのか。

それならフレンドリーなのも納得だ。


「もしかして、貴族なんですか?」


「そうだよ。あたしは元貴族の令嬢でね」


やはり、貴族令嬢だったか。

だけど、()と言うのが気になる。

その時、サラがポンと手を叩いた。


「とりあえず席に着きませんか?立ちっぱなしだと、足が痛くなりますし!」


「それもそうだな」


「席はこちらです」


彼女はそう言って、席へと案内した。

席に着くと、メニューが差し出される。

カインとオリビアは、その中を興味深そうにのぞき込んだ。


「僕はこのウッドボアのステーキがいいです!」


「私はシフォンケーキと紅茶が欲しいです」


二人は口々に注文を口にした。

俺もメニューを見た。

その中に目につくものがあった。


「では、私はこのロックサーペントのサンドイッチをください」


この世界では、魔物の肉は普通に食べられる。

もちろん、毒のあるものもある。

俺が頼んだロックサーペントは、岩に擬態する魔物なのだ。

そのため、非常に希少なのだ。

こんな場所で、お目に掛かれるとは思わなかった。


「儂は・・・」


そう言って、ジルフォードは注文を進めるが・・・明らかに注文の量が多い。

注文の多さにあの食事に目がないオリビアでさえ、目を見開いている。

ジルフォードが注文を終えると、彼女はため息を吐いた。


「相変わらずあんたは、食べすぎなのよ」


頭に手を置いて、やれやれと言った風に首をふった。

その様子にジルフォードは文句を言いたそうに見ていたが、カイン達が納得するようにうなずいているのを見て、肩を落とした。

注文を受けた彼女は、料理を作るために厨房に戻っていった。


「そう言えば、お爺様。あの人の名前は何と言うのですか?」


カインがそうジルフォードに尋ねた。

確かに、彼女は名前を名乗っていなかったな。


「ああ、あやつはアンジェリカと言うのだ」


「アンジェリカさんとはどんな関係なんですか?」


オリビアが、興味深い様子で尋ねた。

やはり、女性はそう言ったことに興味があるのだろう。

ジルフォードは答えずらそうに、眉間に皺を寄せた。

すると、サラが口を開いた。


「オリビア様、大人には隠しておきたいことの一つや二つあるものです。俗に言う大人の秘密と言う物です」


「なるほど、わかったわ!」


厨房の方から、アンジェリカが出てきた。

その両手には料理が、乗っている。


「お待たせいたしました」


そう言って、机に料理を並べていく。

言わずもがな、ジルフォードの周りには大量の料理が置いてある。

改めて見ると、すさまじい量だ。

ざっと見ただけでも、十品は超えているだろう。


俺達は談笑しながら、料理を食べていく。

ジルフォードはゆっくり食べているはずなのに、気づけば皿の上から料理が消えていた。

恐ろしいスピードで、食事を済ませている。

それに気づいた時には、ものすごく驚いた。





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