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【祝!金賞受賞!】【書籍化予定】収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~  作者: エルリア


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284.コンビネーションを確認しました

ヘップダンジョン六階層。


ついこの間走破したダンジョンではあるけれど、収奪できるスキルに優秀なものが多く今後何度も足を運ぶことになるだろう。


特に六階層で入手できるバフスキルはどのスキルとも相性がいいので両方とも恒常化したいぐらいなのだが、連続使用が出来ないという欠点があるので泣く泣く恒常化を見送っていた経緯がある。


それもあって便利なスキルなのにもかかわらず使用頻度は少なめ、だが今回新たに手に入れた『補充』スキルがあれば安心して使用できるようになるだろう。


色々と検証した結果、『補充』スキルの使用回数が復活するのは24時間後。


使い切っても残していても最大数まで回復するので使わない方がもったいない。


もちろん指揮や残影などもあればあるだけありがたいが、とりあえず今回はこの二つをメインに最大ストックまで回収しよう。


「和人君!」


「任せろ!」


天井にフックを引っかけてレンジャーのように突撃してくるトイアーミーを伸ばした棍で横薙ぎに吹き飛ばし、正面から飛んでくる無数の矢をマントを翻して防御する。


背中に何かが刺さる感触はあるがドワナロクで新たに調達したグラストラグムというダンジョン産の特殊な魔樹の皮を使ったマントがあれば奴らの矢が俺を傷つけることはできないだろう。


この素材はゴムのように柔らかく、刃物を滑らせる特殊な樹皮でケブラーのような繊維構造を持ち切創耐性が極めて高い。


もちろんリルの爪ぐらい鋭いと流石に破れてしまうけれども、トイアーミーの放つ矢程度であればこれで体を覆うだけでしっかりと防いでくれるのは非常にありがたい事だ。


前に防御力アップを重ねて使用して耐えたことはあったけれど、あれは体が硬くなるだけで服とかは貫通してしまうので帰ったら大変なことになっていたんだよなぁ。


その点こいつがあればその心配はなく、さらにバフスキルを温存できるので非常にありがたい。


【恒常スキルを使用しました。突進、次回使用は15分後です】


矢が止んだところで突進スキルを使用して一気に接敵、壁際に並んだトイアーミーの一団を薙ぎ払った。


恒常スキル枠が二つになった事でエコーだけでなく汎用性の高い突進を定期的に使用できるのは非常にありがたい。


本当はこっちも連続使用したいところだけど、とりあえず今は移動スキルとして使うようにしている。


「ぐぁぅ!」


「お!トイメディックか、ナイスだぞリル」


「わふ!」


「次こそ帽子を落としてくれよ」


一団を薙ぎ払った所で隠れていたメディックをリルが発見、強靭な前足で押さえつけてくれている間にスキルを収奪してからそのまま踏みつぶしてもらった。


破片が地面に吸い込まれ、代わりに包帯が残される。


くそ、こいつも駄目か。


「またハズレだ」


「仕方ないよ、レア装備だもん」


「本当にドロップするんだよな?」


「何度もドロップ履歴はありますので間違いはありません、出るときは出るらしいですけど・・・」


「出ないときは出ないってやつか」


今回の目的はバフスキルの確保、加えて看護帽の確保なわけだが何匹倒してもドロップする気配がない。


気づけば後二体でフルストック、一応ここまでは目標なので倒すのは倒すけれどもここから先が苦行なんだよなぁ。


「リルちゃんこっちにブレスお願い!」


「グァゥ!」


落ち込んでいても仕方がない、すぐにドロップ品を回収して須磨寺さんの方へ放り投げ、棍を手にリルの背中を追いかける。


ルナが大量のアーミーを引き受けているのを後ろから強襲、攻撃力アップはいくらでも手に入るのでこの階層では常時使用し続けている感じだ。


そのおかげで少し強く棍を振るだけでいとも簡単にアーミーたちが吹き飛んでいく。


なんという爽快感、正直戦っているというよりも壊しているという感覚が強くなってきた。


「新明さん、さっき見つけた隠し通路奥の部屋に複数の魔物反応あります。どうしますか?」


「どうするも行くしかないだろ、これで出なかったら・・・頑張るしかないか」


「確認しなくて大丈夫?」


「リルもいるし、最悪このマントがあれば大丈夫だろう」


「だといいけど、油断しちゃだめだよ」


「了解」


まだ向こうでは桜さん達による残党(トイアーミー)狩りが続いている。


とはいえ俺が参戦するほどではないので先行して中の様子を見ておこう。


もちろん無鉄砲に突っ込むつもりは無いけれど、どのぐらいのトイアーミーが隠れているのかを確認しておく方が彼女達が戻ってきたときに指示を出しやすい。


七扇さんに罠を確認してもらってからゆっくりと通路の奥へ、魔灯もなく真っ暗な部屋の中を照らすべくライティングバグの光玉を部屋に投げ込んだ。


光の破片をまき散らしながら部屋の中を転がる光玉。


着弾を確認してすぐに顔を横にそむけると三秒後に瞼の向こうが真っ白になるぐらいの閃光が走る。


巨大な蛍のような魔物が落とすドロップアイテムで、一定の衝撃を加えると蓄積した光を一気に放出し短時間だが光を発し続ける。


最初の光がかなり強烈なので目をつむっても若干目の前が白くなるが、明かりが出来れば後は中を確認するだけ・・・。


「げ!」


正面に顔を戻した次の瞬間、白い靄が残る視界の向こうには無数のトイアーミーが矢を番えて待機していたようで光玉が着弾するよりも先に放たれた矢が眼前に迫っていた。


この距離じゃマントを翻す時間もない。


ならやることは一つ!


【トイメディックのスキルを使用しました。ストックは後七つです】

【トイメディックのスキルを使用しました。ストックは後六つです】

【トイメディックのスキルを使用しました。ストックは後五つです】


即座に防御力アップを発動し体をひねるようにして顔を後ろに向ける。


体に刺さらなかった実績があるとはいえ眼球なんかはヤバそうなのでせめてそこだけ守るつもりだったのだが、そのあとに流れて来たアナウンスに思わず体が固まってしまった。


【コンビネーションが発動、防御力アップ(中)を使用しました】


ん?なんだって?


コンビネーション?


そんな疑問に意識を向けるより早く無数の矢が降り注ぐも一切の痛みもなく、なんなら何かが当たっているような感覚すらなかった。


この前は衝撃を感じたのに今回はそれすらもないし、なんなら何も当たっていないかのようだ。


だが足元には無数の矢が落ちているし着ていた長袖は矢が当たってボロボロになっていた。


「大丈夫和人君!?」


「大丈夫だ!」


「みんなこっちに来て、早く!」


衝撃はなかったけれど着弾音は中々のものだったんだろう、後ろにいた須磨寺さんが慌ててリル達を呼ぶ声がする。


正面を警戒しつつ、改めて自分の体を確認するも特に怪我をしている様子はない。


コンビネーション、アナウンスから考えると複数使う事で別のスキルと同じ効果を得たという事だろうか。


防御力アップ(中)ってことは今までよりもワンランク上のスキルと同じ効果を得たという事、これはもしかしなくても物凄い効果だぞ。


ぶっちゃけ(小)と(中)には明確な差があって、三回使ったからと言って同じ効果になるわけではない。


イメージは(小)が1.1倍なら(中)は1.5倍ぐらいの違いがある。


つまり五回使って初めて中と同じかそれ以上になるという事、それを三回で再現できるというのは信じられないぐらいにお得だ。


いや、お得とかいうレベルじゃない。


「和人さん!」


「俺は大丈夫だ。中には大量のアーミーが待機してる、メディックもどこかにいるから先に探して倒さないとすぐに復活するからな」


少しして桜さん達が慌てた様子でこちらへとやってきた。


リルはまだ残党狩りに残っているんだろう、奴らが再装填するよりも早く突入したいが焦って怪我をするぐらいなら全員が来てから突入するべきだ。


ルナが通路の前で大楯を構え、桜さんが俺の前に立つ。


後はリルが戻ってくるのを待つだけ、部屋の中から聞こえてくるキリキリという矢を絞る音を聞きながらも俺はなぜか笑っていた。

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