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【祝!金賞受賞!】【書籍化予定】収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~  作者: エルリア


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176.面白いスキルを手に入れました

「今よりも環境が悪い中、よくまぁ保温スキルだけでここまで来たよな。」


向こうで大暴れするリルを確認しながら、怒りに目を目を血走らせて追いかけて来るペンギーナの突進を華麗に避ける。


旦那を倒された恨みを果たすべく延々と追いかけて来る特性を生かして何匹かは引き離しつつその間にリルが残りを撃破。


一羽一羽はそこまで強くないので群れの数を減らせばそこまでの敵じゃない、最後の一羽を倒したところでやっと一息つくことができた。


前は1m先も見えない猛吹雪の中、滑る氷の上で戦わなきゃならなかったけど通常時はそこまでやばい環境じゃないので落ち着いて戦えばさほど苦戦する感じはないようだ。


もちろん走破した時よりもレベルが上がっているからってのもあるだろうけど、やっぱりあの時の環境が悪すぎたんだよなぁ。


「卵は割れないように乾燥材で包みつつ嘴を隙間にさして隙間を埋めればオッケーっと。」


「わふ!」


「こいつらは肉を落とさないからもう少しだけ我慢してくれ。生卵喰ってもうまくないだろ?」


ブンブンと尻尾を振って抗議の意を示すリルを宥めつつすべての素材を回収、敵の数が減ってからそれぞれのスキルを収奪しておいた。


【ペンギーナのスキルを収奪しました。追跡、ストック上限は後四つです。】


【ペンギーノのスキルを収奪しました。狂暴化、ストック上限は後六つです。】


追跡はおそらく遠距離攻撃とか魔法で使うやつだろう、ホーミング機能が付くのであればかなりの性能だが今回は魔装銃を持ってきていないので確認できない。


狂暴化はその名の通り攻撃力が増す代わりに我を忘れて見境なく攻撃してしまう諸刃の剣、狂戦士が使用するスキルと同じであればほんの数十秒の話だが桜さん達がいる状況ではなかなかに使いづらい。


リルであれば避けてくれるので試しに使うならこの後だろうけど・・・まぁ、考えておこう。


そんな感じで八階層を走破、残るは九階層と最後の十階層を残すのみだ。


「この前は固まって動かなかったアイスゴーレムだけど、今回はどんな感じなのやら。」


氷の鍾乳洞、そんな言葉がぴったりの幻想的な光景。


冷気も前ほどではないけどそこそこ強く、吐く息は真っ白だ。


前は保温スキルを使っても中々に寒かったけど完全耐性のある俺達に死角はない。


とりあえず休憩がてら携帯用コンロに火をかけると今回はしっかりと沸騰してくれたので温かいコーヒーを美味しくいただきつつブロック状の携帯食料を胃に収めていく。


その横でリルが大き目のジャーキーをぼりぼりとかみ砕いていた。


「美味いか?」


「わふ!」


「そりゃ何よりだ、今度は肉のドロップする階層に行こうな。」


本当なら生肉の方がいいんだろうけど残念ながらここでは手に入らないのが申し訳ないが、まぁ普段からいいモノを食べさせているし少しぐらいは我慢してくれるだろう。


良い感じにお腹も膨れたので十階層目指して氷の洞窟をゆっくりと進んでいく。


途中ラムネゼリーのようなフローズンスライムが現れたけれど、前と同じく動きがゆっくりなので慌てなければ液体窒素のような攻撃はまず当たらない。


しっかり距離を取りつつ攻撃をしてきた隙を狙って即座に火水晶の棍を中に差し込み、魔力を発動させて中から溶かせば終了だ。


もちろん溶けきる前にスキルを収奪するのも忘れない。


【フローズンスライムのスキルを収奪しました。凍化液、ストック上限は後六つです。】


アシッドスライムと同じならこいつのスキルは氷の液体を吐くタイプ、城崎ダンジョンを攻略する上での切り札になると思っていたのだがまぁまぁ予想通り。


ここで使ったところで効果はわからないのでとりあえずフルストックまで回収して現地で確認するのが一番だろう。


残ったのはアイスゴーレムだが、他のゴーレムから察するに防御系のスキルになるはず。


氷装の小手を桜さんに渡している状況なので防御系スキルが手に入るのはありがたい限りだが、果たして何が出るのやら。


「お、今回はちゃんと動くんだな。」


前回同様通路を塞ぐ感じで待ち構えていたアイスゴーレムだが、前と違って今回はちゃんと起き上がれたようだ。


ゴゴゴゴと氷をまき散らしながら起き上がり洞窟中に響き渡るような咆哮を上げて威嚇してくる。


「リル、動きは遅いが力はあるから気を付けろよ。」


「ガウ!」


ドスンドスンとゆっくり近づいてくるゴーレム、この階層ではリルのブレスも効果は無いけど爪と牙がしっかりとゴーレムの装甲を削っていく。


その度にかき氷のような細かい氷の粒がそこら中に飛び散り、正直冷たい。


元々他のゴーレムに比べると動きがゆっくりなので特に慌てることもなく動きを見てから対処出来ているので特に危なげなく追い詰めていく。


「こいつで、どうだ!」


最後はリルがゴリゴリ削った装甲の奥にうっすらと見える核めがけて棍を打ち込み、魔力を爆発させればこれにて終了。


ガラガラと腕から崩れ落ちるゴーレムに手を添えてスキルを収奪する。


【アイスゴーレムのスキルを収奪しました。氷壁、ストック上限は後六つです。】


予想通りのスキル名、だが効果のほどは未知数だ。


氷の壁を出現させるのかはたまた見えない壁ができるのか。


前回はスピード重視でほとんど収奪してこなかっただけに改めてスキルを確認できたわけだが、面白いスキルが結構あるなぁ。


他の魔物とかぶっているのもあるけれど大体がその魔物の個性を表すものばかり、魔物の種類が増えれば増えるほどそれが顕著になっていく気がする。


魔物のスキルだけでもこれだけあるんだから収奪スキルみたいにまだまだ未発現のスキルがあるんだろう。


クリスタルを使えばいずれまたこういうスキルに出会えるのかもしれないけれど、ぶっちゃけこれさえあれば複数のスキルを所持しているのと同じこと。


レベルが上がればストック数も種類も増えるのでその分新しい組み合わせを試すこともできる。


今後も相乗効果のあるスキルの組み合わせをしっかりと確認していくとしよう。


「さて、後はフルストックまでガンガン倒して稼ぐとするか。」


ゴーレムが吸収された地面に残されたのは氷の塊と水色の石、氷の塊は本当にただの氷だが石の方は氷属性の武器を作るのに必須な魔鉱石、アイシュクリンド。


城崎ダンジョンに潜るにはこいつがなければ始まらないといわれるぐらいに大事な鉱石だ。


エンチャント装備が高いのもこういう属性石が多数必要なため、それに合わせて買取価格も普通の鉱石よりも高いから多少重くても持ち帰る気になるよなぁ。


しかも今回は買取価格二割増し、この為にアイスゴーレムを倒しているといっても過言ではない。


スキルのフルストックまでは狩り続けるし、なんなら集め終わってもなお出てくるやつはすべて倒しつくすぐらいの勢いで行くつもりだ。


銀狼?


今回の依頼達成には倒す必要はあるけど金銭効率だけで考えればアイスゴーレムの方が上なんだよなぁ。


でもまぁ残影スキルは保険として一つぐらいほしいし、毛皮もいい感じの値段で売れるので倒すのは倒すけど今回はこっちがメイン。


「リル、アイスゴーレムを見つけたら全部倒すから教えてくれよ。」


「ワフ!」


新しいスキルもゲットしつつ金まで稼げるなんて今回の依頼はマジで最高だ。


人気がないから他の探索者もいないし、今後もサクッと稼ぐなら不人気依頼も悪くない。


そんなことを考えながら最終階層への階段を探しつつ奥へと進むのだった。

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― 新着の感想 ―
やっぱりストック、恒常スキルは増やしたいっすね(;´∀`)
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