【なろう小噺】魔王様復活に号泣する四天王
遂にここまで来た。我らが魔王様が憎き勇者に倒されて、はや十年。
長い寿命を持つ魔族にしてみれば、たったの十年。だが苦難の多い十年であった。ようやく魔王様復活の儀式が完成したのだ。
魔王四天王は号泣していた。
魔王四天王といっても、それぞれ得意分野がある。
『暴』の四天王は敗走に次ぐ敗走で、大半の部下を失っている。本人も魔族の仲間を守るため、傷だらけの満身創痍だ。
『謀』の四天王は敗北以来、王国内に潜らせていた全ての人脈を使い、これまでアジト作りをしてきた。連日の徹夜で疲労の色が濃い。
今にも倒れそうだ。
『飛』の四天王は連絡役に、魔王様復活の必要な素材集めに、東西狭しと奔走してきた。
自慢の羽も、もうボロボロになっている。
『呪』の四天王など、魔王様復活のため自らが持つ全ての財に宝物、素材を費やしてきた。さらに全魔力を費やした儀式のため、やつれて、ミイラのような形相になっている。
全てのはこの日、魔王様復活の儀式のために苦労してきたのだ。
「なるほど、それで嬉しくて泣いている?」
「この涙は違う理由だ」
「なんでだ?」
「「「「お前のせいだよ!」」」」
四天王は勇者に怒鳴りつけた。目の前には粉々になった祭壇。
魔王様復活の儀式はみごと、勇者によって阻止されたのだった。
四天王は泣きながら嘆く。
「ここまでの苦労を返せ!」