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星の導き  作者: 緋崎 瑞理
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想定外×2

 三日後、葵のスマホにメッセージが届いた。

 メッセージの送り主に驚く。

「え、今度は翔太さん……? なんで?」

 あまりに思ってもいなかった人物からのメッセージに、思わず声に出てしまう。

 

 会社を辞めて半年、翔太とはまったく連絡を取っていなかった。

 忙しいと分かっている翔太に連絡を入れる気にはなれなかったし、美咲と付き合い始めたとも聞いたし、引継ぎもきちんとしてきたし、連絡をする用事がそもそもなかった。

 翔太も忙しいのだろう、まったく連絡は来なくなった。


 それなのに突然のメッセージだ。美咲から鑑定依頼のメールがあり、鑑定して返信して、そして翔太からのメッセージ。なかなか絶妙なタイミングとしか思えない。

 しかし、会社を辞めた後に立ち上げたサイトのことを、辞めてから連絡を取っていない翔太は知らないはずだが……?


 その疑問は一瞬で、冒頭の一文で解けた。


『美咲のメールを見たんだけど……』



 どうやら、美咲が翔太に、鑑定結果のメールを見せたらしい。

 結局のところ、翔太は自分のことを好きなのか。付き合ってはいるものの、自分だけが付き合っていると思っているだけなのか。仕事以外でも翔太と一緒にいたいと思うのはわがままなのか。プロジェクトが終わるまでおとなしくしていた方がいいのか。

 二日ほどいろいろ考えてどうすればいいのか分からなくなり、仕事の打ち合わせの合間に美咲は翔太に鑑定結果のメールを見せたのだ。


 最初は少し面倒くさそうに読んでいた翔太だが、途中、気になる言葉を見つけた。

『恋愛には不器用で優柔不断』

 以前、占い師にあこがれているという葵に、話のネタに占ってもらったことがある。そのときと同じ文言だ。自分でもそんな気がしているので、当たっているようで、今でも覚えている。

 そしてメールの最後にはローマ字で「AOI」という署名。

 翔太は、美咲には何も言わず、美咲が鑑定を依頼したというサイトを探し、「星の導き」にたどり着いた。トップページには「AOI」という名前と、葵の写真が掲載されていた。

 葵で間違いないと確信し、翔太は葵にメッセージを送ってきたのだ。



 翔太からのメッセージには、現在美咲と付き合っていること、占い師になったのは構わないが美咲を惑わせないでほしいこと、プロジェクトも大詰めで二人とも今が一番大事なときだから理解してほしいことなどが書かれていた。


「まさか美咲さんがメールを見せるとは……しかもなんか私だってバレてるし……。うーん、これ、何か返信するべきなのかな、どうしよう……」


 メッセージの終わり方からして、返信を望んでいるわけではなさそうだ。返信が欲しいと言われても困ったところだろうが、現状もこれはこれで困る。

 別に、サイトのことは翔太に隠していたわけではない。ただ伝える機会がなかっただけだ。占い師になりたいと話したことはあるし、占いサイトを運営していることも、占い師として活動していることも、翔太に知られてもどうといったことはない。……はずなのだが、今回の件においては何となくバツが悪い。


 想像もしていなかった事態に発展していることを知って、今度は葵がどうしたらいいか分からない。

「……今の自分の星回りって、どうだったっけ?」

 そうは思うものの、手も目もスマホから離せず、葵は翔太からのメッセージを何度も読み返す。

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