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第5話 依頼の正体


(何が起きているんだ?)


 はっきり言って、あんな叫び声を上げたということは、何かが起きたということだ。それがもしかしたらアキナ村の人だったらと思ったら、胸の鼓動が収まらなかった。


 走り始めて十数分ほど経ったところで、またしても数体のゴブリンと遭遇した。


(こいつらも痩せこけている......)


 先程同様に俺が前衛を担って、援護をセナさんに任せる形で戦うと、数分もしない内にゴブリンを倒し終わった。


 そして俺がセナさんの方を向いて、先へ進もうとした時、声が聞こえた。


「助けて」


 俺とセナさんはすぐさま、声の下方向へと走り始めた。


(クソ、間に合ってくれ!!)


 そう思いながらも、一刻も早く声のする場所へと向かうと、ゴブリンたちがダンジョン奥地から逃げるようにこちらへ駆け寄ってきた。


 それを、俺とセナさんは一体ずつ確実に殺して行った。


(何が起きているんだ!?)


 そして、やっとの思いで声のした場所へとたどり着くと、そこには男の子一人と女性が一人怯えていた。


「大丈夫ですか!?」


 俺は親子の元へ駆け寄って声をかけると、二人は指を指して言った。


「こ、この子を連れて逃げてください」

「え?」


 俺とセナさんが首を傾げていると奥から禍々しい雰囲気を感じた。


(な、なんなんだ......)


 ダンジョンの奥から黒い魔素が飛んでいることが見えた。


 はっきり言って、勇者パーティにいた頃も、こんなに黒い魔素があったことは無いし、雰囲気を味わったこともそうなかった。


 そう思っていると、奥からオーガが現れた。


(う......)


 一気に空気が重くなった。


(ゴブリンが痩せこけていた原因は、こいつか)


 そこで、やっと納得する。オーガとは、冒険者ランクとしてもBランク~Aランク相当のモンスターである。それに対して、ゴブリンはFランクモンスター。


 こんな奴が、ダンジョンを牛耳っていたらゴブリンも痩せこけるわけだ。


(だが、これからどうする?」


 セナさんがいるからと言って親子を守りながら、ダンジョンを抜け出すのは、無理だ。


 俺がそう考えながら、セナさんたちの方を向くと、親子は怯えきっていて、セナさんは必死に自我を保とうとしていた。


(俺がやるしかない)


「セナさん、二人のことはお願いします」

「わ、私も戦います」

「......。では、援護だけお願いします」


 そして、俺はオーガに攻撃を仕掛けた。


 まず、オーガに火玉ファイアーボーを放ち、直撃する。だが、一切ダメージを受けていないようであった。


(やっぱり、皮膚が固いから効かないか......)


 そう思いながらも、火玉ファイアーボールを放ちつつ斬りかかる。


 すると、足元に切り傷を与えることが出来た。


(これを続けて行けば、倒せることが出来るかもしれない)


 俺はそう思い、同じ攻撃を繰り返すと、オーガは火玉ファイアーボールを受けつつ攻撃を仕掛けて来た。


 それを、ギリギリのところで避けるが、オーガは俺が態勢を崩しているのを見逃さず、攻撃を仕掛けてきて、壁へとぶつかる。


「ダイラルさん!!」


 口の中が鉄の味がする。地面には大量の血が流れていた。


 すぐさま、ポーションを飲んで回復する。


 その時、オーガの周辺に赤い魔素が集まっていくのが分かった。


(何だこれは?)


 だけど、集まっている方向からして、右側が危ない。俺はそう思い、今いる位置から左側に移動をする。


「セナさん、二人を連れて左に避けてください!!」


 すると、セナさんがすぐに親子を連れて左側に移動をした。


 その時、オーガが炎玉かえんだんを放ってきて、辺り一帯が焼けこげていた。


(な、なんで分かったんだ?)


 そう思っていると、またしてもオーガに赤い光が集まって行った。


(次は左だ)


 俺は右に移動をして炎玉かえんだんを避けた。


 前々から、軽いタイミングならわかっていた。だが、今のは違う、明確に打つタイミングが分かった。


(もしかして、俺は魔法のタイミングと撃つ場所が分かるのか?)

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