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第12話 セナの実家


(やばい、緊張してきた......)


 今まで、誰かの家になんて招かれたことが無かったから、今まで感じた事の無いような感情が舞い込んでくる。


(どうしよう?)


 まず、セナは子爵家だから、家には確実に誰かしら人が居る。そんな人たちに迷惑をかけないように、行動や話す言葉一つでもミスができない。


 それ以外にも、今の服装で招かれていいのか不安であった。


(あれ、結構難易度高くね?)


 そう考えていると、セナが俺の方を向いてきた。


「どうしたの?」

「い、いや。何でもないよ」


 流石に友達の家に行くことが無かったから緊張しているなんて言えない。


 すると、セナがハッとした表情で尋ねてくる。


「もしかして、緊張している?」

「!!」


 その言葉に、俺は同様が隠しきれなかった。


(そんな顔に出ていたか......)


「やっぱり。貴族の友達ならともかく、ダイラルみたいな人はみんな最初は緊張しているんだよ~」

「そ、そっか」


 それを聞いて、少しホッとした。ま、まあ。違う理由でも緊張しているなんて言えない。


(でも、バレなくてよかった)


「そんなに緊張しなくて大丈夫だよ!!」

「う、うん」


 その後、すぐに馬車を借りて、ライベルトの主要都市を出た。そこから、三日程馬車に揺られて向かうと、目の前にぶどう園が現れた。


「セナの実家って何をしているの?」

「ミルカ家では、代々ぶどう園で生計を立てているんだよ」

「へ~そうなんだ」

「うん。だから、ダイラルもぶどうを食べるか、ワインを飲んで行ってね」


 その問いに対して、俺は軽く頷いた。


(ぶどうか~)


 ライベルトでは、十八になるとお酒を飲めるようになる。俺も今年、とうとう十八になったから、ワインを飲んでみたいと思った。


 その後、ここ近辺の魅力をセナから永遠と聞かされて、セナの実家にたどり着いた。


(でか!!)


 貴族ということから、屋敷が大きいとは思っていたけど、アキナ村で泊まらせてもらったビルの家が小さく感じた。


「じゃあ、入ろっか」

「あ、あぁ」


 俺は、セナの後をついて行くように屋敷の中へと入って行った。すると、中から数名のメイドと執事がこちらへやってきた。


 その中のメイドが話しかけてくる。


「セナ様、おかえりなさいませ」

「マーコさん、ただいま」

「それで、そちらのお方はどちら様ですか?」

「私の友達だよ」


 その言葉に、マーコさんはこちらをじっくりと見て来た。


「貴族ではなさそうですが、冒険者のお仲間と言う認識でよろしいですか?」

「うん」

「承知しました」

「パパとママのところに行くね。いつものところにいる?」

「はい」


 すると、セナが手を繋いできて歩き始めた。その時、少しだけドキッとしてしまった。


 それにしても、初っ端からセナのお父さんとお母さんに会うのか。


(どんな対応をすればいいんだ?)


 そう思いながら歩いていると、セナが目の前の扉を開けた。


(書斎だ......)


 あたり一面が書物であり、俺にとっては新鮮であった。すると、目の前からセナにそっくりな女性が現れた。


「あら、セナ。おかえりなさい」

「ただいま!!」

「お、お初にお目にかかります。ダイラル・エルボと申します」

「カエリ・ミルカです」


 俺があたふたしている時間も無く、すぐにセナの父親の元へ案内された。


「セナ、おかえり。隣の人は友達かい?」

「うん!! ダイラルって言うの」

「そうかい。ダイラルくん、初めましてコロドです。それよりも、この人を連れて来たってことは、何か手掛かりが見つかったのかい?」


 その問いに対して、セナは黙り込んでしまった。すると、コロドさんがセナに頭を下げる。


「ごめん」

「ううん。でも、もしかしたらダイラルが力になってくれるかもと思って」

「そうか。じゃあ、場所を変えて話そうか」


 コロドさんの言葉と共に、俺たちは客室へと移動した。



 この時の俺は、どれほど重大な問題であったのか知りもしなかった。

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