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異世界4-10 インフレに取り残された初期キャラ視点

「……」

「……!」


《認証しました。新たなスキルを登録します》


「なんと……!?」


 ダクが一歩踏み込み、俺の体を闇の刃で両断してスキルを獲得する。

 目で追えなかった。俺程度なら当り前だが、ルティア達の反応を見る限りヴァンパイアの動体視力や五感をもってしても見えなかった様子。

 ヤバいな。加速って光魔法とかの特権じゃないのか? 周りの木々の変化を見る限りとんでもないソニックブームが発生してるし、音速は既に越えてるな。


「1つ聞くけど、闇の速度を知っているかい?」

「なんだよ。そんな事知るか」

「闇というものを表現するなら、手っ取り早いのは宇宙だ。俗に言うダークマターを始めとし、宇宙には色んな闇が存在している」


 急に持論を語り出した。

 悠長に話を聞くのもあれだが、よく説明してくれるし何かしらのヒントを得られるかもしれない。

 なので清聴する。


「宇宙の膨張速度は、一説では光以上と言われている。ボクの扱う闇も最高速ならその領域へと到達するだろう。それをすると広範囲のゴミ箱が壊れてしまって地味に困るからやらないけど、()と一体化したボクはスゴく速く動けるよ」


「そうかよ」


 ダクが動けるであろう最高速度。それはまさかの光以上と来た。

 粒子とかじゃなきゃ光速移動は出来ないってされてるけど、それは所詮俺の世界の理論だからな。物理法則その物が結構違う異世界ではそれが適用されるのだろう。

 そもそも神様とか大魔王とか居るし、俺が居た現実世界如きの法則は全部無駄レベルだろう。のっとってる部分もチラホラあるけど。

 何はともあれ、そんな相手に俺は勝てるのか……厳密に言えばルシが主体だが。


(案ずるな。我なれば戦えよう。力も戻りつつあるしな)


 マジで頼みます。ルシレベルでようやく戦えそうなモードだ今のアイツは。

 ルシはダクへ狙いを付け、ダクもルシの方へと視線を向けた。


「脅威が相手か。骨が折れそうだ」

「気にするな。骨だけではなく貴様が死亡する可能性もある」

「そうか。それは良かった。死ねば楽になる」


 死者を無理矢理生かした上で自分の死は楽と取るか。どこまでいっても自分勝手な奴だ。

 とは言え、死は楽と考えているだけで死ぬつもりは毛頭無いだろう。


「さて、祭典の開催だ」

「戦闘を祭事と考える。キミには付いて行けないな」


 2人が踏み出し、互いに距離を詰め寄った。

 手始めに刃が振り降ろされ、その一撃に対してルシは腰を落とし、両手を構えて迎え撃つ。

 瞬間的に凄まじい轟音と共に2人が衝突。ダクの斬撃とルシの拳が激しくぶつかり合い、互いの身体に衝撃を刻んだ。

 刃に対して素手で受けているように見えるが、その手には魔力が込められているので斬撃が通らないようになっているな。


「その刃。どうやら我も触れられるようだな」

「触れなきゃ斬れないからね」


 手の平で刃を逸らし、ダクの身体に打撃を入れる。だが闇の鎧を纏っているので攻撃に構わず、更に一歩踏み込んで斬り掛かった。

 ルシは回避をせず足を引いて斬撃を受け止めたが、衝撃までは殺し切れずに吹き飛ばされた。しかしそのまま地に足を着けず、近くの木を蹴り砕いて再びダクへと飛び掛かる。

 空中で体勢を変え、空気を蹴るのと同時に加速するそれよりも速く、ダクは踏み込んで剣を振るった。

 互いの魔力がぶつかり、辺りには衝撃波が散り行く。


「フム、やるな。今の我では互角程度にしか持ち込めぬか」

「夜の力を得たボク相手にも余裕のある態度……うん。やはりキミは脅威だ」


 互いに弾き飛ばされるが、各々(おのおの)で地面を滑って勢いを殺す。一定以上の距離は離れていなかった。

 ルシ相手にここまでやれるなんてな。あの闇の鎧、本当に凄まじいスキルだ。本人の技量も込みでのものだろうけど。

 とは言えルシは未だに無傷っぽいけどな。その辺は流石だ。


「末恐ろしいな」

「フッ、恐怖それこそが大魔王()であろう」


 伸びる無数の闇と共にダクはルシとの距離を詰め寄り、刃を振るって斬撃を放つ。

 瞬時に闇の槍も打ち付けて一斉に仕掛け、ルシが居た場所が吹き飛んだ。

 しかし既にルシは居ない。背後へと回り込んでおり後ろ回し蹴りが脇腹へ。闇の鎧の欠片が散り、その体は宙を舞って突き進む。


「反応速度も上々だが、生憎あいにくまだ遅い」

「……!」


 直進する上からルシが蹴りを打ち込み、ダクの体はたった今造り出された奈落の底へ。

 そこから斬撃と闇が伸びてルシは飛び退き、闇の鎧を巨大化させたダクがその中から見下ろす。

 まるでスーパーロボットだな。世界観合ってるかこれ?

 そりゃロボット物は昔から愛される作品だけど、魔法のファンタジー世界にロボは無いだろロボは。とんだB級作品だよ。まだサメを出してた方が人気出るぞきっと。


「ならば更なる速度で攻めよう」

「闇から生物を顕現させ、己も来るか」


 闇を形成し、サメの形として放出。マジでサメ出してきちゃったよこの人。

 しかもロボットっぽい形態のまま加速し、巨大な闇が高速で駆け迫る。

 その余波だけで木々は薙ぎ倒され、周りで戦っている兵士達も巻き込む。サメはルシが消し去ったが構わず闇の刃を振り下ろした。


「……っ。なんつー範囲……!」

「まあまあだな」


 それによって生じた斬撃は暗くて見えにくいが遠方の山々を両断し、辺り一帯を更地とさせた。

 次の瞬間にダクロボの姿が消え去る。さっきと言い今と言い、デカい図体でなんて速度だ。

 現れた時にはルシが片手を破壊しており、もう片方の手で刃を降ろしたがそれもた破壊されていた。


「やはり小回りの利く立ち回りで行こう」

「次から次へとせわしないな」


 ロボ的な何かは破壊され、中から飛び出すダクは闇を様々な形へと変換させて強襲。己も光を超えてけしかける。

 もはや何も見えないな。バトル漫画でインフレに置いていかれる初期キャラの気分だ。

 ルシはダクの猛攻は防御し、槍や刃に弾丸などの全てを正面から崩し去り、辺りが消えては現れを繰り返したのちに粉砕。闇の隙間を抜けて現れたダクの片手には闇が込められていた。


「キミは脅威だが、敢えてこう言おう。──“殺虫剤”」


 刹那にまとまりのある闇を放出し、さながらビームのように直進。

 ジェット噴射された闇の魔力は全てを飲み込み消し去りほふって迫り、ルシも己に力を込めていた。


「言い忘れていたが、我は闇と相性が良いんだ」

「……!」


 己の魔力をぶつけて闇の波動を相殺。完全に消失させ、更なる魔力を込め直す。


「興じと言うものはいずれ終わるというもの。中々に楽しめたぞ。闇の幹部よ」


「まだ終わっていないだろう。今からボクが世界(ゴミ箱)ごと破壊するのだから」


 間を置かずに撃ち出された大魔王の魔力からなるエネルギーの波。対するダクは自身に纏った闇と夜を混合させ、一点に集中させて抽出する。


「名付けるなら……“焼却炉”。ゴミを全て消し去る最終極点だ」


 そう告げ、黒い魔力が一気に解放された。

 と言うか、ダクの凄まじい魔法に対してのネーミング……大体ゴミとか駆除関連とかそう言うやつだな。

 心の底から自分以外をゴミと認知している様子。だからこその容赦がない攻撃の数々を放てるのかもしれない。

 ルシとダクの魔力は正面から衝突してせめぎ合い、周りは消し飛ばされる。しかし俺達には大して影響が及ばないな。いつものようにディテが守護壁を張ってくれているのだろうか。


「さあ、灰塵となってくれ」

「貴様の方がな」


 最後に告げ、2つの力は大きく霧散。一瞬遅れて世界が反応を示し、飲み込まれるように包まれた。

 黒い闇によって何が起こったかは分からない。視界が晴れ、見えるようになった存在は、


「…………」

「クク……良かったぞ。我が手傷を負うなんてしばらく振りだ」

「……──」


 ──半身が消滅したダクと、全身が傷だらけとなったルシだった。


所有スキル

・───

・光球・光剣・肉光変化・光線・光蹴

・遠吠え・お手

・魔弾・魔衝波・火球・肉体強化×7・溶岩球・大水球・暴風球・大岩石

・モーニングスター(武器)

・熱光線・熱爆発・火炎鞭・炎爆球

・飛翔・貫通・風圧・メテオウィング

・自爆発・爆破・大噴火・付与爆破・核分裂・超爆発

・火炎息・雷降・暴風波・洪水衝・突進・流星・槍尾・崩星光波

・直視の即死・肉体変化(槍)・認識発狂

・空想顕現(槍)・インフェルノ・反射・無限鉄矢・鋼鉄圧球・死付与・蘇生阻止・存在抹消・石化

・闇操作・闇突・闇箒・ミニブラックホール・闇斬

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