【超短編】逆行する令嬢の真相
私はミゲルと、深い口づけを交わした。
騎士ミゲルは運命の人。
私と彼は、彼の故郷である南方の異国を目指す。
無事たどり着けば、すべての不利を覆すことが出来るのだと彼は言った。
――逃げよう、ともに、遠い国へと
ミゲルは私の幼馴染で、護衛騎士。そして、幼いころの想い人。
幼い日に交わした約束を、ミゲルは覚えてくれていたのだ。
あなたと一緒なら、私は何も怖くない。
そう、思っていたのに……
やっぱり私は孤独に死ぬしかないんだ。
*
絶望と希望が入れ替わるのは、本当に一瞬のことだった
為すすべもない……
敵兵は
強力な爆炎魔法を放った
ミゲルは、私を抱えたまま
血塗れになって敵陣を切り抜けようとした
絶望と希望が入れ替わるのは、一瞬のこと
「ミゲル……!」
血の海を作って、その場に立っていたのは……
百人を超える騎士たちだった
剣を握りしめたまま、血の海に沈んでいたのは……
「ミゲル!?」
予想もしなかった出来事に、私は言葉を失った
次の瞬間、
私は叫んだ。
「……お願い殺さないで! これは王太子の謀略よ、話を……聞いて!」
このまま、あんなひどい人たちの思い通りにされてしまうなんて嫌だ。
そう思った瞬間に、怒りが沸き上がった。こんなの、ひどい。
でも私には、何もできない。
悔しい。かなしい。
捕らえられた私は抵抗もできず、断頭台へと送られた。
すべて失った私には、もう……生きる気力なんかない。
怒り狂った民衆が私に石を投げてくる。
国家反逆を企てる毒婦の首を刎ねろ! と言って、
私の死を望む王太子と、新たな婚約者が笑っている。
私はここで、独りぼっちで死んでいくのだ――
愛なんか、求めなければよかった。
【重要】
この物語は、逆行する令嬢の真相です。
ですので、ラスト1文から上に向かって、逆行して読み上げてください。
結末が、変わります。
運命に順行するか。逆行するか。
お好きなほうの結末を、お選びください。
最後までお読みいただきありがとうございました!
※本作の仕掛けは、大手百貨店や出版社の広告などでも用いられてきた手法です。筆者が新規考案したものではありませんので、ご承知おきくださいますようお願い致します。