第1話 告白
メイン執筆の息抜きで、何となく書いてみました。
スナック感覚でどうぞ。
一応、評価・感想など、頂けましたら嬉しいです☆
※『カクヨム』様にも、同作品を投稿させて頂きました。
※タイトル及び内容は、予告無く変更・修正する可能性があります。
※許可無く内容、他その一部を転載する事を、禁じさせて頂きます。
「男子から、告白されたっ……!」
「……へぇ、そうなんだ」
なんて、適当な相槌を打つと。
佑菜は怪訝な顔をして。でも帰宅の脚は止めないで。
「反応、薄くない?」
「えぇ、そうかなぁ?」
だとしたら、多分だけど。
あまりに奇遇だったから、逆に反応薄かったのかも。
だって、私はついさっき。
掃除終わりの放課後に、2組の男子に裏庭で――告白された、ばっかりだから。
……ふふっ、この話。
佑菜の話題が終わったら、最後に話して驚かせてやろっ。
「あー暑い、暑いね、佑菜。今日で4月の20日だし、もうすっかり暖かくなったよね」
「え、どうしたの急に。有佐、頭バグったの? 入学式で会ってから、まだ1ヶ月も経ってないのに……あたしの名前、分かる?」
「藤沢佑菜」
「正解……! よかったぁ〜! あ、因みに有佐は“櫻庭有佐”ねっ」
「いやバカにし過ぎ」
すると佑菜は「あははは」と、大きく開いたその口で。
そしたらくりっとした双眸と、肩を掠めるボブヘアが。
風も手引きして、一瞬跳ねた。
瞬間、今。この風景。
他愛も無い商店街の、どうって事ない背景が。
藤沢佑菜を中心にした、一種のパノラマ写真みたいに。
――まぁ、視えたよね。
同じ制服、学生鞄。
なのに佑菜って、アイドルみたい。
私も長い黒髪から――茶髪のボブにしよっかなぁ。
「で、あたしの告白話なんだけど!」
「あ、うん」
そうだ、そんな話だった。
「今回も――断りましたぁ」
「あー、そうなんだ」
佑菜はスゴい。
入学してから学校で、もう3人から告白された。
こんなに普通、ぽこじゃかされない。私なんて、今日が人生お初ですけれど?
「で、今回ダメだった理由は? 1人ぐらいは付き合ってみても、損はしないと思うけど?」
って問い掛けてみたら。
佑菜は「んー」とか神妙に、ロダンの“考える人”みたいに。
「……意味不明だから」
えーっと、
「どういう意味……」
「そのまんまの意味だよ、有佐っ。だってホントに顔も名前も、知らない赤の他人から! 1人で体育倉庫に来いとか、“あーボコボコにされるんだぁ”って、滅茶苦茶ビクビクして行ったらさぁ――」
……私は裏庭呼ばれた時、ドキドキ甘酸っぱかったんだケド。
「急に『付き合って下さい!』なんて、もう安心なんて通過して、意味不明だったんだよね。お互い、見ず知らずの学生。何組かも知らなかったんだよっ? それにほら、見てこれ」
って、突然自分の財布から、佑菜は万札を3枚――え、
「何その大金」
「お年玉。3万で許してもらおうと、予め準備してたマネー」
……佑菜って、ホント面白い。
「――っ、ふふふふふっ!」
「え、有佐? 何の笑い?」
「いや、ううん、何でもない。けど佑菜、告白は意味不明じゃないって。だって佑菜はアイドルだから」
それに、胸の発育も良いし。うん。
――恋愛って、予約が効かない。
本当はシーソーなんかじゃない、早い者勝ちの椅子捕りゲーム。
4人目、5人目、あるんじゃない?
「えぇ、ますます分かんないんだけど……。有佐やっぱりおかしくない……?」
「おかしくないって。みんなが佑菜に一目惚れ、ただそれだけの事だって」
佑菜は一瞬、目を皿にして。
「いやいやいやぁ。有佐みたいな美人ならともかく、あたしに一目惚れなんて無いって〜!」
は?
「ぇ、私が美人……?」
「うん。あれ、言ってなかったっけ? 特にツリ目な感じとか、あたしめっちゃ好きだけど」
ぇ、そ、そんな事っ……!?
「ぁ、あーもー! 佑菜と話すと調子狂うっ!」
「え、あたし何かしたっ……!?」
「しましたー」
っと、話してる内に駅前まで。
帰りの電車、同じ方向だったら良いのに。
「それじゃあ佑菜、またあし――あ、そうだ。佑菜に告白してきた人。3人目って、どんな人?」
からの、私の告白談。
佑菜の反応、想像付かないっ!
「どんな人って――2組の人で、バスケ部所属の西和田君だよ」
――は?
……カブった。
……じゃあ、私って。
藤沢佑菜の、妥協案んんッツ……!?
「ぁあっ、ははっ、あー、はははっ……」
「有佐……サン?」
「大丈夫、バグじゃないから。ところで佑菜、西和田君の弱味とか知らない?」
「え。……部室で飲酒してるって噂」
「そっか、ありがと。バスケ部探して、部活の顧問にリークしとくね」
「有佐……西和田君の裏アカ、教えてもらったんだけど使う?」
「使う」
「じゃあその内、怒りの理由教えてねっ!」て、佑菜は1つの約束をして。
踏切の先に、消えてった。
――って、あのやり取りから早3日。
今日も、佑菜は学校に来ない。
裏アカに投稿されていた、西和田君の飲酒写真は。私の憤りに点いた、炎を鎮火するに足りた。
より簡潔に言うと、“ざまぁ”。
けれど、私の大切な。クラスのアイドル、藤沢佑菜も。
うっかり巻き込まれて消えた。
春の裏アカ大精算。
西和田君が教室で撮った、1枚の写真パノラマに。
携帯型ゲーム機密輸して、エンジョイしている佑菜の姿が。
……あぁ、もうっ!
佑菜って、そういう所ある!
早く停学から、戻って来ぉいっ!
閲覧頂き、ありがとうございました!