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退廃せよ人類

作者: はんぺん小僧

 人類は今、滅亡の危機にあった。たびたび起こる災害、戦争、飢饉。着実に近づいてくる死に人々は怯え、それは緩やかな文明の崩壊につながった。これを危険だと思った世界中の知識人は集結し、一つの計画を練った。それは他の惑星に助けを求める事。危険かつ成功確率の低いその計画に反対する者も表れたが、その声はこの危機的状況下で響く言葉ではなかった。計画を進める事に世界中が全力を注いだ結果、この計画はわずか十年で達成した。その頃に生き残っている者全員が宇宙船に乗る事は容易い事で、それほどまでにこの星は限界を迎えていたことを、生存者は互いに分かち合ったのだった。


 しかし、目標とする星に辿り着くまでの生活は、生存者にとって苦痛その物だった。数少ないとはいえ、軽く数百人いる宇宙船はとても窮屈で、そして暑苦しい。宇宙船には一つの部屋しかないのだ。操縦も自動運転ということもあって、生存者は次第に不安の念が強まった。不安だけではなく、怒り、悲しみ、苛立ち、様々な感情がそこに存在した。そしてその負の感情が募り、生存者の気は触れていった。


 「おい!そこのお前!ふざけんじゃねえ!」

人だかりに向かって、ただ怒りを撒き散らすもの。

 「……………………はあ、死のう……」

しゃがみこみ、ただ今が過ぎるのを待つ人。

 「なあ…おい…あのさ…」

壁に向かって、ぶつぶつ喋る人。

大まかに言ってこの3パターンが通常だった。そしてそんな日常を送り、まともな生活を送れない者の行き着く先は当然『死』のみだった。食料の奪い合いが起こり、ありつけなかった者は静かに死ぬ。その死体は食料が無くなった時の大事な食料となる。この宇宙船の中はどこよりもずさんで、悲惨な光景だった。


 地獄のような時間は、数年の時を経てようやく終わろうとしていた。しかし、この宇宙船にはもう何も残っていなかった。ただ、宇宙船だけがその星にたどり着き、その星の住民がそれを見つけた。


「ああ、なんて事だ!これは天から贈り物なのか?たった一人しかいないこの星に、まさか助けが来るなんて!」

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