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短髪で学校

「んぁ……。あ……ヤッベ、寝坊だぁ……」


 朝起きて、時間を見ると、予定より30分近く遅くに起きてしまった。

 明らかにこの時間だと遅刻する。

 僕は寝ぼけながらも起き上がり、すぐに学校に行く準備をする。


 寝癖だけはしっかり直し、髪型はしっかりとセットはできていないが整える。

 今までとは違った視界にびっくりしながらも、準備を終えた。

 前髪があるのと、ないのじゃ、見える世界が違う。

 そんなことを思いながら学校に向かった。


 学校に向かっている間は生徒誰も通らず、僕1人が歩いているだけだ。


 まあ遅刻しているのだからそんなもんかと思ったが、僕にとってはその落ち着いた時間というか、遅刻から入る学校は更に緊張する。


 そうして学校を目の前にし、立ち止まった。しっかりと見える学校。


 しかしその間も1秒もない。

 すぐに学校の中に足を踏み入れる。


「うわぁ……緊張するな……」


 足を踏み入れたのは良いものの、やはりか髪を切った後の学校は緊張する。

 そして帰るわけにはいかず、昇降口に入ると、思わぬ人物に遭遇してしまった。


「あ————! 如月くん————!」


 と、下駄箱に手を入れようとしたところで、後ろから僕の名前を大きな声で呼んできた。


 この声は——


「……やっぱり……」


 今、一番会いたくない人物、姫乃さんだ。


 遅刻したのか、走ってこちらに向かってきている。

 僕は逃げるわけにもいかず、昇降口で姫乃さんがここまで来るのを待つ。


 髪の毛……。僕は恥ずかしくて、つい手で髪を(いじ)るも、髪の毛を切ったことがバレないことはない。


 そうして昇降口に辿り着いた姫乃さんは僕を見て……。


「如月くんも遅刻したん……わおっ。髪切ってる‼︎」

「……どうかな……」


 僕は髪を切ったことに気づかれたことより、この髪型がどうなのかを訊いた。

 すると、


「カッコいいよ! やっぱ髪を切って正解だったねん」


 小さい身長から頑張って手を伸ばして、僕の髪を触ってくる。


 僕は恥ずかしそうにしながらも、それを拒絶せずに、やられたい放題に髪を弄

られた。


「……ちょっと……」


 僕は流石に弄りすぎだ、という言葉をかなり遠回しに伝える。

 そして姫乃さんは僕の思っていることが分かったのか、すぐに離してくれた。


「あ、それより早くクラス行かないと!」 


 僕たちは昇降口で話していて、お互い遅刻をしているという大事なことを忘れて話してしまっていることを忘れていた。


「僕はトイレ行くよ」


 僕は姫乃さんと一緒にクラスに入るということを避けるため、そう嘘をつく。


「先行ってるねー」


 そして姫乃さんはそう言い、クラスに向かった。


 トイレではなんとか前髪で顔を隠せないか、元の髪に戻せないか、そう考え髪を伸ばそうとしたのだが、当たり前のように目の下まで髪は伸びない。


「行くか……」


 僕は諦め、朝のように髪を整える。

 そうしてクラスに足を向け、歩き出した。


 廊下が妙に寒く感じた。


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