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 中学の頃から仲の良かった2人。 


 胸が引き締められる感覚と、これから話す2人についての関係が気になって心臓が落ち着かない状態。


 それに別れてからも普通に話せている仲の良さ。関係が壊れない絆の深さ。

 どれも気になってしょうがなかった。


 そしてようやく姫乃さんが「時雨ちゃんは全部知ってるけど」と言い、本題に入った。

 そして短い言葉で簡潔に言った。

 

「——私と天堂くんは幼なじみなの」

「……ほぉ……」


 僕は間の抜けた声で声が漏れた。

 幼なじみと聞いて、なにか納得したような感じになったからだ。


 仲の良さなど、付き合っていた理由など。 


「反応うっす!」


 僕の反応に対して井早坂さんがびっくりする。


「普通びっくりするくない?」


 まあ内心マジ⁈ とは思ったけど、声に出すよりも、だから仲良かったのか、と納得する方が上回った。


「うち幼なじみって聞いたとき、羨ましかったのと、憧れで興奮しまくってたわ」


 井早坂さんは幼なじみに憧れがあるのか、姫乃さんから話があったときかなり興奮したらしい。


「そんなに?」

「だって幼なじみで引きつけ合うっていうか、推せるじゃん? ラブコメとかってツンデレルートと、幼なじみルートって幼なじみ応援したくなるもんじゃん?」


 まあ僕も漫画とか読んだりしてても幼なじみを推せる派だ。


 昔からの仲を他のヒロインに取られて終わりたくないというか、まあ周りの立場とかキャラでどっちが推せるのかは変わってくるのだが。


「それにあたしたちのグループができたのだって結愛と慎弥(しんや)からだからね」

「そうね。確かに私たちからだね」

「そこの話聞きたいな」


 僕はそう言った。

 姫乃さんと天堂からできたこのグループを知りたい。


「いいんじゃない? なんかあたしたちの始まりを振り返るみたいで」


 井早坂さんも僕に同意してくれ、姫乃さんに顔を向ける。


「いいけど、私説明下手かもしれないし、長くなるかもよ?」

「「よき!」」

「じゃあいいよ」


 そして今度は姫乃さんが語り始めた。


「私たちって一年の頃、最初は不仲っていうか仲は別に良くなかったの」

「そりゃイケメン男子いと可愛い女子がイチャイチャしながら入学してきたら対抗心湧くもん」


 2人たちは最初から仲が良かったわけじゃないようだ。


 僕の予想だと、グイグイいく井早坂さんが姫乃さんに詰め寄って、そこから仲が良くなったのかと勝手に予想していた。


「私はみんなと仲良くなりたいって思ってたもん!」

「だったら最初からイチャつかない方が良かったわね」


 そう言い合うなか、僕は姫乃さんに質問した。


「姫乃さんたちって入学したときには付き合ってたの?」


 そして答えたのは姫乃さんではなく、井早坂さんだった。

 姫乃さんに質問したんだが……。


「そうなのよ! この2人なんかイチャイチャしながら入ってきたわけ。誰も友達いないあたしたちからしたら気分悪いでしょ? 最初シーンとしてた教室に2人が入ってきたらなんか謎の雰囲気になるし!」


 確かに僕も早く友達作らなきゃ、と思っていた時期だったのを思い出す。


 ソワソワした気持ちになりながらも、僕が話せそうな人を探し、話したときの話題を考えたりしていた。


 まあそんな中でラブラブしながら入ってこられたらたまったもんじゃないだろう。


 僕もそのクラスにいたらそう思う。

 こいつらマジか……! と。


「今考えると私も恥ずかしい……!」


 井早坂さんが迫り過ぎたのか、恥ずかしそうに顔を両手で覆っている。


「でも2人のおかげで井早坂さんも今のグループにいるんでしょ?」


 そうだ。


 そんな中でも井早坂さんは姫乃さんたちとなにかきっかけがあり仲良くなったはずだ。


 僕はそのきっかけが知りたい。


 どうしてか、友達のできない僕は、その友達になったときのきっかけが気になってしょうがなかった。


「そうだけど、ただ井早坂さんが私たちに積極的に話してきただけだけどね。特に天堂くんにもうめちゃくちゃ迫ってたの」


 しかし期待通りにはいかず、僕にはできそうな友達の作り方だった。


「まあ慎弥があたしのころジロジロ見てきたからね」

「あー。あのとき天堂くんに浮気されてたのね……」

「慎弥は顔が正直なのよ。メロメロだったわ」

「自分で言う?」


 あくまでも井早坂さんは天堂が見てきたから話しかけたと言う。

 友達になりたくて話しかけたわけではないと。


「ま、まああたしはしょうがなく話しかけたの」

「そうしとくね」


 心が広い姫乃さんがそうして話を解決させた。

 井早坂さんはまだ納得のいっていないような顔だが。


「如月くんも普通に女の子に話しかければ友達できるよ」


 今度は姫音さんが僕に視線を向けてアドバイスを言った。


「僕にはできないかな。まだ姫乃さんたちにも話しかけれないから……」


 今僕の中で仲の良い姫乃さんたちにすら話しかけられないのに、他の女子に話しかけるのは歩いて月に行くようなものだ。


「うーん。確かにそうね」


 そこで考える。

 どうやら僕の友達作りに協力してくれるそうだ。


 そこでいい案を思いついたのか、ピコンと姫乃さんの頭が跳ねた。


新城しんじょうくんはどう? 如月くんも話しやすいと思う」


 新城は1軍の中で天堂の次に人気の男子だ。

 タイプによって違うのだろうが、僕が女子だったら新城と付き合いたい。


 爽やかイケメンといった感じで、いつもキラキラしているイメージがある。


 確かに新城は僕の中でも話しやすそうな人の部類だし、話してみたいとも思っ

ている。


「確かに壮士は瑠翔にとっていいんじゃない?」


 井早坂さんも「壮士みんなに優しいし」と言って僕に勧めてくる。


 だが、男友達が欲しいとは思っているが、そんなレベルの高い新城を友達にしたいわけではない。


 でも——新城とは話してみたい。


「僕も頑張ってみる」


 僕は月曜日にでも話せたらいいなと思い、そう姫乃さんたちに伝えた。


「んで、話ズレてるけど結愛と慎弥の話は? 付き合っている頃の話とか、別れた後とか。あたしは知ってるからいいけど、瑠翔が知りたそうだし」


 そういえばそうだ。

 今は天堂と姫乃さんたちの話だった。


 いつの間にか僕の友達作りに変わっていた。

 しかし、


「もう暗いから今度になりそうね」


 カーテン越しから見える外は日差しがなく、暗黒に包まれている。

 こうやって話していると時間はあっという間に進んだ。


 家で1人でいるより、こっちの方が新鮮で楽しいと感じた。


「そうみたいね。まあ明日も遊ぶし、人生ゲーム終わった後時間があったらやるわよ」


 「本人もいるし」と言い、井早坂さんは帰りの支度をし始める。

 僕もそれに合わせて支度をした。


 そうして、どうせ明日も人生ゲームしているうちに暗くなるんだろーな、と思いながらも、僕は帰路についた。


 帰ってる途中に明日のことを考えていてワクワクしていたが、1人の家に帰ると、一気に僕の心臓は落ち着いた。

 僕の家の行動が変わった。

 これもまた変化だ。


 朝起きると、まず見るのはメッセージ。

 姫乃さんからなにか送られてきてないかなという期待に寝ぼけながらも確認する。


 そしてなにもきていないときには、たまあに二度寝する。

 いつもは起きてからはスマホを確認せずに、洗面所に向かっていた。


 そしてまだ変わったことはあるが、その中でも重要なのは筋トレをし始めたことだ。


 学校に帰ってからは筋トレを数時間し、そして勉強。

 夜ご飯前にまた筋トレ。そしてご飯を食べて筋肉を吸収する。


 そんな風に僕の日常が変わっていっている。


 そして今も——


「やっと来たわね!」


 天堂、姫乃さん、僕で井早坂さんの家にお邪魔する。

 こんな日々はもう僕には無縁だと思っていた。


「お菓子たくさん買ってきたのね」

「オレが食べたかったんだ」


 僕たちはある程度家が近い方なので、駅で集合して井早坂さんの家に向かった。


 まだ僕が家を把握していないというのもあって、待ち合わせをしたのだ。

 その際に天堂が「お菓子でも買っていこうぜ」と言って大量に買った。


「さ、上がっていいわよ」


 手で誘導され「お邪魔します」と同時に言った。

 しかし返事がない。


 ということは今日も親はいないらしい。


「お母さんたちは?」


 姫乃さんがそう訊ねた。


「さっき出かけちゃったのよ。この年になってデート行ってくるだってさ」


 結婚してからもデートをするというにはありえるが、子供にデートしてくるなどは普通言わない。


 昨日言っていたように変わった親なのだろうか。

 そうして僕たちは昨日と同じデッカいリビングに上がる。


 そして井早坂さんがなにかを持ってやってきた。

 そう、昨日言っていた人生ゲームだ。


 天堂がいる方が盛り上がるのではという提案により今日になったのだ。

 そうして僕たちは人生ゲームを始めた。


 これもまた、僕にとっての初体験だ。


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