4:女子見せびらかし凱旋しました……!
「――ではこれよりっ、『暴力団ユズル組・学園支部』の活動を始めたいとおもいまーすっ!」
「い、いえーいっ!」
「……」
本当にどうしてこうなった……。
文芸部を乗っ取ってしまったその日の放課後、姫宮 愛理の主導によりさっそく部活動が始まってしまった。
無理にテンションを上げている盾持さんの姿が可愛らしい。
まぁ、それはともかく。
「なぁ愛理、その部活名は本当にどうにかならないか?」
「えっ、なんか問題あるの?」
「って問題しかねーよ!」
暴力団は駄目だろ暴力団は!
あー本当にこの金髪ロリ巨乳は常識が終わってやがる……。
もうそのへんは諦めたから、口八丁でうまくコイツを動かすことに決める。
「その、アレだ愛理。今やヤクザってのは国から追い立てられる身で、みんなコソコソやってんだよ。たとえばまったく関係ないような会社を作って金を稼いだりな」
「あ~フロント企業ってやつね!」
「そうそう。だからおおっぴらに暴力団なんて名前にはせず、もっと別のにしたほうがいいんじゃないか?」
俺の言葉に「たしかに……!」と頷く愛理。
盾持さんも「わぁ~先輩インテリヤクザ……!」と謎の関心をしていた。いやちげーから。
まぁそれはともかく、この調子なら上手くこの暴走娘を操れそうだ。
「流石ねぇユズル、国に睨まれないように水面下で勢力を広げていくってことね!? そして気付いた時には、日本はユズルの手に落ちているのねー!」
「って日本を落とす気はねーよ!? ……それで、暴力団の代わりに別の名前にしようと思うんだが……」
さて何にするかと考えようとした時だ。
盾持さんが顔を赤くしながら「は、はいっ!」と手を挙げた。
「あっ、あのっ、まず暴力という言葉がいけないんだと思いますっ! だから『お助け団』とかどうでしょう? それならみんなに受け入れられて、水面下からの勢力拡大にピッタリかと……!」
「いや勢力拡大する気はないから!? あーでも、たしかにいいかもしれないなぁお助け団」
なんとなくゆるさもあって親しみやすいしな。
それに、お助け団の名目でゴミ拾いとか奉仕活動に徹していけばみんな俺のことを受け入れてくれるかもしれない!
愛理が暴走しそうな時にも箒渡して『勢力拡大のためにもそのへん掃除してみんなからの好感度上げてこい』とか言えばどうにかなるかもしれないし。
「俺は盾持さんの提案に賛成だ。愛理は?」
「アタシも賛成よっ! よーしっ、それじゃあ暴力団改め『お助け団ユズル組』の活動開始ね!」
あっ、ユズル組は付いてくるんだ……。まぁ、それだけならいいか、な?
「さぁユズルにフタバっ、そうと決まったら学園内で困っていそうな人を探しに行くわよ! そして好感度を稼いでユズルの女にするのよっ、アタシやフタバみたいに!」
「ってそんな下心アリでおまえらを助けたんじゃねえよ!?」
本当に口を開けばどうしようもないことを言ってくるなぁこの女……!
まぁいいさ。俺の悪い噂を払しょくするためにも、お助け団の活動スタートだッ!
◆ ◇ ◆
――そして、
「いないわね~困ってそうな人。ていうかみんな、なんかアタシたちのほうめっちゃ見てきてない?」
「はっ、恥ずかしいですぅ……!」
「……」
金髪ハーフ美少女の愛理と気弱系後輩美少女の盾持さんを左右に付け、学園の廊下を練り歩く俺(※悪人顔)。
――うん、そりゃあもう悪い意味で注目されまくりだ!
みんなこっちを見ながら「うわぁっ、女子二人を侍らせてるのって本当だったんだ!?」とか「一体どんな手段を使ってあの子たちを堕としたんだ……!?」とか好き勝手なことを言ってくる。
こうして下校時間まで困っている人は見つからず、お助け団最初の活動は俺の評価をさらに最悪にするだけで終わったのだった。
だ、誰か助けてくれぇ! 困ってるのはこの俺だーーーッ!
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