2:部活を作ります!
「さぁダーリンッ、今日もお弁当を作ってきたわー!」
「お、おう……ありがたいけどダーリンって呼ぶのはやめてくれって」
「えー?」
金髪美少女こと姫宮 愛理と出会ってから数日、俺は彼女と校舎裏で昼飯を食べていた。
……休み時間、ボッチじゃなくなったことだけは本当にありがたいな。
コイツも日本のアニメやゲームがとても好きらしく、俺とはかなり話が合った。
彼女としても意外だったらしく、「ジャパニーズヤクザはオタクカルチャーも嗜むのね~」と謎の感心をされた。だからヤクザじゃねぇよ。
まぁそれはともかくだ。
「いいか愛理、俺はヤクザじゃないしダーリンって呼ぶのももう禁止だ。みんながめっちゃ注目するだろうが」
「あら、ダーリン……じゃなくてユズルは、注目されることが嫌いなの? アタシはみんなから『綺麗な金髪ー』って褒められて嬉しいけど?」
「いや、俺の場合はおまえと違って悪目立ちってやつだから……。とにかく、俺は普通の学園生活を送って普通に友達を作りたいんだよ」
そう、それが昔からの夢だった。
みんなから怖がられることなく普通に青春を楽しみ、放課後はみんなでワイワイ遊んだりする。そんな学園生活を期待してきたのだ。
そう語ると、愛理がウンウンと頷いた。お、わかってくれたか!
「なるほどねーっ、ユズルは引退したヤクザだったのね! 元ヤクザが日常生活を送りたいけど苦労しちゃうって話、日本のマンガでたまに見るわ!」
「ってだからちげーよ!? ヤクザから離れろって!」
「えっ、ユズルと離れることなんてアタシ出来ないっ!」
「いや俺じゃねえよ!?」
金髪すっとぼけハーフ美少女とギャーギャー騒ぎ合う。
ったく、誰かとワイワイするのは理想だったけど、望んでいた形とは違うっての。
彼女のおかげで俺は学園中で『実は若手のインテリヤクザ』『その手腕によって金で買った美少女を侍らせている』と噂されているくらいだ。ふざけんな!
はぁーまったく……。というかそもそも、
「なぁ愛理、そもそもどうして俺なんかにグイグイ迫ってくるんだよ? たしかにゲーセンでは助けてやったけどよぉ……」
そう呟く俺に、彼女はきょとんと首を傾げた。
「あら、惚れ込む理由なんてそれだけで十分じゃない? だってみんなが見て見ぬフリをする中、アナタだけが手を差し伸べてくれたのよ」
「うぐっ……まぁ、手を差し伸べたっていうか手を出した感じだったけどな……」
「あははっ、それを言うなら足を出したって感じじゃない? 最初に回し蹴りしてたし!」
上機嫌に笑う彼女の顔が可愛らしい。
クソッ……思い込みが激しかったり何かとズバズバ言ってくる愛理だが、好意をストレートに伝えてくるところや笑顔の可愛さだけは本当にズルいと思う。
そう思っていた時だ。彼女は突然「そうだわっ!」と言って立ち上がり、仁王立ちしてこう提案してきた。
「ユズルの夢は仲間をたくさん集めることなのよねっ!? だったら、部活を作りましょう!」
「なっ、部活だって!?」
何を言ってるんだとおまえは――と思ったが、たしかにアリかもしれないと思った。
俺も愛理もゲームやアニメなんかが好きだし、ゲーム部とかを作ってみんなでワイワイ遊びまくってみたいものだ。
同じ趣味を持つ奴らだったら俺のことを恐がらないかもしれないしな。うん、アリだアリ!
「いいじゃないか愛理……! で、何部にする? やっぱりゲーム部とかか? それともマンガ部とか?」
「ううん、暴力団ユズル組・学園支部」
「ってなんだそりゃーーーーーーーッ!?」
やっぱりこの女苦手じゃボケェッ!
俺の渾身のツッコミが、学園中に響き渡ったのだった。
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