13:ハーレム爆誕!
俺の悪評をばらまいていた人物、剣崎フィアと決着をつけた翌日。
彼女の計らいにより、俺は『落ちてきた十字架から咄嗟にシスターを庇ったヒーロー』になったわけだが……、
「……生徒たちの反応、あんまり変わってねぇなぁ~……」
校舎裏にて少女たちと昼食を取りながら、俺はガックリと肩を落とした。
そんな俺の背中を愛理がサンドイッチ片手にポンポンと叩いてくれる。
「まぁ昨日の今日だししょーがないわよユズル! これからどんどん話が広がっていくはずだし、まずは様子を見ましょう?」
「愛理……」
そうだな、彼女の言う通りだ。
学外で起きた出来事なんだから多少はラグがあってもしょうがない。
それに完全に以前と変わってないってわけじゃないからな。
遠巻きに見られているのはそのままだが、刺々しい視線は減った気がする。つーかそわそわしてる感じ?
なんとも言い表せない周囲からの反応を思っていると、盾持さんが卵焼きを食べながら苦笑した。
「剣崎先生、中身はアレな人でしたが人気はものすごいですからね。そんな彼女を助けた一ノ瀬先輩にお礼を言いたい人はたくさんいると思いますよ?
でもその……先輩って、やっぱり顔が怖いですから……」
「あぁ~……」
それでいきなり話しかけてもいいものかとみんな迷ってるわけか。
……まぁ以前の危険人物なイメージが消えたわけじゃないし、剣崎フィアが悪い噂を立てる前から俺の顔は人々に怖がられていたからな。
この学園に入学する前、地元にいたときも俺に接触してくるのなんて不良ばっかだったし。
そんで絡んでくる不良を倒してたら兄貴とか呼ばれてる奴が出てきて、そいつも倒したらケツ持ちのヤクザが出てきて、そいつも倒したら裏社会の格闘家とかが出てきて、そいつらも倒してたら地元の暴力団から『組長の席をもらってくれ……!』って頭を下げられたっけ。いやいらんから。
そう考えたら女の子たちとお昼ご飯を食べれる今はとても幸せだ……!
「おい一ノ瀬、おまえ若いのに何をそんなに遠い顔してるんだ……?」
おにぎりを手に、俺を心配してくれる三嶋先輩の優しさが嬉しい。
頑張って修羅場を乗り越えてきてよかったというものだ。
「いやぁ、地元にいたときにちょっと毒手を食らって死にかけたこととかを思い出していて……」
「「「って何その気になりすぎる過去ッ!?」」」
詳しく聞かせてほしいとせがんでくる少女たち。
そうして彼女らにゆさゆさと腕などを引っ張れながら、じゃあ解放された死刑囚たちと戦うことになった話をしようかと思った――その時。
「うわぁ。このヤクザ、昼間っから美少女たちを侍らせてやがるわよ……!」
突如かけられた女の声に驚く。
そちらを見ると、カップラーメンを手にした修道女・剣崎フィアのやつがいた。
ってどうしたんだよ一体。昨日の夜に悪事を暴いてやったばっかだし、わりと気まずいんだが……!
あ、それと。
「とりあえず剣崎先生、別に侍らせてるわけじゃないっすよ? そうやって変な噂をばらまくのはもうやめてくださいって」
「いやいやいやいや、アナタ自分の状態を客観的に見てごらんなさいよ……」
え、俺の状態?
えーと……右腕を気弱系後輩女子の盾持さんが引っ張っていて、左腕は堅物系先輩女子の三嶋先輩が引っ張っていて、後ろからはハーフ美少女同級生の愛理がしなだれかかっている状態だ。
しかも全員とてもボリュームのある胸をしており、それが身体のあちこちに当たって柔らかくていい匂いで……って、
「あ、はい……どう考えても侍らせてると勘違いされる状態ですね、本当にありがとうございました」
「そういうことよ。もしかしてアナタ、私が淫行疑惑を流さなくてもいやらしいことをしていると思われてたんじゃない?」
んなわけないだろ……と自信満々には言えなかった。
いやだって、俺これまで全然女子と関りがなかったからな? 「離れてくれ」なんて言ってこの幸せな状態を手放すのも難しいってもんだろ……。ソーシャルディスタンスなんて保ってられるか。
そんなことを考えてちょっと恥ずかしくなっていると、剣崎フィアがフッと笑った。
「いい加減に女慣れしときなさいよ。それと、三嶋はともかく姫宮と盾持はコイツに好意があるんでしょ? だったらぁ――コレくらい大胆に誘惑しないと♡」
そう言うと彼女は、なんと俺の膝の上に座って身体を預けてきたのだ!
さらに俺の片手を取り、少女たちよりも一段と大きい自身の胸を触らせてきた――!
――むにゅぅううううっ!
「「「「んなぁッ!?」」」」」
驚愕の声を上げる俺たち。
咄嗟に振りほどこうとするも、シスター服に包まれた彼女の胸部はとても柔らかで、まるで指が吸い付くように沈んでいく……!
お、男の本能のせいで抗えなくなるーーーッ!?
「ほーらほらほらっ、みんなが憧れる銀髪ハーフ美人シスターのボリュームたっぷりなおっぱいよ~!?
オラッ堕ちろ一ノ瀬ッ! 耳もフーフーしてあげるから私相手に欲情しろッ! 人間離れした身体能力を持つアナタを性奴隷にして、金儲けのための道具にしてやるわッ!」
「ぎゃああああああクズ教師に堕とされるーーーー!?」
このままじゃ本当に欲情しちまうっ……そう思ったところで少女たち三人が必死で彼女の胸から俺の手を引き剥がし、どうにか事なきを得たのだった。
た、助かった~~~!
「って何すんだよアンタは!? このビッチシスターがっ!」
「はぁ!? 誰がビッチよッ! これでもまだ処……ってそれはともかく、実はアナタたちに伝えなきゃいけないことがあってここに来たのよ」
なに、伝えなきゃいけないこと?
首を捻る俺たちに、彼女は少しうんざいとした表情で語る。
「ほら、アナタたちって『お助け団』とかいうゆるふわな名前で活動してるけど、書類上は文芸部でしょう?
実はそこの名ばかり顧問だったじーさんが辞めることになっちゃったんだけどさ、みんな顧問を引き継ぎたがらないわけよ。なにせ学園きっての危険人物がいるわけだし……」
「ってアンタが悪い噂をブチ撒いたせいじゃねえか。それで?」
「……そこで丁度、昨夜の件で私が一ノ瀬と仲がいいってウソ話が教師たちの耳に入っちゃって……」
え、それってまさか……?
「――ハイというわけで、大人気銀髪シスター美女の剣崎フィア先生がアナタたちの顧問をすることになりました! ほら拍手ッ!」
「「「「えぇ~~~~~~~~?」」」」
「って嫌そうな声出してんじゃないわよ!?」
俺たちの当然の反応に剣崎フィアはギャアギャアと騒ぐ。
いやいやいやいや、昨日おまえとはひと悶着起こしたばかりなんだぞ!? めちゃくちゃ気まずいだろうがよ!
そうして無理にでも断ろうとした時だった。
曲がり角のほうから複数の男子生徒たちが顔を出してきたのだ!
「あっ、一ノ瀬いた! 実はおまえが剣崎先生を助けたって聞いて、オレたちファンだからお礼を言おうと――」
……そこまで言って彼らは固まる。
なぜならその憧れの先生は、俺の膝の上に座りながら(ギャアギャア騒いでたから)顔を赤くして息を荒らげていたからだ……!
さらに両サイドや後ろには美少女たちも変わらずいて、どう考えても淫行ハーレム状態になっていた。
って、
「お、おいおまえらっ、これは違うからなッ!? 別にいやらしいことしてたわけじゃなくてっ」
「うッ、うわぁあああああーーーーーんッ! オレたちの剣崎先生まで一ノ瀬に孕まされちまったーーーーーーーーッ!」
「って孕ませてねぇよッ!?」
泣きながら駆け出していく男子生徒たちと、そんな彼らに必死で手を伸ばす俺(美少女セットフル装備)。
……こうして俺は男友達が出来るかもしれない機会を棒に振った上、『一年生・二年生・三年生のトップ美少女たちだけでなく、ついに女教師まで性奴隷にした』という噂を立てられてしまったのだった……!
って、どうしてこうなったーーーーーーーー!?
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