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不思議の国の座談会

作者: ROTA77Z

お茶会成らぬ座談会に出席したアリスは……

知り合いの朗読劇にインスパイアされて帰りの電車で、一気に書きました。

少しダークなおとぎ話に成ります。

「では、お集まりいただいたみなさまから自己紹介をお願いします」


 司会者に振られた訳だか、トップバッターは私か? あー来るんじゃなかった。やっぱりダリー。とっとと済ますに限る。


「こんにちは、アリスです」


 辺りでいーだろー。隣に促す目線を送る。やつは、モジモジしてなかなか話し出さない、更に強く目線を送ると、それにやっと反応してか重い口を開けて、


「し、白雪です」


 とだけ言って口を閉じてしまう。残りは2人だ、さっさと終わらせたい所なので、目力で促すしかない。


「ジャスミンだよー、こ・ん・に・ちわー」


 そーだった、こいつは場に関係なくうぜー奴だった。余計にこの場に居たくなくなって来たぜ。


「オーロラと申します。よろしくお願いします」


 ま、おすまし野郎は眼中に無いから良いとして、何でこんなところにいるんた、わ・た・し。


「では、自己紹介も終わったことですし、座談会に移りたいと思います。今日、みなさんは何の集まりでいらっしゃったか、と言いますと」


 そうだよ、それが知りたかったんだ。何のために、ここに座ってなきゃなんねーのかが重要なんだ。


「なんでしょうね、白雪さん」


 はー? なんであいつに振るー、って時間の無駄無駄。ゼーッタイ答えられないから、きっと、”えーっ、そのー、きっとー”とか言って、時間切れで次に回されるのが落ちなんだから。


「えーっ、そのー……」


「はい、はい、はいはい!」


 げ、うぜー奴がしゃしゃり出来やがった。まあ、さっさと進むんなら許してやらない事もないんだが、


「判りませーん、えへ」


 このバカ、何処かに捨ててきてくれない。それから、俺には振るなよ。


「それでは、オーロラさん、お願いします」


「マネージャーさんにざっくばらんな座談会に同年代の方と出る仕事、と伺っている以上にはぞんじあげておりませんが」


「はい、その通りです。同年代のプリンセスキャラの皆さんに参加頂いて、色々の事をざっくばらんにお話頂く、という企画に成ります」


 なんだ、何にも考えていない企画って訳だ。大体プリンセスキャラ? 俺、外してるじゃん。帰っていいな、これ。じゃあ、


「じゃあ、アリスさん。プリンセスキャラでないアリスさんからの、何か是非聞いてみたい事とか、有りましたらどうぞ」


 どうぞ、って振ったからって何か出るってもんじゃあ無いぞ。うーん、これだ。


「あのー、皆さんって、末永く幸せに暮らしました、って成っていますが、実際のところどうなんですか?」


「おー、最初から鋭いとこを来ますねー。では、オーロラさん」


「そうですね、末永く幸せに、と言う下りは物語の締めとしては有効な使い方ですが、実際のところ、物語として語られるのはそこまででして、アリスさんの聞かれる部分は、お話には成っていないのが常ですね」


 だから、そこをきーてんじゃねーか。


「私の場合は、王子とは離婚しました」


「え!」


「まあ、あんな奴は離婚されても当然なんですが、詳しく聞きたいです?」


 わ、私に振り直すか! 


「いえ、ちょっと重そうですし、ジャスミンさんはどうですか?」


「私ですかー、そーですねー。特に無いです」


「それじゃあ、エンディング通りって事?」


「まっ、そうでもないんですけど。どうにかって感じかなー」


「そのどうにかって、重めですか、それとも」


「まあ、王子が浮気したり、外に女作ったり、こどもまで……」


「あー、もういいです」


 聞けば聞くほど、闇に飲まれていきそうだ。これは、私ではなく司会に振らせよう。


「お二人とも、かなりこじらされているようなので、この話題はもういいです」


「そうですかー、白雪さんはいかがですか?」


 この司会、何聞いてやがる。話題を変えろと振ってやっのに、そのまま白雪に流すだって。後で楽屋で絞めてやる。


「わ、私ですか。未だにリンゴが食べられるように成れないのと」


 まあ、トラウマに成って仕舞うのはしかたねーことだろうし、それでも健気にやってるんならはそれはそれでありじゃね。


「王子が、私が寝ているところにしか興味を示さなく成ったことと」


 寝込みを襲うプレイに徹していると理解しておこう。


「起きている時は小人さんが順番待ちをしていて」


 えっ、何の順番待ちを……起きている時……昼は小人のお相手、夜寝たら王子の相手、ってことか。


「なので、一日中……」


「もういい、判りました。この話題は終わりにしましょう」


 もう、この話題は振るんじゃなかった。あー、帰りてー


「ところで、アリスさんはどうなんですか」


「どうなんですか、と言われますと」


「そうです、アリスさんのその後の事です」


 忘れろこのバカ司会、何でこっちにブーメランするんだ。絶対絶対後で絞めてやる。


「私ですかー、そうですね。あの飲んだ薬がわるかった性か成長が止まってしまって、もう20歳過ぎたのにこの格好のままで、合法ロリとか揶揄されて……あー、うぜー。この格好のまんま、ばばあに成るかと思う……」


「はい、座談会の方は盛り上がってきましたが、残念ながら放送時間に成りました。次回、ご参加頂ける方は……」


「バカヤロー、まだ閉めるんじゃねー。話し足りないことが……」


「以上、不思議の国放送局からでした。次回の案内はホームぺ……ブチ」


 テレビの映像がブラックアウトしている。


「アリスちゃん、又番組荒らしたのねー。次回は私と一緒に出て貰おうかしらー。じゃあ、参加調整お願いね」


「判りました、女王さま」




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