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9 みなぎる決意とおう覚悟

覚悟と決意。みなさんは、大きな決意をしたことがありますか?大きく行動を起こすときは、大きな決意と覚悟が必要になります。みなさんも、立ち止まってしまいそうなときには、試しに一歩前に進んでみましょう。




「広い三部屋ある地下室と、高い塀付きの広い庭。家自体は小さめで構わない・・・・とのことだが、予算はどれくらいある。それだけで、随分と話が変わってくるが」

「予算・・・・2500万ペリルは出せますねえ」

「・・・・ほう。いいじゃねえか。それだけあれば、要望を十分に果たせそうだ。三部屋といわず、むしろ地下の方を豪華にすべきか。なるほど・・・・で、湿気管理は魔道具を使うとしよう」

「あ、魔道具は自分で作るんで結構です。そっちの方が安上がりですし」

「そうか。じゃあ、2500万ちょうどで要望以上の家を建てて見せよう。」

「・・・・はっ。ちょっと!こまりますよ、ファルさん!2500万全部使っちゃったら、食費どうするんですか!?」


ファルと親方のテンポの速い話においてかれたのか、あぜんとしていたレアルであったが、金額を聞いてハッと我に返る。さっき魔石を換金して手に入れたばかりの2500万を、建築費にすべて使うわけにはいかないだろう。


「どうせ薬草取りに森に行くんだから、いいじゃあないか。この時期の獣の肉は引き締まってうまいぞ?ファイアーグリズリーの味、もう忘れたのかい?」

「あ、そりゃそうか。」

「・・・・親方、いつからやるつもりですか?親方は乗り気なようですが、日は」

「俺一人でやる。地下室とかの重要な建造も今回は含まれているからな。」

「親方一人で?無茶ですよ。何年かかると思ってるんですか」

「何年もかからんわ。俺の建築、見たことねえのか?要望通りの家を一か月で立ててやろう。」

「一か月ですか。しばらくは宿に泊まることになりそうですね。」

「別に構わないでしょう。薬草を煮詰めたり濃縮したりするくらい、宿でも出来ますからねえ。それよりも、一か月でできることに驚きだねえ」

「伊達に建築系の魔法を覚えてねえってんだ。」

「土魔法に水魔法、風魔法ですねえ。土魔法はクリエイトブロックとプレーンウォール。プレーンフィールドもあるでしょうねえ。あとはクリエイトウォーターとか」

「さすが魔術師だな。分かってるじゃねえか。今言ったのは全部取ってるぜ。まあそれは置いといて、金は前払いで半分。あとの半分は出来上がってからで構わない。これから製図に移るから、もうアンタ等は変え得ていいぞ」


そういうと、親方と呼ばれるドワーフの男性は、扉に向かって手をパタパタする。早く帰ってくれという意思表示だろう。


「じゃあ、邪魔しても悪いし僕たちはもう帰ろうかねえ。行くよ、レアル君」

「はーい」




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「いやあ、なんか凄かったですね」

「語彙力を失う気持ちもわかるねえ。僕の話をちょっと聞くだけで、頭の中に詳しい図面が出来上がっているようだった。完成が楽しみだねえ」

「本当に、楽しみですね。なんか、地下室のほうを豪華にした方がいいかななんて言ってましたからね。一体どんな家になるのか、本当に楽しみです。」

「さっきから何の話をしてるの?なんだか随分楽しんできたみたいだけど」

「ああ、家を注文してきたんですよ。大雑把な要望以外は適当にお任せで頼んできたので、歓声が楽しみだなあ、と。」

「お任せって、なんでもいいってこと?家を決めるのに、そんな適当な」

「こだわる部分は伝えましたからねえ」

「ふぅん、そういう考え方もあるのね・・・」


お昼も近くなったので、約束通りマリエル宅にお邪魔したファルたち。昨日のファイアーグリズリーから何も食べてないので、腹はとんでもなく空いているだろう。


「そうなんですよ。自分が重要だと思ったところ以外は良いかなと。自分が一番欲しい要求は伝えたのでねえ」

「正直、住めるところがあればファルさんは何でもいいんですよ。ポーションが作れて錬金術ができて魔法陣が書けて、魔法のため仕打ちが出来るなら、何でもいいんです。まあ、それだけで結構な要求なんですけど・・・・」


そう、大賢者に住むところなんてぶっちゃけなくていいのだ。まあ、あったら便利だから買うっていう程度だろうか。幼少のころ森で何年間も住んできていた大賢者マファールからしてみると、森も、外も家とあまり変わらないのだ。


「せっかくお邪魔してるんだから、ティーゼちゃんと何かしゃべったらどうだい、ルディ君。大人同士の家の話なんてつまらないだろう?」

「僕は・・・・情けなくて。ティーゼがもう少しで死ぬところだった。僕をかばったせいで・・・・」

「ルディくん・・・・」

「ティーゼちゃんがやられる前に僕が倒したじゃないか。」

「でも、ファルさんが来てなかったらティーゼは死んでた」

「・・・・仕方ないさ。だから、子供は町からあまり離れたところに行っちゃいけないんだ。」

「そういうことじゃなくて!僕はティーゼを守れるくらい強くなりたいんだ!」


ルディは心の中の棘を吐き出さんとばかりに苦しそうに声を絞り出す。無事に帰ってこれてから、良く考えたんだろう。誰のせいで、ティーゼが危険になったのか。誰のせいでもない。そして、どっちのせいでもある。それが答えなのだが、それにルディは納得しないだろう。


「じゃあ、剣の練習をすればいい。キミは同年代の中では圧倒的に強いんだから。大人になるまでは、筋肉やスタミナなんてそんなにつかないもんさ。大人になるまでずっと剣を振り続けて、魔法を練習し続けたら僕よりも強くなれるさ」

「ファルさん、ルディくんにそんな重荷を・・・・」

「マリエルさん、重荷かどうか決めるのは本人です。僕は幼いころから魔法を使わなきゃ生きていけなかったから、使い続けて、勉強し続けて、大賢者になりました。彼がティーゼさんを守りたいのであれば、そうすればいい。」

「僕、強くなります・・・・!自分も、自分の周りも、ティーゼの事も守れるくらい!」

「そうか・・・・。よし、それなら僕が教えようじゃあないか。魔法くらいなら僕が教えられる。剣も少しかじってるしね。ルディがティーゼを守れるようになるまで、僕が君に魔法を教えてやろうじゃないか。多少焚きつけたみたいになっちゃった責任もあることだしねえ」

「本当ですか?」

「君には僕と同じ道を歩んでほしくないからね。だけど、後悔するかもしれないよ」

「魔法を僕に教えてください!」

「いいだろう。と、言っても剣にはあまり期待しないようにね。ゴブリン三体をあっという間に倒しちゃうルディ君に教えられることなんて、あまりないと思うしねえ」


ゴブリン三体に臆さず、それに、人を一人かばっている状態で勝利できる技量があれば、あとは地道に訓練すれば剣の達人になることだって、不可能ではない。むしろ、現実的と言ってもいいだろう。何と言ったって、ルディもティーゼも、まだ七歳なのだから。


「・・・・私も、教えてほしい」

「ふうん、意外だねえ。僕はティーゼちゃんには嫌われているかと思っていたんだけどねえ」

「別に、嫌ってるわけじゃない。胡散臭いとは思うけど」

「・・・・代わりばんこで魔法を教えていこうか、レアル。」

「そうですね。まあ、良いですよ。暇ですし」

「若者の成長って、どうしてこう早くて眩しくて儚いんだろうねえ、レアル」

「僕たちが失った物だからじゃないですか」

「そっかあ・・・・」


口元に笑みをたたえながら、大賢者はオムライスをほおばる。感動のあまりか、過去に失った夢を悔いてか、ただ単純にオムライスの味付けが薄かったのか。理由は定かではないが、目に薄く涙をたたえた大賢者には、オムライスの味が感じられなかった。




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