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6 遥か古代にはテンプレってもんがあったらしいじゃないか。

やべ、昨日更新するの忘れてました。あれ?空いてるの一日だけじゃない?やっべ・・・・




「ふう、中々疲れましたねえ」

「そうですねー」

「しかし・・・・何の目的があってこんなことを?レアル、分かりますか」

「うーん、何でしょうかね。あれじゃないですか?国を乗っ取るか、滅ぼそうとしてるんじゃないですか?」

「まあ、そうなんでしょうねえ。西の国・・・・アウザヘストルはこの国、ウィンディーダムより兵力という面で圧倒的に劣っている。だから、まず疫病の様な寄生虫を流行らせたと。それによって、長い時間をかけて、国力を削いでいこうという戦略だねえ。まぁ、昔あった化学兵器みたいなもんでしょ」

「化学兵器かー。昔は毒ガスとかを遠くへ飛ばしてたりしたらしいですからね。ちなみになんですけど、あの寄生虫ってたしか、体内で分裂繁殖して、周りの人間にも感染りますよね?」

「ああ、もちろん感染るとも。でも、心配ないさ。今まで通ってきた村や町には、警告と薬を散布してきたから」


大賢者モードで微笑みを浮かべているものの、どこか昏くも見える表情で大賢者が言う。警告と薬剤散布。それは、警告を聞かなかったということ。大賢者の渡す薬を、信じなかったということ。あのままでは、国中に寄生虫が広がってしまい、最悪世界が滅びかねない。


「また、やったんですか。いつの間に・・・・」

「・・・・何人かは死んでるかもねえ。あの薬は、人間が取り込むと拒絶反応が起きるから」

「はあ。それも、限りなく低い。でしょ?」

「まあねえ。マリエルさんに渡した薬と違って、薬としてまだ知られていないものだから、アナフィラキシーショックもまず起こらないだろう。間違えてその草や花粉を大量に食べてなければの話だけど」

「そんな状況起こりえませんよ・・・・」

「まあ、一概には言えないだろうさ。何人かは恐らくアレルギー症状で死にかけただろうし」

「仕方ないですよ。我々は賢者ですので」

「そっかあ。大賢者、ならなきゃよかったかもなあ」

「そう、ですね」


二人の間に、しんみりとした湿った空気が漂う。大賢者、賢者。その、大きすぎる称号を手にしてしまったら、生活はどのように変化してしまうのか。今までと何も変わらないだろうというのはあまりにも楽観だろう。そしてそれは、どんなに議論したところで経験した二人にしかわからないのだ。


「そのせいで、美人なお姉さんと仲良くなろうとしても娘に追い払われるし、胡散臭いって言われるし異常者って言われるし。」

「それは自分のせいじゃないですか」

「幼馴染にもフラれるしなあ」

「ちょ!それはあんたのせいで」

「後ろから抱きしめて『俺にはお前が必要なんだっ!』とか言えばよかったんだよ。・・・・みっともないけど」

「そうすれば、どうにかなってたんすかねぇ・・・・」

「人間ってさ、感情で動くじゃない?だから、可能性は低くなかったと思うよ。」

「ですか」

「ですよ」

「昼飯まであと何時間ですか?」

「ん・・・・あと、一時間弱だねえ」


大賢者マファール・・・・いや、ただのファルが、懐中時計を懐から出して、時間を確認する。


「なにしましょうかー」

「ゴブリンの魔石、交換しに行こう。」

「えー?全くお金になりませんよ?」

「持ってるだけ無駄だよ。かさばるだけバカらしい。かといって、そこらへんに捨てるのはよくない」

「魔石を食べた魔物が、魔石の味を覚えたらとんでもないことになりますからね。」

「だねえ。新人冒険者がよくやるらしいよ?さ、ギルド行こっか」




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「あ、すみませーん。これ、換金お願いします」

「あ~ゴブリンの魔石は五個からなんです」

「・・・・なるほど。どうする、レアル君」

「あ、そういえばゴブリンだけじゃなくいっぱい持ってますよね?それなら、ごぶりんもいっしょに売れるんじゃないですか?」

「錬金術の実験したかったんだけど、仕方ないねえ」


そういうと、ゴソゴソと小汚い袋を探り、魔石を取り出していく。


「ええと、ワイバーンの魔石が12個、ファイアーグリズリーの魔石が四個、ブリザードマンティスの魔石が一個。あとはジャイアントマンティスの魔石が120個、ゴブリンの魔石が三つに、ゴブリンメイジの魔石が六個。ホブゴブリンが十四個と、ゴブリンキングの魔石が二つ。これを換金していただけますか?」

「ああー・・・・ちょっとギルドマスターを呼んでくるので・・・・」

「何やってんですか、ファルさん・・・・」

「何って、レアル君。決まっているだろう。これが、“テンプレ”ってやつだよ」

「はあ!?」

「いやあ、昔はあったらしいじゃないか、こういう言葉が。意味は、「お約束的な」だった気がするけど。知らんけど、怪しい人間が気を付けると言っているのに、早速怪しさ満点な行動をする。っていうのは、“テンプレ”っぽくないかい?」


気のせいか、ウキウキした様子でテンポよく話すファル。まるで、ロボットを見つめる子供のように。しかし、戦争や、争いや、政治。それがない世界は、子供のようにハシャいでしまうまでにまぶしいことなのだろう。


「確かに、物語的な展開で言ったら、それがテンプレっていうものなんでしょうけれども。・・・・もんだいは、なんでそれを今やったんだ、っていうことですよ!」

「別に、いいじゃないか。僕は、この町に移住してきた、怪しい歴史研究家兼錬金術師。キミは、その僕に錬金術を教わっている。」

「・・・・怪しいを前面に押し出して、何かを失敗した時にも、怪しいを理由にしようぜ!・・・・ってことですか?」

「そういうこと。『まあ、ファルさんなら仕方ないか』みたいなのが理想だね。僕の本来の研究(・・・・・)も、進めたいからね」

「あの研究は、おそらく禁忌(・・)に触れますよ」

「禁忌なら、何かに書くなり元々僕たちの頭の中にでもインプットしておけってんですよ。それをしないで、何が禁忌。僕は納得していない。だから、研究する。それは僕の自由だろう」

「・・・・そうですね。でも、危険だと思ったら絶対にやめてくださいよ」

「承知しているよ。さすがに僕も、命は惜しいからね。」


本当なのだろうかと疑いたくなるような、ヘラヘラとした表情だ。クレアルには、いざとなったら、命さえも惜しまないような気がしてならない。


「おう、なんだか問題を起こした冒険者ってのはお前らのことか」

「よう、久しぶり」

「げ、ファルさん!?」

「いや~元気してたかい、フェヴァール」

「ふぁ、ファルさん。なんでこんな辺境の町に?」

「辺境ってことないでしょう。結構栄えているし、いい所じゃないか」

「そりゃそうですけど、ファルさんがいたところからは遠すぎやしませんか」

「まぁねえ。僕らにも、色々あったのよ。」


大賢者マファールのことを、最初からファルと呼ぶフェヴァール。こちらの事情を知っているのか、ただのあだ名なのか。


「ファルさん、この方は・・・・?」

「この人はねえ、僕たちがいたところで知り合ったんだよ。」

「ああ、あれ(・・)ですね?」

「そう、あれだよ。」

「まあ、その話はあとでいいでしょ。で、今日はなんの用事できたんです?」

「ファルさんがバカなことをしたんですよ」

「バカ・・・・?うぉっ、なんだこりゃ!」


今まで気づいていなかったのか、ギルドの換金カウンターに隙間なく置かれている魔石の存在に気づく。


「・・・・なるほどね、こりゃバカだわ。」

「でしょう?」

「家だって買うんだから、纏まった金も必要になるだろう?」

「そりゃそうですけど、こんなに必要ありませんよ!豪邸でもたてるつもりですか!」

「ちーっちゃい家でいいんだよ。庭が広くて、地下があって、風も雨も通さないのであればね」

「・・・・その条件だと、かなり高くなるなあ」

「ですよね・・・・。」


ギルドマスターを連れてきたら、急に家を買う話になったことで、訳もわからず混乱しているギルド受付嬢。しかし、そんな状態になっているとは露知らず、家の間取りについて相談し始める大賢者たち。放置された受付嬢は、どうすればいいのか、違うカウンターにいってもよいものなのかを考えて、涙目になってしまっているのであった。・・・・なんというか、可愛そうである。




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