9 神様になろう
僕は、あらためて考えてみた。全知全能の神様であるこの僕。
でも、僕にその能力を与えることのできる神様は、僕より格上の神様と言うことになる。
神様にもランクがあるのか。
その時、あの神様が現れた。
今日は、若者の姿だった。
Tシャツに短パン。サンダル。
えらくラフだな。
「その通りだよ。俊介くん。
それにしても、神様であること随分とまあ、楽しんだものだね。いままで君と同じ境遇になった人は、もっと早く飽きていたけどね」
「はあ、そういうことなんですね」
「君は、全知全能の神様。この表現、色々な宗教が使っている言葉だよね。でも自信を持って。俊介くんは、その中では格上だから」
「・・・」
「これまで、色々な宗教がそう表現している存在は、人間が想像して言葉でそう表現したものだから。」
「・・・」
「でも君は、君より格上の神様であるこの僕が、そうしてあげたわけだから」
「ではこの僕は、どういうランクの神様なのでしょう。」
「これまでの宗教が唱えていた神をゴッド。Gレベルとしたら、君は、スーパーゴッド。自分でもその宗教を創っていたけど、その通り、SGレベルの神様ということになるね。」
「では、あなたは」
「うん、スーパースーパーゴッド。SSG レベルだよ。」
「上には上があると言うことですね。」
「うん、僕の上にはSSSG レベルの神様がいるし、その上にはSSSSGレベルの神様がいるし、その上には・・・まだ続ける 」
「いえ、もう結構です」
「大切なのはね。SSSGレベルとかいってみたけど、そのあたりからは、もう人間の言葉ではどうしたって表現できないの。想像できるような存在ではないんだな」
「神様、いえSSG 様」
「はい」
「もう全知全能の神様はやめたいのですが」
「うん、みんなそう言うね。元が人間だと全知全能の神様と言うのは結局居心地が悪いみたいだね」
「はい、僕は、これはルール違犯だな。そう思います」
「うん、例えば推理小説で、どう考えても実行が不可能な殺人事件があって、その犯人は神様でした。作者でした。神様には、作者には不可能はありません、と言ったら、やっぱりルール違犯だろうからね。やめたい?」
「はい、充分に楽しみました。もういいです」
「でも完全にリセットする必要もないんじゃないかな。折角、全知全能の神様になったんだから。人間の想像できる範囲。言葉で表現できる範囲、という限界はあるんだけどね。」
「・・・」
「人間としての田中俊介くんをメインにして、時々、全知全能の神様である自分を楽しむ。それでいいんじゃないのかな。
「・・・」
「全知全能なんだからね。その範囲では、君だって、他の人間を神様にすることもできるんだよ。人間としての個性をもったまま」
そうかなるほど。みんなを神様にするか。元の人間としての個性をもったまま。
そしてみんなが、好きなように、好きなだけ世界を創造する。
で、僕は、私は、こんな世界を創りました、と報告しあう、投稿サイトを立ち上げたりして。
そう小説サイトみたいに。
「神様になろう」
俊介くんは、ふと思った。
そして微笑んだ。
そうか、同じことか。
うーん、またこんな小説書いてしまった。
前作「ホアキン年代記」三部作。随分精神的負担が大きくて疲れてしまったので、もうやめよう、と思っていましたのに。
書くほうが疲れたのだから、読まれた方はもっと。いや、ばかばかしいだけでしたかね。
うーん、色々と罰当たりなこと書いたような気がします。
作者、気が弱いのに。ビクビクです。
この種の小説を書くのは。
今度こそ、もうやめよう。 はい。




