8 神様に慣れてきた俊介くんの日常 暴走してます
僕は、神様としての能力を使いこなすことにだんだん慣れてきた。
で、自分の能力を見せつけたくなってしまった。
手始めに、哲学院顧問、歴史上の大哲学者たちを集めて、哲学談義をたたかわせてみた。
世界の大哲学者たちが、僕の語ることにいちいち賛嘆する。
私は、この世界における真理というものが初めて明確になりました、と言う。
次に、芸術院顧問、歴史上の大芸術家を集めた。
彼らの前で、僕は、僕が創作した詩を読み。小説を読み、音楽を奏でて、絵画、彫刻を見せた。
歴史上の大芸術家たちが、例外なく、感激に胸を震わせて、慟哭する。
私は、この世界における最高の美というものが、分かりました。
という。
次は、英雄たちとの戦いだ。
アレクサンドロス、霍去病、ハンニバル、シーザー、源義経、チンギスハン、織田信長、ナポレオン、高杉晋作。
みんな僕の圧勝。完全勝利。
次は、クイズだ。
僕は、高校時代はクイズ研究会に入っていた。
一度だけ、テレビのクイズ番組に出場したこともあるのだが、緊張してしまってほとんど何もできなかった。
で、クイズにおいて、自他共に認める強豪30人を集めて、超難問ばかりのクイズ大会を開催してみた。
問題は50問くらい出たが、全て僕が答えた。
僕もクイズをやっていたから、問題の最初の4音か、5音を聞いただけで、ボタンを押して、正解を答える。そんな場面を何度も見てきた。
なので、安全をみて、全ての問題を、1つの音も発せられていない時点で、問題を読もうとする、その直前に答えた。
全知全能の神様にとっては、次にどんな問題が出てくるか分かっているので、そんなことは、朝飯前、違った、出題前だ。
そして、スポーツ。レジェンドたちの闘いには、胸を震わせ、感動したが、自分でもやってみることにした。
まず相撲。大力士たちとの対戦。基本的には、彼らの得意技で勝つことにした。
雷電の両腕を、閂で締め上げ。
太刀山は、四十五日(ひと突き半)を超えて、三十日(ひと突き)で、突きだし。
栃木山は、一気に押し出し。
双葉里は、上手投げで転がした。
さて、現役の大横綱、大天鵬。
その強さについては、人間時代の僕は、深く尊敬していた。
でも僕の愛する常陸海の天敵でもある。
力の差を見せ付ける勝ちかたをしてやろう。
大天鵬。時々、呼び戻しにこだわっているから、それでいこうかと思ったが、いやいやそれでは足りないと思い、廻しの後みつをつかんで、左手一本で持ち上げた。
このまま、つかみ投げで、土俵の外、砂かぶりの向こうまで放り投げようと思ったら、大天鵬。手足をばたばたさせることもなく、その姿勢で瞑目している。
こんな姿勢でも、落ち着いた態度。さすが大横綱と感心したので、土俵の中に収まるくらいの力でそっと投げてあげた。
そうしたら、大天鵬。見事に着地。そのまま僕にぶつかって彼得意の右四つに組んできた。この勝負を諦めない闘志。僕は感動しながら、呼び戻しで土俵に叩きつけた。
次は野球か。
ベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグ、テリー・ウィリアムスをはじめ、大リーグのレジェンド。強打者九人がずらりと並ぶ打線。
僕は、九回分をいっぺんに、二十七打者連続三球三振。
三順目は、大崎昇平選手をはじめとして、現役の大リーグのスラッガーに代わったけど結果はもちろん同じ。
球は、時速500キロでも1000キロでも、秒速30万キロでも投げられるけど、時速300キロにとどめてあげた。僕はひとり。
キャッチャー?
自分でやった。投げ終わったらすぐ移動。ボールが届く前に、キャッチャーのポジションに移って自分で受けた。
秒速4万キロで投げて、地球を一周させて、マウンドで自分でキャッチでもよかったのだけど、それだとアンパイヤがストライクかボールか判定できないだろうから仕方ない。
次はバッターか。
ピッチャーは、サイ・ヤング。ウォルター・ジョンソン。クリスティ・マシューション。レフティ・グローブに、サンディ・コーファーか、成る程。
全て初球を、十五打席連続ホームラン(三打席ずつでピッチャー交代)し、最後はボーナスで大崎昇平選手からも打って十六打席連続ホームランしたところで、コールドゲームになりました。
サンディ・コーファーの三打席目、僕の頭上20メートル位のところに、これなら届くまいと投げてきたけど、大丈夫。いくらでも飛び上がって、打ちます。
ホームランは、全てバックスクリーン超えの場外ホームラン。
地球を一周してから、その地点に落ちるようにしました。
地球の人工衛星軌道から最後は減速。
大阪オリンピックが終わったあと、ゴールドメダリストたちとも試合しました。
テニスでは、サービスゲームでは全てサービスエース。レシーブゲームでは全てレシーブエース。1ボイントも与えず、72ポイント、パーフェクト勝利。
100メートル走では、相手が100メートル走る間に、トラックを二周、二回追い抜いてゴールしてみました。
競泳では、相手が飛び込んでひとかきする間に、100メートル泳いでゴール。
バレーボールは、6対1。全てサービスエース。たまの相手のサービスは、ネットを越えた途端にアタック。レシーブも、トスも、当然不要。
サッカーは、11対1。
90分の試合時間で150点くらい取りました。
ゴルフでは、18ホール連続ホールインワン。全て、直接カップイン。
重量挙げでは、バーベルは付けたまま、地球ごと持ち上げました。
冬季スポーツもやってみた。。
ジャンプでは、K点を遥かに超える300メートルジャンプ。
それては物足りないので、地球を一周してから、その地点に着地した。
ダウンヒルでは、全コースを10秒で滑り終えた。
フィギュアでは、歯入選手の4回転半を遥かに超える15回転半ジャンプをした。
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ついでに将棋と囲碁も。
歴史的伝説的強豪十人ずつを呼び出してともに十面指し。
二十人全員に圧倒的勝利。
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なんか、もう神様、飽きた。
今後の身の振り方。神様に相談しよう。
そう、たまたまこの僕を、全知全能の神様にしてくれたあの神様に。
でも、神様は僕の意志では現れてくれなかった。
どうして。僕は、全知全能のはずなのに。




