表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界で一番偉い、僕  作者: 恵美乃海
3/9

3 日本史のスーパースター。みんな僕の臣下です。

世界連邦帝国皇帝、田中俊介。

友達五人を、大阪大宮殿の一室に集めました。

この世界をどうするか。

会議が始まりました。

 権力者は、腹心の部下を持つ。そして、天下を取ったあとは、その部下たちを高い地位につける。


 全知全能の神様。そして、とりあえずは世界連邦帝国皇帝として、僕は、世界をどのように作り上げるか。折角なので自分の好きなように、もう少しきめ細かく作り上げたい。


 僕ひとりの構想では限界もある。いや、本当は限界などないはずなので、どうにでもしたらよいのだが、神様の初心者。若葉マークの神様として、人間時代の個性はしっかりと保ったまま、この新しい境遇に臨みたい。


 で、友人を集めた。高校時代の友人、水沢と小野。水沢は幼なじみ。実は小学生の頃からの友人である。

 

 彼の家、その父親の職業はかなり変わっている。

新興宗教の教祖なのだ。新興宗教といっても、信者は百人に満たない。

 熱心な信者はさらに限られる。


 生活はかなり苦しいようだ。

水沢は、家業を嫌がっている。

あとを継ぐ気はないようだ。


 中学時代、家に遊びに行ったら、教祖であるその父親に、その教義を説明され、入信を勧められたことがある。


 その教義は、既存の宗教における神は、もう手垢がついてしまっている。

 

 一神教においては、自らの神が最高であり、他の宗教の神を排除する。


 しかし、世界のどんな大宗教といえども、結局、この世界の唯一の宗教となることは出来なかった。即ち、相対的価値しか持ち得なかった宗教に過ぎない。


 ゆえに既存の宗教のあらゆる神の上に位置する超神という存在を、想定する。


 神を超える神。スーパーゴッド。


 その想定により、人類の歴史の中で、絶対を保ちえず、相対的になってしまった神が、本来の意味を持つ。


 訳が分からなかった。


 僕は、宗教に特に詳しくはないけど、ユダヤ教や、イスラム教の信者には、邪教としてあっさり抹殺されてしまうだろうな、と思った。


 説明が終わっても僕が怪訝な顔をしていたら、水沢の父は、それ以上はもう説明しなかった。


 それからも、水沢の家には何度か行き、だいたいは、その父親に会ったが、もう二度とその教義を説明はしなかったし、入信を勧められることもなかった。


 それは、有り難いことだったが、この淡白な態度では、信者は増えないだろう、ということは充分に察しがついた。


 小野は趣味が一致することによって親しくなった。

 

 彼もスポーツ観戦好き。僕と同様、スポーツ全般に興味を持っているが、特に野球と相撲が好き、というのも僕と同じ。

 だが彼は、巨人ファンであり、現在の相撲界に君臨する、大横綱、大天鵬のファンである。


 大学生になってからの友人、森、渡部、山川は、三人とも僕が所属している歴史研究会のメンバーだから、もちろん、三人とも歴史好き。


 ただ、歴史の中でも最も好きなジャンルは微妙に異なる。


 森は日本史。山川は世界史が好き。渡部は、ちょっと変わっているかもしれない。芸術史が好き、ということになるだろう。


 僕は、大阪湾を望む大阪大宮殿の一室に、五人の友人を集めた。


 時刻は夕刻。その部屋は西向きで全面ガラス張り。

 沈む夕日。神々しい景色だ。


 折角だからサービスしてあげよう。


「菜月」

僕は、皇后である菜月を呼んだ。


 菜月が、天使の微笑をたたえながら、部屋に入ってきた。

菜月は、僕と一緒にいることが嬉しくてしょうがないのだ。


「今から、僕の友人たちと、この世界をどうしようか、会議をするんだ。

君も一緒にどうだい。」


「はい、俊介様。喜んで」


 菜月は、芸能人としては、押しの強い性格ではない。実際の菜月もその通りだった。

 トップアイドルというわけではなかったが、その可愛さはアイドルの中でも群を抜いていた。


「世界一可愛い女の子」

そんなキャッチフレーズだってあったのだ。

 

 天使と見間違うような美少女の登場に、五人の友人が息を飲んだ。改めてその可愛らしさに感動しているのがよく分かる。

 でも菜月は、僕のものなのだらね。

 君たちは見るだけなのだよ。


 ところで、この五人の友人、貴族にしてあげようかと思っている。

 僕は皇帝だから、別に王様にしてあげてもいいのだが、王という称号は、僕の親戚のために取っておこうか、と考えている。

 

 自分の死後の権力闘争を懸念している訳ではない。

 この僕が望まない限り、権力闘争などおきない。

 それに、やせても枯れても、僕は全知全能の神様なのだから、とりあえず、死ぬ気はない。

 

 王様ではなく、貴族にしておこうというのは、単に趣味の問題だ。

 でも僕の友人なのだから、貴族の中の最高位、公爵にしてあげようと思っている。


 僕は友人の間では、高校時代も、大学生になってからもいじられキャラ、弟的役割だったと思う。

 

 そのキャラで別に居心地が悪いとは思っていなかった。


 でも今は。

 彼ら五人は、元の世界のまま。その個性に変化はない。

 

 ただ唯一異なっているのは、この僕を自然な感情で尊敬、いやそれ以上だな。崇拝している、ということだ。

 

 擦れていないと評され、様々な遊びの経験に乏しかった僕に対して、色々教えてあげよう、という感じで、どちらかといえば、上から目線で接していた彼らが、今は、この僕のことを崇拝している。正直いってくすぐったい。


 でもこの感覚にも慣れなきゃ

で、彼らは、この僕には不可能なことは何もない。望めば何だってできる。ということは、確りと理解している。


 僕は彼らに尋ねた。

この世界をどうしたい。

先ずは、日本から始めようか。

この日本をどうする。

 

 日本史おたくの森が答えた。


 日本史のスーパースターをみんな、この世界に生まれ変わらせましょう。


 そして彼らの個性に応じて、この世界における日本で、それぞれに役割を与えましょう。むろん、全員、偉大なる俊介陛下の臣下として。


 森くん、グッドアイデア。素晴らしいね。

それ採用。


 日本史におけるスーパースターか。

ということは、聖徳太子も、源頼朝も、義経も。足利尊氏も、織田信長も、豊臣秀吉も、徳川家康も、吉田松陰も、高杉晋作も、坂本龍馬も、西郷隆盛も、みんなこの僕の臣下になるのか。


 それ、いいのか。

いいんだよな。僕は全知全能の神様、この世界の独裁者だものね。

 居心地悪いけど。早く慣れなきゃ。独裁者に。

僕は、森と、誰にどんな役目を与えるかの相談を始めた。


「ところで森くん」

「はっ。何でございましょう。陛下」

「君のこと公爵にしてあげたいのだけど、何か名乗りたい称号あるかな」

「そうですね」

森くん、ちょっとシンキング。


「では、大日本公でお願いいたします」

「おっ。大きくでたね。OK 」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ