俺は聖女6人の力を借りて何としても元の世界に戻る
最後まで見てくれるとうれしいです!
※執筆の上書き保存でエラーで確認せず投稿してしまったため、途中で経過の投稿となってました! 一度見てくれた人も見てくれると嬉しいです。申し訳ないです!
俺は、何時もの牛丼屋に寄って、食事をしてから帰る道を進む。
家族は4人暮らし、俺と両親と妹だ。
母親は専業主婦で12歳の俺を、こき使って妹の世話をさせられてる。
父親は5歳の妹を気にかけながらも、サラリーマンとして働いている。
グレた訳ではないが、母親に対して、反抗的になっていた。それは、楽をしたいとかそんな理由だ。ただ、妹は可愛いし世話をするのが楽しい。懐いて俺のことを何時も呼んでくれる。
帰路に入った途端、俺は強烈な目眩が起きた。
「なんだ……、凄く気持ち悪く……」
さっきまで、俺は普通はずだった。気持ち悪くなかったはずなんだ。体も至って健康的だ、生まれた頃から風邪なんて引かなかったと、親のお墨付きを食らうくらいだ。
そんな事、思いながらも視界が暗くなった。
気づいたら、見知らぬ石の出来た床が見えた。顔を上げてみると、大きな椅子に座っている女性と。周りには、鎧を着た数十人の女性が立っていた。
俺の横にいる華奢なオロオロした女性がいた。見ると、俺と彼女の下には大きな円の模様の様な物があった。
「ここは……?」
俺は混乱する頭で振り絞った声を出した。
それへの返答は無かったが、椅子に座っている女性が喋った。
「おぉ! 聖女の儀式が成功したぞ!」
「流石です、王女様!」
「ただ、2人とはな……」
王女と呼ばれた女性は、俺と彼女を見ていた。
聖女だと? 俺は男だ。中性的な顔立ちだと言われ女性と間違われることもある程。ただ、髪は短いし普通に喋る言葉も男そのものだ。
そうすると、横にいる彼女がそうだろう。
「片方は、いらぬ。今すぐ鑑定を済ませよ!」
「はい!」
俺は、嫌な予感がした。それは、本能的な物かもしれないが……。周りが女性しかいないのだ。
この中に男が1人……、頭がお花畑やアホのやつは「やっほう! ハーレム作り放題だぜ!」といって喜ぶだろうが……。それは所詮ラノベとかの話だ現実にあるわけがない。
「お持ちしました!」
「それではこの者達の服を脱がせ! 鑑定は正確に行われなければ、ならない為な」
「はい」
有無を言わさず、周りの兵士は俺らの事を服を全て脱がす。すると、勿論俺のモノがでるわけで。
全員俺が男だということを知った。
「お前、男だったのか」
ちょっと傷が付いた……、確かに間違われると思うが普通に男性なはずだ。
周りのその場の兵士は全員、俺を睨み続けていた。
「まぁ待て、鑑定すれば分かること。そちらの女性から始める」
「……」
俺は、彼女の姿を見ないようする。それは、俺が持ってる尊厳だ。
すると、王女は喜んだような口調で言った。
「おぉ! この者こそ聖女だ、この女性を部屋へお通ししろ!」
「はい!」
「それでこの屑な男だが……」
一言も喋っていないのに屑呼ばわりとは、この国では男性はどういう立ち位置なんだ……。
そして、背筋が凍るような感覚に見舞われた。
「聖女鑑定は終わったこの者の鑑定は必要ないだろう、この国の脅威になりうるが……」
「……」
王女と呼ばれる女性は、剣を取り出し。その剣に炎宿す……しかし、何故か白色なのだ。
彼女はニヤリと俺を見ると……。
「この炎は聖炎、もしこの炎で灼かれた場合。それは一生元に戻らぬだろう」
「なっ!」
俺は驚きの余り、声を出した。それが失敗だった事も、もう遅い。
彼女は無慈悲に、俺のモノをその場でたたっ斬られた。
「……! ……!?」
俺は、切られ声にもならない声で。その場でのたうち回った。痛みが全身に周り、幾度の焼ける様な感覚が襲う。
その場全員の女性は、笑っていた。「男なんて汚い! その姿がお似合い」だとそう言いながら、俺を助ける人は誰も居なかった。
俺は……、痛みで気を失った。
起きると今度は、見知らない天井が見えた。
頼むから夢であってくれ……と思った。俺は、モノを確認した……が。焼け焦げた後が残っているだけで……存在が無かった。
服は着ていた、ボロボロのだが。
「何でだ! 何で……何で!」
俺は涙を流した、無くなった事への涙と……これまでの生活へ帰れない絶望感からだった。
男なのに情けなく、涙が枯れるまで泣き続けた。
気づいたら寝ていた様だ……。俺は……。
これからどうすればいいのだろう……。
そんな事を考えている間に時間は過ぎる……、腹が減っても飯を持ってくる者も現れなければ。心配して来る人も居ない。
俺はここで死ぬのか……。そう思っていたが……走馬灯の様に妹の顔が浮かんだ。両親の顔も。
それだけで、震え上がれる足を抑えられた気がした。
そうだ、俺はまだ……死ぬべきじゃない! こんな理不尽を受けたとしても、家に……帰らきゃならないんだ!
気分が明るくなり、1つ思い出した……。
あの王女、鑑定とか言ってたよな? ならここは異世界だ。ならステータスが存在するはず。俺は急いで頭の中で「ステータス」という。
名前 陰志 遥斗
職業 暗殺者
スキル パンドラボックス
暗殺者? パンドラボックス? 何だそれは、後レベルというものは存在しないみたいだ。
今は迷ってはいられない、スキルを使ってみる。
「パンドラボックス」
何も起きない……、ステータスを確認するためにもう一度見る。
名前 陰志 遥斗
職業 暗殺者
スキル パンドラボックス(残り3回) 魔導兵器マスター
残り3回表示と……、魔導兵器マスター? まぁいい、スキルをランダムに出すことが出来るってことだろう。
それを俺は後3回繰り返したが、発動することは無かった……。
発動は1年に1回のみで、あれから3年の月日が流れた。髪は女性の様に伸び、手入れされる訳もなく。ボサボサだ。食事は投げつける様な物で、意外と生きれるんだと思った。
また、モノが無くなったためか。女性の様な小さな胸が出来ていた。男性ホルモンも駆逐されたようだ。
「これでどうだ!」
名前 陰志 遥斗
職業 暗殺者
スキル 魔導兵器マスター 暗殺魔術マスター 暗殺魔法陣マスター 暗殺物理マスター
追加された3つのスキルは全て暗殺スキルだった。
俺は、殺しをしたいわけじゃないんだけどな……。
騒いでいると、奥の怪談から人が降りてくる気配があった。
例の王女様と護衛の兵士みたいだ。
「ふんっ、屑男がまだ生きているとは……あの炎でやられた後はどうだ? 悔しいだろう?」
「……」
俺は答えない、憎しみや怒りたい気持ちはあるが……。怒鳴った所で場が悪化しそうだったからだ。
すると兵士が牢の檻を凄い音で蹴る。
「答えんか! 王女様がお声を掛けてやっているのに!」
「よせ、どうせネズミと一緒であろう。そのまま野垂れ死ぬが良い」
俺は、彼女に何があったのか気になった……、でもそれはただの好奇心だ。
すると王女は、階段を上り去っていった。ただ、護衛は帰らなかった。
「ふんっ! 貴様はどうせ、死ぬだろうから直々に痛めつけてやる」
檻の鍵を開け、扉を開ける……いや蹴り飛ばした。俺は、その衝撃で吹き飛ばされた。
鎧の女性は、剣を抜き。俺の腹に指す。
「ぐっ!」
「痛いだろう! どうせ逃げたとしても、ここでのお前はただのゴミだ。変な事を考えても無駄だ!」
痛い……、焼けるような痛みが全身を襲う。最初の痛みほどではないが。出血が酷かった。
血まみれの剣を抜き、俺を睨みつける。
「しねぇ!」
痛い……、けど死ぬ訳にはいかない! 俺は、どうにでもなれと昔の考えた。中二病の内容を口にした。恥なんてどうでもいい、彼女を殺さない。ほんの力でいいんだ!
「カウンタースラッシュ!」
振り降ろされた剣は、俺の拳で弾き飛ばんだ。昔考えた、ただ全ての攻撃を弾くだけの技。
突然に弾かれた彼女は反応が出来なかった、その間に俺は鎧の腹に肘をぶつけ。
「獅子戦吼」
「がはっ!」
獅子の突撃の様な衝撃で、彼女を吹き飛ばす。
傷が更に開き、俺は膝を折るが……頑張って彼女の元に進む。
彼女は、気絶はしてないが、肩で息している。
「はぁ……はぁ、油断した!……殺すならさっさと殺せ!」
「殺すわけ無いだろ」
彼女はゾッとしていた。おそらく自分にやられた事をやり返すつもりだとでも思ったのだろう。
だけどそんな事はしない。どうせ彼女を殺しても、自分の居場所ができる訳でもない。気が済むわけでもない。
「……大丈夫だ、俺は君を殺すつもりはない」
「何を戯言を!」
「殺せるわけ無いだろ! お前にも家族がいるんだろ?」
彼女は驚いていた、睨むような目だったのが戸惑いの様な目に変わった。
俺はそれを無視し、続ける。
「これは俺の勝手だ……だけど、俺にも家族がいる……自分が死んだら誰が悲しむのは誰だ? 自分じゃない、家族だ。そんな事を俺が出来る訳が……ない、人を殺すというのはそういうことだ」
「貴様……いや、貴方は……」
「俺にも家族が居たんだ……、この世界の別な所だけどな……」
俺は背中を彼女に向ける、どうせ後ろから刺されてもいい。死ぬ気だけは無かった。
彼女はどんな顔しているか分からなかったが、安堵からか啜り泣く声がした。
「もし、あんたが罰せられそうになったら……こういえ」
鍵を奪われて、咄嗟に反撃して重症を負わせたが逃げられたと。
驚く様な声も聞こえたが、俺は無視して進む。
「じゃあな、家族と会えるんだそれ以上の幸福は……無いからな」
去り際にそう言い放った。
血だらけの体で外に出ると、周りの兵士は警戒もしないで駄弁って。お喋りをしていた。
すると兵士がこっちに気づく。
「! 脱走者だ! 捕まえろ!」
「くっ!」
逃げるが、先回りされる。俺は近くにあった、窓に向かって飛び込みそのまま落下する。
俺は、死ぬわけにはいかない!
「くそっ! あの先は……の庭だ!」
「大丈夫ですよ、あの人ならあの脱走者をやっつけてくれます」
何か聞こえた気がしたが、無残に体全体を撃って地面に叩きつけられる。
俺は、痛む体で立ち上がる。
「あら? え? 何故こんな所に血だらけの人が!」
「逃げなきゃ……、逃げて生きるんだ!」
「大丈夫ですか! 酷い……出血がこんなに……」
俺はその言葉を呟く女性を見て、力底を付いたのか眠るように気絶した。
目が覚めると、また見たことがない天井が見える。柔らかいベットに眠っていた様だ。
脇には気絶する時にみた女性が、眠っていた。
「……すぅすぅ」
傷を見てみると癒えていた。どうやったのか分からないが、モノ以外は綺麗にな身体になっていた。
彼女は、白髪で幼い少女のような寝顔で。時々何かを寝言で呟いていた。
その言葉は、俺にとって一番キライな。
「お母さん……お父さん……私を置いて……何処かに言っちゃうの? ……なんで?」
両親が子を捨てる。放棄というものだった。
俺は、身体を静かに上げた。彼女の髪を優しく撫でた。すると、彼女は擽ったそうにしたが。
さっきまでの辛そうな顔ではなくなり。幸せそうな、安らかな寝顔になった。
少しの間、そうしてたら。彼女が起きた。
「……ん。あ、気がついたんですね」
「助けてくれて、ありがとう」
「いえいえ、私が助けたいと思っただけですから」
追手が来たはずだけど、何故かここには居ないようだ。
「兵士達は、どうしたんですか?」
「あの人達は誰か探してたみたいですけど、『男を見ませんでした?』と聞かれたので見てませんと答えましたけど、誰だったんでしょう?」
俺はホッとした。女性みたいな見た目を褒める日が来るとは。
今、この国にいる間は。男性なのは隠しておいたほうが良いな。
でも、この子は助けてくれたし、泣かれたとしても伝えるべきだ。
「それは、俺の事です」
「え? 女性の方ではないんですか? 胸もあって、下の……も無いですし」
「見たんですか?」
「はい」
俺は、両手で顔覆う、それはそうだよね。よく見ると服装は女性の物だ。
着替える時に見たみたいだな。
「傷は全部消えたんですけど、そこだけは消えなかったんですよね……」
「やっぱり……俺の名前は、陰志遥斗っていいます」
「ハルトさんですね。私の名前は、カレリア・メニュカといいます。聖女なんて言われてます」
聖女なんだ! 聖女何人存在するんだ?
その疑問に答える様にカレリアさんが答える。
「聖女は3年前に1人来たので6人ですね、その後は聖女を育成しているらしいです」
「あ、ご丁寧にありがとうございます」
「これは、機密なんて言ってましたけど。6人の力で奇跡を起こして、1回だけ願い事を叶えられるらしいです」
願い事を叶えられる! もしかしたら、元の世界に戻れるかもしれない!
でも、どうやってここから全員の協力を取り付ける?
いや、無理じゅない……、容姿を使って彼女たちに近づくんだ。元の世界に戻るために。
俺は聖女6人の力を借りて何としても元の世界に戻る!
「でも、どうしてハルトさんはここに居たんですか?」
「聖女と一緒に召喚されたら、牢にぶち込まれた」
細かい説明はしない事にした。でも、こんな状況で協力は……して貰えないよな。
俺は内心がっくりしつつ、カレリアさんに聞いてみる。
「もし、俺が奇跡とやらやって欲しいと言ったらしてくれるか?」
「いいですよ?」
「そうだよね、無理だよね……っていいの!?」
俺はやってくれないだろうと、思っていたため声を上げてしまった。
「だって、ハルトさん頭優しく撫でてくださいました」
「それだけだよ?」
「それだけでもです、いつも……寂しい夢ばかり見ていたのに。今日だけは違って、お母さんに頭撫でてもらう夢でした」
彼女は「それだけで私は十分です」と答えてくれた。俺は他に何かしてさせてもらおうと思い、提案する。
「何か他に俺にできる事がないか?」
「ん〜、そうですね……」
彼女が提案して来たのは……。
女装して、淑女の様な振る舞いをできる様にすること。
提案され、問答無用で事が進んでいった。俺は、聖女の儀式や勉学などで離れる時以外はずっと仕込まれた。
3ヶ月程が経ち。
「なんか、凄く大事な物を失った気分……」
そう言ってうな垂れていた。あ、もう大事なモノなかった。
意外にも、彼女はやると決めたら妥協をしない人だった。化粧など含めて、動きや髪の手入れ、言葉遣い。仕草など細かい所まで徹底的に叩き込まれた。
「もう、今更じゃないですか。お・姉・さ・ま」
「うっ! わた……俺は男だ~~~!」
「でも、その格好じゃ全然説得力無いですね」
確かにそうだ……、もう3ヶ月はここに住んで全て女と呼べるような事をしてきた。
鏡に映る自分は、中性的な顔と細く華奢な身体、茶色い髪と黒い瞳を除けば。前の自分を連想させる物は無い。
しかも、自分でもこの鏡に、映る少し拗ねるような顔する自分を、可愛いや守ってあげたいなど思ってしまうほどだ。完璧に末期症状である。ドレスとか着ちゃって……俺の尊厳って……。
「それにしても、この世界に来てから3年と3ヶ月が経ったのね」
「ふふっ、完全に声と仕草、言動も女の子らしくなりましたね」
「わ、笑わないでください。だいたいそうさせたのは貴女でしょ!……ってもう! 言葉が自然に!」
完璧にドツボにハマってしまった俺は、カレリアさんに振り回された。
後、補足だけど。この3ヶ月の間、兵士は至る所を探したらしいが結局見つからず。まぁ本人がここにいるんじゃ何処に行っても居るわけないよね。王女の結論としては、野垂れ死んだという事にしたらしい。
カレリアさんが外に出ても大丈夫だと、行ってくれたので。俺はここから別行動にしてもらった……。ただ、宿は無いので戻ってくるけど。
寝る時は、カレリアさんは気にしていないのか一緒のベットで寝ていた。俺は内心ドキドキでした。だって、女性と一緒に寝るの始めてだよ!
「私が、寂しいので帰ってきてください!」
など言われてしまっては、帰ってくるしか無い。
俺は、カレリアさんと考えた名前、ハル・カゲナシと名乗るようにした。俺の名前が入ってないと咄嗟に反応出来ないためだ。
鑑定は、裸じゃないとほとんど見ることが出来ないのだとか。
そして、一番大事な事を忘れていた……。スキル使ってね~! そう、スキルの存在を忘れていた。
もうこの姿で男なんだから、暗殺者言われても大差ないな……。悲しくなるけど。
俺は、城を探索するために出歩いていたが。城の中は凄~く、広くてすぐに迷った。女性しかいないため、喋りかけたり喋ったりはしたくなかった。いや、男とも喋りたくないけど。
「お困りですか?」
「は、はい!……少し、見まわってたんですけど。何処に何があるか分からなくて」
俺は、いきなり話しかけられたが、口から意外とすんなり出た女性の言葉を話す。順応高いのかな……。
「そうですね、此処はお恥ずかしい話ですが、私も迷う時あります」
「そうですよね! 少し案内してもらっていい、でしゅ……ですか?」
焦りすぎて、噛んじゃった。兵士は、微笑む様に見てくるので問題はないだろう。
城は3階あり、横に長い構造だった。色々な場所を周っている内に、なんとか悪い頭で覚える。
聖女残り5人の部屋の把握も済ませた。ただ、兵士は全員癖が強くて。カレリアさんが一番手間がかからなくていい。とか言っていた。
「そういえば、この後聖女全員で歌う聖歌があるみたいです」
「聞いてみたいです! でも……流石にご迷惑になりますよね」
「いえ、兵士や聖女の承認があれば、余程の事が無い限り聞くことが可能ですよ」
やったね、全員の顔を把握するチャンス! でも凄く嫌な予感がするんだけど、いや……王女様の時に感じたものじゃなくて、この国を全体に揺るがすような……。
正直なぜ嫌な予感がするのか分からない。もしかしたら、暗殺者の職業のお陰かもしれない。
そんな事に怯えてられない! 行こう、何が起こっても生き残れれば勝ちだ!
歌う場所、聖堂にやってきて。俺は言葉を失っていた……、漫画とかでよく見る天井が霞む程の高さで。目の前に、神秘的な像とそれを照らす彩りみどりのガラスが貼られていた。
ただ、普通の人と違うのは……なんでこんな形なんだ? いや、意味があるなら良いんだけど。
聖堂の形をきにしていた。
最初に入ってきたのは、カレリアさんだ。ちらっとこちらを見て、俺は礼をすると小さく親指を立て。「ぐっ!」としていた。
次々と聖女が入ってくる、だが1人足りない。ここにいるのは5人だけ、もう1人は?
周りの兵士が焦って、探し始めた。一緒に来た兵士はのんびりしていた。意外と仕事以外はさっぱりしてるのかも。
その内に、聖女を1人1人確認する。
着た順番に並んでいるのか、左1番目はカレリアさんだ。
2番目には、猫耳と尻尾を付けた少女がいた。手に持っているのは魚か、目が煌めいているので。多分、魚で釣ったな。
3番目は、グルグルメガネを付けた少女だ。一見文系少女という感じだな。下手したら、周りの騎士と比べても黒髪、黒目は居ない。もしかしたら転移者かもな。
4番目、右目に機械、半身といっていいほど。機械に覆われていた。正直、聖女なのか? あ、肘をパカッて開けて……。バームクーヘンが……、食ってるし。
5番目。黒帽子と靴まで伸びた黒いローブを纏っている女性がいる。聖女というより、魔女だな。少しクスクスという感じに笑っている……怖い。
なるほど、兵士が癖が強いって。控えめに言ってあれなんだな。
遅れてきた少女は、ここに来た見た彼女だ。茶髪の短髪、目が髪で覆われてるため。印象的に言うと影が薄い感じがする。さっき行った兵士戻ってこないし。
奥から王女様が出てくる。会いたくなかったが、目的の達成の為には致し方あるまい。
「全員揃ったな、何時もの様にお前達を鑑定し。聖女であるか確認を行う」
そういって、全員を脱がせ。鑑定を行う。
が、2番目の少女で止まった。
「何故聖女じゃない……?」
「え?……そ、そんな事知らないにゃ……」
王女は、溜息をつくと。兵士に命じた。
「こっちのじゃない、双子の妹の方を探し当てろ!」
彼女は、双子の姉なのか。すると、王女に擦りつくように懇談した。
「待って! あの子はもう限界なの、もうやめてあげて」
「うるさい! 聖女でも無い貴様が、私に触るな!」
それにしても、王女様は誰にも厳しいな。一体何があったのやら、意外とこの人が魔王で聖女を集めて世界征服したいなんて考えてたりしてな。
それは、悪い方で裏切られることになった。
「兵士よ、この者を殺せ。ゴミにこんな所を歩かされては汚い」
そう言って、王女の後ろから出たのは。黒いアンデッドだろうか……。
問答無用で、走り彼女を斬りつけようとする。
「た、助けて……!」
「あら、王女様は魔物の兵も持っていらっしゃるんですね」
俺は、アンデッドの剣を2本指で止めていた。
ただ、内心……うぉおお~、本当に出来た。マジかスゲ~。
「誰だお前は、見たこと無いな……やれ」
王女が命令をして、アンデッドが力を込めるがビクともしない。
カレリアが走ってきて、俺と並んだ。
「私の護衛です。ただ、今回の庇った事は私も賛成ですけどね」
「カレリア聖女、貴様も邪魔をするか……まぁいいどうせ1,2人消えようと、どうせ生まれてくる」
う~ん? 魔王じゃね? セリフとか後ろのどす黒いオーラとか。
さてこのアンデッドを片付けるのどうしよう。
スキルの魔導兵器マスターってのなんだろう。
う~ん、困った時の想像で作ろう。
アンデッドの剣を奪いそれを、兵器へ変える。魔法とかって詠唱ないの?
そんな事と裏腹に、剣は変質する……? なんか人の形になったぞ。そして俺の前で跪く。
「主殿、私を生み出してもらって、ありがとうございます」
どういうことだ~~~! 何1つ理解が出来てないんだけど。
「う、うん。そのアンデッド? を倒して……ください」
「了解です」
彼女は変質した元になった剣を生み出すと、網模様の様に一瞬で斬りつけた。
反応出来る訳もなく、アンデッドは粉々に砕け散った。
「これでいいですか、主殿」
なにこれ~ あれですか、俺としては少し普通に戦うと思ったら。一瞬で方を付くと思ってなかった……。
王女が俺を睨みつけてくる。何故か首を傾げていたが。
「貴様……もしや、あの牢の抜け人か!」
あ、バレた。まぁしょうが無いよね……でも凄いね。俺でも面影ねぇと思ったのに。
「貴様を鑑定しておけば良かった。スキルが1つしかないと分かっていたため、侮ったわ」
すると、女王は全身が黒く光、姿を変える……大きな角と魔王っぽい衣装を着けて。
いや、そんなオーバーな演出したのに。角と衣装かよ。
「ここの者共、諸共殺してくれるわ!」
「まだ何もしてないのに、最初からラスボスなんですか」
そこに居る人は、2人を除き理解出来てなかった。もう1人は一緒転移して来た彼女だ。
猫耳の少女は何故かいないが。何処言ったんだろう?
「行くぞ!」
すると魔王? は上空へ火の玉を50個生み出し、バラバラのタイミングにデタラメな方向で飛ばしてくる。
元剣の彼女は、全て……それを断ち切っていた。
「主殿、他のスキルを使わては?」
「暗殺スキルだけど……効くの?」
「魔王も所詮魔人からの進化、死なないわけじゃありません」
魔王固定なんだ……。あと周りの人唖然としてるんだけど、この娘オーバースペック過ぎない?
勇者とか必要じゃないの? 俺普通に一般人よ? 女装してるけど。
「主殿まさか、使い方が分からないとか?」
「そのまさかよ……何も修行したこと無いもの」
適当に、暗殺魔術? 暗殺魔法陣? う~ん。
魔王が、ゲートを開きかなりの数の魔物が出てきた。いや、30匹ってごちゃごちゃ何だけど。
デス!
俺は無意識に手を前に向け、手を上に捻り魔法陣が形成され……。握ると同時に30匹居た魔物が絶命していた。
なにこれ~ 無意識だとはいえちょっと、相手に同情する。
なんかあっちで、怒り狂ったりしてるけど。そんな事、聞くより俺が一番混乱してた。
「主殿……その魔法は……」
「何も言わないで! 色々面倒な事になるから!」
そんな事を話していると、猫耳の少女が、もう1人連れてきた。恐らく彼女が聖女?
「ネルお願い」
「お姉ちゃん、私頑張る!」
聖女達に向かって猫耳の少女が言う。
「今、ここで魔王を封印しましょう。あの奇跡を使って。詠唱の間は……あの人が守ってくれるはずです」
指差したのは俺ではなく……脇にいる。元剣の彼女だった。ですよね~
否定してもしょうが無いので、黙っているけど。あ、でも脇の人がちょっと怒ってる。
「と、とりあえず奇跡とやらをやりましょう」
カレリアが何か言いたそうだが、それをまだ気づいてなかった……。
そこから詠唱をしている間、完璧なドロ試合が始まった。魔王事態は何もしてこなかった。
魔法を放って、それを脇の彼女が斬る。敵を生やしたら俺が魔法で殺す。
なんかどっかの、ゲームかな~って思ったりしていた。
「詠唱が完了しました。魔王よ! これで永遠の眠りに付きなさい!」
ピカ~って光ると。魔王は為す術もなく、消えた。床にごろっと転がった水晶玉だけが残った。
これで、この世界は平和になりましたとさ……。
…………あれ?
終わってから気づいた……。奇跡使っちゃってるじゃねぇか!
帰れねぇ……。
次に願い事使えるの何時? 凄く嫌な予感がするんだけど……。
事が終わって、カレリアに聞くと……魔力が補充次第出来るが、個人差が激しく。死ぬまで回復しない人もいるらしく……。
つまり、帰れねぇ……。
何とかして……。
俺は聖女6人の力を借りて何としても元の世界に戻る!……出来たらいいな。
連載版をだすか悩んでます!
応援してくれると、頑張るかも!