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2話 吠えない仔犬
「ひゃう、ひゃう、きゃうー!」
黒い仔犬は異常に吠える犬でした。
「ひゃう、ひゃう、きゃうー!」
テレビの歌声。 コンポのメロディ。 石焼き芋。 竿竹売り。 夕方5時のチャイム。 おとなりからは下手っぴなピアノ。
黒い仔犬は吠えることが、いや歌うことが大好きだった。
音楽が聴こえてくれば、どうしても歌わずにはいられなかった。
今一緒に歌わなければ、もう二度と同じ音楽と歌うことはできなさそうで。
「家族はいないし、飼い主の私がうるさい思いをすれば良いだけよね」
彼女は飼い主のミズキ。
この時はまだ、そう思っていました。
お目通しありがとうございます。
今回は3話まで投稿しますね。




