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No,2 ~脱走した危険物~  作者: イフジタダヒロ
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第二話 ~山中の激戦~

「ターゲットが見つかりました。ナンバー02と確認」

 その頃、アルツは山に出掛けたまま同じ人間兵器のイーワンに見つかってしまっていた。イーワンはアルツを見つけるなり攻撃を仕掛けてくる。


「くっ」

 アルツは攻撃を避けて逃げようと試みるがすぐにイーワンに追いつかれてしまう。イーワンはスピードを重視して訓練されているため素早さじゃかなわない。


 一方のアルツは防御力と破壊力に長けているが攻撃が当たらなければ意味がない。打たれ強さも何回も攻撃をうけたら持たないのは明白。アルツは素早いパンチやキックに耐えながらも必死に攻撃を繰り出すがやはりかわされしまう。


「無駄です」

 イーワンは女性の人間兵器である。女性といっても年の頃は16歳の少女だが。


 攻撃に耐えながらアルツは徐々に森林の深くに逃げ込む。全速力で走るがイーワンに追いつかれては攻撃をうけて耐える。この繰り返しで徐々に森林は険しく狭くなってくる。


 アルツはもはやボロボロの状態。勝ち目なんてないに等しい。ジリジリ途迫りくるイーワン。絶体絶命のアルツ。


「逃げ場はもうないようですね。命令に従いあなたを抹殺します」

 イーワンはサバイバルナイフを取り出しアルツに突き刺す。アルツは胸を刺される。


「ぐっ」

 アルツはその場に倒れ込んだ。イーワンがその場を後にしようとしたとき足を捕まれてしまう。そして、その場に倒れ込む。


「しつこいですね。まだ生きていたのですか?」

 イーワンの任務はアルツの完全なる抹殺。ここで始末しなければ自分が殺されてしまう。その恐怖からイーワンは立ち上がり何度もアルツの顔を蹴る。


「いいかげん死んでください」

 しかし人間離れした強靱な頑丈な肉体のアルツには並の蹴りでは通用しない。


「死ぬのはお前だ」

「はぁ?」

 アルツは起き上がりイーワンの手を掴むと腹部をおもいっきり膝蹴りする。その攻撃はイーワンに大きなダメージを与えた。

 腹を押さえながらイーワンは距離を取ろうしたが周りは木でふさがれ身動きが出来ない。

「これを狙ってたんですか?」

「そうだ」

「やられましたね見事ですよ」

 だが、イーワンも人間兵器。ただじゃ終わらない。


「これはあまり使いたくなかったんですがね。仕方ないです」

 そう言うとイーワンは『ウォレット』と呼ばれる道具にお金をつめだしてそのウォレットを腹部の穴にはめ込むと凶暴化した。


「それを使ったか。なら俺も使わせてもらう」

 アルツは金の延べ棒を削りそれを飲み込むと凶暴化した。人間兵器、またをゴールド・ウェポン。政府はお金や金塊などで凶暴化する人間兵器のサンプルを作っていた。来たるべき戦争のためにだ。


 その様子を木陰から見ていた人物が二人。その人物はこの生物兵器の生みの親たちである。

「貴重なサンプルの実験だよ滝沢くん。よく見ときたまえよ戦うんだよサンプル同士が」

「そうですね。佐伯室長」


「ウォォォ」

「ウガガガ」

 アルツとイーワンはお互いに敵と見なし理性を失い戦う。殴りあう二人の兵器たち。消耗するのは金とお金のみ。強さはその金額に左右される。もちろん組成脳も関係してくるが。


 イーワンは素早い動きでアルツを追いつめていく。周りの木を倒していく勢いだ。アルツは耐えて攻撃の隙を狙いながら確実にダメージを与える。その攻撃はイーワンのウォレットに命中した。


「グォォォ」

 イーワンはウォレットが壊れて致命傷を負ったのか苦しみだした。そして凶暴化は解かれ通常に戻る。アルツも金が切れたのか通常に戻った。お互い殴りあいクロスカウンターで倒れる。


「同士討ちになりましたね。佐伯室長」

「そのようだね滝沢くん」

 佐伯は滝沢を殴った。倒れる滝沢は佐伯に愚問する。

「なぜ、殴られたんですか?」

「怒りを何かにぶつけたくてね。つい」

 佐伯は滝沢に手を差し伸べる。滝沢はその手を取り立ち上がる。ズボンに付いた砂を払うと佐伯の顔を見てゾっと背筋を凍らす。口は笑ってはいたが目が笑ってんかった。むしろ目つきは眼孔をギラつかせイーワンを見ていた。ライオンが餌を狙うがごとく。


「どうします?」

「イーワンだけ持ち帰るとしよう」

「では、アルツの処分は私が」

「いいよ処分しなくて」

「え?」

「アルツは薬切れでいずれ死ぬことになるからね」

 佐伯リュウ、その人格は冷徹だ。滝沢は恐怖すら感じていた。ゴールド・ウェポンの生みの親は子を見捨てるのである。


 佐伯たちがイーワンを連れて闇の中に姿を消した頃、アルツが目を覚ましキリコのアパートへ戻ってまた意識を失った。

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