序章 ~奇妙な出会い~
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「ナンバー02が脱走したぞ」
政府の秘密組織である人間兵器養成施設、通称「ザット」から危険物が脱走した。緊迫した空気の中ザットの兵士たちはナンバー02と呼ばれる兵器にライフルを向ける。
「撃てー」
指揮官からの指示に兵士たちは一斉いに射撃する。しかしその兵器には銃弾など通用せず兵士たちは次々と倒されていく。想定外の出来事に指揮官も自らライフルを持ち兵器に銃口を向けた。
「止まれ」
「……」
兵器は無言で指揮官に走りよりコンバットナイフで指揮官の左胸を一刺し。指揮官は絶命する。
「こんな化け物を政府は秘密で作り上げたのか?」
一人の兵士が逃げ出そうとしたとき兵器はその兵士の背後からナイフを突き刺した。
「俺を見た者は抹殺する」
静かに兵器はボソっと呟くと山の奥深くへ姿を消した。
「次のニュースです。昨日深夜政府はB地区の半径1キロ以内の住人を避難させ近寄らないよう警戒を呼びかけた件で、政府は放射能が漏れだしたためと説明しました」
「また、放射能か。全くあそこの研究所は何をしているんだか」
高島キリコ、趣味で登山をしている大学二年生。アパートで一人暮らしをしている。問題がおきた現場に近いのだが、ギリギリ圏外だったので避難はしなかった。
政府の秘密組織は表では放射能の実験施設にしているため、住人は生物兵器のことは知らない。だが、時々問題を起こすため警戒はされていた。
「さてとお弁当作って出かけよう」
世間が警戒をする中、キリコは弁当を作り登山に出かけようとしていた。準備も万全である。目的地は警戒付近のギリギリの山だ。
「ふぁ~、今日はいい登山日よりだな」
マイペースで脳天気なキリコ。さっそく登山に出かける。真新しいマウンテンバイクにまたがりペダルをこぎ景色を眺めながら風を切って走る。
一時間して目的地に到着した。
「さあ、登るぞ」
嬉しそうに山を登り始めるキリコ。
登山、それはキリコの生き甲斐である。
「う~ん、いい空気」
ゴソ……。
その時草陰から何かが動いた気配がした。だが、キリコは慌てない。
(熊か野犬か)
キリコはそっと荷物をおきその場から離れて木の陰に隠れる。息を飲む緊迫感。キリコはその主を見守る。
草陰から出てきたのは人間。しかも年は自分より若そうに見える。キリコはそれに驚き動揺を隠せない。
(え、少年がなんでこんなとこに?しかも傷ついてるじゃない)
心でそう思いながらその少年を見守る。熊や野犬よりも恐ろしかったのだ。その少年はキリコのバックをあさる。
(そうだ警察に電話)
キリコが携帯をポケットから探すも無いことに気づく。
(あ、携帯はバックの中だ)
少し天然も入ってるキリコは勇気を出してその少年に近寄り言葉をかけようとした。その少年はキリコを見るなり所持していたナイフでキリコに襲いかかる。
「きゃあ」
しかし少年は疲れきっているのかその場に倒れ込んだ。
少年はガバっと起きあがるとそこは暖かい部屋の中だ。少年は戸惑いながらその部屋を飛び出した。
「あら、お目覚め?」
そこはキリコのアパート。少年は警戒している様子。
「お腹すいてるでしょう?」
「……」
少年は差し出されたおにぎりを口いっぱい頬張る。よっぽど腹を空かしていたらしい。キリコはクスクス笑いながらもう一個おにぎりを渡す。
「いい食べぷっりだね。あなた名前は?」
「……」
少年は答えようとしない。機密だったからだ。
「そう言えないのね。じゃあ、ペスって呼んでいい?」
「俺はそんな名前じゃない。アルツそう呼ばれていた」
アルツはキッチンにあるナイフを持ち出しまたキリコに襲いかかる。キリコは護身術で対抗するもアルツはそれをかわし反撃する。
そしてキリコを投げ倒しナイフを刺そうとしたが、アルツはいきなり苦しみだした。
「大丈夫、アルツ君?」
「禁断症状だ。切れたアレを頼む」
キリコは何を言ってるかさっぱりで取り合えず寝かせることにした。一時間が過ぎた頃アルツは汗だくで起きあがる。
「ねぇ、何がどうなってんの君?」
「言えない」
アルツは何かを隠すかのように目をそらす。それ以上キリコは何も訊かなかった。いや、聞けなかった。この日からキリコとアルツの奇妙な生活がはじまる。