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『暇』ができた

作者: 白夜いくと

脳内整理用の日記です

 『暇』ができた。


 私はまだこの時間の使い方を知らない。学生の頃は、適当にバイトをして家に籠もって眠っていた。病気をこじらせて入院をしていた時に『暇』なんて無かった。

 常にギリギリを生きていた。そんな私は、指示がなければ特に動かない木偶デクだ。何をやっても不器用で長続きしない。特に求められもしなかったから(むしろ邪魔になってたから)バイトも継続できなかった。中でも特に人間関係で困っていたな。


 がんばることが人並みにできず、気を抜く努力もしてこなかった。そんな私が作業所に通って、はじめて必要とされた。たぶん私の特性や性格の難しさを鑑みて、気を遣っているんだろうとは思う。それでも、はじめてだ。


「また来てくださいね」


 なんて言われたのは。私が動けば場は混乱し、やらかした私に同期が「はよ帰れ」と小言を言う。それが当たり前のことだと感じていたから大して自分に期待もしていなかった。


 諦めたら、反対に『がんばろう』と思えたのである。不思議なものだ。もうどうせ嫌われるのなら、やれることをやって嫌われようと、そういう考えになった。作業も人付き合いも、素直に全力でやってみた。そうしたら、話しかけてくれる人がいる環境になっていた。


 不思議なものだ。どうやったか憶えていない。中には呆れている人もいるかも知れない。あまりの力の入れすぎ具合に、帰ってからドッと疲れが出ているから。それでも好きな人付き合いができているのは嬉しい。


 帰ると『暇』ができる。


 さて、私はこの使い方を知らない。唯一やることと言えば、ご褒美に300円以内のオヤツや総菜を買うことである。それを食べている時に(あー、あそこちょっとミスったかも)とか(あの時の対応は変だったよな……)とか思い出して少し不安になる。


 その後の『暇』の使い方。


 なにか無いかなと、考えている間にふくらはぎが「寝てくれ」と泣くからベッドに入る。キシキシ痛む足はジーパンを履いているからか。新しい服を買ったほうが良いのか。そんな事を考えながら、家にあるものを食べる。


 太陽の光を吸った私は満腹気味で。特に爆食もしなくなった。


 ただ『暇』があった。


 私はこの時間の使い方を知らない。


 何をすれば良いか、ふくらはぎに訊けば『寝て欲しい』頭皮に訊けば『汗を流して』それぞれあった。でもそれは、私の願望ではない。もっと心躍る何かが必要だ、そう思った。


 じゃあ、私に訊けば……?


 何がしたいのだろう。


 日傘に隠れながら、もうじき始まる夏の風を見た。新しい服と鞄、そして財布を買おうと決意してみる。1個目の『暇』の使い方だ。


 あ、冷感のストールも買ってみようかな。外に出ると、また外に出なきゃいけなくなるね。連鎖だね。引き籠りだった時間よりも、はやく1日が過ぎていく。


 今なら時間と空間について、ハイデガーと語り合える気がする。嘘。難しい話は嫌いだよ。

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その「暇」も含めた日常を大切にしてあげてください。
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