第一話 想像と違いすぎて困っています
僕「おい魔王この聖剣でお前の首を断つ!」
魔王「戯言を」
僕「暗闇に隠れていてそんな人生楽しいのか?」
魔王「お前が何を言おうと変わらぬ」
僕「聖剣よその聖なる光でこの闇を打ち払いたまえ」
そう勇者が唱えた瞬間聖剣から激しい光が発せられ魔王の闇を払い去った
魔王「なに光がっ!?私の闇のローブが」
僕「その闇に落ちた憎たらしい顔を見せろ魔王。お前のせいでどれだけの人が苦しんだか」
僕「うおぉぉぉぉぉぉ」
勇者が魔王の顔をめがけてとびかかる
おおおおおおおおおおおおお....あれその顔は、田村教授?
教授「お前こんなところで何をしてるんだ?お前単位危なかっただろ」
あれ?これ夢だ。
僕はとっさにそう察した。
昨日の夜もしかして僕めざましかけずに寝た?まっずいこれ留年コースだ
僕は目を開いた。しかし、目の前に移る景色は見慣れた天井のではなく木の枠にコンクリートを打ち付けたような。
僕はやけに背中や尻らへんが痛いと思い下に目を向けると、床はマットレスではなくレンガ。横になって寝ていたはずなのに、おかしい。まるで見慣れない世界が広がっている。なんだろう。この既視感は。絶対見たことないのによく大好きな漫画で見るような、
異世界のようなかんじだった
そんなことを考えていたら黒い物体が目に入った。
ローブだ。異世界大好きな僕はすぐに気が付いた。
今時珍しいこういう服ってどこで買うんだよ
僕は顔を上に向けた
?「大丈夫ですか?申し訳ありませんが食材は持ち合わせていないのですが」
僕「え?」
なんだ?食材を持ち合わせていない?そんなもの望んでないけど?誰なのまず?
そんなことを考えていると一人の同じぐらいの年の女の子がローブの人に近づいて行きその人は僕のことを気にもせずローブの人に話しかけた。
?2「ルーナどうだった?」
ルーナ「まあ標準的な街ですかね。宿代もそこまで高くありませんし、商店街も極めて普通です。高い果物とかは置いてありましたが別に買わないので関係ありませんしね。セレンの方は?」
セレン「隊はそこまで厳しくやってるわけじゃなかった。まあちょっと抑制は強いけど」
そこまで話してようやく僕に気が付いたみたいだった「セレン」?と呼ばれていたやつがこちらを向いた。
彼女の綺麗な深い群青色の目が僕の目と見つめあっていた。
数秒の沈黙が続いた後、彼女が目を背け
セレン「行こう」
ルーナ「はい」
と二人は会話をし僕前から去ろうとした。
僕「ちょちょ、待ってよ」
とっさにたちが上がり僕は二人を引き留めた
セレン「.....なに。」
声のトーンは沈んでいた。
僕「いま目あったよね、ちょっと助けてくれてもよくない?」
セレン「時間をあげたのに助けを求めなかったのは君。」
そんな返し方ある?確かにそうだけど、
僕「ごめん...なさい。でもちょっと相談に乗ってもよくない....ですか?」
目の前にいる二人は想像の何倍も冷たかった。
俺「お願いします。助けてください。じゃないと僕ここで野垂れ死んじゃいますよ」
いつもなら携帯で今の場所を調べて帰ろうとするだろう。だけどここでどうしても二人を引き留めたのは何となくもうここは知っている場所ではないと頭のどこかで感じていた。
セレン「っ...」
セレン「わかった...」
僕「?」
その彼女の異様な気の変わりようになにか少し疑問を感じた。なんというか善意なんだろうけど、どこか違う。どこか強制されているような。責任に追われるようなそんな気がした
ってそんなことより助けてもらわないと。あんまり黙ってるとまた機嫌を害しそうだ。
そう思った僕はとっさに自己紹介を始めた
僕「ありがとうございます。僕は佐藤連といいます大学2年生です」
ルーナ「だいがく?何かは分かりませんが、私はルーナ。冒険を初めて4年になります」
セレン「セレン・フェイシルバー。同じく。」
何となく二人は姉妹か、家族のような近しい間柄にあることを理解した。
僕「ここは...?」
場所は今の僕にとってとても大事な情報だった。なぜならここで単位を落とすわけにはいかないからだ。
別にいじめられてきた学生生活を送っていたわけじゃないし、されどそこまで充実した生活を送ってきたわけでもない。僕はごく普通の生活でよい。戻らなくてはならないのだ
ルーナ「町の路地ですが?」
そのローブは淡々としゃべった。
僕「まち?」
とても間抜けだったのかもしれない。彼女たちは少し諦めたような表情を浮かべた
ルーナ「いろいろ説明する前にすこしあなたのことを教えていただけますか?まずどこから来たのかとか」
助けてくれる気はあるようだ。自分のことを聞いてくれるのだから。
僕「僕のことですか?僕は佐藤連。地球の日本という場所にいたんですけど」
僕「僕帰りたいんですけど…」
セレン「無理。」
これまで黙っていた女の子が急に話しかけてきた。
そしてその彼女の切り捨てるような口調に若干戸惑いながらもさらに質問を投げかけた。
僕「無理ってどういうことですか?」
セレン「君は恐らく召喚転移術式による召喚。」
ここは僕が居た世界とは違う。いわゆる転生というやつだ。
僕のこの疑問は、謎の既視感は仮説から確信に変わった。
そして安定のパターンであれば呼んだ人物のみ返してもらえる的な話だろう。
そこまで考えた僕は次の言葉を考えた
そして話が円滑につながりそうなフリの言葉を発した
僕「召喚されたってどういうことですか?」
僕「どうしたら帰れるんでしょう?」
若干演技っぽかった。そしてつぎの言葉はある程度予想できた。
セレン「無理。二度目。」
彼女の言葉は今の僕を完全に切り捨てるような言葉だった。
そして想定とは違った。理由を尋ねたからこうしたら帰れるという条件が提示されるものだと思っていたらまさかの帰れない。無理。という言葉だった。
僕「召喚した人はどこに行ったのでしょう?」
僕はそんな言葉を発した。そこまで考えてはいなかった。もちろん元の世界にはいろいろ心残りはあるが、今のこの世界を楽しむのも悪くはないかなとは思っていた。
ルーナ「ある程度までは追跡できますが、意味がありませんし」
「意味がありません」なるほど無理ってそういうことだ。帰れないタイプのやつだ。心残りは捨てるしかないんだなと思った。
そこまで重大に考えてはいなかった。まあ勇者的な力があるのなら前の世界でごく普通の人間だった僕だって、一躍有名になれるんだと期待した僕はさっきまでの表情はゆるみ少し口角が上がった
セレン「君....召喚にどういうイメージを持ってる?」
その表情を見たからだろうか?彼女が言った。
僕「え?それは....王国の研究者たちとかが術式を開発して異世界から転生した人間は特殊能力とかを持ってるから勇者とかになって魔王を打ち倒す...とか」
ルーナ「そんなイメージなんですね」
セレン「そんなんじゃない。」
それらの言葉を聞いて僕はまるで出鼻をくじかれたようなそんな衝撃が全身に走った。
ルーナ「いいですか?まずあなたを呼んだのは王国の研究者ではなく、街の奴隷商です。」
ルーナ「恐らく、女性が目当てであなたは男だったので適当に捨てられた」
奴隷商、捨てられた、と今の僕にとっては衝撃が強すぎる言葉の連続だった。
僕はその言葉を聞き表情が異常に暗くなった。
ルーナ「さらに追加するとあなたは恐らく特別な力さえも持ち合わせていないでしょう」
ルーナ「召喚術式が開発された理由は、無抵抗な生体の似ている生物を呼び出し利用するといったものですから」
今の僕にはこれ以上の情報は必要なかった。これからどうすればいいか。そんな考えが頭の中で湧き続けた。
ルーナ「さて。今後の話をしましょう。」
僕「はい……。」
僕は非常に低いがっかりとしたような声で返答した。
それからの彼女たちの話はこうだ。
まずこの世界にはずっと昔に大規模な転移魔法で数百人から数千人単位でこの世界に呼び出されたことがあったという。その人たちをこの世界の住人はイーチと呼び、現在でもこの世界の一角で集落を作り、暮らしているらしい。
イーチはとても不思議な技術を持ち「ウェンキ」と呼ばれる力を使うらしく、さらにテクニカルの力はそれらイーチの集落周辺では使用できないらしい。
そんなことを聞かされたうえで彼女たちはイーチの集落に案内してくれるらしい。
もともと行く予定あったとは言っていたがとてもやさしい人たちで安心した。
そんなこんなで僕とセレンとルーナの三人はとりあえず今夜止まる宿を探すため街を回ることにした。
想像とは少し..いやだいぶ違うけど僕の少しの間の異世界冒険ライフが始まったのであった。