191-195
191かえるの歌
かえるの歌はあるけれど
がまがえるの歌はない
がまがえるの歌はなくても
とのさまがえるは
かえるの歌を歌う
がまがえるは
かえるの歌を知らない
とのさまがえるの歌は知っている
がまがえるがじぶんで
今作ったから
誰にも聴かせたことのない歌を
がまがえるは歌う気がしていない
192電車に乗って帰る
電車に乗って出かけて
目的が無いと知り
何もせずに
電車に乗って帰る
無駄なことかと思いきや
無駄なことだったりする
ないことがある
あることがない
結びがちぐはぐな帯のようだ
帯に短し襷に長し
空に広がる虹の長さにちょうどよい
193トナカイ
雷様といえば
雷神だが
らいじんぐさん
といえば
さまといえ
とくる
らいじんぐは
雷神とは何の関わりもないが
そもそも形すらないが
さまはつけなければ失礼だろう
とトナカイの神父がいうから
神父の角を折る
じゃなかった祈ればいい
そんな神父に
サンタクロースは鞭を打つ
194梅雨なのか真夏
梅雨なのか真夏なのか
どっちなんだい
どっちでもいい
だから、雨に濡れながら
美術館へ行く
美術館の中はヒエヒエだ
だが、祝日の後日は
どこも休館だったりする
無駄足だった
雨に濡れながらプールに行って
足をつって溺れるのが
正解だったか不正解
195出鱈目
トンビが鷹を産む
だったら
鷹もトンビを産んでいたら
至極当然のことで
取り立てて言うほどのことでもない
気がしている
鷹はトンビを産めないから
際立っている
実際にはトンビから鷹が産まれるはずもなく
出鱈目であり
鱈の目から見れば
そういうことなのだ
タラの目は魚の目をしている