60 文化の街シュメール
街の入口まで到着した。
立て看板には
『文化の街シュメール』と書いてあった。
人の営みには必ず『文化』と『文明』というものが生じる。
それが例えもう存在しない国や文明、文化だとしても歴史としては存在するのである。
誰もそれを無かったことには出来ないのである。
いまでは失われた文化、文明、遺産から学ぶことは沢山あるからである。
俺はまずこの街の食文化について学ぶためにメセタに
『食べ歩き』を提案する。
メセタは目をキラキラさせ
「食べ歩き……なんといういい響き」
と言って提案を受けてくれるようである。
街を散策していると露店が出ており
「マル牛の串焼きあるよ!」
「マル牛?」
メセタが
「この世界で1番飼育されている牛です。柔らかくて美味しいのです」
「へえ……なら最初に買うのはそれかな」
「嫁ちゃん……僕も食べる」
俺とメセタとユーミルの3人で食べるから
「3本ずつ?」
2人は
「それでいいよ」
と言ってくれるので
露店の人に
「マル牛の串焼き9本お願いします」
「9本なら銅貨30枚だよ」
と、言われたので金貨1枚を渡すと銀貨9枚銅貨70枚返ってくる。
銀貨10枚で金貨1枚扱いとなることが分かった。
それと銅貨100枚で銀貨1枚相当であることも確認できた。
ベンチに座って3人で仲良くマル牛の串焼きを食べた。
マル牛の串焼きは本当に柔らかくて美味しかった。
『食は文化のよりどころ』とはよく言ったものである。
そして
衣の文化もまたその国の品位その物を表すと言われている。
住の文化もまた然りである。
上の看板を見て
『シュメール織の店はこの先です』
という物を見つけた。
「シュメール織?」
「はい。この世界には『シュメール織』『ラメ織』『スメラギ織』の3種類の織物が主流となっています」
要は世界三代織物文化というやつか。
この国シャピロではシュメール織を中心に衣服が作られているわけか。
『ラメ織』は、シューベルの港街から行ける大陸『アラメルゴッド』という国の織物でその国の神様で『アラメル』からあやかって
『ラメ織』らしい。
そして、最後のスメラギ織は
どうもメセタの話を聞く限りでは日本の文化である『着物』の織り方に似ているらしい。
まあ、名前も皇だしな。
「おい!そこのお前!」
「ん?俺の事?」
「そうだ!そこのお前だ!!危険な魔獣と一緒に居るお前はさては悪党だな!!」
(何言ってるのこの人?言ってる意味が分からない)
なんか変なことに巻き込まれているような。